庭の終活といわれる「庭じまい」は、高齢者の方にも負担となるような3m〜5mほどの大きな庭木の伐採や植栽整理、リフォームなどを行い、管理をラクにするための取り組みです。

時間や費用がかかることもあり、相場を把握し早めに計画するのが大事。
お祓いが必要になる場合もあるので、どのような作業を行い・費用がどれくらいかかるのか理解しておきましょう。

今回は庭じまいとは何か、そのやり方やメリット・デメリット、自分でできることなどをわかりやすく解説します。
庭を見直してリフォームすることで、これから先も暮らしやすい空間づくりを目指しましょう。

早めの対策が、大きな安心につながるので、ぜひこの記事を参考にして、庭じまいをスムーズに進めてみてくださいね!

雑草が生えない庭は害虫を防げるって知っていますか?
雑草シーズン到来前に、お得に雑草対策ができる方法をプロが解説します。

目次

「庭じまい」とは庭の終活|背景とリフォームとの違い

セカンドライフと鍵

そもそも「庭じまい」とは「庭の終活」を意味し、これからの暮らしを豊かにすることが目的です。
庭の解体や処分だけを意味するのではなく、「残りの人生にあわせた庭づくり」をすることが真の目的です。

まずは、庭じまいの背景とリフォームとの違いについて解説します。

なぜ「庭じまい」が話題になっているのか?

庭の瓦礫

自分・親の残りの人生をどのように過ごすのかを考えたとき、「終活」を行う人が増えてきています。
庭も同じように放置ができないもので、いずれ整理をしなければなりません。

特に古い庭だと和風庭園のように立派で、大きな庭石や灯籠などがあり、処分を検討している方も多いです。
また庭が広過ぎたり、たくさんの植物が植わっていたりすると管理の手間がかかり、日々の生活に負担となっていることも。

先祖が残した遺産や功績ですが、現代の生活スタイルにあうように庭を変える方が増えてきているようです。
またこれから人生のためと、家族の負担を減らすために庭じまいを行うことが大切です。

「庭じまい=リノベーション」|リフォームとの違い

庭の解体

古くなった既存の庭を、これからの人生に向けてつくり直すこととされる庭じまい。
しばしば庭のリフォームといわれることもありますが、「Re-garden(リ・ガーデン)」と呼ばれることもあり、厳密には「庭のリノベーション」にあたります。

リフォームは、古くなって老朽化したものを新築の状態に戻すことを指します。元の状態になるように修正したり、新しいものに変えたりすることです。

一方リノベーションは庭の性能を高め、新築のときよりもプラスαで機能や価値を向上させることを意味します。
ライフスタイルや生活住環境にあわせて庭づくりすることが目的です。

庭じまいに時間が掛かる理由

木目の机に置かれた砂時計

庭じまいとは、お庭を整理し、これからの暮らしに合わせた環境を整える「庭の終活」のことです。
長年育ててきた木々や植栽を処分するときには、3m~5mクラスの大きな庭木の伐採や根回しが必要になり、時間と手間がかかります。
また、高齢者の方にとって、体力的にも負担が大きい作業になるため、スムーズに進まないことも多いです。

さらに、庭じまいを行う際には、既存の景観や構造を見直し、必要に応じてリフォームを計画する場合があります。
家屋や外構とのバランスを考え、理想の庭に近づけるためには、専門家と相談しながら進めることが不可欠です。
プロに依頼するとなれば、作業内容によって費用は上下し、相場を把握するには複数の業者から見積もりを取るなど、情報収集も時間を要します。

また、古くからの庭木には、土地の守り神のような役割を担っていると考えられるケースもあり、伐採前にお祓いを行う場合も。
こうした手続きや準備を丁寧に行うことで、庭じまいが納得のいく仕上がりになる反面、どうしても日数や労力がかさんでしまうのです。

庭じまいは単純な剪定や草むしりとは違い、全体のバランスや今後の管理のしやすさを考慮した終活といえます。
時間がかかる背景には、庭木の規模やリフォーム計画、費用や相場の比較、お祓いなどの儀式、高齢者にとっての体力的負担といった要素が複雑に絡み合っています。
だからこそ、早めに計画し、余裕をもって取り組むことが、成功への近道といえるでしょう。

庭じまいのやり方・費用と相場

住宅模型とお金

長年手をかけてきた庭も、暮らしの変化に合わせて管理が難しくなったり、使わなくなったりすることがあります。
そんなときに、庭じまいをすることでスッキリとした空間に生まれ変わります。

作業内容は、庭木の伐採や伐根、剪定から、庭石や灯籠の撤去、庭池の埋め立て、芝の処分まで多岐にわたります。
それぞれの作業は見た目を整えるだけでなく、今後の管理を楽にするために欠かせない工程です。
また、作業範囲や規模によって費用も異なるため、相場を確認しながら進めることが大切です。

庭じまいを始める前に、作業内容と費用をしっかり把握しておくことで、トラブルなくスムーズに進められます。
自分でできる部分と業者に依頼する部分を分けることで、無駄な費用を抑える工夫も可能です。

ここでは、庭じまいのやり方・費用と相場について下記つ紹介します。

  1. 庭木の伐採・伐根・剪定
  2. 庭石や灯籠の撤去・処分
  3. 庭池の埋め立て
  4. 芝やすき取りの撤去・処分

①庭木の伐採・伐根・剪定

伐採

基本的に、庭じまいでは庭木を処分していくことが優先されます。
庭木を伐採して、残った切り株を伐根(ばっこん)してきれいにします。

しかし、全ての庭木を取り除かずに残す場合は大きく剪定(せんてい)をして小さく整えます。

費用と相場

伐採と伐根は、庭木・根元周りの大きさによって価格が違います。

伐採の費用相場は約2,000〜40,000円ほど。
樹高が高くなるにつれ価格が上がります。

一方伐根は木の高さではなく、基本的に幹の直径・根の広がり方など切り株の状態によって違い、約3,000〜25,000円ほどが相場です。

また、剪定は比較的伐採・伐根よりも安く見積もられることが多く、1本約2,500〜25,000円ほど。
木の高さによって費用が異なりますが、樹形の暴れ具合によって価格が変動する場合もあります。

下記が各大きさでの伐採・伐根・剪定の費用です。

伐採の費用

樹高3m以下2,000〜10,000円
樹高3〜5m10,000〜20,000円
樹高5〜7m20,000〜40,000円

伐根の費用

幹の直径15cm以下3,000〜5,000円
幹の直径15〜30cm5,000〜7,000円
幹の直径30〜50cm7,000〜25,000円

剪定の費用

樹高3m以下2,500〜5,000円
樹高3〜5m5,000〜10,000円
樹高5〜7m10,000〜25,000円

2階の屋根を超えるような大木になると、重機が必要になる場合があるので、費用がさらにかかります。
また、電線の接触が起こらないよう安全確保を行なったり、高所からの転落防止措置を行なったりすることも。

特殊なケースとして扱われる傾向にあるため、多くの場合費用が高くなります。

以下の関連記事では庭木の処分方法について詳しく解説していますのでぜひ参考にしてください。

②庭石や灯籠の撤去・処分

灯籠

庭によっては自然風景を意識したものもあり、岩や石を使ってデザインされていることもあると思います。

庭にスペースをつくりたい方やバリアフリー化をしたい方は、庭石を撤去・処分しましょう。
巨大な岩がなくなれば広くなり、別の何かをつくることも可能です。

しかし庭石が大き過ぎると個人での撤去が難しい場合。
重機などで石を砕いてから撤去する必要があるので、専門の業者に依頼するのがおすすめです。

費用と相場

庭石や灯籠は重さで撤去・処分費用が異なり、1kg=30〜40円ほどで見積もられることが多いです。

ただし、石の種類によっても費用が違う場合もあり、「縦(m)×横(m)×高さ(m)×比重」で計算する業者もあります。

さらに、人力で持ち運べないような重さのものは重機が必要になるため、費用が多くかかります。
また重機が搬入できないと、人力で作業しなければならないので余計に人件費がかかるかもしれません。

③庭池の埋め立て

池

水換えや掃除など手間がかかる池は、老後の生活に負担がかかりやすいです。
そのため、庭じまいをするときは庭池を埋めることも1つの案です。

高齢になったとき、掃除をしている最中に足を滑らせて転倒したり、小さな子どもが溺れたりすることも防ぐことができます。

費用と相場

比較的、庭池の解体にかかる費用は約200,000円前後
単純に土で埋めるのではなく、周りの緩くなった地盤を固くするために土・砂利などを使います。
さらに地面に流し込んだコンクリートを取り壊す費用などもかかります。

④芝やすき取りの撤去・処分

芝刈り

芝刈りや水やりなど日頃のメンテナンスがかかる天然芝。
高齢になったときに管理が大変になるかもしれない、作業が難しく感じるかもしれないと不安になる場合は、芝を撤去することも考えてみましょう。

庭の景観が殺風景と感じる場合は、人工芝に張り替えるのがおすすめです。
掃除やブラッシングが主なメンテナンス内容で、天然芝よりも楽です。

また、すべてのものを撤去したあとは、表面の余分な土を取り除く「すき取り」という作業を行います。
地表をすき取った土は処分されることが多く、「残土処分費」として見積もられます。

費用と相場

天然芝が広く敷かれている場合は、業者に依頼して処分してもらうことが可能です。
費用は、約1㎡=1,000〜2,500円ほどが相場といわれています。

また、すき取り作業は約1㎡=400〜900円ほどで、残土処分費がおよそ1㎡=800〜1,800円ほどです。

庭じまいでお祓いをするかは自由

住職

古くから、さまざまなものに神様が宿ると信じられている日本では、木には精霊が棲み人々を見守っていると考えられています。
そのため木を切るときは、「お清め」としてお祓いをすることもあります。

ひとつの生命を絶つため「木に棲んでいる神様」と「庭木」に感謝の気持ちを伝えるためにお祓いをする方が多いです。

また、お祓いは、地域によって様式がさまざまですが、木を伐採する前にお酒・お米などをお供えし、お塩で清めるというのが一般的です。

お寺の住職に依頼する場合もあり、お祓いとお供え物をあわせて約10,000〜50,000円ほどの費用がかかります。

宗教の違いや考え方がさまざまで多様化した時代なので、お祓いをするかは自由です。

庭じまいのメリット・デメリット

ブロックの残骸

これからの残りの人生を良くするために行う庭じまい。
準備することでたくさんのメリットが得られますが、負担になるようなデメリットもあります。
終活は一度に全部を行なってしまうと、疲労やストレスの原因となってしまうので、ゆっくりと

ここでは、庭じまいのメリットとデメリットを紹介します。

庭じまいのメリット

残土と芝

庭じまいのメリットは以下4つです。

  • 庭のメンテナンスが楽になり労力削減になる
  • 庭の機能性・快適性を向上できる
  • 家族への負担や心配が減る
  • 防犯防災対策になる

庭のメンテナンスが楽になり労力削減になる

庭じまいは庭を整える作業でもあり、庭木や草花の数を減らしたり、植物やものの位置を変えたりして、現代の住まいにあったデザインにすることが可能です。
そのため、庭の美しさを維持するための日頃のメンテナンスと労力を削減でき、ほかの家事や趣味にも時間をあてられます

庭の機能性・快適性を向上できる

庭を整理することで「庭で何をするのか」目的を見直すことができ、機能性や快適性を向上させられます。
例えば、人が歩く動線整備(ゾーニング計画)を行い散歩できるような道をつくったり、庭木や造形物を減らして、野菜やハーブを育てられるような家庭菜園用の花壇をつくったりできます。
庭での目的を増やせ、これからの生活にあうような庭づくりが可能です。

家族への負担や心配が減る

古くなった庭には使わなくなった池などの不要なもの、片付けきれない物置など、ものが散乱していることもあると思います。
長く放置したままでは、残された家族が処分しなければならない場合も。
庭じまいをしておくことで家族への負担や心配を減らせられ、心の余裕も生まれます

防犯防災対策になる

現代の庭には、防犯防災対策になるような設計デザインが施されている場合が多いです。
庭の周囲にものや庭木を設置しないことで見通しが良くなるため不法侵入や不審火を防げます
また、台風や嵐で庭木が倒木するのを防げ、近隣に被害が及ばないようにリスクを下げることもできます。

庭じまいのデメリット

お金

庭じまいのデメリットは以下4つです。

  • 費用がかかる
  • 時間と労力がかかる
  • 庭の景観が寂しく見える場合もある

費用がかかる

庭じまいをするためには、多くの場合プロの造園士や庭師など業者に依頼する必要があるため、費用がかかることもあります。
また、不要なものを撤去処分する費用や、リノベーションに必要な材料・植物を購入するため、さらにコストがかかりやすいです。

時間と労力がかかる

既存のものを撤去処分して、新たにものを付け加えることが多い庭じまいでは、費用と並んで多くの時間と労力がかかります。
特に全面の庭工事では、数週間から数か月かかる場合もあるので、完成するまでに辛抱強く待つ必要があります。

庭の景観が寂しく見える場合もある

新しい植物に植え替えた場合、生長するまで時間がかかるため、すぐに美しい庭を楽しむことができないこともあります。
また庭木の伐採、草花の処分、防草対策をすることで見た目が悪く、殺風景になってしまう場合も。
人工芝を敷いて緑を増やしたり、植木鉢に植物を植えたりして見栄えを良くするといいかもしれません。

庭じまいを専門業者に依頼しよう!選び方のポイント

老夫婦と業者

庭じまいは大掛かりな作業が多く、危険な場面もたくさんあります。
素人の方が業者に依頼せずに行なってしまうと、大怪我をしてしまう恐れがあります。
できるだけ専門の知識を持った業者に依頼して、庭をきれいにしてもらいましょう。

また、専門業者に依頼すれば早く工事を済ませられ、庭が完成するまでの時間を短縮できます

もし少しでも費用を削減したいのであれば、除草作業や芝生の撤去など、できるところは自分で行うといいかもしれません。

ここでは、専門業者の選び方と、安心して依頼ができる業者の特徴について解説します。

専門業者の選び方

庭師と庭

植木屋・庭師・解体業者など、庭じまいにはさまざまな業者があります。
しかし、それぞれ専門が違うため「庭木の伐採・伐根はできるが、庭石や灯籠の撤去はできない」など、断られることも。
そのため、ひとつの作業ごとに別の業者に依頼しなくてはならないこともあります。

1つの業者だけで済ませたい場合は、伐採や解体など庭じまい業務ができ、リノベーションも行ってくれる造園工事業者に依頼するのがおすすめです。

伐採・伐根・庭石の撤去・庭池の埋め立てなど、さまざまな要望に応えられるように施工メニューを幅広く取りそろえていることも多く、一括で見積もりを出してくれます。

安心しておまかせできる業者の特徴

庭師と庭

造園工事業者と一言でいっても、たくさんの企業があって選ぶのが難しいこともあります。

庭じまいを依頼するにあたって安心して工事をおまかせするには、信頼と責任感が強く、期待以上の仕事をしてくれるところが望ましいですよね。

良い業者を見つけるポイントは、以下の3つに注目しましょう。

  • 評価が高い
  • 実績が多い
  • 見積もりが細かく記載されている

業者の口コミ評価などが高いと信頼が得られます
さらに施工実績が多ければ、より安心して依頼ができ作業を任せられます。

ホームページには施工事例を掲載していることが多いので、まずはどんな企業なのか内容を細かくチェックしましょう。

また、業者に見積もりを出してもらったときは、内訳が細かく記載されているか確認しましょう。
廃材処理費用や交通費などの諸経費など、細かいところまで記載があると他社と比べやすく、より選択もしやすくなります

業者のなかには坪単価で解体を行うところもあります。
複数の業者に依頼したときに、1坪でどれぐらいのコストがかかるのかもチェックしておくといいです。

業者の誠実さにもつながり、ストレスなく作業をしてもらえます。
内訳についてわからないところや疑問点は、担当の方に積極的に質問して明確にするといいです。

古い庭を居心地の良い空間に変える庭じまい

土間コン

古くなった庭を手入れしやすく整え、快適な空間へと生まれ変わらせるのが庭じまいです。
庭木や植栽が生長し過ぎて手に負えなくなったり、使わなくなった庭池や石がそのまま残っていたりすることはありませんか?
そんなときに庭じまいを行うことで、暮らしやすい空間づくりができるようになります。

庭じまいでは、芝生やコンクリートを撤去して砂利や人工芝、タイルを敷いて草取りの手間を減らしたり、土間コンや駐車場を整えて使い勝手を良くしたりする方法があります。
また、ウッドデッキやサンルームを設置して、くつろぎのスペースを作ることも可能です。
さらに、バリアフリー仕様にリフォームすれば、年齢を重ねても安心して過ごせる庭になります。

リフォームの内容によっては、自分でできる作業もありますが、工事が必要な場合は専門業者への依頼も視野に入れておきましょう。
デザインや機能性を考えながら計画を立てることで、より居心地の良い空間に仕上がります。

ここでは、古い庭を居心地の良い空間に変える庭じまいについて下記4つ紹介します。

  1. 砂利・人工芝・タイル敷き
  2. 土間コンの打設・駐車場の設置
  3. ウッドデッキ・サンルームの設置
  4. バリアフリーの設置

砂利・人工芝・タイル敷き

庭木で目隠しをすると自然な景観が楽しめますが、定期的な剪定や落ち葉の掃除が必要になります。
特に手入れを怠ると、枝葉が伸びすぎて風通しが悪くなったり、害虫が発生しやすくなったりすることもあります。
そこで、庭木の代わりに砂利や人工芝、タイル敷きを取り入れることで、手間の少ない目隠しや庭づくりが可能になります。

まず砂利を敷くと、雑草が生えにくくなるうえ、防犯対策としても効果的です。
歩くと音が鳴るため、不審者の侵入を防ぐ役割も期待できます。
また、デザイン性の高い砂利を使えば、洋風や和風の庭にもなじみやすく、おしゃれな空間を演出することも可能です。

次に人工芝は、緑のある空間を維持したい方におすすめです。
芝生よりも手入れの必要がほとんどなく、季節を問わず鮮やかな緑を楽しめます。
クッション性があるため、小さなお子さんやペットがいる家庭でも安心して過ごせるのも魅力です。
ただし、耐久性を保つためには数年ごとの張り替えやメンテナンスが必要になる点も理解しておきましょう。

タイル敷きは、掃除がしやすく、スッキリとしたデザインに仕上げられるのが特徴です。
敷き詰めることで雑草対策になり、水はけを工夫すれば雨の日も滑りにくく、安全な庭に仕上がります。
タイルの色や形を変えることで、モダンな雰囲気やナチュラルなイメージなど、好みに合わせたデザインも楽しめます。

砂利・人工芝・タイル敷きは管理の手間を減らしながら、庭の印象を大きく変えられる方法です。
庭木の目隠しから切り替えることで、シンプルで扱いやすい庭づくりが叶います。
自分のライフスタイルに合わせて、最適な素材を選んでみてくださいね。

土間コンの打設・駐車場の設置

庭木で目隠しをすると、自然な緑が楽しめる一方で、枝葉が生い茂ることで視界を遮りすぎたり、落ち葉の掃除や剪定の手間が増えたりするデメリットもあります。
特に、庭を駐車場にリフォームしたい場合や、コンクリートを打設してスッキリとした空間に整えたいときには、大きな庭木が邪魔になることもあります。

土間コンを打設するときは、まず庭木の伐採や根の処理が必要です。
樹木の根は思った以上に広がっていることが多く、掘り起こす作業には時間と手間がかかります。
根が残ったままだと、コンクリートを流し込んだあとに浮き上がったり、ひび割れの原因になったりするため、しっかりと取り除くことが大切です。
また、庭石や古い灯籠がある場合は撤去も必要になり、作業範囲が広がることもあります。

駐車場を設置する場合は、車の重さに耐えられるように地盤をしっかり固めたり、傾斜をつけて雨水を排水しやすくしたりと、事前の準備が重要です。
見た目を整えるだけでなく、使い勝手や安全性を考慮しながら設計することで、より快適な空間に仕上がります。

また、土間コンはシンプルな仕上がりになるため、庭の雰囲気をガラリと変えたい方にも向いています。
駐車場としてだけでなく、自転車置き場や物置スペースとしても活用できるため、ライフスタイルに合わせた使い方ができるのも魅力。

庭木で目隠しをしていた場所をコンクリートに変えることで、メンテナンスが楽になり、雑草対策にもなります。
手入れに手間がかかる庭から管理しやすい庭へと生まれ変わり、日々の暮らしがぐっと快適になるはずです。
これから庭を整え直すときは、土間コンの打設や駐車場の設置も検討してみてくださいね。

ウッドデッキ・サンルームの設置

庭木を目隠しとして取り入れると、緑のある落ち着いた空間が作れます。
しかし、枝葉が茂ることで庭が暗く感じたり、スペースが狭くなったりする場合も。
特に、ウッドデッキやサンルームを設置して庭を有効活用したいと考えると、庭木が大きな障害になることがあります。

ウッドデッキは、リビングから庭へと自然につながる屋外スペースとして人気があります。
天気の良い日には椅子やテーブルを置いてくつろいだり、洗濯物を干したりと、使い方の幅が広がるのが魅力です。

しかし、枝や葉が落ちてくる場所では掃除の手間が増えたり、湿気がこもりやすくなったりして、デッキの傷みが早まる原因になることも。
庭木を撤去してスペースを確保することで、風通しや採光を改善し、ウッドデッキを快適に保つことができます。

サンルームは、室内と屋外の中間にある特別な空間です。
日差しを取り込みながらも雨や風を防ぎ、植物を育てたり、趣味のスペースとして利用したりするのに適しています。
ただし、庭木が近すぎると枝や葉がガラスに当たったり、影を作ったりして、サンルーム本来の明るさや開放感が損なわれることがあります。
また、湿気がこもるとカビや害虫が発生しやすくなるため、庭木の配置や剪定を見直す必要があります。

庭木を取り除いてウッドデッキやサンルームを設置すれば、管理が楽になるだけでなく、庭をさらに活用できる空間に変えることができます。
庭木による目隠しの役割はフェンスやパネルで代用できるため、すっきりとしたデザインに仕上げることも可能です。

バリアフリーの設置

庭木を目隠しに利用すると、自然の緑に囲まれた落ち着いた空間が作れます。
しかし、生長した木が庭の通路をふさいだり、根が張って地面を盛り上げたりすると、安全面での不安が生じることもあります。
とくに段差や凸凹が多い庭では、移動しにくく転倒のリスクも高まります。
こうした問題を解消し、安心して使える空間にするために、バリアフリーの設置が役立ちます。

庭をバリアフリーにする場合は、通路の段差をなくしたり、スロープや手すりを取り付けたりするのが一般的です。
高齢者や車いすを利用する方だけでなく、小さなお子さんがいる家庭でも、安全で使いやすい庭になります。
また、滑りにくい素材を使った舗装や、足元を明るく照らす照明を取り入れると、夜間の移動も安心です。

ただし、バリアフリー化を進めるには、庭のスペースを確保する必要があります。
広がった根や低木が邪魔をして、施工が難しくなるケースも少なくありません。
木の撤去や移植が必要な場合は、計画を立てて作業を進めましょう。

また、排水や水はけの対策も重要です。
土や芝をそのまま残しておくと雨水がたまりやすく、足元がぬかるむ原因になります。
透水性のある舗装材や砂利を取り入れることで、見た目も自然で管理しやすい庭に仕上がります。

庭木を整理してスペースを確保すれば、スムーズにバリアフリー化を進めることができます。
段差をなくして歩きやすくするだけでなく、植栽やデザインを工夫して、快適さと見た目の美しさを両立させることも可能です。
家族みんなが安心して過ごせる庭を目指して、使いやすい動線を整えてみてくださいね。

自分でできる庭じまい

土間コンの打設

庭が広かったり、ものが多かったりすると撤去・処分の費用が高くなることもある庭じまい。
庭を新しくつくり変える場合だと、さらにたくさんのお金が必要になり、妥協しなければならないことも出てくると思います。

少しでも費用がかからないように、できるところまでを自分で行い、素人では難しい作業は専門の業者に依頼しましょう。

ここでは、自分でできる庭じまいを下記の4つを紹介します。

  1. 庭木の剪定・伐採
  2. 除草・整地
  3. フリーマーケットやオークションで売却
  4. ものの整理と処分

庭木の剪定・伐採

伐採

庭木の剪定や伐採は、道具や工具をしっかりと用意し、適切に行えば自分でもできる作業の1つです。

すでに植えられている庭木を残したい・大きくなり過ぎている庭木を小さくさせたい場合は、剪定ばさみやのこぎりを使ってバッサリと幹・枝葉を強剪定しましょう。

強剪定は、幹や太い枝葉を樹形や樹高が大きく変わるほど深く切り詰める作業です。
庭木を小さくコンパクトにすることで、病害虫対策などの手間があまりかからなくなり管理が楽になります。

一方で伐採は、のこぎりや電動のこぎりを使って木の幹を切り落とします。
3m以下の低木〜中木であれば、素人でもできる範囲です。

伐採するときは、一度に幹から切り落とすのではなく、先端近くの枝葉から細かく切り落としていき、徐々に木を小さくしてから太い幹を切る方が簡単です。
このときは、庭木の周りにブルーシートを用意しておくと掃除が簡単です。

ただし、自分では難しいと感じたもの・5mを超えるような大きな木を切り落とす場合は、業者に頼んで切ってもらいましょう。

除草・整地

防草シート

庭に雑草が生えた場所に人工芝などを張る場合は、除草・整地作業を自分で行なっておくのもおすすめです。

費用を安くするだけではなく、庭が完成するまでの工期を短縮できます。

施工する場所が小さければ作業の難易度が低くなるので、自分でも無理なくできるでしょう。

雑草が生えた荒れた庭のままで業者に依頼すると、その分の費用が余分にかかり、高く見積もりされてしまう場合も。
時間さえあれば、自分でもできる作業なので挑戦してみましょう。

ただし、コンクリートを打設して駐車場を設置するなど、規模の大きい作業を考えている場合は、自分で行う必要はありません。
業者はシャベルカー(ユンボ)などを使って土をすき取り、基礎をつくるため、全てまかせた方が良いです。

フリーマーケットやオークションで売却

フリーマーケット

庭じまいで処分をしようと検討している庭木や庭石などは、フリーマーケットやオークションで売却することも可能です。

良質で人気のある庭木は需要が高いため、高価格で売却できる場合もあります。

ただし、すぐに買い手が見つからない場合は、庭木や庭石を自宅で保管しなくてはなりません。また個人間で金銭のやりとりをする必要があるため、思わぬところでトラブルが発生するリスクもあるので注意しましょう。

また、さざれ石や紫雲石など価値の高い庭石は購入する人も多いため、フリーマーケットやオークションで売れる可能性があります。

ただし、業者では買取ができないことがほとんどなので、あくまで個人とのやりとりで販売するのが良いです。

ものの整理と処分

廃材と手袋と手

フリーマーケットやオークションで売れなかったもの、庭の掃除や整理をしたときに出た必要ではないものは、ゴミとして処分しましょう。

庭木や庭石は、一般ゴミとして出せない場合がほとんどです。
住んでいる各自治体で回収・処分できるか確認してからゴミとして出します。

もし自治体でも回収ができない場合は、造園・解体業者、ホームセンターなどに問い合わせてみるといいです。

また、トタンやプレハブなどでできた物置は、粗大ゴミとして出します。
あらかじめ料金の支払いなどがあるため、すぐには回収ができません。
余裕をもって準備しておくことが大切です。

庭じまいを進めるときに気を付けること

ノートとペン

庭を全て片付けるまでには、多くの時間と費用がかかります。
すぐに庭をきれいにしてつくり変えることは難しく、あらかじめ段取りをしっかりと決めて準備し、心の余裕をつくることが大切です。

老後のことを考え庭じまいを検討し始めたときは、以下3つの点について気を付けましょう。

  • 早めに行うことを意識する
  • 施工例をチェックして理想の庭をイメージする
  • 複数の業者に見積もりを出してもらう

3つのことを意識するだけで、後悔や不満の気持ちが生まれにくく、庭じまいを行なってから庭を新しくして良かったと思えるようになります。

早めに行うことを意識する

貯金箱とお金

人生の終活準備はたくさんの項目があり、全てを完了させるには数年から数十年を年月がかかることもあります。
規模によって異なりますが、段取りをしてから庭が完成するまで数年かかる場合もあります。

庭じまいを検討したときは、できるだけ早いうちに行動に移し、庭を片付ける準備を進めましょう
自分で片付けるにも大きな労力が必要になるので、体が元気なうちに行動することを意識します。

庭の整理や片付けを始める前に、インターネットで業者をピックアップしておくのもいいです。

施工例をチェックして理想の庭をイメージする

住宅模型を持つ女性

「庭じまいを行なってから、どんな老後生活を送るのか」これからの生活とそれに伴った理想の庭について考えてみることも大切です。

専門業者の施工事例をチェックしたり、インターネットや雑誌の記事を見て理想の庭をイメージをしましょう。

さまざまなメディアから多くの情報を得て、イメージを膨らませればアイディアが浮かびやすく、より快適な暮らしを迎えられます。

老後でも自分のライフスタイルにあって暮らしやすいと思えるような、庭じまいを行ってくださいね。

複数の業者に見積もりを出してもらう

見積もり

庭じまいで大事なことは、複数の業者に見積もりを出して比較すること。
選択肢を作ることで見比べができ、業者ごとでの違いを発見しやすくなります。
数ある中から信用できそうな業者を2〜5社ほどにしぼって見積もりを依頼してみましょう。

複数の業者に見積もりを出してもらったら、内訳を細かく確認します。
決して安くない費用がかかるからこそ、庭じまいでは工事の詳細を把握し、無駄がないかチェックすることがポイントです。

廃材処理費用や交通費などの諸経費など、細かいところまで確認すると他社と比べやすく、より選択もしやすくなります。
内訳についてわからないところや疑問点は、担当の方に積極的に質問して明確にするといいです。

まとめ:庭じまいとは「手入れのいらない庭」へと変えること

車椅子と薔薇

これからの暮らしを豊かにするためや、残された家族のために行う庭の終活である「庭じまい」。
現代の生活スタイルにあうようにデザインし、管理の手間など日々の生活や家族の負担とならないように「手入れのいらない庭」へと変え、住み心地の良い空間につくり変えることが大切です。

ライフスタイルや生活住環境にあわせて庭の性能を高め、新築のときよりもプラスαで機能や価値を向上するように庭づくりすることで、暮らしの質と価値も高まります。

「自分・親の残りの人生をどのように過ごすのか」について考えたときは、ぜひ庭のことについても目を向けて、「庭じまい」を検討してみましょう。

雑草が生えない庭は害虫を防げるって知っていますか?
雑草シーズン到来前に、お得に雑草対策ができる方法をプロが解説します。

氏永 勝之
監修者 smileグループCEO
株式会社ガーデンメーカー 代表取締役
愛知農園植木苗木株式会社 専務取締役
一般社団法人ガーデンビジネス協会 代表理事
氏永 勝之

愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。

執筆者 柴﨑光一

リゾートガーデンスタイル専属の庭師×Webコンテンツクリエイター。 カナダのトロントで造園士を、その後日本で花屋のバイヤー・鉢物の管理・アドバイザーを経験した後、ヤシの木を主体とするリゾート・ドライガーデンの造園士に。 現在は、リゾートガーデンスタイルの社会福祉施設・DOG CAFEの専属庭師に加え、畑の開拓・管理、SNSも兼務。 植物を専門とするWebコンテンツクリエイター、ガーデニング商品の監修者としても活躍中。

おうちの近くのお庭の専門家を探そう!お庭の窓口ガーデン業者サーチ