カナメモチは、日本や東アジアに自生する常緑の庭木。
葉や実がモチノキに似ているが、全く別の植物。生垣に利用される定番の庭木の1つで、新芽が赤色に染まるのが特徴。
新芽だけでなく、ソバに似た白い花や赤い実も観賞価値がある。
基本データ
- 分類
- 庭木-生垣
- 学名
- Photinia glabra
- 科・属名
- バラ科 カナメモチ属
- 別名
- アカメモチ、ベニカナメ、ソバノキ
新芽の赤色が美しい庭木
日本にも自生する常緑の中高木
カナメモチは、日本や東アジアに広く自生する常緑の中高木です。
「カナメモチ」という名前ではありますが、モチノキ科モチノキ属とは全く異なる別の植物です。
しかしその姿はモチノキと似ている部分も多く、葉の形状、赤い実などがそれにあたります。
見分けるコツとしては、葉の細かな形状の違いと、初夏に咲く白い花が挙げられます。
カナメモチの葉には鋸歯と呼ばれるギザギザがありますが、モチノキにはありません。
カナメモチの花は5~6月頃に、ソバの花に似た小さく白花がまとまって咲きます。
カナメモチは生垣の定番
カナメモチは生垣に使用されることの多い庭木です。
春に伸びる新芽は赤みを帯びており、観賞価値があります。
この特徴はベニカナメモチやレッドロビンでも見られますが、これらの品種を見分けるのは非常に困難です。
カナメモチは、前述の2つよりも赤みが弱いと言われています。
レッドロビンとの違い
レッドロビンは、カナメモチとオオカナメモチの交配種です。
通常のカナメモチよりも葉がおおきく、新芽の赤色がよりはっきりとしています。
違いはあるものの、業者の間でも混同している場合があるほど見分けるのは難しいと言われています。
発色の良さももちろんですが、レッドロビンは通常のカナメモチよりも枝の伸びが良く、病気にも耐性があります。
そのため現在は、生垣用の品種としてはレッドロビンが主流です。
カナメモチの品種
・ベニカナメモチ(アカメモチ)
カナメモチの中でも、特に新芽の赤色がきれいに発色しているものを、アカメモチと呼ぶことがあります。
明確に学名が存在するわけではありません。
・オオカナメモチ
通常のカナメモチよりも2倍ほど大きな葉を持つオオカナメモチは、本州の一部地域や奄美大島、沖縄県などに自生する希少種です。
公園や一般の庭で見かけることはまずありません。
日本以外では、台湾やフィリピンなどに自生しています。
・五色の彩
こちらは園芸品種で、葉に模様が入ります。
葉の外側が斑入りになっており、新芽は蛍光色のような鮮やかなピンク色に発色します。
通常のカナメモチは和風のお庭で利用されることが多いですが、こちらは洋風のお庭にも十分マッチするでしょう。
しかし、かなり強い印象を与える品種のため、好みは別れます。
生垣はもちろん、その他の楽しみ方も
まずは生垣
カナメモチは様々な楽しみ方ができる庭木ですが、やはり生垣は外せません。
4月頃に新芽が伸び始め、木全体を鮮やかな赤色で覆い尽くした姿は圧巻です。
定期的に刈り込みを行うことで、その姿を楽しむことができます。
基本的に刈り込みは真夏以前に行いますが、秋に行うと冬でも赤い新芽を楽しめます。
ただし、秋に刈り込むと花芽も一緒に切ることになってしまうため、花を楽しむことができなくなります。
カナメモチの花も楽しみたい方は、真夏以前の刈り込みを入念に行い、秋は最小限に抑える必要があります。
花や実を楽しむ
カナメモチは5~6月に、小さく白い花を咲かせます。
花弁は丸く、非常に可愛らしい印象です。
1つの場所に小さな花が集まって咲き、それが木全体を埋め尽くします。
別名ソバノキと呼ばれる所以は、この花にあります。
秋頃には実をつけます。
カナメモチの実は赤色で、先端部分が黒ずんでいるのが特徴です。
緑の葉と赤色の実のコントラストが美しく、和風のお庭にピッタリな印象を与えます。
カナメモチの育て方と特徴の詳細情報
- 草丈・樹高
- 5~10m
- 栽培可能地域
- 東北南部以南
- 花色
- 白
- 開花期
- 5月から6月にかけて
- 結実期
- 10月から11月にかけて
- 耐暑性 / 耐寒性
- 耐暑性:強い 耐寒性:弱い
カナメモチの育て方と特徴の育て方・管理方法
- 植え付け・植え替え
- カナメモチは日光を好むため、日当たりのよい場所に植え付けます
土質は水はけの良さが重要です
植え付けの際は掘り返した土に腐葉土などを混ぜ込み、土が軟らかくなるようにしましょう
生垣にする場合は、苗同士の間を30cmほどあけて植え付けましょう
また、植え付けの際は元肥として有機質肥料か緩行化成肥料を施します
植え付け、植え替えともに適期は3月から4月、または9月から10月にかけてです
カナメモチは根が粗いため、植え替えを行う場合は事前に根回しが必要になります
根回しを9月に行った場合は、翌年の3月に植え替えを行いましょう
根回しが3月であれば、同様の考え方でその年の9月です - 肥料
- 植え付けの際の元肥に加えて、庭植えなら2月に寒肥として有機質肥料を、鉢植えなら3月に化成肥料を施しましょう
- 剪定
- カナメモチの剪定は、春の3~4月、梅雨の6月、秋の9~10月に行うのがオススメです。
カナメモチは、真夏に剪定をすると葉焼けを起こし、
真冬に剪定すると寒害をおこしたりして株が弱ってしまうことがあります。
なので、カナメモチの剪定は、真夏と真冬は避けた方がよいでしょう。 - 病害虫
- カナメモチに発生する病気としては、褐斑病やごま色斑点病が挙げられます
褐斑病は梅雨の時期に褐色の斑点が現れ、次の年に被害を受けた葉が全て落葉します
ごま色斑点病の場合は、新芽が伸びる4月頃から赤い斑点が葉に現れ、時間が経つと灰色の斑点に変わります
こちらも翌年の5月に全て落葉します
害虫としては、ルリカミキリが挙げられます
こちらは5月から6月頃に卵を産み付け、幼虫は約2年の間幹の中を食害します
被害を受けている場合は、樹皮から木くずが出ています - 日当たり
- 土の表面が乾いたのを目安にしっかりと水を与えます
鉢植えも庭植えも同様です
ただし、庭植えで2年以上経過しているものは、雨が少ないときだけしっかり水やりを行います - 水やり
- 土の表面が乾いたのを目安にしっかりと水を与えます
鉢植えも庭植えも同様です
ただし、庭植えで2年以上経過しているものは、雨が少ないときだけしっかり水やりを行います
熊本県の海と山に囲まれた田舎で育ち、幼少期からガーデニング好きの祖母を手伝う。高校時代には、音楽を中心に様々な芸術分野に興味を持つようになり、同時に自然の持つ面白さや奥深さに気づく。現在はライターとして活動し、多趣味を活かして幅広いジャンルで執筆。他にもカメラやデザインについて勉強中。自然に囲まれて暮らすのが1つの目標。