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マンゴーの育て方・特徴

マンゴーの育て方と特徴

5〜8月にかけて旬を迎えるマンゴーは、ウルシ科の樹木で種から簡単に増やすこともできます。冬でも葉が落ちない樹木なので、庭木だけでなく観葉植物でも人気です。マンゴーの実・花・葉の特徴と花言葉、剪定の時期と方法、実が付くまでの育て方など、魅力をたっぷりと紹介!

基本データ

分類
庭木-常緑-果樹
学名
Mangifera indica/Mango
科・属名
ウルシ科・マンゴー属
別名
アンラ(菴羅)、アンマラ(菴摩羅)

マンゴーの花・実・葉の特徴と花言葉

枝の先端から花芽がしゅっと立ち上がり、春に小さな白い花がふさ状に集まって咲いたあと、お米のような形をした香りのある実を付けるマンゴー。熱帯の果物の代表的な存在であり、ほぼ世界中で食べられているトロピカルフルーツです。温暖な場所なら庭木として、寒冷な場所なら観葉植物として育てれば、初心者でも実を収穫できるのでおすすめです。

マンゴーとは

マンゴー

マンゴーは、冬でも葉が一斉に落ちない常緑性の高木。ウルシ科マンゴー属に分類する植物で、インド・ミャンマー・マレー半島が原産とされていましたが、現在ではタイ・ミャンマー・インドシナ周辺が有力な原生地といわれています。

日本には明治時代に沖縄県で栽培されるようになり、その後大正時代には鹿児島県、昭和時代には宮崎県にも導入されました。

世界に100類ほどのマンゴー属があるといわれるマンゴーは、「熱帯果物の王女」とも呼ばれ、インドでは4,000〜6,000年ほど前から栽培が行われていたようです。そのため、仏教では「聖なる木」、ヒンドゥー教では宇宙万物の創造神「プラジャーパティ」の化身ともいわれています。

熱帯の果物であるマンゴーは、質の良い実をたくさん収穫するには温かい温度が必須条件です。生育適温度は25〜30℃で、冬でも15℃以上を保たなければ、収穫量が減るといわれることも。樹木としては1〜2℃程度までなら耐えることができますが、霜に当たってしまうと株が枯れてしまうこともあります。

そのため、日本ではハウス栽培が一般的です。庭木だと冬に葉を落とすようになり、実がなりにくくなることも。確実に実を収穫したいのであれば、鉢植えで育てるのがおすすめです。

マンゴーの花と花言葉

マンゴーの花

九州地方などの暖地では4〜6月ごろにかけて、数百から数千ほどの小さな花が集まって円錐(えんすい)状の稲穂のように展開するマンゴー。淡いピンク色をした花びらが外側に反り、中心には雌しべと雄しべがあります。開花してからしばらく経つと花びらが赤くなり、存在感が増します。

マンゴーの花芽は、夏から秋にかけて生長が止まった枝や、収穫後に枝を切り戻して剪定(せんてい)した枝から発生しやすいです。また、乾燥したときや15〜20℃以下の低温な環境になったときに形成されやすいので、9月を過ぎたころは、日当たりの良い涼しい場所で管理するのがポイントです。

マンゴーの花言葉

マンゴーの花

マンゴーの花言葉は、「甘いささやき」です。

マンゴーの実と葉の特徴

マンゴーの実

マンゴーの実

5〜10月に実が付くマンゴーは、香り高い風味と爽やかな酸味のある甘さが特徴です。果肉は色鮮やかな黄色味がかったオレンジ色で、水分が多く、とろっとした濃厚な風味が持ち味です。

数百種類以上の品種があるマンゴーは、「アーウィン」という品種が日本でよく栽培されています。果肉の繊維が少なく、まろやかな風味が人気の理由で、熟すと皮が赤くなることから「アップルマンゴー」の別名があります。

また、自分で生成した花粉で受粉をして実を付ける「自家受粉性」であるマンゴーは、1本の木だけでも収穫が可能です。

マンゴーの葉

マンゴーの葉

白味がかった茶色の幹からざらざらとした枝が伸び、枝節から傘が開くように互い違いに長い葉が展開するマンゴー。葉は直径8〜40cmほどの大きさになり、葉脈が目立ちます。

1年を通して変わらない姿なので観葉植物として室内に飾れ、革質な光沢のある葉を観賞できます。

マンゴーの生長スピード・樹高・苗木の価格

マンゴー

自生地で育つマンゴーは生長スピードが早く、大きくなると樹高が30〜40mほどになる場合も。しかし、苗木として販売されているものは、大きくなっても2mほどで、定期的な剪定をすれば、狭いスペースでも安心して育てられます。

マンゴーの苗木の価格は大きさや品種によって違いますが、接ぎ木苗の1年生ほどで1,120円程度から販売されていることが多いようです。

マンゴーの品種

マンゴー

世界に600種類以上の品種があるといわれるマンゴーは、赤色系と黄色系の2つに大きく分けられます。しかし、実全体が赤や黄色になるものから一部だけ色づくもの、さらには赤と黄色の混色になるまでもあり、区別しにくいため正確な定義はないとされています。

日本で栽培されている品種

アーウィン

アップルマンゴーの名前でも親しまれているアーウィンは、皮が真っ赤に染まるのが特徴で、400gほどの重さになります。実の付きが良く、収穫の量も多いです。

赤キーツ

赤キーツは台湾から来たマンゴーで、皮が赤くなり大型の実になります。重さは800gほどで、ほかの品種の中でも大きめです。甘さ控えめな風味で食べやすいです。

インド系マンゴーの品種

アルフォンソ

甘さ・香り・見た目の良さから、インドでは最上級のマンゴーと呼ばれるアルフォンソ。一部がピンク色の実は、重さが280gの小型サイズですが、シトラスのような風味が感じられます。

東南アジアと太平洋地域の品種

ナムドクマイ

タイでは質の良いマンゴーとして知られるナムドクマイは、細長い実になるのが特徴。重さが400gほで、黄緑色や黄色の見た目をしています。果肉はとてもやわらかく、なめらかな舌触りで甘い香りがします。

カラバオ

ナムドクマイとよく似たカラバオは、フィリピンで生まれた品種。東南アジアでは一般的によく食べられ、とてもポピュラーなマンゴーです。黄緑色と黄色が混ざった細長い実は、重さが340g程度で、果肉は少し酸味を感じます。

ラテンアメリカ系の品種

マニラ

メキシコのマンゴーであるマニラは、黄色味がかったオレンジ色にピンク色が混じり、形が細長く、340gほどの重さになります。果肉は濃厚な味わいで、風味が強いです。缶詰として販売されていることが多いです。

アタルフォ

メキシコのポピュラーなマンゴーで、「シャンパンマンゴー」とも呼ばれるアタルフォ。黄金色の実は200g程度の重さにまでなり、勾玉(まがたま)のような形になります。果肉は舌触りが良く、酸味のある甘さがアクセントです。

マンゴーの3つの魅力

寒さに弱いマンゴーですが、暖地であれば庭木として育てることができます。

ここでは、マンゴーの3つの魅力を紹介します。

マンゴーの魅力1|早いうちから実の収穫が楽しめる

マンゴー

1本の苗木だけでも数年後には実が収穫できるマンゴー。比較的果樹の中でも実が付くのが早く、接ぎ木や取り木で栽培された苗木で1〜2年ほどで、種から栽培された実生苗でも3〜6年ほどで収穫できるようになります。

庭木だけでなく、鉢植えでも同じように早いうちに収穫できるのでおすすめです。

マンゴーの魅力2|種類を選べば、甘い実もある

マンゴー

マンゴーは品種改良されたものが多く、さまざまな実の味を楽しめます。シトラスのような爽やかな甘さ・控えめな甘さ・酸味のある甘さなどあり、品種を選んで育てれば、個性豊かな風味を堪能できます。

マンゴーの魅力3|落葉が出にくくて、掃除の手間が少ない!

マンゴー

常緑樹であるマンゴーは、冬でも葉が一斉に落ちないので枯葉などのゴミが出にくく、掃除の手間があまりかかりません。一度に大掛かりに掃き掃除をすることがなく、寿命で落ちた葉を取り除く程度で済みます。

マンゴーの育て方と特徴の詳細情報

草丈・樹高
1〜40m
栽培可能地域
東海以南
花色
薄ピンク色
開花期
4〜6月
結実期
5〜10月
耐暑性 / 耐寒性
強い/やや弱い

マンゴーの育て方と特徴の育て方・管理方法

植え付け・植え替え
マンゴー

マンゴーは有機物が入った排水性の良い土でベスト!


夏に大きなみずみずしい実を付けるマンゴーは、栄養分である有機物がたっぷりと入った水はけの良い土で育てるのがおすすめです。栄養があって微生物がいる土なら、実を大きく太らせることができ、収穫の量も増やせます。

地面に植え付ける前に、腐葉土・赤玉土を、さらに水もちが良くなるように黒土を掘り起こした土に混ぜておきましょう。水もちも良ければ、みずみずしい実が付くようになります。

マンゴーの適切な植え付け・植え替え時期|12〜3月


暖かい場所が大好きなマンゴーは、4〜5月の間に植え付けや植え替えをするのが最適です。寒さで株に大きなストレスを受けにくく、植え付け後も生長が活発です。

マンゴーは直径4〜6mほどのスペースを確保してから


暖地でマンゴーを地面に植え付ける場合は、最低でも直径4〜6mほどのスペースを確保してから植え付けます。比較的マンゴーは地面から1本の幹が立ち上がり、太い枝葉が横へ広がって、こんもりとした樹形になりやすいです。横幅を広く取りやすく、枝葉が周辺の建物や庭木にぶつかって、建造物を傷付けることも。

できるだけ、苗木が小さくても植え付ける場所は余裕をもって広めに確保しましょう。

マンゴーの苗木の植え方


地面に真っ直ぐと複数の太い根が出るマンゴーは、細い根が出にくいので、植え付け穴は深く掘るのがポイント。植え穴の深さは根鉢の高さよりも根鉢よりも二回りほど深く掘り、根鉢の周りに片足が入るぐらいの広さをつくりましょう。植える前に一度、ポットから抜いた苗木を穴に入れてみて、穴のサイズを確認しながら掘るといいです。

手を離しても苗木が直立するように、穴の底には数センチほどの高さになる量の土を加えてから植え付けます。このとき、太い根が傷付かないように丁寧に作業を行ってください。

最後に、足で踏み固めながら用土を継ぎ足し、しっかりと地面に定着させます。

マンゴーの鉢植えの植替え


気温が5℃を下回る寒い場所では、鉢植えでマンゴーを育てましょう。基本的に2〜3年に1回のペースで植え替えをして、根が広く回るようにします。

ただし、植え替えをせずに放置していると根詰まりをおこして枯れてしまったり、土の中の栄養バランスが崩れて生長不良を起こしたりすることも。

定期的に植え替えをして、鉢の中で根が回りやすい状態をつくりましょう。水が土に浸透しにくくなったときや、鉢底から根が出ているときにも植え替えをするといいです。
肥料
肥料

夏から秋にかけて大きな実を付けるマンゴーには、定期的に肥料を与えた方が、良質な実を収穫できるので、生長期を中心に、年に3回ほど肥料を与えます。花が咲く前の3月に追肥を、花が咲き終わった6月にお礼肥を、実が大きくなりはじめる7月にもう一度追肥を与えましょう。

肥料は、窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)のバランスの取れた緩効性化成肥料か、リン酸が多く入った花木・果樹用の肥料がおすすめです。
剪定
剪定

枝葉が伸びて株の内側が混みやすいマンゴーは、年に1回のペースで剪定を行いましょう。放置していると日当たりや風通しが悪くなるだけでなく、樹高が高過ぎて収穫が大変になる場合も。背丈が大きくなり過ぎたときや、枝葉が混みあったときにも剪定をすると樹形が整い、花芽や実の付きが多くなります。

マンゴーの適切な剪定時期|4〜7月と9月


夏に生育が旺盛になり、枝葉がたくさん伸びるマンゴーは、生長スピードが早いので、4〜7月ごろまでは定期的に不要な枝を軽く剪定しておき、実を収穫したあとの9月に強く剪定しましょう。実の付きが良くなり、収穫の量も増えます。

マンゴーの剪定の手順


アーウィンなどの赤くなるマンゴーは、陽の光に当たることで色付き、風味の良い実になります。育った実がしっかりと光に当たるように剪定してください。

Step1. 太い枝から伸びる強い徒長枝を剪定する


枝葉を横に広げるよう伸びるマンゴーは、太い枝から真っ直ぐに強く伸びる枝が出ることもあります。花芽が出にくい枝なので、枝分かれした箇所で全て切り落としましょう。節と節の間で切ってしまうと、枝が無数に出ることもあるので、必ず枝分かれした数ミリ上を切ります。

Step2. 枯れ枝と不要な枝を剪定する


基本的にマンゴーの剪定は、枯れ枝や以下の不要な枝を切り落とします。

  • 立ち枝:横に伸びている太い枝に対して、直立したように上に強く伸びる枝

  • 内向枝:株の内側に向かって伸びる枝

  • 交差枝:枝同士が十字に交差する枝

  • 絡み枝:太い枝に絡みつくように伸びる枝

  • 平行枝:近い位置で平行に同じ方向へ伸びる枝

  • 逆さ枝:地面に向かって伸びる枝


剪定したあとにも複数で枝葉が伸びることが多いので、早いうちから枝を2本程度残すように間引くといいです。

Step3. たくさん花芽出ている場合は、数を減らす。


春にマンゴーの花芽が多過ぎると、次の年には実が付かないことも。これは「隔年結果(かくねんけっか)」といわれる現象で、エネルギーの使い過ぎによって起こります。実を毎年収穫するのであれば、花芽を根本から切り落とし、数を減らしましょう。
病害虫
マンゴーの葉と炭そ病

マンゴーは、湿気が多いと菌やウイルスによって「炭そ病」といわれる病気が葉に発生しやすいです。症状が悪化すると収穫に影響が出ることも。病気を見つけときは、すぐに症状が現れている葉を取り除き、しっかりと処分しましょう。

病気


・炭そ病
梅雨ごろに、菌によって新葉に赤色の病斑が現れます。長く続いた雨や、地面に跳ね返った雨の水によって菌が葉に付着しやすいです。株の周りはバークチップなどでマルチングを行い、雨の水が跳ね返らないように工夫しましょう。

・すす病
春から秋にかけて、葉の表面が黒い汚れ(すす)に覆われ、カビが生えます。放置すると株全体に広がり、落葉の原因となります。カイガラムシの排泄物によって発病するので、害虫対策が大切です。

害虫


・ハダニ
1年を通して、葉の表裏に発生しやすいです。風通しがなく、乾燥した枝葉に現れ、放置をするとコロニーを形成し大量に繁殖する場合も。葉の養分を吸汁するため、落葉の原因になります。定期的な剪定をしますが、大量に発生した場合は水をたっぷりと吹きかけて対処するといいです。

・カイガラムシ
1年を通して、枝や幹に発生しやすく、養分を吸汁します。成虫になると甲羅が硬質化し、水や薬が効きにくくなります。できるだけ薬の効く幼虫のうちから、木酢液(もくさくえき)を吹きかけるといいです。成虫は歯ブラシや軍手を使って擦るようにして補殺します。
日当たり
乾燥した場所を好むマンゴーは、基本的には自然に降る雨の水分だけで育てます。ただし、極端に土が乾燥したときは、たっぷりと水を与えましょう。実が付き始めたころに水切れを起こしてしまうと、実が大きくならなかったり、甘くならなかったりすることもあります。
水やり
乾燥した場所を好むマンゴーは、基本的には自然に降る雨の水分だけで育てます。ただし、極端に土が乾燥したときは、たっぷりと水を与えましょう。実が付き始めたころに水切れを起こしてしまうと、実が大きくならなかったり、甘くならなかったりすることもあります。

氏永 勝之
監修者 smileグループCEO
株式会社ガーデンメーカー 代表取締役
愛知農園植木苗木株式会社 専務取締役
一般社団法人ガーデンビジネス協会 代表理事
氏永 勝之

愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。

執筆者 柴﨑光一

建築・インテリア学科卒の造園士×Webコンテンツクリエイター。 東京で建築、カナダのトロントで造園、その後カナダのハリファックスの大自然で植物と戯れながら、植物・庭・ガーデニングのWebコンテンツクリエイターを開始。 現在はヤシの木を主体とするドライガーデンの造園士とWebコンテンツ・ガーデニング商品の監修者としても活動中。日本での建築とカナダでの造園の経験に加え、趣味の植物やコケの収集、植物アート作りを生かして、 みなさんに植物や庭の魅力をお届けします。

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