マルメロ

マルメロ

9〜10月ごろにかけてカリンやナシに似た実がなるマルメロは、1本でも芳香のある実がなり育て方も簡単なので庭木におすすめ。
マルメロの実・花・葉などの特徴、剪定の時期と方法、植え付け方、さらにはカリンとの違いなど、魅力をたっぷりと紹介します!

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瀬尾 一樹
監修者 樹木医 瀬尾 一樹

樹木医です。木も草も大好きで、将来は自分だけの森を持ちたいと思っています。木の美しさや育てる楽しさだけでなく、生きものとしての生態的な面白さも伝えていきたいです!好きな木はケヤキです。

執筆者 柴﨑光一

建築・インテリア学科卒の造園士×Webコンテンツクリエイター。 東京で建築、カナダのトロントで造園、その後カナダのハリファックスの大自然で植物と戯れながら、植物・庭・ガーデニングのWebコンテンツクリエイターを開始。 現在はヤシの木を主体とするドライガーデンの造園士とWebコンテンツ・ガーデニング商品の監修者としても活動中。日本での建築とカナダでの造園の経験に加え、趣味の植物やコケの収集、植物アート作りを生かして、 みなさんに植物や庭の魅力をお届けします。

基本データ

分類
庭木-落葉-果樹
学名
Cydonia oblonga Mill/Quince
科・属名
バラ科・マルメロ属
別名
セイヨウカリン、カマクラカイドウ

マルメロの花・実・葉の特徴と花言葉

春に白と淡いピンク色が相まったカップ状の花が咲いたあと、秋にりんごのような爽やかな甘い香りのするカリンのような実を付けるマルメロ。
ひかえめで上品な花が満開に咲く姿が美しく、大きな実は生のまま食べることができるので季節ごとに色の変化などを楽しめます。
芽吹く力が強く、育て方も簡単なので庭木におすすめです。

マルメロとは

マルメロ

マルメロは、冬に葉が一斉に落ちる落葉性の小高木。
バラ科マルメロ属に分類し、ウズベキスタンやカザフスタンなどの中央アジア諸国に自生する果樹です。
メソポタミアの時代から栽培が行われていたとされ、古くから人の近くに植えられた樹木とされています。

日本には江戸時代にポルトガル船によって持ち込まれ、現在は長野県や新潟県などの寒い地域で栽培が盛んに行われています。

暑さや寒さには強い果樹ですが、高温多湿過ぎる環境では育ちにくく涼しい場所で育てるのが最適です。

1本の木で受粉ができる直結実性の樹木なので人工授粉は必要なく、苗木を1本購入して実を付けさせることも可能。
ただし、実の付きが少ないので、2本以上の苗木を植えて育てることをおすすめします。

マルメロの花と花言葉

マルメロの花

4月下旬〜5月中旬ごろにかけて、マルメロはその年に新しく伸びた枝の先端付近からボケやサクラに似たカップ状の花を咲かせます。
波打った花びらは5枚で展開し、直径4〜5cmほどの大きさになります。
近縁種であるカリンよりも花は大きいですが、色が薄いのが特徴です。

マルメロの花言葉

マルメロの花

マルメロの花言葉は、「魅惑」「魅力」「誘惑」「幸福」です。

マルメロの実と葉の特徴

マルメロの実

マルメロ

花の元部となるガクが肥大して実「偽果(ぎか)」と呼ばれる実を付けるマルメロ。
花が咲いたあとは、淡い青みがかった灰色の産毛が生えた緑色の未熟な実を付けると、9〜10月ごろにかけて表面がゴツゴツとした洋ナシやリンゴ型の黄色い実に熟します。

直径7〜10cmほどのサイズになる実は、りんごに似た爽やかで甘い香りを放ちますが、果肉は硬く強い酸味と独特な苦味がします。
そのため生では食べにくいので、ジャムや果実酒などに加工するのが一般的です。

マルメロは2種類以上の苗木を用意すると良い

マルメロは雄と雌が同じ1本の株に2つ存在する雌雄同種(しゆうどうしゅ)の樹木。
1本でも受粉は可能ですが、実をたくさん収穫したい場合は苗木を2本用意するのがおすすめです。

現在世界では、「チャンピョン」や「スミルナ」など25種類ほどの品種が出回っていますが、2種類以上あることでさらに実が付きやすくなり収穫の量も増えます。
またほかの品種だけでなく、近くにナシの木が植えてあると、受粉がしやすくなります。

マルメロの実の食べ方

マルメロのケーキ

独特な苦味と強い酸味があって生で食べにくいマルメロは、熱を加えることで甘みが増し、口当たりの良い風味となるようです。
主に、ジャム、砂糖・蜂蜜漬け、ピューレ、ゼリー、ケーキなどの加工食品に、さらにミキサーにかければ、ジュース、果実酒、ワインとして飲むこともできます。

また、マルメロは豚肉を使った料理によくあい、ジャムやピューレを使って調理すれば、上品なフルーティーな風味を楽しめます。

マルメロの葉

マルメロ

春になると、直径5〜10cmほどの丸みのある楕円形(だえんけい)の葉を枝節から互い違いに展開するマルメロ。
葉の縁(ふち)にはノコギリ歯がなく、先端が丸みを帯びます。
春に新芽を芽吹いたあとは、秋には赤や黄色に紅葉し冬に落葉します。

マルメロの生長スピード・樹高・苗木の価格

マルメロ

マルメロは生長スピードが早く、大きくなると樹高が7〜8mほどになることもあります。
定期的な剪定(せんてい)をすれば狭いスペースでも安心して育てられるので、庭で楽しむこともできます。
価格は苗の大きさや品種によって違いますが、4〜5号サイズほどで1,820円程度から販売されていることが多いようです。

マルメロとカリンの違い

カリンの花
▲写真はカリンの花と葉

見た目が似ていることから、しばしば混同されることが多い「マルメロ」と「カリン」。
どちらも同じバラ科の植物ですが、カリンはボケ属に分類する木で近縁種となります。
カリンは実がよく似ているものの、実際には下の表にまとめたように、花や実の色や形、付き方、開花時期、葉、幹など見た目の特徴がかなり違います。

マルメロ カリン
形態 小高木(1.5〜8m) 高木(5〜10m)
開花時期 4月下旬〜5月中旬 3月下旬〜4月下旬
色が薄くて、大きい 色が濃くて、小さい
未熟な実には産毛がある 未熟な実にも産毛がない
ノコギリ歯がない縁 ノコギリ歯のある縁
樹皮がはがれない 樹皮がはがれる

マルメロの3つの魅力

マルメロがなぜ庭木におすすめのなのか、魅力を3つのポイントとしてまとめました!

マルメロの魅力1|和風や洋風の庭になじむ花と紅葉

マルメロの紅葉

春にボケやサクラのような上品で美しい花をたくさん咲かせ、秋には赤や黄色に紅葉するマルメロ。
濃い黒や灰色の石・岩と相性が良く、組み合わせると上品で静けさのある和風テイストの庭になじみます。
枕木やレンガ、下草としてカラーリーフの多年草などと組み合わせると、ポップで明るい印象のある洋風テイストの庭にもあいますよ。

マルメロの魅力2|種類を選べば、甘い実もある

マルメロ

マルメロは、カリンよりも品種改良されたものが多く、世界には20種類以上の品種があるようです。
実は、強い酸味・爽やかな酸味・甘さのある酸味と大きく3つに分けられ、品種を選べばさまざまな風味を楽しめる庭木になります。

マルメロの魅力3|暑さや寒さに強くて、管理の手間が少ない!

マルメロ

ほかの庭木と比べると、マルメロは暑さや寒さに強い樹木で、夏の日除け対策や、冬の防寒対策などする必要があまりありません。
そのため、初心者でも枯らしにくく管理がしやすいです。

ただし、枝葉が伸び過ぎて鬱蒼(うっそう)とした姿になると、まれにハダニやカイガラムシの被害にあう場合も。
定期的に剪定をして、株の内側にも光や風が通るようにすっきりとさせましょう。

マルメロの詳細情報

草丈・樹高
1.5〜8m
栽培可能地域
全国(沖縄を除く)
花色
白、薄ピンク色
開花期
4月下旬〜5月中旬
結実期
9〜10月
耐暑性 / 耐寒性
やや強い/強い

マルメロの育て方・管理方法

植え付け・植え替え
マルメロ

マルメロは水はけ・水持ちの良い土で育てる


生命力の強いマルメロは、基本的に土の質を選ばず栄養分の少ない土でもよく育ちます。
ただし、水はけが悪くて粘土質のように固まってしまう土では根腐れが起こりやすく枯れてしまうことも。

地面に植え付ける前に、腐葉土、赤玉土を掘り起こした土に混ぜて、水はけと水もちを良くしておきましょう。
土が乾きやすい場合は、黒土を混ぜるのもおすすめです。

マルメロの適切な植え付け時期|12〜3月


冬に葉を落とし休眠期に入るマルメロは、生長が止まった12〜3月ごろに植え付けや植え替えをしましょう。
株に大きなストレスを与えにくく、植え付け後も生長が良好です。

マルメロは直径3〜5mほどのスペースを確保してから


マルメロは樹高が高くなるにつれ枝も長く伸び、横に膨らむように広がることもあります。
最低でも直径3〜5m程度のスペースを確保してから植え付けましょう。
定期的な剪定をすることでより樹高を小さくでき、横幅も狭められることもできます。

ただし、スペースが小さ過ぎるとマルメロの枝葉が建物や周辺の庭木にぶつかって樹形が乱れたり、周りの建造物を傷つけたりする可能性も。
苗木は小さくても、植え付ける場所はある程度の広さが必要です。

マルメロの苗木の植え方


マルメロの苗木を植え付けるときは、植え穴の深さは根鉢の高さよりも3cmほど低くし根鉢の周りに片足が入るぐらいの広さをつくりましょう。
植える前に一度ポットから抜いた苗木を穴に入れてみて、穴のサイズを確認しながら掘るといいです。

手を離しても苗木が直立するように、穴の底には数センチほどの高さになる量の土を加えてから植え付けます。
足で踏み固めながら用土を継ぎ足し、しっかりと地面に定着させましょう。

マルメロの鉢植えの植替え


鉢植えでマルメロを育てている場合は、2〜3年に1回のペースで植え替えをします。
放置していると根詰まりをおこして枯れてしまったり、土の中の栄養バランスが崩れて生長不良を起こしたりすることも。
定期的に植え替えをして、根が回りやすい状態をつくりましょう。
水が土に浸透しにくくなったときや、鉢底から根が出ているときにも植え替えをするといいです。
肥料
肥料

春に花が咲いて秋に実を付けるマルメロは、2月と10月に肥料を与えましょう。
追肥と寒肥を与えることで花芽や実の付きが良くなり、収穫を十分に楽しめます。

ただし、肥料の与え過ぎには注意が必要です。
生長の流れに勢いがついてしまい、剪定などの管理が大変になったり残った肥料成分によって病害虫の被害にあったりする場合も。
追肥と寒肥は1回ずつ与えて、あとは様子を見てから再度与えるようにしましょう。
また、肥料は窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)のバランスの取れたものか、リン酸の多い花木・庭木用の肥料がおすすめです。
剪定
剪定

樹木の中でも比較的生長スピードが早いマルメロは、年1回のペースで剪定を行いましょう。
放置していると日当たりや風通しが悪くなるだけでなく、背が高すぎて収穫が大変です。
樹高が大きくなり過ぎたときや葉が混みあっているときも、剪定をすると樹形が整い花芽や実の付きが多くなります。

マルメロの適切な剪定時期|12〜2月


落葉樹であるマルメロは、休眠期に入った12〜2月ごろまでに剪定をしましょう。
ただし、花芽は夏ごろに伸びた新しい枝にできるので、6月以降に剪定をしてしまうと翌年に花が咲かなくなる場合も。
また、夏では暑さによって切り口から水分が過剰に抜けて枯れてしまうこともあるので、新芽が伸びる前までに行いましょう。

マルメロの剪定の手順


マルメロ

地面から1本の幹が長く立ち上がり枝葉が横に伸びるマルメロは、高さを抑えるように切り詰め剪定を行って樹高を低くすることがポイントです。
また、長く強く伸びた枝葉には花芽や実が付かないので、短い枝葉は出るように調節することも大事です。

Step1. マルメロの理想の高さ・幅のラインを決める


伸び過ぎた枝葉をなんとなくの感覚で切っていくと、切り詰め過ぎたり透かし過ぎたりしてマルメロの木の樹形が思うように整わないことがあります。
花芽を余計に落としてしまう場合もあるので、まずはマルメロの木の理想の高さと幅のラインを決めてから切りましょう。
失敗するリスクが減り、春・秋に花と実が楽しめる美しい庭木になります。

Step2. 枯れ枝と不要な枝を剪定する


大きくなると枝葉が横に膨らむように伸びるマルメロは、枝葉外側に出る外芽を残しながら内芽を切り落とします。
太い枝から強く伸びる枝葉は花芽が付きにくいので、枝分かれした箇所まで切り詰めましょう。

また、下記の不要な枝は生えている付け根から全て取り除き、株の内側の日当たりと風通しを良くします。
このとき、枯れた枝も取り除きます。

  • 徒長枝:株から強く飛び出すように、太く長く伸びる枝

  • 立ち枝:横に伸びている太い枝に対して、直立したように上に強く伸びる枝

  • 内向枝:株の内側に向かって伸びる枝

  • 交差枝:枝同士が十字に交差する枝

  • 絡み枝:太い枝に絡みつくように伸びる枝

  • 平行枝:近い位置で平行に同じ方向へ伸びる枝

  • 逆さ枝:地面に向かって伸びる枝



Step3. Step1で決めたラインに沿ってマルメロの枝葉を切り詰める


Step1で決めたラインの外側に出ている枝を、枝分かれしているところまで切り戻して短くしましょう。
できるだけ短く伸びた枝を残しながら切ると花芽が付きやすく、マルメロの実をたくさん収穫できます。

ただし、節と節の間で切ってしまうと新しい枝葉が無数に出て、マルメロの樹形が不自然になる場合も。
ある程度剪定ができたら何度か遠くからも見て、木全体のバランス、周りの植物や物との間隔を調整します。
病害虫
マルメロ

マルメロなどの特定のバラ科の木には、春から夏の間に「赤星病」という病原菌が葉や枝に寄生することもあります。
寄生した木は落葉や生長不良を起こし、被害が大きくなると株が枯れてしまうことも。
冬の間はカヅカイブキなどのビャクシン属の木で冬を越し、また次の年にバラ科の植物に寄生します。

なお、マルメロの木のそばには、ビャクシン属の植物を植えないように注意してください。
2月ごろに切開硫硫黄合剤10倍液を散布して、株を消毒しておくのもおすすめです。

病気


・赤星病

特定のバラ科(リンゴ、ナシ、ボケ、カリン、マルメロ、シャリンバイ、ナナカマドなど)との植物、ビャクシン属(ビャクシン、カイヅカイブキ、ネズ)との間を、宿主として季節ごとに交互に寄生する異種寄生菌(いしゅきせいきん)。
4〜6月ごろにかけては、特定のバラ科の植物に寄生し、黄色やオレンジの病斑となって症状が現れます。
3月下旬〜4月はビャクシン属の葉や枝に、ヒダがついた赤茶色の胞子が付き越冬します。

・黒点病(黒星病)

4〜11月ごろに、葉に黒褐色の斑点ができ、次第に黄変し落葉します。
株周りの地面に病原菌が潜んでいて、雨の水や水やりの跳ね返りによって下部の葉から感染し茎にも伝わることがあります。
株周りには、ウッドチップなどマルチングをして、水の跳ね返りを防ぐといいです。

・すす病

春から秋にかけて、葉の表面が黒い汚れ(すす)に覆われ、カビが生えます。
放置すると株全体に広がり、落葉の原因となります。
カイガラムシの排泄物によって発病するので、害虫対策が大切です。

害虫


・ハダニ

1年を通して、葉の表裏に発生しやすいです。
風通しがなく、乾燥した枝葉に現れ、放置をするとコロニーを形成し大量に繁殖する場合も。
葉の養分を吸汁するため、落葉の原因になります。
定期的な剪定をしますが、大量に発生した場合は水をたっぷりと吹きかけて対処するといいです。

・カイガラムシ

1年を通して枝や幹に発生しやすく、養分を吸汁します。
成虫になると甲羅が硬質化し、水や薬が効きにくくなります。
できるだけ薬の効く幼虫のうちから、木酢液(もくさくえき)を吹きかけるといいです。
成虫は歯ブラシや軍手を使って擦るようにして補殺します。

・ナシヒメシンクイムシ(ガの幼虫)

成虫は、4月下旬〜5月上旬、6月下旬、8月上旬、9月上旬と年4回ほどのペースで発生します。
ふ化した幼虫は葉や枝に現れたあと、果実を食害します。
被害にあった果実は、土に深く埋めたり水の中に沈めて窒息死させたりして処理しましょう。
また、花が終わって実ができたころに袋かけをして被害を防ぐといいです。
日当たり
マルメロ

マルメロは基本的には自然に降る雨だけの水分で育ちますが、極端に地面を表面が乾いたときは水やりをするといいです。
また、植え付け直後や苗木が地面にしっかりと根付くまでの1年間は、土が乾燥しないように定期的に水やりをしましょう。
水やり
マルメロ

マルメロは基本的には自然に降る雨だけの水分で育ちますが、極端に地面を表面が乾いたときは水やりをするといいです。
また、植え付け直後や苗木が地面にしっかりと根付くまでの1年間は、土が乾燥しないように定期的に水やりをしましょう。

出典(引用元)

みんなの趣味の園芸ー「マルメロ」
庭木図鑑 植木ペディア ー「マルメロ/まるめろ」
庭木・植木図鑑ー「マルメロ」

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