枝がドライフラワーになりインテリアとして飾られることもあるミツマタは、和風・洋風・和モダンなどさまざま庭にあう育て方も簡単で人気の庭木です!
この記事では花言葉や花・実・葉の特徴から剪定の時期と方法、挿し木の仕方など、ミツマタの魅力をたっぷりと紹介します!
基本データ
- 分類
- 庭木-落葉
- 学名
- Edgeworthia chrysantha
- 科・属名
- ジンチョウゲ科ミツマタ属
- 別名
- ミツマタ、ムスビギ
- 草丈・樹高
- 1〜3m
- 栽培可能地域
- 東北以南
- 花色
- 黄、朱色
- 開花期
- 2月下旬〜4月中旬
- 結実期
- 5〜7月
- 耐暑性 / 耐寒性
- 強い/強い
ミツマタの花・実・葉の特徴と花言葉
まだ肌寒い春に3つに枝分かれした枝の先端に黄色い小さな花が集まってボール状に咲き、清楚な甘い香りを放つミツマタ。
早春に咲く花は冬の終わりを告げるかのように咲き始め、温かみのある庭を演出してくれます。
また枝が必ず3つに分かれるため、剪定(せんてい)があまり必要なく管理がしやすく庭木におすすめです!
ミツマタとは
ミツマタは冬に葉が一斉に落ちる落葉性の低木で、早春に花が咲いたあと新葉が芽吹き夏に実が付いて秋に花芽を出します。
ジンチョウゲ科のミツマタ属に分類する樹木で中国南部やヒマラヤ地方が原産といわれ、日本には西暦1600年ごろに渡来したようです。
ミツマタの樹皮は繊維質が強く、和紙や紙幣の原料として使われ現在でも岡山県・徳島県・島根県の3県で栽培がされています。
夏にできたタネで簡単に増えることができ、畑で栽培されていたものが暖かい地方では野生化しています。
三重県の津市美杉町石名原(つしみすぎいしなはら)にはミツマタの群生地があり、観光名所としても有名です。
比較的温暖な地域に自生していることが多いミツマタですが、寒さにも耐性があり氷点下15℃程度(USDA zone 7a)までなら耐えることができます。
ミツマタの花と花言葉
葉がまだ芽吹く前の2月下旬〜4月中旬ごろにかけて、ミツマタは枝の先端からうつ向きになって蕾(つぼみ)が付いたあと30〜50個ほどの小さな花が集まって咲きます。
しかし花に見えているは「萼(がく)」と呼ばれる葉の一部で、花びらを持ちません。
すっきりとした甘酸っぱい香りを放つ花(萼)は黄色く色づくものがほとんどですが、朱色に咲く「アカバナミツマタ(ベニバナミツマタ)」もあります。
また、花が大きく咲く「タイリンミツマタ」も人気の品種です。
ミツマタの花言葉
ミツマタの花言葉は、「心の美」「豊かな力」「肉親の絆」「永遠の愛」「強靭(きょうじん)」「淡白」「壮健」「「意外な思い」「意外なこと」です。
ミツマタの実と葉の特徴
ミツマタの実
早春に花が咲くミツマタは、5〜7月になると産毛の生えた卵型の実を付けます。
実の中にはタネが1つ入っていて、4月にタネまきをすると芽が簡単に出ます。
ミツマタの葉
花が咲いたあと、先端がしゅっととがった長細い楕円形(だえんけい)の葉を出すミツマタ。
ササのような細い葉は直径20cm程度で薄く、繊細な印象があります。
ミツマタの生長スピード・樹高・苗木の価格
ポットから地面に移植したミツマタは生長スピードが早く、大きくなると樹高が3mほどになることもあります。
定期的な剪定をすれば狭いスペースでも安心して育てられるので、庭で楽しむこともできます。
価格は苗の大きさや品種によって違いますが、3〜5号サイズほどで700円程度から販売されていることが多いようです。
挿し木で増やそう!ミツマタの増やし方
ミツマタを増やしたいときは、枝の一部を切り取る「挿し木」が効率的です!
ミツマタの挿し木づくりに最適な時期
ミツマタの挿し木は、暖かい時期の7月ごろにおこないます。
この時期に枝を切っても花芽を切り落とすことがなく、暑さで株にストレスを与える心配もありません。
ミツマタの挿し木の手順
- Step1. ミツマタの新しい枝を、先端から数えて4〜6節目でカット。先端のやわらかい部分もカットします(5〜15cmほどの長さ)。これを「挿し穂」といいます。
- Step2. ミツマタの挿し穂の上部に付いた葉を1/3程度(2〜4枚)ほど残し、下部の葉や枝は全て摘取り除きます。
- Step3. 小さめのコップや花瓶に入れた水か水はけの良い土が入ったビニールポットなどにミツマタの挿し穂を挿して、涼しい日陰で管理しましょう。2〜3カ月で根が出ます。
ミツマタの4つの魅力
スリムでしゅっとした枝がしなやかに伸びるミツマタは、樹皮を削ぎ落として乾かし漂白したものを「晒し(さらし)ミツマタ」と呼びます。
ドライフラワーとして花材となり、フラワーアレンジメントで使われるのも魅力の1つ!
ミツマタの魅力1|冬の終わりごろから、明るい庭を演出できる
2〜3月ごろは花を咲かせる庭木が少なく、色味の少ない暗い庭になりがちです。
冬の終わりを告げるかのように早春に黄色くてかわいい花をたくさん咲かせるミツマタは、明るい雰囲気の庭を演出することができます!
花が咲いている間は、甘くて上品な香りも楽しめますよ。
ミツマタの魅力2|和風・洋風・和モダンなどさまざまな庭になじむ
ミツマタの美しい花や樹形や葉の色味は、竹垣を使った静けさのある和風の庭の濃い色の石や岩との相性が抜群!
ツツジなど色味のある植物と一緒に植えれば、和モダンの庭にもよくなじみます。
またミツマタは黄色い花の咲く品種だけでなく、朱色の花や大きな花が咲く品種もあります。
多種類の淡い色の植物がふんだんに植えられた明るい洋風の庭など、さまざまなテイストの庭の庭木としてなじみやすいです。
ミツマタの魅力3|ほかの植物と寄せ植えしやすい庭木
低木のミツマタは、高木のシンボルツリーや庭木の下に寄せ植えするととても華やかな風景を演出することができます。
ミツマタは冬に葉を落としてしまうので、1年中葉が付いた色味のある常緑樹や冬に花や実をつける庭木や草花を近くに植えておくのもおすすめです。
ミツマタとの寄せ植えにおすすめの庭木や草花
- ミツマタと相性の良い庭木:アオキ、ツバキ、サザンカ、ロウバイなど
- ミツマタと相性の良い草花:ツワブキ、フイリヤブラン、ヒューケラなど
ミツマタの魅力4|病気や害虫の被害にあいにくい
ミツマタは基本的に病気や害虫に強い樹木です。
ただし、株が大きくなった成木なるとまれにカミキリムシの幼虫(テッポウムシ)が幹の中を食害することも。
定期的な剪定はもちろんですが、消毒をして予防したりピンセットなど使って駆除したりしましょう。
ミツマタの育て方・管理方法
植え付け・植え替え
ミツマタは有機質がたくさん入った水はけの良い土がベスト!
春に香りのあるたくさんの花を咲かせるミツマタは、有機質がたっぷりと入った水はけの良い土がベスト!
山の斜面などに自生していることもあり、水がたまらないようにふかふかの土にします。
ただし、水はけが悪くて粘土質のように固まってしまう土では根腐れが起こりやすく枯れてしまうことも。
地面に植え付ける前に、腐葉土、赤玉土を、掘り起こした土に混ぜて、排水性・保水性を良くしておきましょう。
土が乾きやすい場合は黒土を混ぜるのもおすすめです。
ミツマタの適切な植え付け時期
比較的温暖な地域に自生するミツマタは、暖かくなった3〜4月ごろに植え付けや植え替えをしましょう。
暖かい時期であれば、植え付け後も根の張りが良く、株が急激に弱ることも少ないです。
直径2〜4mほどのスペースを確保してから
ミツマタは、生長すると地面からたくさんの幹を伸ばしドーム状に大きくなります。
最低でも直径2〜4m程度のスペースを確保して植え付けましょう。
植え付けるスペースが小さ過ぎると、ミツマタの枝葉が建物や周辺の庭木にぶつかって樹形が乱れたり周りの建造物を傷つけたりする可能性も。
苗木が小さくても、植え付ける場所はある程度の広さが必要です。
また、移植を嫌う性質があるので植え付け場所はしっかりと決めておくことが大事です。
ミツマタの苗木の植え方
太い根を地面にまっすぐと伸ばすミツマタ。
苗木を植え付けるときは、あらかじめ深く耕しておくと植え付け後でも根の張りが良くなります。
植え穴の深さは根鉢の高さよりも3cmほど低くし、根鉢の周りに片足が入るぐらいの広さをつくりましょう。
植える前に一度ポットから抜いた苗木を穴に入れてみて、深さ・横幅を確認し微調整を行うといいです。
手を離しても苗木が直立するように、穴の底に土を加えてから植え付けます。
足で踏み固めながら用土を継ぎ足し、しっかりと地面に定着させましょう。
ミツマタの鉢植えの植替え
鉢植えでミツマタを育てている場合は、2〜3年に1回のペースで植え替えをします。
生長スピードが早いので、放置していると根詰まりを起こして枯れてしまうことも。
定期的に植え替えをして、根が回りやすい状態を作りましょう。
水が土に浸透しにくくなったときや、鉢底から根が出ているときにも植え替えをするといいです。
肥料
冬に葉を落として早春に花をたくさん咲かせるミツマタには、12〜2月上旬に寒肥として肥料を与えましょう。
生長の流れが鈍くなりにくく、春に新芽を芽吹くようになります。
ただし、肥料の与え過ぎは生長の流れを増長させすぎてしまいます。
大きくなり過ぎたり、剪定などの管理が大変になったりする場合もあるので、寒肥は1回ずつ与えてあとは様子を見てから再度与えるようにしましょう。
肥料は窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)のバランスの取れたものか、リン酸の多い花木・庭木用の有機肥料がおすすめです。
剪定
ミツマタは枝が3つに分かれる性質があるので、枝を切っても新しい芽が出にくく枝葉が混み合うことがあまりありません。
地面から幹が複数に伸びる株立ち樹形になるものが多いので、年に1回のペースか背丈が高くなり過ぎたとき、枝葉やひこばえ(地面から生える幹)が混み合ったりしたときに剪定します。
ミツマタの適切な剪定時期|4月中旬〜5月上旬
ミツマタの剪定は、花が咲き終わる4月中旬〜5月上旬に行うのがベスト。
夏を過ぎてからだと、翌年の花芽を切り落としてしまい花が咲かなくなります。
ミツマタの剪定の手順
春に花が咲いたあと、先端から3本の枝を伸ばすミツマタは枝を切ってもあまり枝分かれをしにくく、花芽を増やすことが難しいです。
枝は中途半端な場所で切らず、枝分かれした箇所で切るようにしましょう。
Step1. 株が大きくなり過ぎた場合は、外側の幹を間引く
株横へ広がって大きくなり過ぎた場合は、地面から伸びる外側の幹やひこばえを根元から切り落として枝数を減らしましょう。
株を小さく仕立てることができ、コンパクトな樹形になります。
Step2. 長く伸びた枝葉は、枝先を切り詰める
長く伸び過ぎたミツマタの枝葉は、先端部を枝分かれした箇所まで切り詰めて短くするといいです。
あまり深く切り詰め過ぎてしまうと、ミツマタの美しい枝振りが損なわれるので注意してくださいね!
Step3. 混み合った箇所を切り落とす
枝葉が混み合うと株の内側の日当たりや風通しが悪くなるので、株上部で枝葉が重なりあう箇所を中心に枝数を減らします。
ほかの庭木と比べると病害虫の被害が比較的少ないミツマタですが、成木になるとまれにカミキリムシの幼虫が幹を食害することもあります。
大きくなったミツマタは、定期的に幹や枝を観察して穴が開いていないか確認しましょう。
病害虫
ほかの庭木と比べると病害虫の被害が比較的少ないミツマタですが、成木になるとまれにカミキリムシの幼虫が幹を食害することもあります。
大きくなったミツマタは、定期的に幹や枝を観察して穴が開いていないか確認しましょう。
病気
特になし
害虫
・カミキリムシ
比較的1年を通して枝や幹の中に発生し、中身を食害します。
成虫は5〜9月ごろに発生することが多いです。
幹を食害され続けると生長する勢いが著しく鈍くなり、やがて枯れてしまうことも。
木も強風によって折れやすくなるので、日頃から穴が空いて木くずが出ていないかチェックしましょう。
穴を見つけた場合は、針金やピンセットを刺して補殺するか殺虫剤を使って駆除します。
日当たり
ミツマタは、基本的には自然に降る雨だけの水分で育ちますが、乾燥し過ぎると生長不良を起こすこともあります。
夏場は地面を乾かさないように、水をたっぷりと与えましょう。
また、植え付け直後や苗木が地面にしっかりと根付くまでの1年間は、土が乾燥しないように定期的に水やりをするといいです。
水やり
ミツマタは、基本的には自然に降る雨だけの水分で育ちますが、乾燥し過ぎると生長不良を起こすこともあります。
夏場は地面を乾かさないように、水をたっぷりと与えましょう。
また、植え付け直後や苗木が地面にしっかりと根付くまでの1年間は、土が乾燥しないように定期的に水やりをするといいです。
リゾートガーデンスタイル専属の庭師×Webコンテンツクリエイター。 カナダのトロントで造園士を、その後日本で花屋のバイヤー・鉢物の管理・アドバイザーを経験した後、ヤシの木を主体とするリゾート・ドライガーデンの造園士に。 現在は、リゾートガーデンスタイルの社会福祉施設・DOG CAFEの専属庭師に加え、畑の開拓・管理、SNSも兼務。 植物を専門とするWebコンテンツクリエイター、ガーデニング商品の監修者としても活躍中。