美しい花と甘くてジューシな果実が楽しめる人気の果樹。苗木を植え付けてから2〜3年後には果実を収穫でき、多くの品種は1本でも結実します。栽培するには病害虫対策が必要で、雨や加湿にも気をつけなければならず、育て方はやや難しいです。
基本データ
- 分類
- 果樹
- 学名
- Prunus persica
- 科・属名
- バラ科・モモ属
- 草丈・樹高
- 2m以上
- 栽培可能地域
- 東北以南
- 花色
- ピンク、白
- 開花期
- 3月〜4月
- 結実期
- 4月
- 耐暑性 / 耐寒性
- 強い/強い
甘くてジューシな果実がなる人気の果樹
モモ(桃)とは
モモは中国原産の落葉小高木です。日本では主に山梨県、福島県、長野県が産地として知られていますが、中でも山梨県は日本で1番のモモの生産量を誇ります。
モモは病害虫や雨に気を付ける必要がありますが、自家結実性で1本でも結実し、ジューシーで甘みのある美味しい果実を味わえるおすすめの家庭果樹です。ただし、白桃系品種は花粉をほとんど持たないので、人工授粉が必要となります。
果実の旬は6月〜8月ごろ。収穫期ごとに早生・中生・晩生の3種類に分けられます。晩生品種は収穫までの期間が長く、管理が難しいことから、家庭で育てるには早生品種もしくは中生品種の方が栽培しやすいでしょう。
モモの特徴
モモは苗木を植え付けてから、約2〜3年後には実がなる生育旺盛な樹木です。花の開花は3月〜4月で、たくさんの花が枝につきます。果実には産毛があるのが特徴。一方で産毛のないものはネクタリンと区別されます。
寒さにはマイナス15度まで耐えられ、耐暑性も強いです。
栽培適地は年平均気温9度以上が適しており、4月〜10月までの果実が成熟する期間は平均15度以上あると、実がよく育ちます。
増やし方は、種まきまたは芽接ぎが一般的です。
種は硬い殻から取り出し、薄皮を剥いて種まきをします。芽接ぎは9月ごろに行うといいでしょう。
モモの品種一覧
次は、モモのさまざまな品種を紹介していきます。
ちよひめ…早生品種
花の満開からわずか75日ほどで実が熟します。桃をいち早く食べることができ、スッキリとした甘さが特徴です。
山根白桃(やまねはくとう)…早生品種
白桃の代表的な品種で、白桃系の中では栽培しやすいのが特徴です。収穫期は8月で、受粉樹が必要です。
白鵬(はくほう)…中生品種
やや大きい果実がなり、柔らかでほどジューシーな果肉が味わえます。モモを代表する品種で、7月〜8月が食べごろです。
あかつき…中生品種
モモの主要品種の1つです。果肉は硬く食べ応えがあり、甘みの強い味わいが特徴。栽培しやすいので家庭果樹におすすめです。
黄金桃(おうごんとう)…中生品種
やや大きめの果実がなる人気の黄桃です。食感が楽しめ、濃厚な甘さの果肉を味わえます。コンパクトに仕立てることも可能です。
白桃(はくとう)…晩生品種
白い果皮が特徴で、ジューシーで甘みが強い大果がなります。結実させるには受粉樹が必要です。
花言葉は「私はあなたのとりこ」「気立の良さ」「チャーミング」
モモの花言葉には、「私はあなたのとりこ」「気立の良さ」「チャーミング」などがあります。
たくさんの実をつけるモモの姿から、子供を産む女性を連想させたため、このような花言葉がつけられたそうです。
モモの楽しみ方や必要な作業、収穫・保存方法を紹介
花と果実が楽しめる樹木
果実の美味しさはもちろんのこと、モモは花も美しいことから、花木としても楽しめる樹木です。
3月〜4月には花が見頃を迎え、ピンク色に染まった見事な姿を鑑賞できます。春の季節にはぜひモモを眺めて、桃源郷の風景を楽しんでみてはいかがでしょうか。
モモ栽培で必要な作業
白桃系の品種は花粉が少ないので、受粉樹をから人工授粉をする必要があります。3月〜4月に花が開花したら、筆などを使って花粉をこすりつけて、実付きをよくしましょう。
5月には摘果をして、実の数を抑制します。葉25〜30枚に付き1果、もしくは15cm間隔を目安に実の数を減らしましょう。このとき、下向きの果実を残すことがポイントです。
摘果作業を終えたら袋かけをして、果実を病害虫などから守ります。
モモの収穫方法
6月〜9月はモモの収穫期です。袋を破き、実が赤く色づき始めているのを確認したら、完全に袋を外します。
約1週間日光に当てると果実が熟してくるので、全体が色づき香りも出てきたときが収穫のタイミングです。
とれたての美味しいモモを味わってみてくださいね。
モモは常温保存がベスト
モモは冷気に弱いので、基本的には常温で保存します。常温保存する際には、新聞紙やキッチンペーパーなどで包んでからポリ袋に入れると、2〜3日は保存が可能です。
また、果肉の食感は変わってしまいますが、保存袋に入れて冷凍保存をすると約1ヶ月は保存ができます。
モモ(桃)の育て方・管理方法
植え付け・植え替え
モモの植え付け・植え替えは12月〜3月の休眠期に行います。
水はけがよく保水性のある土を好むので、地植えする場合は植え穴を大きく掘り、腐葉土や堆肥をよくすき込んでから苗木を植え付けてください。鉢植えでは、果樹用の培養土を使用するか、赤玉土7〜6対、腐葉土3〜4の割合で基本の配合土を作って活用します。また、苗木を植え付ける際には、接ぎ木した部分が地上に出るようにし、深植えにならないように注意しましょう。
植え替えは、地植え栽培では必要ありません。鉢植えの場合は、根詰まりを防ぐために、2年に1回は植え替えをしましょう。
肥料
肥料は2月に寒肥、10月にお礼肥を与えます。寒肥には有機質肥料を与え、お礼肥には速効性肥料を施すといいでしょう。
剪定
剪定時期は12月〜2月と、7月〜8月です。
冬季剪定では徒長枝を間引き、枯れ枝や内向枝などの不要な枝を付け根から切り取って、全体に日光が行き渡るような剪定を心がけてください。長い枝は先端を1/3から半分程度に切り戻すと、枝数が増えて実がなる短い枝が増やせます。
夏季剪定は、徒長枝やひこばえ、不要枝などを間引きつつ、残した徒長枝の先端を切り戻して成長を抑制しましょう。
病害虫
モモは病害虫の被害にあいやすいため、被害を最小限に抑えるためには早期の予防や対策が必要となります。
被害にあいやすい病気は、黒斑病、縮葉病、灰星病など。害虫はモモハモグリガやモモチョッキリ、シンクイムシ、アブラムシ、カイガラムシなどがあげられます。
落葉期には薬剤を散布して病気や害虫の防除に努め、5月には袋かけを行うと、病害虫の被害を抑えられるでしょう。
日当たり
モモは日当たりのいい場所を好みます。日当たりが悪いと収穫量が減ってしまうので、庭植え、鉢植え共に、1日を通して日光のよく当たる場所で育てましょう。
水やり
モモは加湿を嫌うので、水の与えすぎには注意が必要です。
庭植えは降雨のみで問題なく育ちますが、夏に雨が降らない日が続くようであれば水やりを行います。鉢植えでは、土の表面が乾いたタイミングを見計らい、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと水を与えましょう。
また、6月〜8月の収穫期を迎える頃に水を控えめにすると、果実の甘みがアップします。
出典(引用元)
『図解 よくわかるモモ栽培 品種・管理作業・整枝剪定』
・野田勝二 監修
『はじめての果樹 仕立て方と実をつけるコツ』
愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。