広々とした素敵なお庭には憧れますが、土地のせまい日本では広いお庭が楽しめるおうちは希少です。

しかし「お庭」とはいいがたい広さでも敷地にわずかな空きスペースがあれば、そこを活用してお気に入りの空間を作り出せます。

屋外の空間には室内では味わえない空気があります。

たとえ広々としたスペースではなくても、屋外にいながらまるで個室のような空間を味わえるのが狭いお庭の最大の魅力です。

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目次

狭いお庭でも大丈夫!まずは「やりたいこと」=「目的」を考える

お庭が狭くても、その限られたスペースでできることはたくさんあります。

お庭で何をしたいかという「目的」を考えることで、空間によりまとまりを持たせることができますよ。

ここではその一例をお伝えします。

アウトドアを楽しむ

屋外でバーベキューなどの食事をとることは、お庭でできるアクティビティの王道ですね。

お庭の広さや近隣の事情で火を使うことが難しいようなら、あらかじめおうちの中で料理を作ったものをお庭で食べるだけでも立派なアウトドアになりますよ。

くつろぎの空間を楽しむ

外の空気が気持ちいい季節など、ガーデンファニチャーがあればゆったりくつろげますね。

家族全員で食事をとれるほどのスペースがなくても、椅子とサイドテーブルが置けるぐらいのわずかな広さがあればじゅうぶん「おひとりさま」のくつろぎ空間になります。

ガーデニングを楽しむ

植物に触れることも癒しにつながります。

植物にはリラックス効果があり、ストレス軽減効果もあるからです。

狭いお庭に植物を配置する場合、可能であれば植物の配置を「おうちの中から見た時にどう見えるか」を考えましょう。

「リビングのソファに座った時に見える角度」、「キッチンに立った時に見える角度」などに合わせてお気に入りの植物を配置すると、おうちの中にいながら癒しの気分を味わえますよ。

ミニ農園を楽しむ

野菜や果物を育てると、植物を育てる楽しみと収穫する楽しみが味わえて一石二鳥です。

野菜や果物を育てるのは、地面が土でなくてもプランターでもじゅうぶんです。

プランターも以前は実用性重視のものがほとんどでしたが、近年はおしゃれなものや、しゃがまなくても立ったままお世話ができる脚のついたものも登場しています。

おしゃれに、簡単に、楽しく野菜や果物が育てられますよ。

快適な空間にするために!お庭の「見え方」を考える

狭いお庭ではさまざまな場所からの見え方を工夫する必要があります。

スペースが客観的にどう見えるかを考えると、より使いやすい空間になりますよ。

外部からのお庭の見え方を考える

狭いお庭の場合、隣のおうちと距離が遠いというケースはあまりないと思います。

近隣のおうちからの視線が気になる場合は壁面や屋根面を覆うことでプライバシーを保つことができます。

壁面はフェンスやテラス屋根のパネルで、屋根面はテラス屋根やオーニングでカバーしましょう。

おうちの中からのお庭の見え方を考える

狭いお庭はおうちとの距離が近いです。

おうちの中が散らかっていると気になるように、お庭に物が雑多においてあると見ていて落ち着きません。

厳選したお気に入りのものだけを置くようにするなどの工夫が大切です。

おうちの中からお気に入りのシンボルツリーが見える、お気に入りのガーデンファニチャーが見える、そんなお庭だとおうちの中にいてもお庭が楽しいものに映りますね。

建物との調和を考える

ご新築の時でもおうちの中の設計などが優先されがちで、何かと後回しにされてしまいがちなお庭ですが、お庭もおうちの一部です。

どんなに素敵な建物でもエクステリアが考えられていなければ台無しになってしまいます。

お庭やエクステリアを考える時はおうちとの調和を考えましょう。

建物と相性のいいテイスト、デザインを選ぶことも大切です。

おうちを広く見せることも!?狭いお庭とおうちとの「つながり」を考える

狭いお庭では特に、おうちとお庭とのつながりを考えることができるからです。

ここではおうちとお庭とのつながりについてお伝えします。

ウッドデッキ

ウッドデッキは室内とのつながりをもたせるのに便利で人気のある部材です。

ウッドデッキの高さを室内の床の高さと揃えると段差なくスムーズに出入りできます。

またウッドデッキのカラーを室内の床材の色と近づけると床が外まで続いているように見え、室内の空間が広く感じられます。

カラーが明るめの色だと太陽の光が反射して室内が明るくなるというメリットもありますよ。

注意したいのはウッドデッキの上でバーベキューコンロを使うことはできないということです。

天然木でも人工木でも火が飛ぶと焦げたり溶けたりします。

バーベキューをする場合はウッドデッキの他にコンロを設置するスペースが必要です。

タイルデッキ

タイルデッキは耐久性に優れていて、屋外でバーベキューをしてタイルに油が飛ぶようなことがあってもメンテナンスがしやすい、劣化しにくいというメリットがあります。

その反面、タイルデッキはウッドデッキとは違い外壁への接触ができないため、室内の床面とは段差ができてしまいます。

また明るめのタイルに人気がありますが、明るいタイルは強すぎる照り返しの原因にもなるので注意が必要です。

土間コンクリート

おうちの周りのスペースは何もしなければ土のままですが、水はけや防虫のことを考えればコンクリートの打設がおすすめです。

ウッドデッキやタイルデッキが設置できない広さ、設置してもさほど使用する機会がないというケースでも、地面がコンクリートなら雑草が生えることもありません。

コンクリートの上にファニチャーを置くだけでも快適な屋外プライベート空間が作れますよ。

お庭に緑は欠かせない!狭いお庭の「植栽」を考える

植物のお世話には手間暇がかかりますが、植物にはリラックス効果や視覚の疲労を軽減するという働きがあります。

ここでは気持ちを豊かにしてくれる植物についてお伝えします。

シンボルツリー

「シンボルツリー」というと、大きくて立派な木を想像しがちで、狭いお庭には植えられないと考える方もいらっしゃるでしょう。

シンボルツリーといっても何も地植えにする必要はなく鉢植えでもじゅうぶんですし、雨ざらしにしておくだけでほぼお世話のかからないものもあります。

メンテナンスの手間が少ない樹木
・シマトネリコ……生長が早く、ツヤのある小さい葉が特徴です。

カフェやお店の前などでもよく見かけます。

寒さにはやや弱めで、日当たりのいい場所を好みます。

オリーブ……銀色がかった葉が美しく、洋風のお庭によく似合います。

日当たりのいい場所なら鉢植えでもじゅうぶん育ちます。

・フェイジョア……丸い葉っぱがなんとも可愛らしく、夏には花も咲きます。

生長が遅いため、剪定は2~3年に一度で大丈夫です。

・ソヨゴ……光沢のあるグリーンの葉と赤い果実が美しいのが特徴です。

葉の密度が高いので、外部からの視線を遮る目隠しとしても役に立ちます。

ハンギンググリーン

お庭の壁面を活用して植物を飾る方法です。

フェンスや軒先など元から外構に備わっているものに吊るしてもいいですし、ラティスなどハンギンググリーンをより美しく飾れるアイテムもあります。

ハンギンググリーンには下に垂れるように生長するものが向いています。

シンボルツリーのような「樹木」や地植えのものに比べると、育てるのには手間暇がかかります。

屋外のハンギングに向いている植物
・アイビー……つる性の植物で、白い斑が入っているものや、濃いもの薄いもの、品種が豊富です。

ハンギンググリーンの中では世話のかからない、丈夫な品種です。

・オリヅルラン……細長い葉が美しく、ランナーと呼ばれる子株が増えることが楽しい品種です。

関東以南の比較的暖かい地域であれば屋外で越冬させることも可能です。

・ゼラニウム……鮮やかな花を咲かせるゼラニウムは、花壇ではもちろんハンギングとして楽しむこともできます。

寒さにも強く、霜に当たらなければ屋外でも越冬できます。

・グリーンネックレス……多肉植物のグリーンネックレスもハンギングにふさわしい植物です。

多肉植物のため直射日光の当たる場所には向いていません。

多肉植物の中では寒さに強い品種ですが、真冬は室内で管理する方が安心です。

プランターで育てる植物

シンボルツリーから野菜まで、プランターではあらゆる植物が栽培できます。

近年のプランターはデザイン性の高いものも多いので、エクステリアの一部として活躍してくれるでしょう。

いろいろなものが植えられるので、季節によって植物を植え替えるという楽しみ方もできます。

屋外のプランター栽培に向いている植物
・ゴールドクレスト……黄金色の葉が美しく、洋風の庭によく似合います。

地植えでは樹高が5mほどに達してしまうこともありますが、プランターならそこまで大きくなる心配もありません。

寄せ植えなどにも重宝され、プランターで他の植物と合わせて楽しむこともできますよ。

・オタフクナンテン……冬が近づくにつれて徐々に葉が色づくのが特徴です。

樹高は伸びず膨らむように生長するので大きくなりすぎる心配もありません。

剪定もほぼいらず、寄せ植えにも向いているため、お庭の彩りにピッタリです。

・クリスマスローズ……12月~4月ごろに花をつける常緑多年草です。

品種が豊富なのでさまざまな色合いを楽しめます。

開花時期の違う複数の品種を組み合わせて植えると、長期間にわたってお庭に彩りを与えてくれます。

まとめ

今回は狭いお庭でも楽しめる空間にする方法についてお伝えしました。

狭いお庭には活用の仕方や見せ方に工夫が必要ですが、「やりたいこと=目的」さえ決まれば特化させやすいスペースとも言えます。

ご家族みなさんの意見を取り入れながら、ご自宅にふさわしい空間を作り出しましょう。

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高杉 有希子
監修者 エクステリアプランナー 高杉 有希子

静岡県御殿場市の土建屋に生まれ、大型重機が大好きな子供時代を送る。
建築に憧れ、三重短大で住環境を学ぶ。新卒でハウスメーカーFC工務店の「インテリアプランナー」に応募するも、社長の勘違いで募集したかったのはなんと「エクステリアプランナー」!!
ハウスメーカーで個人住宅のエクステリアを担当。その後、ゼネコン住宅事業部のインテリアプランナー、植木屋の外構プランナーを経て、現在は(株)ガーデンメーカーで営業設計を務める。

執筆者 らいち

大阪生まれ大阪育ち。古めの建築物が大好きです。暇さえあれば、団地建て替えの現場を見物に行って萌えています。