現代の戸建て住宅は屋根の軒やケラバの出幅が短いことが多く、おうちの周りに雨がかからない部分がないということも珍しくありません。

そんな時、おうちの周りにテラス屋根があれば便利ですよ。

「テラス」とはラテン語で「高台、盛土」のことを指します。

日本では庭やおうちまわりの地面より一段高くなっている場所のことを指すことが多いですが、テラス屋根はテラスに限らずさまざまな場所に設置できることが特徴です。

また近年のテラス屋根は雨をしのぐだけでなく、機能性やデザイン性にすぐれた製品が多く登場しています。

今回は暮らしをより快適にするテラス屋根の必要性や、選び方についてお伝えします。

新築の際にテラス屋根を設置しなかった方も、「この場所に屋根があると便利だな……」という思いに至った方も、手軽に後付けできるのがテラス屋根のいいところです。

ぜひ参考にしてください。

目次

テラス屋根の機能性いろいろ

テラス屋根にはどのような機能があるのでしょうか。

ここでご紹介します。

突然の雨でもぬれずに安心!

「雨をしのげる」ということが、テラス屋根の機能で一番に思い浮かぶことではないでしょうか。

洗濯物を干したまま外出して突然雨が降るようなことがあっても、テラス屋根があれば洗濯物を濡らしてしまうことがありません。

お天気を気にすることなく気軽に外出できます。

ほかにもテラス屋根は庭だけでなく、ベランダ、勝手口、駐輪スペースなど、さまざまな場所に設置可能です。

大切なものを雨や日差しから守るために、テラス屋根はいい仕事をしてくれますよ。

アウトドア空間をより快適に!

テラス屋根をウッドデッキやタイルデッキと組み合わせることで、お庭にプライベートアウトドア空間を作ることができます。

ご家族でバーベキューを楽しんだり、お子様の遊び場にしたり、アウトドア空間の使い方はいろいろです。

テラス屋根に照明を取り付ければ、夜でもアウトドアを楽しめます。

お庭の照明はムードたっぷりで気分も上がりますね。

日差しを遮り、室内をより心地よく

テラス屋根を設置すれば外からの日差しを遮るため、室内の温度の上昇を抑えることができます。

近年は気温の上昇も激しく、室内で熱中症をおこすリスクも増えています。

熱中症のリスクを下げるには、テラス屋根で物理的に日差しを遮ることも効果的です。

熱中症のリスクを下げるほかにも冷暖房費の節約にもつながります。

日差しを遮るには、透過しない素材のテラス屋根はもちろん、透明性のある素材でも熱線遮断ポリカーボネートなどは冷房負荷率を下げてくれます。

また、日差しを遮るのでフローリングなど室内の部材の色褪せも防ぐことができますよ。

プライバシーをしっかり守る!

テラス屋根にはオプションですりガラス調の目隠しパネルがあります。

テラス屋根の側面に設置すれば、採光は保ちながら視線を遮ることができます。

外部からの視線が気になる場合にはおすすめです。

ほかにも敷地の近くにマンションなど高い建物がある場合、敷地の正面からだけでなく、上部からの視線からも気になりますよね。

視線が気になる部分に透過しない素材のテラス屋根を設置すれば、上部からの視線は完全にシャットアウトできますよ。

外からの視線は住み始めてから気づくことが多いため、後付けできるテラス屋根はそれらのお悩みにぴったりのアイテムと言えるでしょう。

テラス屋根のタイプを一挙公開!あなたのおうちにはどれがふさわしい?

テラス屋根にはどのような種類があるのでしょうか?ここでご紹介します。

ご自宅にはどのようなタイプがふさわしいか、参考にしてください。

柱ありタイプ

テラス屋根を二本の柱と外壁で固定して支えるタイプです。

テラス屋根の中では最もポピュラーなタイプで、製品の数も多くあります。

柱なしタイプ

テラス屋根を外壁に固定するタイプです。

ルーフタイプとも呼ばれています。

柱がないため、バルコニーなど人の動線がある場所でも柱が邪魔になることがありません。

出幅は約1.7mまで対応できます。

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独立タイプ

テラス屋根を二本の柱だけで支えるタイプです。

一目見ただけでは柱ありタイプと見分けがつきませんが、屋根が外壁に固定されていないところが特徴です。

外壁にビス穴など傷を付けることなく設置できます。

外壁と屋根のすき間はゴムでできた専用部材を使ってふさぐため、外壁に固定していなくてもすき間から雨が漏れるようなことはありません。

ベランダ(バルコニー)タイプ

2階以上のベランダやバルコニーに設置できるタイプです。

柱のあるタイプもありますが、柱のないデザインは狭いバルコニーでも圧迫感なく設置できます。

上層階は1階に比べると風の影響を受けやすいため、バルコニー用のテラス屋根を選ぶ際には耐風圧など強度も考慮しましょう。

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テラス屋根の屋根材いろいろ。どれを選ぶ?

テラス屋根の屋根材にはどのようなものがあるのでしょうか。

大きく分けて「透き通る」「透き通らない」の二つに分かれます。

ここではそれぞれの特徴をお伝えします。

ポリカーボネート

テラス屋根の屋根材ではもっともポピュラーな素材です。

ポリカーボネートはプラスチックの一種ですが、ガラスの200倍以上の強度があります。

透過性があるため周辺は明るいまま、紫外線はカットしてくれるという優れものです。

アルミニウム

近年エクステリアの部材で多く登場している素材です。

デザイン性が高く、アレンジも多様です。

軒天(屋根の裏側)に照明を取り付けるなど、ラグジュアリーな演出も可能です。

日差しを完全に遮るため、夏場には涼しげな日陰を作れます。

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FRP

繊維強化プラスチックのことを指します。

見た目はポリカーボネートとよく似ています。

軽くて強度が高く、汚れや傷がつきにくいという特徴を持っています。

参考メーカーサイトはこちら

テラス屋根の選び方で大切なポイント3つをご紹介!

テラス屋根を選ぶ時に知っておきたいポイントをまとめました。

お住まいの地域の気候条件を知っておく

一般的なテラス屋根は耐積雪量が20cmまで対応していますが、日本列島の約50%は最深積雪量が20cm以上です。

またテラス屋根は構造上、風に弱く、強風で倒壊したり屋根材が飛ばされたりする可能性もあります。

雪や風からテラス屋根を守るためにも、お住まいの地域に合った耐風圧や耐積雪量の製品を選びましょう。

テラス屋根の設置方法や自宅の保証について理解しておく

「柱ありタイプ」や「柱なしタイプ」は外壁に穴を開ける必要があります。

ハウスメーカーによっては「外壁にビスなどの穴を開けると新築時の瑕疵保証を終了する」と説明しているところもあるそうです。

テラス屋根を設置した後で困ることのないように、あらかじめ確認しておきましょう。

もし保証が終了するということなら、外壁を傷めない「独立タイプ」がおすすめです。

隣家へ配慮する

隣家との境にテラス屋根を設置する場合、雨が隣の敷地に流れ込んでしまわないかどうか考慮しましょう。

対策としては「敷地境界線ギリギリまでテラス屋根を設置しない」「屋根に勾配のないタイプを選ぶ」「オプションで排水経路を確保する」ということがおすすめです。

まとめ

今回はテラス屋根についてお伝えしました。

テラス屋根は屋根と柱だけのシンプルな構造をしていますが、テラス屋根を設置するメリットは先に挙げたとおりたくさんあります。

暮らしを便利にそして楽しくしてくれる、そんなテラス屋根をあなたのおうちにも設置してみませんか?

高杉 有希子
監修者 エクステリアプランナー 高杉 有希子

静岡県御殿場市の土建屋に生まれ、大型重機が大好きな子供時代を送る。
建築に憧れ、三重短大で住環境を学ぶ。新卒でハウスメーカーFC工務店の「インテリアプランナー」に応募するも、社長の勘違いで募集したかったのはなんと「エクステリアプランナー」!!
ハウスメーカーで個人住宅のエクステリアを担当。その後、ゼネコン住宅事業部のインテリアプランナー、植木屋の外構プランナーを経て、現在は(株)ガーデンメーカーで営業設計を務める。

執筆者 らいち

大阪生まれ大阪育ち。古めの建築物が大好きです。暇さえあれば、団地建て替えの現場を見物に行って萌えています。