日本にも自生する常緑低木で、スズランのような白い花を咲かせる。
枝、葉、花は毒性を持ち、呼吸中枢を麻痺させる。
漢字では馬酔木と書き、馬がアセビの枝葉を食べて麻痺した状態になったことに由来する。
基本5データ
- 分類
- 庭木-低木・下草
- 学名
- Pieris japonica
- 科・属名
- ツツジ科 アセビ属
- 別名
- アシビ、アシミ、アセボ
- 草丈・樹高
- 1.5~2.5m
- 栽培可能地域
- 北海道南部以南
- 花色
- 白
- 開花期
- 2月下旬から4月上旬にかけて
- 結実期
- 9月から10月にかけて
- 耐暑性 / 耐寒性
- 耐暑性:強い 耐寒性:強い
日本に自生する美しい常緑低木
スズランのような花を持つ常緑低木
アセビは、初春にスズランのものとよく似た白い花を咲かせる常緑低木です。
日本全国に自生しており、日本のアセビはPieris japonicaという学名がつけられています。
その他にはヒマラヤや中国の一部地域に分布するヒマラヤアセビ(P. formosa)をはじめとして、様々な品種が存在します。
なお、アセビ属の仲間の約7割は北アメリカやキューバ、東アジア地域に分布しています。
アセビの名前の由来は毒から?
アセビは漢字で「馬酔木」と書きます。
これは文字通り、アセビを食べた馬が足を自由に動かせなくなり、まるで酔ったような状態になることを指しています。
アセビは枝や葉、花にアセボチンやアセボトキシンという呼吸中枢を麻痺させる毒を含んでいます。
漢字名以外にも馬が足を痺れさせることから「アシビ(足痺れ)」となった説や、「アシミ(悪し実)」とする説など、どれも毒が由来のエピソードばかりです。
アセビの花言葉
アセビの花言葉には、「犠牲」「献身」「あなたと二人で旅をしましょう」などがあります。
アセビは英語で「Japanese andromeda」と呼ばれており、ギリシャ神話のアンドロメダの物語を指して、「犠牲」「献身」の花言葉がつけられたと言われています。
アンドロメダは怪物の生贄として犠牲となり、国を救ったとされています。
品種が多く、様々な魅力を持つアセビ
観賞価値のある花や実
アセビを楽しむなら、やはりまずは花でしょう。
花はスズランとよく似ており、房のように垂れ下がって咲きます。
1つ1つはとても可愛らしい姿をしていますが、満開になると木を埋め尽くし、非常に見ごたえのあるものに変わります。
また10月頃の熟す黒い実は、木の良いアクセントになって見る人を飽きさせません。
加えてアセビの新芽は赤く染まります。
これも意外に美しいものです。
1年を通して様々な姿を見せてくれるのが、アセビの魅力と言えます。
アセビの品種
アセビには様々な品種があります。
通常のものは白い花を咲かせますが、赤い花色のものや大きい花を付けるものもあり、選ぶのも楽しみな庭木です。
・パッション
パッションはその名の通り情熱的な赤色の花を咲かせます。
耐暑性、耐寒性ともに高く、比較的育てやすい品種です。
赤色の花に加えて、葉に斑が入るパッション・フロストという珍しい品種も存在します。
・リュウキュウアセビ
リュウキュウアセビは、日本に自生するアセビの1つです。
通常のアセビよりも厚い花や葉を持ちます。
鉢植えにも適した品種ですが、寒さに弱いため地植えにする場合は注意しましょう。
・スカーレットオハラ
スカーレットオハラは、花の大きさが特徴の品種です。
満開になったときの姿は圧巻で、非常に見ごたえがあります。
アセビは万葉集にも
万葉集には約4500もの和歌が記されていますが、そのうちの10首はアセビについて読まれています。
アセビの美しさを読んだものから、人の死を悲しむものまで様々です。
気になる方は是非調べてみてください。
アセビの育て方と特徴の育て方・管理方法
植え付け・植え替え
アセビは基本的に苗から育てます。
地植えする場合は日向か半日陰の場所を選びましょう。
アセビは耐陰性があるため多少日当たりが悪くても育ちますが、その分花つきが悪くなるので注意が必要です。
鉢植えの場合は簡単に移動させることができるため、それほど気にする必要はありません。
土は腐植質に富み、水はけと水持ちを両立したものを好みます。
粘土質の土や水はけの悪い土の場合、アセビが根をしっかり張ることができず十分に成長しないため避けましょう。
鉢植えの場合は花木用の培養土を使用します。
ブレンドして作っても良いですし、市販のものをそのまま使用しても問題ありません。
また、アセビは弱酸性の土壌を好むため、苦土石灰などを使って調整する場合もあります。
植え付けは3~4月、もしくは10月~12月上旬が適期です。
根巻き苗の場合はそのまま植え付けられますが、ポット苗の場合、そのままでは根腐れなどの可能性があるため、植え付ける前に必ず根鉢を崩します。
地植えにせよ庭植えにせよ、植え付けの際は元肥として緩効性肥料を施肥しておきましょう。
肥料
肥料は年に2回、春と秋に施肥します。
最初は花が終わった後の3~4月にお礼肥として緩効性肥料を施し、新芽の成長を助けます。
2回目は9~10月頃に、1回目より少ない量を施します。
秋は花穂が成長する時期なので、それより前にしっかり養分を与えておくのが重要です。
剪定
アセビはそれほど成長速度が早くなく、そのままでも自然と樹形が整います。
そのため剪定に神経質になる必要はありません。
ただし、枝が混み合っていたり、樹形を乱すような枝がある場合は切り戻しておきましょう。
病害虫
アセビはグンバイムシやハマキムシなどの被害を受けることがあります。
グンバイムシは葉の養分を吸い取り、葉を白く変色させてしまいます。
グンバイムシによって木が枯れてしまうことはほとんどありませんが、発見した場合は殺虫剤で対処しましょう。
ハマキムシは葉を食害します。
被害を受けた葉は切り取り、殺虫剤を散布しておきましょう。
いずれも風通しが悪いと発生しやすくなるため、枝が混み合わないよう注意が必要です。
日当たり
地植えの場合は、根付いてしまえばほとんど必要ありません。
乾燥が酷くなる夏場は、朝夕の涼しい時間帯に水やりを行います。
鉢植えの場合、春から秋の成長期にしっかり水を与えましょう。
水やり
地植えの場合は、根付いてしまえばほとんど必要ありません。
乾燥が酷くなる夏場は、朝夕の涼しい時間帯に水やりを行います。
鉢植えの場合、春から秋の成長期にしっかり水を与えましょう。
熊本県の海と山に囲まれた田舎で育ち、幼少期からガーデニング好きの祖母を手伝う。高校時代には、音楽を中心に様々な芸術分野に興味を持つようになり、同時に自然の持つ面白さや奥深さに気づく。現在はライターとして活動し、多趣味を活かして幅広いジャンルで執筆。他にもカメラやデザインについて勉強中。自然に囲まれて暮らすのが1つの目標。