樹高20m以上になる雄雌異種株の落葉樹で、ハート型の葉には芳香がある。また花は花弁を持たない。
基本データ
- 分類
- 庭木-落葉
- 学名
- Cercidiphyllum japonicum
- 科・属名
- 科:カツラ科 属:カツラ属
- 別名
- コウノキ、オカヅラ
- 草丈・樹高
- 樹高は20m以上まで伸びる高木で、中には30mを超えるものもあります。
- 栽培可能地域
- 全国
- 花色
- カツラの花は風媒花で、雌花・雄花ともに花弁を持ちません。雌花は3~5本の赤い雌しべを、雄花は房のような雄しべを咲かせます。
また開花期には木全体が赤く染まります。 - 開花期
- カツラは4月から5月にかけて花を咲かせます。
- 結実期
- 5~6月頃から実をつけ始め、9~19月頃に黒紫色に熟します。
- 耐暑性 / 耐寒性
- カツラは耐暑性・耐寒性ともに強く丈夫な植物です。真夏でも成長は衰えず、-10℃にも耐えます。
ただし、強い日の光に当たりすぎると葉焼けを起こすことがあるので注意しましょう。
カツラの木ってどんな木?
樹高が20mを超える
庭木や街路樹として植えられているカツラの木は、樹高が比較的低く抑えられていますが、本来は20mを超える高木です。中には樹高が30m以上で、島根県の「海潮のカツラ」や福岡県の「鎮西村のカツラ」のように国の天然記念物として登録されているものもあります。
雌株・雄株ともに花弁を持たない
カツラは雌雄異株の植物で、雌株と雄株どちらの花も花弁を持ちません。雌株の花はイソギンチャクのような赤い雌しべを付け、雄株の花は複数の雄しべが房のように垂れ下がります。また開花期には木全体がうっすらと赤に染まり、特に雄株は赤みが強いのが特徴です。
繁殖力が弱く準絶滅危惧種に
カツラは耐久性に優れていて香りが良く、木材として将棋盤や碁盤、洗濯板など様々なものに使用されてきました。寿命こそ長いものの、繁殖力が低いため現在では絶滅危惧種に指定されている都道府県もあります。
丈夫で育てやすい
カツラは古来から日本に自生しており、日本の気候とは相性が良い植物です。その上病害虫にも強く丈夫なため、初心者でも育てやすいといえます。
カツラの木の楽しみ方
シンボルツリーとしてのカツラ
病害虫に強く丈夫で育てやすいカツラは、シンボルツリーにも適しています。環境条件によってはかなり大きく育つため定期的な剪定は必須ですが、自然樹形が美しく形を整える必要はほぼありません。特に株立のものは大きくなっても管理しやすいのでおすすめです。
季節で変化する色を楽しむ
カツラは、季節に合わせて葉の様子が変化し続ける落葉高木です。ハート型の可愛らしい葉を春の開花時期と同時に展開し始め、夏はその新緑を目一杯に広げます。また秋には鮮やかに黄葉し、柔らかで温かい雰囲気を醸し出します。
花は花弁が無いため華やかさでは劣るものの、ほのかに赤みを帯びる木はとてもキレイです。このように、カツラは一年の間に赤、緑、黄と変化する色を楽しむことができます。
葉の芳香
秋頃に黄葉するカツラの葉っぱはキャラメルや綿菓子のような匂いを放ち、特に落葉して茶色くしおれたものは匂いが強くなります。カツラの別名であるコウノキ(香の木)はこの芳香が由来と言われており、乾燥させて抹香の材料として利用していたこともあるようです。
また、この匂いはマルトールと呼ばれる有機化合物によるものされ、カラマツの樹皮やモミの葉にも同じ成分が含まれています。食品産業では添加物としての利用価値があり、甘みや風味を増強するために利用されています。
樹形の美しさ
カツラは端正な樹形を自然に作ってくれる植物です。特に一本立ちの樹形は美しく見る人の心を癒してくれます。ただし一本立ちは剪定で幹が残ってしまいがちで、大きさを維持するのが少し難しくなります。そのため庭木の剪定に慣れていない方は株立ちのものを選びましょう。
カツラの品種
カツラには通常の品種以外にも、赤色の新葉が特徴のレッドフォックスという園芸品種があります。美しい樹形はそのままですし、少し変わったシンボルツリーを探している方や個性的なお庭をイメージされている方にはおすすめの品種です。
カツラの木の育て方と特徴の育て方・管理方法
植え付け・植え替え
植え付けは10月下旬から3月の落葉期に行います。カツラはかなり大きくなるため、他の植物や周囲のお家の日当たりに影響しないか必ず確認しましょう。
植え付けの際は、根鉢より2回りほどの直径と深さの穴をほり、腐葉土や有機質肥料・緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。植え付けたら水をたっぷり与え、つついて土をなじませましょう。ぐらつくようなら支柱を立てます。
鉢植えの場合は数年に一度植え替えが必要で、植え付け同様落葉期に行います。
肥料
肥料は地植えなら1月頃に寒肥として緩効性の有機肥料を、鉢植えなら3月頃に化成肥料を追肥しましょう。
剪定
カツラは生育が進むと、自然と樹形が三角錐型になっていきます。そのため枯れ枝を取り除く以外の剪定はほとんど必要ありません。
カツラの大きさを抑えるための強剪定は、11月から2月の間に行うのがおすすめです。幹を地面から1.2~1.5m程度のところで切り詰め、それより低い位置にある枝は幹から10~15cmを残して剪定します。太い部分はノコギリを使用して切り詰めましょう。1年後には次の幹になる強い枝が生えてきますが、幹にするものを数本残し、他は全て基部から切り除きます。全て伸ばしてしまうと樹形が悪くなっていまうので注意しましょう。
幹や太い枝の切り口には、必ず癒合剤を塗ります。
病害虫
カツラは病害虫に強くほとんど心配いりませんが、まれに毛虫やテッポウムシの被害を受けることがあります。見つけた場合はすぐに対処が必要です。
毛虫は被害を受けた葉や枝ごと切り除いたり、割り箸を使って取り除きます。テッポウムシは木の内部に入り込んでいるため、農薬を使用して退治しましょう。
日当たり
鉢植えと地植えどちらの場合でも、植え付けから2年経たない間は、土の表面が乾いたタイミングでたっぷり水を与えます。
2年以上になると基本的に水やりは必要ありませんが、夏場に高温と乾燥が続いているような時には、朝夕どちらかに行いましょう。葉が緑色の生育期に甘い匂いがしたら、水が足りないというサインになります。
水やり
鉢植えと地植えどちらの場合でも、植え付けから2年経たない間は、土の表面が乾いたタイミングでたっぷり水を与えます。
2年以上になると基本的に水やりは必要ありませんが、夏場に高温と乾燥が続いているような時には、朝夕どちらかに行いましょう。葉が緑色の生育期に甘い匂いがしたら、水が足りないというサインになります。
熊本県の海と山に囲まれた田舎で育ち、幼少期からガーデニング好きの祖母を手伝う。高校時代には、音楽を中心に様々な芸術分野に興味を持つようになり、同時に自然の持つ面白さや奥深さに気づく。現在はライターとして活動し、多趣味を活かして幅広いジャンルで執筆。他にもカメラやデザインについて勉強中。自然に囲まれて暮らすのが1つの目標。