アズキナシ(小豆梨)は、春に白い小花を咲かせ、秋には赤い実を付ける落葉樹。
花や実を楽しめる鑑賞価値が高い庭木として、近年人気が高まっている。
バラ科の樹木としては病害虫に強く、管理しやすいのもアズキナシの魅力である。
基本データ
- 分類
- 庭木-落葉
- 学名
- Sorbus alnifolia
- 科・属名
- バラ科アズキナシ属
- 別名
- ハカリノメ、カタスギ、ハカリノメ、カタスギ、ハカリノメ、カタスギ、ハカリノメ、カタスギ
- 草丈・樹高
- 5m~15m
- 栽培可能地域
- 全国
- 花色
- 白
- 開花期
- 5月~6月
- 結実期
- 9月~11月
- 耐暑性 / 耐寒性
- 暑さ・寒さには強い樹木です。
どちらかというと寒冷地を好みますが、暖地でもよく育ちます。
自生地でもある北海道から九州であれば、夏越しや冬越しの対策は特に必要ありません。
アズキナシとは
初夏に白く可憐な花を咲かせ、秋には赤く小さなアズキのような実も付け四季を通して楽しめるアズキナシ。
貝がらのような姿をした緑の葉と、白いアジサイに似た花と相まった姿が美しく、病害虫にも強く管理がの手間がかからないため、シンボルツリーにおすすめです。
ここでは、アズキナシの花・実・葉の特徴やウラジロノキとの違いについて紹介します。
- 小さなナシのような赤い実を付けるアズキナシ
- 梨とそっくりな形をした小さい実
- 別名「ハカリノメ」は規則正しく並ぶ葉脈が由来
小さなナシのような赤い実を付けるアズキナシ
アズキナシは、北海道から九州まで日本各地の山地に自生するバラ科アズキナシ属の落葉高木で、その素朴な美しさが庭木として人気の木です。
生長スピードは比較的ゆっくりですが、大きくなると樹高が10〜15mほどに育つこともあります。
ざらざらした肌触りで滑らかな見た目をした灰色の幹が美しく、樹形が整いやすいので庭に自然な雰囲気を加えるのにぴったりです。
春になると、枝先に白い小さな花がドーム状に密集してたくさん咲くアズキナシは、爽やかで軽やかな印象を与え、庭の雰囲気がより良くなります。
貝がらのような見た目をした葉は、楕円形で先が少し尖り、縁には細かいギザギザが並び特徴的です。
春に芽吹いた新緑は鮮やかなライムグリーンで、夏には濃い緑色へと変化します。
秋になると黄色や赤に色づき、紅葉も楽しめる魅力も。
葉は比較的薄くやわらかい質感で、風に揺れる様子が庭全体をやさしく彩ります。
アズキナシの枝は細く、しなやかに広がるため、全体的に軽やかな印象の樹形に仕上がります。
特に株立ち仕立てにすると、よりナチュラルな雰囲気が際立つでしょう。
雑木の庭や自然風のガーデンデザインにもなじみやすく、和風庭園や洋風庭園を問わず活用しやすい庭木です。
また病害虫には比較的強く、手間のかからない庭木として初心者にも育てやすい点もあります。
花や葉っぱだけでなく枝ぶりや樹形の美しさも感じられるほか、四季折々の変化を楽しみたい方におすすめの庭木です。
梨とそっくりな形をした小さい実
春に咲く白い花と秋に実る赤い果実の両方が楽しめるアズキナシ。
5〜6月の初夏ごろに咲く花は、5枚の花びらと中央には黄色い雄しべが目立ち、近くで見ると可憐な姿をしています。
ほんのり甘い香りを漂わせるため、蜂やチョウなどの虫を引き寄せる役割も。
満開時には花が枝全体を覆い、華やかさを演出するため庭のアクセントとして、春の景観を美しく彩ります。
花が終わると、10月から11月ごろにかけて果実が実ります。
梨を小さくしたようなアズキナシの実は、直径1cmほどのかわいらしい大きさで、赤く色づき、光沢のある姿が特徴です。
実は食べることもでき、味はほんのり甘く、少し酸味があります。
ただし、果肉はやや硬く、食用としてはジャムや果実酒への加工がおすすめです。
昔は薬用としても使われていたといわれ、山の恵みとして親しまれていたようです。
観賞用として楽しむだけでなく、果実を収穫して活用するのもアズキナシの魅力の一つですね。
別名「ハカリノメ」は規則正しく並ぶ葉脈が由来
アズキナシは、その特徴的な葉っぱから「ハカリノメ(秤の目)」という別名でも親しまれています。
名前の由来は、葉脈が規則正しく並んでいる様子が、昔の秤(はかり)の目盛りに似ていることから名付けられたようです。
葉の表面には細かく均等に走る葉脈がくっきりと浮かび上がり、まるで測量器具の目盛りを思わせる整然とした模様を描きます。
縁には細かいギザギザ(鋸歯)を持ち、楕円形で先端が少し尖り、葉脈が中心から左右対称に広がります。
緻密で美しいラインを描いたような模様が「正確さ」や「秩序」をイメージさせたことから、「ハカリノメ」という名前が生まれたともいわれることも。
また「ハカリノメ」という別名には、正確さや調和を連想させるイメージも含まれており、風水的には安定や繁栄をもたらす木ともいわれているようです。
アズキナシの葉は春に芽吹いたあと、夏には鮮やかな緑色に染まり、秋には黄色や赤へと紅葉します。
この変化も秤の目盛りのように一定のリズムで進むため、四季を感じさせる美しさがありますね。
アズキナシとウラジロノキの違い
どちらも同じアズキナシ属の木で、遠目に見ると花の形や色が似ていてしばしば混同されることが多い「アズキナシ」と「ウラジロノキ」。
しかし実際には、下の表にまとめたように花の形状や開花時期、葉、実、枝の見た目が違います。
特徴 | アズキナシ | ウラジロノキ |
---|---|---|
葉の裏 | 緑色・綿毛なし | 白っぽく、綿毛で覆われる |
葉の形 | 縁にギザギザがあり薄い | 厚みがありしっかりした葉 |
花の時期 | 5〜6月 | 5〜6月 |
実の形と大きさ | 小さな梨型、赤く色づく | 丸くコロンとした形、赤く熟す |
樹高 | 10〜15m | 8〜12m |
アズキナシは葉脈が整っていて、別名「ハカリノメ」とも呼ばれますが、ウラジロノキにはその別名はありません。
育て方についても共通点が多いものの、アズキナシのほうが幹が細く、枝がしなやかに広がる印象です。
どちらも庭木として人気があり、丈夫で育てやすい木ですが、アズキナシは葉っぱの緑色と果実の赤色がはっきりと映えるため、観賞価値が高いです。
剪定で樹形を整えやすいのも特徴です。
葉っぱの裏側や実の形に注目して、アズキナシとウラジロノキの違いをしっかり見分けてみてください。
アズキナシが好まれる理由
自然な雰囲気を演出できる庭木として人気の高いアズキナシ。
庭木として植えるだけでなく、シンボルツリーや雑木の庭のアクセントにもぴったりです。
樹形が整いやすく、剪定の手間が少ないアズキナシは、自然にまとまりのある姿に育つので、コンパクトな庭や限られたスペースでも管理しやすい木です。
さらに、株立ち仕立てにすればナチュラルな印象が引き立ち、和風・洋風を問わずさまざまな庭に調和します。
ここでは、なぜアズキナシが庭木に好まれるのか、おすすめの理由について下記5つを紹介します。
①ナチュラルな雰囲気の雑木の庭におすすめ
②まとまりがよくコンパクトな庭にも適したアズキナシの株立ち
③剪定しなくても樹形が乱れにくい
④花を楽しむシンボルツリーにも
⑤季節感のある紅葉や落葉を楽しむ
ナチュラルな雰囲気の雑木の庭におすすめ
アズキナシは、自然な風合いを活かした雑木の庭にぴったりの庭木です。
もともと山地に自生する樹木なので、里山風の景色やナチュラルガーデンにもよくなじみます。
幹は灰色で滑らか、細い枝がやわらかく広がる樹形は、雑木風の庭に自然な奥行きや立体感を生み出します。
春には白い花が枝いっぱいに咲き、爽やかでやさしい印象を与えるアズキナシは、夏には緑の葉が生い茂り、木陰を作る役割も果たします。
秋になると葉が黄色や赤に色づき、赤い実とともに季節感を演出し、落葉後はすっきりとした枝ぶりが冬の庭に趣を添えるでしょう。
また、ウラジロノキやガマズミなど、同じ雑木と並べると自然風の庭がより引き立ちます。
アズキナシは葉っぱの色や質感がやわらかいため、ほかの植物とも調和しやすく、目立ち過ぎず背景の役割も果たします。
ナチュラルな庭づくりを考えている方には、アズキナシがとてもおすすめです。
四季の移り変わりを感じられるだけでなく、雑木の庭の雰囲気を引き立てる存在感のあるシンボルツリーになりますよ。
まとまりがよくコンパクトな庭にも適したアズキナシの株立ち
アズキナシは、株立ち樹形に仕立てることで庭木としての魅力がさらに引き立ちます。
株立ちとは、根元から複数の幹が立ち上がる仕立て方のこと。
自然な風合いが楽しめるため、ナチュラルガーデンや雑木風の庭におすすめです。
アズキナシの幹はすっきりと細く、まとまりが良い特徴のある木です。
横に大きく広がりにくいため、コンパクトな庭でもバランスを崩さず、落ち着いた雰囲気を演出してくれるでしょう。
雑木の庭に植えると、やわらかくなじみながら自然なアクセントになり、イングリッシュガーデンや和風の庭にも調和しやすく、植える場所を選ばない万能な庭木です。
ナチュラルで上品な樹形は周囲の樹木ともよくなじみ、主役にも脇役にもなれる存在感を持っています。
複数の幹が立ち上がる姿は動きがあり、庭全体にリズム感を与えるのも魅力です。
剪定しなくても樹形が乱れにくい
アズキナシは、幹がまっすぐ上に伸びる性質を持つため、剪定を頻繁にしなくても美しい樹形を保てる庭木です。
自然にまとまりのある姿に育つので、忙しい方や庭の管理を手軽に済ませたい方にもおすすめ。
特に、株立ち仕立てにすると枝葉がバランスよく広がり、雑木風の庭やナチュラルガーデンになじむ存在感を発揮します。
ただし、スペースに限りがある庭では、伸びすぎた枝をコントロールするために剪定が必要になることも。
アズキナシは剪定をしなくても樹形が乱れにくい木ですが、年に一度は様子を確認しながら、樹形の維持や病害虫の予防を兼ねて軽く手を入れると安心です。
また、自然樹形を活かして育てたい場合は、剪定を最低限にとどめるといいです。
枝葉が自由に伸びる姿はナチュラルガーデンや雑木の庭によく映え、季節ごとの変化をより自然に楽しめます。
生長の流れが穏やかで管理がしやすいアズキナシは、初心者でも安心して育てられるだけでなく、剪定の手間を減らしながら美しい樹形を保てる魅力のある庭木です。
花を楽しむシンボルツリーにも
春に咲く白い花が魅力のアズキナシ。
5月から6月には枝先に小さな花がまとまって咲くので、庭を明るく華やかな雰囲気を演出してくれます。
アズキナシの花は葉っぱの上にふんわりと咲くため、高さのある木でも見上げたり、2階の窓から眺めたりしながら楽しむことができるでしょう。
風に揺れる花はナチュラルガーデンにもよくなじみ、庭全体を優しい雰囲気に包み込みます。
また、花後には赤い果実が実り、秋には紅葉も楽しめるため、季節ごとに違った表情を見せてくれるのもアズキナシの良さです。
春には花、夏には青々とした葉、秋には実と紅葉、冬には枝ぶりと、一年を通して変化を楽しめるシンボルツリーになります。
季節感のある紅葉や落葉を楽しむ
アズキナシは、落葉樹ならではの魅力があり、季節ごとの表情の違いを味わえるのが特徴です。
秋には葉っぱが黄色やオレンジに色づき、紅葉の美しさが庭を彩ります。
紅葉が終わると、アズキナシは葉を落として冬の景色に変化します。
葉を落としたあとの姿は、幹や枝のラインが際立ち、シンプルで落ち着いた雰囲気に。
枝先に残る赤い果実が冬のアクセントになり、寒い季節でも自然の風情を楽しめるでしょう。
春には白い花が咲き、夏には青々とした葉が木陰を作り、秋には紅葉と実が庭を彩る流れが楽しめます。
冬にはすっきりとした樹形が映えるので、一年を通して飽きのこない庭木です。
また、落葉することで枝の様子がよく見えるため、剪定のタイミングもわかりやすくなります。
冬の間に不要な枝を整理することで、春からの新芽が元気に育ち、花付きもよくなります。
定期的に枝葉を透かして風通しを良くしておけば、毛虫や病害虫の発生も防げるでしょう。
葉が落ちたあとの枝ぶりは自然な美しさがあり、庭のアクセントにもなります。
四季の移ろいを感じられる庭づくりをしたい方にぴったりの庭木です。
アズキナシについてよくある質問
アズキナシが枯れる理由は何ですか?
アズキナシが枯れる原因には、根詰まりや水はけの悪さ、害虫被害などが考えられます。
比較的庭木の中でもアズキナシは丈夫な木ですが、育てる環境や管理方法によっては弱ってしまうこともあるため、ポイントを押さえておくことが大切です。
まず、根詰まりが原因で枯れるケースです。
鉢植えの場合、根が鉢の中でぎっしり詰まっていると水分や養分を十分に吸収できなくなります。
根詰まりを防ぐためには、1〜2年ごとにひと回り大きな鉢へ植え替えるか、根を軽く整理してから同じ鉢に戻すと安心です。
次に、水はけの悪さも枯れる要因のひとつです。
アズキナシは湿った土が苦手で、根が常に水に浸かった状態になると根腐れを起こすことも。
地植えの場合は、排水性の良い土に改良するか、盛り土をして根が水に触れすぎないようにしましょう。
鉢植えでは、水はけの良い土を選び、鉢底石を敷いて通気性を高めましょう。
また、害虫の被害によるダメージも注意が必要です。
特にアブラムシや毛虫は新芽や葉に集まりやすく、放置すると養分を吸われて弱ってしまいます。
春から秋にかけては葉っぱや枝の状態をこまめにチェックし、早めに薬剤散布や剪定で対処しましょう。
さらに、日当たりや風通しの悪い場所では、生長が悪くなったり病気にかかりやすくなったりすることもあります。
アズキナシは日当たりの良い場所を好みますが、西日の強い場所では葉焼けを起こすこともあるため、植える場所の環境を整えることが大切です。
アズキナシを元気に育てるためには、水はけの良い土と適度な日当たり、害虫対策が欠かせません。
定期的な剪定で風通しを良くし、根詰まりや水の管理に注意すれば、長く健康な状態を維持できます。
アズキナシの生長スピードはどのくらいですか?
アズキナシは、比較的ゆっくりと生長する庭木です。
毎年の成長幅は20〜30cmほどが目安で、大きく育つまでには時間がかかります。
最終的には樹高が10〜15mほどに達しますが、生長スピードが穏やかなため、剪定や管理の手間が少なく育てやすい木です。
地植えの場合は根がしっかりと張ることで安定し、生長スピードがやや早くなります。
特に、日当たりや風通しの良い環境では元気に育ち、若木のうちは枝葉がよく伸びる傾向があります。
一方で、鉢植えの場合は根の広がりが制限されるため、地植えよりもさらに生長はゆっくりになります。
コンパクトに育てたい場合には鉢植えがおすすめです。
ただし、生長スピードは土壌や管理方法によっても変わります。
水はけの良い土に植え付けると根が広がりやすく、生長が促進される場合があります。
逆に、水はけの悪い場所では根腐れのリスクが高まり、生育不良の原因になることも。
植え付け前に土壌をしっかり改良しておくことがポイントです。
また、肥料は基本的に控えめで問題ありませんが、生育が遅すぎると感じる場合は春先に緩効性肥料を与えるとよいでしょう。
特に新芽の生長をサポートしたいときに効果的です。
生長が穏やかで管理しやすいアズキナシは、剪定や植え付け場所に気を配ることで、美しい樹形を保ちながら長く楽しめますよ。
アズキナシが掛かりやすい病気は何ですか?
アズキナシは丈夫で病気に強い庭木ですが、環境や管理状態によっては病気に掛かることもあります。
特に注意が必要なのは「うどんこ病」と「黒星病」。どちらも葉っぱに異変が現れる病気で、早めの発見と対処が大切です。
うどんこ病は、葉っぱの表面が白く粉を吹いたようになる病気です。
湿気の多い梅雨時や気温が上がり始める春先に発生しやすく、放置すると葉が弱って枯れてしまうことも。
特に風通しが悪い場所では発生しやすくなるため、枝葉が密集しすぎている部分は剪定をして風通しを良くしておくことが予防のポイントです。
発生してしまった場合は、病気が広がらないように被害部分を取り除き、専用の薬剤を散布して対処します。
黒星病は、葉っぱに黒い斑点が現れる病気です。
葉が傷むことで光合成がうまくできず、生育不良や落葉の原因になることもあります。
黒星病は雨が多い季節に発生しやすく、湿気を嫌うアズキナシでは注意したい病気のひとつです。
病気が出た場合は、症状の出ている葉を早めに取り除き、薬剤でしっかり予防と駆除を行いましょう。
病気を防ぐためには、植え付け場所の環境を整えることが重要です。
アズキナシは日当たりと風通しの良い場所を好むため、密植せずに十分なスペースを確保して植え付けます。
土の排水性を高め、根元に水が溜まらないように管理するのもポイントです。
また、病気に弱っていると害虫も付きやすくなるため、アメリカシロヒトリやアブラムシの対策も合わせて行うと安心です。
定期的な観察と管理で、アズキナシを健康に育てましょう。
アズキナシの実は食べられますか?
アズキナシの実は食べることができます。
秋になると赤く熟す実は、小豆のようにかわいらしい見た目をしており、ほのかな甘みと酸味が感じられます。
食用としてはもちろん、観賞価値も高く、庭木として育てながら収穫も楽しめる木です。
ただし、生のままでは果肉が少なく、やや渋みを感じることもあります。
そのため、そのまま食べるよりもジャムや果実酒などに加工して楽しむのがおすすめです。
特に果実酒は、アズキナシの風味を生かしながら甘みを引き出すことができ、家庭でも手軽に作れます。
もともとアズキナシの実は昔から薬用としても親しまれていたようです。
胃腸の調子を整える働きがあるとされ、乾燥させた実を煎じて飲む方法もあるようです。
現在では薬として使われることは少ないですが、自然の恵みを感じられる果実といわれています。
また、アズキナシの実は野鳥にとっても貴重なエサになります。
秋から冬にかけて実が残るため、鳥を呼び寄せたい庭づくりにも最適。
実を収穫せずに残しておくことで、庭に自然のにぎわいを演出できます。
食べるときは、収穫した実をよく洗うことが大切です。
特に、庭で育てている場合は虫がつくこともあるため、傷んでいないか確認しながら選別します。
また、食用にする場合は農薬や薬剤の使用を控えるなど、安全面にも気を配りましょう。
アズキナシの育て方・管理方法
植え付け・植え替え
水はけの良い土壌を好みます。植え付けおよび植え替えは、休眠期の1月~3月ごろに行いましょう。
肥料
休眠期の1月~2月に寒肥を施してください。油かすや骨粉など有機質肥料を、株の周辺に埋め込みます。
剪定
自然樹形を楽しむ庭木です。
樹形が乱れにくく横に広がらないため、剪定は基本的には必要ありません。
ただし、高木であるアズキナシは、環境に適応すると高さ15m以上に生長する場合も。
庭の大きさに合わせて樹高を低く保ちたい場合は、落葉期の1月~3月に剪定してください。
また、風通しが悪いとアブラムシなどの病害虫が発生しやすくなるので、枝が混みあっている場合には枝の透かし剪定を行いましょう。
病害虫
基本的に病害虫に強く育てやすいアズキナシですが、春から秋にかけては病害虫の被害にあうこともあるため、定期的に葉っぱや枝の様子をチェックすることが大切です。
特に新芽やつぼみなどの柔らかい部分はアブラムシが付きやすいので、こまめに観察して早めに対処しましょう。
アズキナシにはうどんこ病やアブラムシといった病害虫が発生することもあります。
株の内側の日当たりや風通しが悪いと発生しやすく、湿気がこもって温度が高くなると黒星病といった病気にかかる場合も。
幹が伸び過ぎたときや枝葉が伸びて鬱蒼(うっそう)としたときは、剪定をして予防をしましょう。
また、病害虫が発生した場合は、薬剤を散布をして駆除します。
アブラムシは、葉の裏側や枝先に群がって汁を吸うため、葉が変色したり枯れたりする原因になります。
発生を防ぐためには、風通しを良くして湿気をためないように管理することがポイント。
枝が込み合っている部分は適度に剪定をして、空気の流れを確保すると予防効果が高まります。
すでにアブラムシが付いている場合は、薬剤散布で駆除するのが効果的です。
葉や枝に少量しか発生していない場合は、その部分だけを切り取って処分する方法でも対応できます。
またアメリカシロヒトリ(毛虫)が発生することもありますが、アブラムシと同様に早めの発見と駆除が大切です。
アメリカシロヒトリは6月から8月にかけて多く発生しやすいため、剪定後や梅雨明けには薬剤を散布して予防しましょう。
●病気
・うどんこ病
4月上旬〜7月上旬と9月中旬〜10月上旬に、白い粉が吹いたような菌糸が若葉や花などやわらかい箇所に発生します。
症状が悪化すると、葉や花が奇形になる場合も。
昼夜の温度差が大きい時期は、空気感染によって被害が拡大する場合もあります。
日頃から風通しを良くし、予防として薬剤を散布しておくといいです。
・黒星病(黒点病)
4〜11月ごろに、葉に黒褐色の斑点ができ、次第に黄変し落葉します。
株周りの地面に病原菌が潜んでいて、雨の水や水やりの跳ね返りによって下部の葉から感染し、茎にも伝わることがあります。
株周りには、ウッドチップなどマルチングをして、水の跳ね返りを防ぐといいです。
●害虫
・アブラムシ
3〜10月にかけて、アズキナシの新芽・やわらかい枝葉・蕾に発生し、養分を吸汁します。
窒素成分が多く入った肥料を与え過ぎたりすると、特に発生しやすいです。
また、日当たりや風通しが悪くて枝葉が徒長するとアブラムシが吸汁しやすいので、植え付け・置き場所にも注意します。
発生した場合は指で取り除いたり、水で洗い流したりしましょう。
大量に発生した場合は、殺虫剤を散布します。
・アメリカシロヒトリ(毛虫)
6 月上旬〜7月中旬と8月上旬〜9月中旬の2回に分けて発生します。
繁殖力がとても強く、大量に発生した毛虫はアズキナシの葉を食害します。
一般的に、アメリカシロヒトリの毛虫は、糸を張って巣を作っています。
巣が付いた枝葉を切り取り、焼却か、殺虫剤の散布か、踏みつけて駆除しましょう。
日当たり
日向~半日陰で良く育ちます。
ある程度の耐陰性はあり、場所を選ばす植え付けられます。
もともと山地に自生しているアズキナシは、強い西日が苦手です。
西日が当たる場所は避けるか、ほかの高木の木陰となる場所に植え付けましょう。
特に、株の根元に西日が当たる場所は不適です。
水やり
よほどの日照りでない限り、水やりは必要ありません。苗の植え付け直後は、しっかりと根が張るまで適宜水をやります。
出典(引用元)
愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。
植物が大好きなライターです。小学校の自由研究は「雑草の研究」でした。忙しい毎日でも無理なく楽しめるガーデニングを日々研究しています。雑草&野草・カラーリーフ・球根植物・100円ショップの園芸グッズ。