都会の住宅では庭の広さが限られ、ドッグランをつくるのは難しいと思うかもしれません。
しかし、工夫やアイディア次第で愛犬が楽しめる庭ができます。
今回は狭い庭でもドッグランをつくる工夫やコツ、設置するポイント、さらにつくれない場合のアイディアについて紹介!
目次
ドッグランは狭い庭でもつくれる
散歩に行けなくても、愛犬が走り回れてのびのびと過ごせる便利なドッグラン。
散歩のときの交通事故や誤飲誤食などの危険なことが起きにくく、安心して遊ばせてあげられる魅力があります。
比較的、広いスペースがある庭でしかつくれないと思われがちですが、施工の仕方や工夫次第で、狭い庭でもドッグランを設置できます。
工夫しながらドッグランを設置
一般的にドッグランの設置に必要な最適なスペースは、小型犬が100㎡(約30坪)、大型犬が500㎡(約151坪)といわれています。
とても広過ぎるため、一般の住宅では愛犬にとって最適な広さがあるドッグランはつくりにくいです。
しかし、愛犬がリードを付けずに走り回れたり、運動不足やストレスを少しでも解消できたりするような場所であれば、それだけで十分なドッグランです。
まずは、愛犬が走り回れるドッグランを限られたスペースの中でで確保し、工夫しながら設置しましょう。
狭い庭でドッグランをつくる工夫
狭い庭にドッグランをつくる工夫は、以下5つの方法です。
使っていなスペースや余った箇所を見つけて、上手につくることがポイント!
- エクステリアを整理してドッグランスペースを確保
- 自宅の周りをドッグランスペースにする
- 駐車場をドッグランとして有効活用
- ウッドデッキにドッグランの機能を持たせる
- ベランダと室内が一体型になったドッグランをつくる
①エクステリアを整理してドッグランスペースを確保
自宅の庭には、すでに庭木や草花が植わっていたり、石やブロックが敷設されていたりすると思います。
場合によっては、無駄にスペースを取り、活用していない箇所がある場合も。
まずは、一度エクステリアの整備を見直し、ドッグランをつくれるスペースを確保してみましょう。
年に1度くらいしか、または全く使っていない花壇などは撤去し、愛犬が走り回れるスペースをできるだけ広くつくります。
②自宅の周りをドッグランスペースにする
比較的日本建築の構造では、自宅の周りに「犬走り(いぬはしり)」といわれるスペースが張り巡らされていることがあります。
本来の目的は、雨の水で跳ね返った水滴や泥が建物の外壁に付着して、汚れないように守ることです。
幅が1mほどと犬が通れるぐらいのスペースで設けられていることが多く、普段の生活ではあまり活用はしないかもしれません。
狭い庭なら、自宅をぐるりと囲った犬走りを使ってドッグランをつくるのがおすすめです。
愛犬が建物を一周できるぐらいのスペースなので、人工芝やウッドチップを敷き詰めれば、怪我をせずに走り回れ、日頃の運動不足なども解消できますよ。
③駐車場をドッグランとして有効活用
普段車で通勤している家庭では、日中の駐車場はほとんど空いていることがあると思います。
昼間に使われていない駐車場のスペースをドッグランとして有効活用するのもおすすめ。
車1台分のスペースがあれば、小・中型犬なら自由に走り回りやすく、愛犬だけでなく小さなお子さんも一緒に遊べます。
駐車場の入り口には門や門塀を建て、愛犬が脱走しないようなつくりを心がけることが大事です。
④ウッドデッキにドッグランの機能を持たせる
自宅の庭にはすでにウッドデッキがあって、ドッグランをつれるスペースはない場合は、ウッドデッキにドッグランの機能をもたせてリメイクしてみましょう。
すでに取り付けられた手すりは、すり抜け防止に細かい格子を設けたり、ステップがあれば愛犬が登りやすいように、スロープを取り付けたりなど工夫をすれば快適なドッグランに。
走り回れるだけでなく、愛犬と一緒に日なたでくつろげるようなリラックススペースにもなりますよ。
⑤ベランダと室内が一体型になったドッグランをつくる
アパートやマンションなど自宅に庭がない場合は、ベランダをドッグランとして使います。
人工芝であれば床に敷きやすく、愛犬の足腰を痛めにくくおすすめです。
また、スペースが足りない場合は、室内のドア周辺までをドッグランスペースとして使い、できるだけ広く確保するといいですね。
植木鉢やプランターを柵のそばに置いて、愛犬が外に飛び越えないようにバリゲートをつくりましょう。
ドッグランを庭に設置するポイント
ドッグランをつくるときは、愛犬が敷地から脱走しないように、フェンスの高さや強度をチェックしたり、脱走防止を付けたりする必要があります。
また、愛犬が足腰や足の裏を怪我しないように、しっかりと整地作業をし、適切な床材選びましょう。
- フェンスの高さ・強度をチェック
- 脱走防止を備えた扉やフェンスを設置する
- 愛犬の足腰に負担にならないよう整地作業する
- 愛犬が怪我をしない床づくりをする
Point1. フェンスの高さ・強度をチェック
ドッグランで使われるフェンスの高さは、小型犬で60cm以上、大型犬で120cm以上が望ましいといわています。
高さが不十分だと、ジャンプ力が強い愛犬では、すぐに飛び越えて脱走してしまう場合も。
できるだけ、愛犬にあった高さのあるフェンスを設置しましょう。
また、フェンスが地面にしっかりと固定できていないと、愛犬の体当たりや、強風によって倒れてしまうこともあります。
地面に穴を掘って設置ができるタイプや壁に固定して設置ができるフェンスを選び、危険性の低いドッグランをつりましょう。
ただし、地中に基礎ブロックやモルタルを流し込む作業や既存のブロック塀などに穴をあける作業などは素人では難しく、建築基準法に違反に場合も。
土木工事の経験がない方は、専門の業者へ相談することをおすすめします。
Point2. 脱走防止を備えた扉を設置する
愛犬がフェンスから脱走しないように、脱走防止としてメッシュやパネルが細かいタイプのものを選ぶようにしましょう。
メッシュが荒いと、犬の大きさによっては、メッシュの隙間から脱走してしまう場合も。
地面から頂点まで隙間があまりないタイプがおすすめです。
また、犬はフェンスの上部からジャンプして脱走するだけでなく、ときにはフェンスの仕切り同士の隙間や穴を掘って地面から脱走する場合があります。
フェンスの周りにも工夫することが大事です。
例えば、フェンスの周りに、イスやブロックなど台となるようなものを置かないようにし、代わりに背の低いプランターや鉢植え、レンガなどを置くといいです。
Point3. 整地作業でしっかりとした地盤づくり
地面がしっかりしていないところだと、やわらか過ぎたり固すぎたりするため、犬の足腰にとって負担になり、落とし穴のような感覚になる場合もあります。
芝やバークなど床材を施工する前に、まずは設置する場所の基礎をしっかりとつくることが大事です!土台がきちんと整地されていれば、愛犬が走りやすいだけでなく、庭の景観を美しく維持するこもできますよ。
Point4. 愛犬が怪我をしない床づくりをする
犬の足腰にとって大事なドックラン用の床。
土や砂利など庭にすでにあるものでドッグランをつくるのも大丈夫ですが、安全面やトラブルを考えると、愛犬にとって走りやすい床材が最適です。
見た目が美しく庭に季節感を感じられ、ふかふかとやわらかい質感が犬の足腰を負担を軽減する「天然芝」。
一年中緑で芝刈りや水やりなのどメンテナンスがなく、種類を選べば愛犬が走りやすいものもある「人工芝」。
さらに、クッション性が高く、おしゃれで上品な庭づくりもできる「ウッドチップ」と「バークチップ」が主な床材です。
どれも犬の足腰に負担となりにくく、長期的に使用できておすすめです。
愛犬のことを考えつつ、庭の景観や庭のテイストにあった床材を選ぶようにしましょう。
狭い庭にドッグランがつくれないときのおすすめ方法
庭が狭過ぎて、愛犬に最適なドッグランがつくりにくい家庭もあると思います。
物理的に広くするのが難しく、スペースを確保できない場合は、公共のドッグランを利用したり、散歩したりするのがベストかもしれません。
体を動かして運動不足やストレスを解消するのは外で行い、自宅では愛犬がくつろげるスペースをつくることが大事です。
狭い庭での目的は、走り回ることではなく、「日なたぼっこをする・外の空気を吸ってリラックスする・匂いを嗅げる・開放感を感じられる」など工夫をつくること。
愛犬にとって充実した「憩いの場」となるような庭づくりをしてみましょう。
1. 愛犬のためのエクステリア設備を充実させる
愛犬がのんびりと庭で過ごせるように、リビングやダイニングの掃き出し窓につなげて「ガーデンルーム」や「サンルーム」を設置してみましょう。
家庭のライフスタイルにあわせて設置できるガーデンルームは、狭い庭でもコンパクトに収められ、部屋干しスペースやガーデニングができます。
天候に左右されることなく、外の景色を愛犬と一緒に楽しめます。
愛犬もゆったりと腰を下ろして休息ができ、日なたぼっこもできて気持ちが良いです。
また、足洗い場や水飲み場など、愛犬にとって必要なエクステリア設備を充実させることがおすすめです。
2. 限られたスペースで遊び場をつくる
広いスペースで愛犬が走り回れない場合は、シーソーや砂場など遊具を設置します。
トンネル・坂・平均台など、庭のスペースを工夫して使い、歩くことも楽しめるような庭づくりをしてみましょう。
運動不足やストレス解消になるだけでなく、愛犬の欲求を満たせ飼い主とのコミュニケーションにもなります。
3. 庭やベランダを開放的なつくりに
室内で飼われている犬は、外の景色に興味をもち、どんな世界が広がっているのか気になっていることが多いです。
庭やベランダが閉鎖的な環境にならないように、フェンスは外の景色が見えるようなタイプを選び、開放的な空間づくりをしましょう。
フェンスや目隠しに穴が空いていて、遊び心があるものもおすすめです。
家にいても愛犬が退屈にならない環境づくりを心がけてみてくださいね!
4. 愛犬が食べても大丈夫な植物を植える
庭で元気よく走り回れなくても、植物や自然の香りが楽しめる庭なら愛犬もきっと喜んでくれます。
花壇には犬が食べても大丈夫な草花や庭木を植えて、庭に彩りを加えます。
愛犬も楽しめ、庭の景色もぐっと良くなります。
しかし、チューリップなどのガーデニングでよく使われる植物の中には、犬が食べてしまうと中毒症状を引き起こす種類もあります。
人間が食べても問題がないタマネギなどの野菜でも、動物にとっては危険なものも多くあります。
さらに、肥料や殺虫剤を誤食してしまうこともあるので、柵を建てるなど危険を回避できるような庭づくりをしましょう。
犬が食べても大丈夫な植物
- キャットグラス(エンバク)
- カモミール
- キャットニップ(イヌハッカ)
- ミント
- ローズマリー
- オリヅルラン
- オレガノ
- ハボタン
- ラベンダー
- ヒューケラ
犬も猫のように草を食べることがあります。
ビタミンを補うためや、ストレスを解消するためになど、さまざまな理由があるとされています。
しかし、必ずしも食べさせる必要はないといわれているので、できるだけ食べさせないように、また食べないようにしつけをしましょう。
犬にとって危険な植物
- ユリ
- スイセン
- アサガオ
- チューリップ
- キキョウ
- シクラメン
- ツツジ
- パンジー
- ビオラ
- ヒガンバナ
- カーネーション
- サクラ
- アジサイ
- エゴノキ
- キク
- キョウトウチク
- クレマチス
- シャクナゲ
- ナンテン
多くの植物は、犬だけでなく人間にとっても危険なものはたくさんあります。
葉・花・茎(枝)・根と全草が猛毒をもつものも少なくなく、下痢やおう吐、けいれん、最悪の場合死に至るケースもあります。
植物を庭に植えるときは、必ず生態を調べ、犬が食べても問題ないかを確認しましょう。
まとめ
狭い庭でも工夫をすれば、愛犬が喜んでくれるようなドッグランをつくれます。
広い敷地で走らすことだけが大事ではなく、狭い敷地でも運動不足やストレス解消ができ、飼い主とのコミュケーションが取れるようになる庭づくりが大事です。
それだけで立派なドッグランといえます。
また、もし敷地が狭くてドッグランがつくれなくても、自宅はあくまで休息場所であり、ゆったりとくつろげるような空間にすることもいいかもしれません。
ぜひ愛犬と一緒に楽しめる庭づくりをしてみてくださいね!
愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。
建築・インテリア学科卒の造園士×Webコンテンツクリエイター。 東京で建築、カナダのトロントで造園、その後カナダのハリファックスの大自然で植物と戯れながら、植物・庭・ガーデニングのWebコンテンツクリエイターを開始。 現在はヤシの木を主体とするドライガーデンの造園士とWebコンテンツ・ガーデニング商品の監修者としても活動中。日本での建築とカナダでの造園の経験に加え、趣味の植物やコケの収集、植物アート作りを生かして、 みなさんに植物や庭の魅力をお届けします。