大きな音で侵入者を威嚇する効果があり、手軽に始められる防犯対策として注目されている防犯砂利。
「防犯砂利を敷きたいけど、どうすれば効果的に使えるの?」
「DIYでもうまく施工できる?」
「普通の砂利との違いは?」
といった疑問をお持ちではありませんか?
この記事では、防犯効果を最大限に引き出すための施工手順やコツ、防犯砂利を敷くメリットやデメリットをご紹介。DIYでも安心して施工できるよう、雑草の処理や整地の段階からわかりやすく解説します。
防犯砂利の導入を迷っている方や具体的な施工手順を知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
防犯砂利の敷き方と施工手順
防犯砂利を敷くには特別な知識や経験が必要かというと、そんなことはありません。DIYでも問題なく施工可能です。
もちろん、造園業者や外構業者などのプロに頼めばきれいな仕上がりになりますが、「なるべくお金をかけたくない」「せまい範囲だから自分で挑戦してみたい」という方は多いでしょう。防犯砂利はホームセンターでも手に入りますし、ポイントをおさえて丁寧に作業を行えば、DIY初心者の方でも上手に敷くことができますよ。
まずは施工前の準備と、具体的な手順を3つのステップで解説します。
施工前の準備と用意するもの
防犯砂利を敷く前に、防犯砂利と以下の材料をそろえておきましょう。
押さえ板
押さえ板は「ワッシャー」や「座金」とも呼ばれ、防草シートが風でめくれたり、土の中にめり込んだりするのを防ぐために使用します。木やプラスチック製のものが一般的で、防草シートの上から固定ピンと一緒にハンマーで打ち込んで使用します。
ピン
防草シートを地面に固定するために使用します。ピンにはさまざまな形や長さがあり、材質も金属製やプラスチック製などがあります。地面の硬さや風当たりの強さ、防草シートの種類に合わせて適切なものを選びましょう。
防草シート(※防草効果を高めるなら)
防犯砂利は単体でも使用できますが、下に防草シートを敷くことで、雑草対策としても非常に高い効果が見込めます。草むしりの手間が省けるだけでなく、防犯砂利が土に埋まってしまうのを防ぐというメリットも。一手間ではありますが、せっかく防犯砂利を敷くのであれば、併用して損はありません。
ステップ1:雑草の処理と整地
まずは施工場所の雑草を取り除きましょう。防犯砂利の下から雑草が生えてくると見た目を損ねるだけでなく、防犯砂利が浮き上がったり、隙間ができてしまったりする原因になります。施工前の準備は、防犯砂利を長くきれいな状態で保つために重要なポイントです。手や草抜きを使い、根まで丁寧に取り除きましょう。
雑草がなくなったら地面を平らにします。レーキやスコップを使って土を均一にならし、凸凹をなくしましょう。施工範囲が広い場合は時間がかかりますが、足で踏み固めても良いです。
地面が傾斜している場合は、水平になるようにスコップなどで調整してください。地面が平らになることで防草シートや防犯砂利を均一に敷くことができ、仕上がりがきれいになります。
除草のコツとポイント
雑草を抜く際は、茎や葉だけでなく根までしっかりと引き抜くことが大切です。特に多年草や根が深く張るタイプの雑草が残っているとやっかいで、再び生えてくる可能性が高いです。施工後の防草効果に大きく影響しますので、砂利を敷く前に丁寧に取り除きましょう。
根まで抜いたあとに土壌処理型の除草剤を使うと、生えてくる雑草を長期間抑えることができます。
ステップ2:防草シートの敷設
雑草の処理が完了したら、防草シートをカットして実際に敷いていきます。ケガをしないよう、作業の前に園芸用の手袋や軍手を着用しましょう。
まずはメジャーを使って施工範囲を測り、長さを10cm程度余裕を持ってカットします。長めにカットしたぶんを立ち上げるように敷き、隙間から雑草が出てくるのを防ぐためです。カットした防草シートを仮置きしたら、風であおられないよう、端をピンで仮留めしておきましょう。
次に、防草シート同士の継ぎ目は10cm程度重ねて置いてください。重ねしろが少ないと雑草が生えてくる原因になってしまいます。たるまないように注意しながら、地面に密着するように敷きつめていきましょう。重ねしろの部分は、防草シート専用の粘着シートを使って隙間なく貼り合わせましょう。
隙間がないように敷いたら、固定ピンを押さえ板に差し込み、ハンマーなどで地面に垂直に打ち込んで防草シートを固定します。固定ピンの間隔は50cmが目安です。
防草シートを固定する方法
防草シートは、固定ピンや押さえ板を使って地面に固定します。固定ピンのみでも問題ありませんが、押さえ板を一緒に使うと防草シートを押さえつける面積が増え、強風でもめくれにくくなります。また、防草シートのピンの穴から雑草が生えてくるのを防げるのもうれしいポイントです。
固定ピンにはU字ピンやL字ピンといったさまざまな種類があるため、地面の硬さや防草シートの種類、施工場所に合わせて適切なものを選びましょう。
壁際や角の敷き方のコツ
壁際や角の部分は防草シートが浮き上がったり、隙間ができたりしやすいです。防草シートの端の部分を壁に沿って立ち上げ、しっかり密着させましょう。固定ピンや押さえ板で押さえ、さらに粘着テープや接着剤で壁や構造物に接着させると安心です。
ステップ3:防犯砂利を敷く
防草シートの上に防犯砂利を撒き、レーキや熊手で表面を平らにします。このとき、少し強めに押しつけるようにすると砂利が密になり安定します。
厚みが不足していると防犯効果が十分に得られない可能性がありますが、厚すぎても歩きにくくなってしまいます。防犯砂利の隙間から地面や防草シートが見えないようにしつつ、実際に歩いてみて不安定でない厚さに調整しましょう。泥棒の侵入経路になりやすいスペースや窓の下などは、厚めに敷くことで防犯効果を高めることができます。
厚みや広さの適切な配分方法
防犯効果を最大限に引き出すためには、広さに合わせて砂利の厚みを適切に配分することが重要です。
防犯砂利の厚みは一般的に、防草シートの上に敷く場合は3~5cm、直接地面に敷く場合は10cm程度が推奨されています。防犯砂利の量は、1㎡あたり80kgが目安です。面積(㎡)と必要な防犯砂利の総量(kg)は、以下の計算式で算出しましょう。
・面積(㎡)=縦(m)×横(m)
・必要な防犯砂利の量=面積(㎡)×80(kg)
たとえば、施工範囲が縦幅4m・横幅2mの場合、面積は8㎡となり、640kgの防犯砂利が必要になります。
防犯砂利の敷き方のコツと注意
防犯砂利を効果的に活用するためには、いくつかのコツと注意点があります。
防犯砂利は敷く場所ごとに変えるのがベスト
防犯砂利にはさまざまな素材があり、それぞれ特徴が異なります。音の大きさや耐久性、重さ、価格帯を考慮し、敷きたい場所に合わせて防犯砂利を使い分けましょう。ホームセンターなどでは、防犯砂利を袋から出した状態で展示していることがあります。中には音の大きさを確かめるため「踏んでOK」という店舗も。そういった機会があれば、ぜひ実際に試してみましょう。
素材ごとの特徴とメリット・デメリットを下の表にまとめていますので、参考にしてみてください。なお、天然石・溶岩・セラミック製は価格が高いことが多く、ガラス製や瓦製は比較的安価で販売されていることが多いです。
素材 | 特徴 | メリット | デメリット | 音の大きさ | 適した場所 |
---|---|---|---|---|---|
ガラス製 | ガラスを高温で溶かして発泡させたもの。空気を多く含み、粒は大きめ。音も大きい。 | ・比較的安価 ・軽量で施工しやすい ・リサイクルガラスを使用したものが多く、環境にやさしい | ・砕けやすく、粉塵になりやすい ・雨風で流されやすい ・見た目が人工的 | 非常に大きい | ・窓下 ・玄関周り ・死角になりやすい場所 |
天然石・溶岩 | 自然の石を加工したもの。デザイン性が高く、落ち着いた雰囲気。 | ・耐久性が高い ・自然な風合い ・デザインのバリエーションが豊富 | ・価格が高い ・重量があるため、施工が大変 | 比較的小さい | ・庭 ・アプローチ ・駐車場 |
セラミック製 | 粘土などを高温で焼いたもの。耐久性が高く、風雨に強い。 | ・耐久性が高い ・風雨に強く、長持ちする ・デザインのバリエーションが豊富 | ・価格が高い ・重量がある | 中程度 | ・玄関周り ・アプローチ ・駐車場 |
瓦 | 屋根などに使用される瓦を再利用したもの。 | ・耐久性が高い ・リサイクル素材を使用したものが多く、環境にやさしい | ・形状が不揃いなものが多い ・デザインが限られる | 中程度 | ・庭 ・アプローチ |
人がよく歩く場所には、あまり音が大きくない天然石や瓦製の防犯砂利がおすすめです。逆に、侵入経路になりやすい掃き出し窓の下や犬走りなどは、大きい音で侵入者を威嚇できるガラスやセラミック製の砂利が適しています。
なお、音は粒が大きいほど大きいです。防犯対策には大粒のものが効果的ですが、隣家との境界線付近では近所迷惑にならないように配慮しましょう。
庭の雰囲気に合った防犯砂利を選ぶ
防犯砂利は、機能性だけでなく庭をおしゃれに見せる装飾としても活躍してくれます。カラーバリエーションが豊富で形や質感もさまざまなので、庭づくりをより楽しむアイテムのひとつとしても取り入れてみてはいかがでしょうか。その際、家の外壁の色や植栽の色と合わせることで、より統一感のある美しい庭になるでしょう。
たとえば、和風庭園には自然石のような落ち着いた色合いの防犯砂利がおすすめ。庭石や灯籠との相性もよく、和風な雰囲気をさらに引き立ててくれます。洋風の庭にはカラフルなガラス製やベージュ系、モダンな黒系の防犯砂利など。白色は和風の庭、洋風の庭、リゾート風の庭など、どんな庭とも好相性です。
また、防犯砂利を敷いたスペースに季節の花を植えたプランターを置いたり、レンガや枕木の周囲に防犯砂利を敷いたりというように、ほかの素材と組み合わせることでデザイン性と防犯効果の両方を高めることができますよ。
防犯砂利の選び方や素材ごとの特徴についてもっと詳しく知りたい方には、こちらの記事もおすすめです。
防犯砂利の基礎知識
ここからは、より深く防犯砂利を知って庭づくりに役立てるために、特徴やメリット・デメリットを解説します。気になる「実際に感じる音の大きさ」の目安もご紹介していますので、ぜひチェックしてくださいね。
防犯砂利とは?その特徴とメリット
防犯砂利は、空き巣などの侵入者を威嚇するために、踏んだときに大きな音が出るようにつくられた砂利のことです。人が歩くと粒と粒がこすれ合い、ジャリジャリと大きな音が発生します。音が鳴ることで侵入者は躊躇し、家の中にいる人も存在に気づきやすくなります。
防犯砂利の素材にはガラスや天然石、瓦などが使われており、普通の砂利と比べて軽いのが特徴です。家の裏や脇にある通路、ベランダ、大きな窓の周辺といった人の目が届きにくい場所に敷くと効果的。装飾や防草対策も兼ねて、庭や玄関まわりなどに敷きつめるのもおすすめです。
防犯砂利を敷くメリット・デメリット
防犯砂利には防犯・防草効果やデザイン性の向上など多くのメリットがありますが、知っておいてほしいデメリットもあります。一度敷いたら撤去するのは大変なので、デメリットも把握し、納得したうえで導入しましょう。
メリット:防犯効果 音で侵入者を防ぐ
防犯砂利最大のメリットは、手軽に防犯対策ができることです。踏んだときのじゃりじゃりという大きな音は、侵入者に心理的な圧迫感を与え、侵入を躊躇させる効果があります。特に夜間は音は周囲に大きく響き渡るため、防犯効果がより高まります。
「実際、侵入者が警戒するほど大きな音がするのか」と疑問に思う方も多いでしょう。防犯砂利の音の大きさは、74db(デシベル)以上のものが一般的です。74dbがどのぐらいの音の大きさかというと、なんと「セミの鳴き声」や「やかんの沸騰音」と同じレベルとされています。
歩いたときに、足元でセミの鳴き声ほどの大きな音が鳴ったら驚きますし、警戒心も強くなることが想像できますよね。侵入者に「防犯意識の高い家」というイメージも植えつけられるでしょう。
音の大きさ(dB) | 騒音発生源と距離 | 感じ方の目安 |
---|---|---|
100dB | 電車通過時のガード下 | 聴覚機能に異常をきたす |
90dB | 犬の鳴き声 | うるさくて我慢できない |
80dB | 地下鉄の車内 | うるさくて我慢できない |
70dB | ・セミの鳴き声 ・やかんの沸騰音 | かなりうるさい。 かなり大きな声を出さないと会話ができない |
60dB | 掃除機 | 大きく聞こえ、うるさい。 声を大きくすれば会話ができる |
50dB | 換気扇 | 大きく聞こえる、通常の会話は可能 |
40dB | 図書館 | 聞こえるが、会話には支障なし |
メリット:雑草抑制・泥はね防止
防犯砂利は雑草対策にも効果的です。防犯砂利が紫外線を遮ることで、雑草の光合成を妨げ、雑草の種も地面に届きにくくなるためです。防草シートと組み合わせて使用すればより高い防草効果が得られるほか、敷く砂利の量を減らせるというメリットもありますよ。
泥はねのお悩みにも、防犯砂利がおすすめです。水はけがよくない地面では、雨の日に靴や衣類に泥はねが発生します。掃除も洗濯も大変になりますし、家に泥が持ち込まれるのは衛生的にも心配ですよね。
そんな場所には防犯砂利を敷きましょう。防犯砂利が地面を覆うことで水はけがよくなり、ぬかるみや水たまりができにくくなります。玄関先やアプローチに敷き詰めれば、靴についた泥が室内に持ち込まれるのを防ぎ、室内の清潔を保てます。気になる外壁の泥はね対策としても重宝します。
デメリット:騒音や歩きにくさについて
防犯砂利のデメリットとして、音が大きく、近隣に迷惑になる場合があります。特にガラス製の防犯砂利は音が大きく、夜の住宅街などで響きわたってしまう可能性も。耳障りと感じる方もいるかもしれません。
近隣とのトラブルを避けるためにも、日頃から出入りが少ない場所には音が大きい防犯砂利、よく歩く場所には音が小さい防犯砂利、というように使い分けると良いでしょう。
また、「防犯砂利を敷いたら歩きにくくなった」という声もよく聞かれます。これは大きさや形が一定でなくデコボコしていることや、歩くときに粒が動くのが原因です。歩きにくいだけでなく、三輪車などの車輪がスムーズに回らなかったり、転びやすくなったりすることも。小さいお子さんがいる場合は、敷く場所をよく検討しましょう。
さらに、防犯砂利は定期的なメンテナンスが必要です。防犯砂利は軽量なものが多く、普通の砂利に比べて砕けやすいです。砕けてくると音が小さくなったり、雨風で流されて量が減り、十分な防犯効果が発揮されなくなってしまいます。ときどき全体を確認し、必要であれば補充を行いましょう。
静岡県御殿場市の土建屋に生まれ、大型重機が大好きな子供時代を送る。
建築に憧れ、三重短大で住環境を学ぶ。新卒でハウスメーカーFC工務店の「インテリアプランナー」に応募するも、社長の勘違いで募集したかったのはなんと「エクステリアプランナー」!!
ハウスメーカーで個人住宅のエクステリアを担当。その後、ゼネコン住宅事業部のインテリアプランナー、植木屋の外構プランナーを経て、現在は(株)ガーデンメーカーで営業設計を務める。
植物とコーヒーを愛するWebライター。園芸好きの一家に生まれ、幼いころから花と緑に囲まれて育ちました。現在の住まいでは、ナチュラルな雑木の庭を目指して試行錯誤中です。 趣味はガーデニング、家庭菜園、メディカルハーブ。子どもと一緒に植物のある暮らしを楽しんでいます。