庭をもっとカジュアルに愉しむ。smileスタイル
姫高麗芝を貼っている途中
2022.03.15

コウライシバ(高麗芝)の育て方や特徴

関東や西日本などに広く植えられる、暖地型の芝。
住宅の庭などに植えられることが多い。
日本芝と呼ばれるものの一つで、九州や沖縄には自生しているものもある。
こまめな手入れをすることで、美しい芝生が出来上がる。

基本データ

  • 分類芝・グラス
  • 学名Zoysia matrella (L.) Merr.
  • 科・属名イネ科シバ属
  • 別名コウシュンシバ、ヒメコウライシバ、ハリシバなど

暖かい地方を好む、日本在来の芝

コウライシバと、ややこしい名前の事情

 
コウライシバはイネ科シバ属に含まれる植物です。
国産のいわゆる「日本芝」といわれるもので、全国的に自生するノシバ(野芝)と違い、九州から南にしか分布しておらず、葉の幅が狭いことなどの特徴があります。
関東や西日本を中心に広く植えられるコウライシバですが、実は名前について少しややこしい事情があります。
 
コウライシバは生物学的には和名をコウシュンシバ(Zoysia matrella)と言い、市場に流通する際にはコウライシバ(高麗芝)やヒメコウライシバ(姫高麗芝)などの名前で売られています。
しかし、同じシバ属に含まれるものにも生物学的に和名がコウライシバ(Zoysia pacifica)と呼ばれるものがあり、こちらはビロードシバなどの名前で流通しているのです。
つまり、園芸目線でのコウライシバと、生物学的なコウライシバは全く別のものを指しているというわけです。

この記事では生物学的なコウライシバ(Zoysia pacifica)ではなく、園芸目線で見たコウライシバ(Zoysia matrella,和名コウシュンシバ)、つまりお店でコウライシバとして売られているものについてお話する、ということでご留意ください。
 

比較的暖かい地方の芝

 
コウライシバの本来自生する範囲は日本だと九州から南の地方です。
そのため、関東より北の寒い地方ではあまり栽培に適しておらず、北の方では西洋芝と呼ばれる中で耐寒性の強いものなどが植えられています。
 
また、コウライシバのような耐暑性の強い芝の上から耐寒性の強い芝の種まきをして、両者の良いとこどりをする「オーバーシーディング」という技術があります。
暖かい地方に適した芝は冬に休眠してしまいますが、寒い地方の芝は夏に生育が衰えます。
オーバーシーディングによりどちらも生やすことで、一年中衰えない芝生になるというものです。
 

芝生を維持するために

 
芝生は他の植物と比べて管理方法が特殊で、綺麗な芝生を保つためには頻繁に手入れをする必要があります。
 
たとえば月1~3回ほどの芝刈りや、刈ったあとのサッチ(刈り取った葉っぱ)を集める作業、他にも流れてしまった土を補充する目土入れ、通気性を良くするエアレーション(剪定の項で解説します)、病害虫や雑草の対策など、必要な作業は様々で、専用の道具も多いです。
少し大変ですが、きちんと行うことで一面の芝生という美しい景色をつくることができます。

きちんとした管理で美しい芝生に

美しい芝生をつくる

 
芝生は適切な管理をこまめに行うことで、非常に美しい景色を作り出すことができます。
公園の放置されて穴だらけになった芝生とは一線を画す、一面の緑です。
 
頻繁な管理は大変ですが、他の草花や庭木を育てるのでは得られない景色が見られるようになります。
まさに庭を管理する者だけが得られる特権と言って良いでしょう。
 
苗の価格は一平米あたり2,000円くらいのものが多く、決して安くないので、無駄にしないように頑張って管理しましょう。

 

ゴルフの練習に

 
ある程度の面積の庭であれば、ゴルフの練習場にできなくもありません。
せっかく芝生の管理をするのなら、それくらいできたら素敵ですよね。
 
しかし、地面をきれいにならし、刈高を数か月かけて徐々に5㎜程度に下げ、芝刈りの回数は週に1~2回ほどに増やす必要があります。
一筋縄ではいきませんが、芝生を最大限に活用したいという思いとゴルフへの熱意があればチャレンジしてみても良いでしょう。
 

花を見つける

 
あまり認識されていませんが、芝には花が咲きます。
西洋芝の場合は刈り込みを中止しないとみられませんが、コウライシバの場合、棒状の黒い穂に小さな雄しべと雌しべがつく花が咲きます。
虫や鳥が花粉を運ぶ花ではないので目立たず地味ですが、よく見ないとわからない、人知れず咲く小さな花にきっと心打たれることでしょう。

育て方・管理方法

≪ 詳細情報 ≫

 
草丈・樹高
 
2~10㎝
 
栽培可能地域
 
関東以南
 
花色
 

 
開花期
 
5~7月
 
結実期
 
5~7月
 
耐暑性/耐寒性
 
耐暑性が強く、耐寒性は弱い
 

≪ 育て方 ≫

 
植え付け・植え替え
 
芝を植え付けるためには、種まきではなくシート状に切り分けられた苗を購入して植える芝張りの作業が必要となります。
植える時期は休眠から目覚める直前が良く、春の3月や4月ごろがおすすめです。
業者などでは一年中芝張りを行うことがありますが、適期でない時期に植えた芝はしばらく水やりをする必要があったり、秋に植えた芝は冬の乾燥や霜柱などで痛みやすいのであまりおすすめできません。
 

植え方としては、まず地面を平坦にならしたあと、排水性が悪く水たまりができてしまうようなら排水パイプを埋めて暗渠をつくって水が流れていくようにします。
その後シート状にまとめられた苗を植えていきます。
そのまま並べる張り方や、市松模様のように交互に植えていく張り方など、様々な張り方があるのですが、庭であればそのまま並べていくのがおすすめです。
その場合、隙間は1㎝程度空けておくようにしましょう。
 
その後、目土入れという隙間に土を入れる作業を行ったあと、水をあげて一先ず作業は完了です。
その後、乾燥したら水をあげつつ2か月ほど養生します。
一部植え替えたい場合も同じ要領で、四角くはぎ取ったところに新しい苗を植えるようにします。

 
肥料
 
4月から8月の間に、芝生用の化成肥料を適量与えます。
それ以外の時期、特に9月、10月ごろは施肥するとこの時期に発芽する雑草が増えてしまうので控えるようにしましょう。
肥料を与えない管理をしていることも多いですが、肥料を与えると色が鮮やかになり、美しいです。

 
剪定
 
5月から10月の間に、刈高20㎜で、月1~3回のペースで刈り込みます。
7~8月の生育が旺盛な時期は月2~3回、それ以外は月1~2回くらいのペースにするのがおすすめです。
10月には、中旬ごろに1回刈るくらいで構いません。
 
その後少し伸びてくることがありますが、冬に痛みづらくなるのでそのままにしておきましょう。
また、7月ごろに行う作業で「エアレーション」という作業があります。
専用の道具を使って地面に穴を空け、踏まれて固まった芝生の通気性を良くする作業で、10㎝くらいの間隔で穴を空けていきます。
芝生の土はどこまで固まっても耕すことはできないので、1~2年に1回くらいはやっておくようにしましょう。

 
病害虫
 
病害としては冬にカビに侵されたものが春先に目立つ通称「春ハゲ症」や、梅雨頃に葉に黒っぽい斑点ができる葉枯病、10月ごろに30㎝ほどのパッチ状に枯れる疑似葉腐れ病などがあります。
春ハゲ症は放っておいても回復しますが、葉枯病や疑似葉腐れ病はダコニールなどの殺菌剤を発生初期に散布するのがおすすめです。
また、葉枯病は土の排水不良、疑似葉腐れ病は栄養不足が原因で発生することが多いので、それぞれ改善できるところは改善しましょう。
 

害虫としては、葉に住居をつくって暮らすシバツトガや、幼虫が根を食べるシバオサゾウムシやコガネムシ類などがあります。
成長が旺盛な時期は特に気にしなくても大丈夫ですが、気温が低くなってきてから発生が増えると被害が目立ってくる場合があります。
それぞれ薬剤をつかって防除するようにしましょう。
 

また、病害虫ではありませんが芝生を維持するためには除草が大事になります。
雑草が生えると見た目が悪くなるだけでなく芝生が傷むためです。
ピンセットや小さな鎌など、芝生用の除草道具がいくつか市販されているので、雑草の種類に応じて使い分けて除草を行います。
秋に発芽し春や夏に花を咲かせるタイプの雑草は冬のうちに、春から夏に発芽するタイプの雑草は芽生えてすぐの時期に除草するのがおすすめです。

 
日当たり
 
日当たりの良い場所が好きです。
コウライシバの耐陰性は中程度ですが、1日に4~5時間は日照があると良いです。

 
水やり
 
6月~8月の暑い時期は水やりが必要です。
葉が丸まって針状になってくるのが水やりの目安で、梅雨明けから8月までは1週間に1回程度与えます。
また、植え付けてすぐの養生期間中は乾燥に気をつけて水を与えてください。
それ以外の時期には必要ありません。

出典(引用元)

青木孝一・真行寺考 著
「NHK趣味の園芸:作業12か月㊵ 芝生(シバ)

TOPへ