古くから日本に自生する樹木の一つで育てやすく、星型の白花が特徴。
基本データ
- 分類
- 庭木-落葉
- 学名
- Styrax japonica
- 科・属名
- 科:エゴノキ科 属:エゴノキ属
- 別名
- ロクロギ、チシャノキ
- 草丈・樹高
- 基本的には7m~8mですが、品種によっては3m~5m、中には10mを超えるものまで存在します。
- 栽培可能地域
- 北海道以南
- 花色
- 白い花冠が5つに裂けて星型に開いており、中央にはオレンジ色の雄しべがあります。また、花冠がピンク色の品種もあります。
- 開花期
- 5月中旬から6月中旬まで花を咲かせます。散る時は花びらを出さず、形を保ったまま落ちていきます。
- 結実期
- 結実期は6月中旬から10月で、灰白色の実を付けます。果皮には毒がありますが種子は脂肪分を多く含み、ヤマガラという鳥の大好物でもあります。
- 耐暑性 / 耐寒性
- 耐暑性・耐寒性ともに高いです。気温が30℃を超える真夏日でも生育を止めず、-10℃の寒さにも耐えます。
星形の白い花が特徴のエゴノキ
病害虫が少なく幅広い地域で栽培可能
エゴノキは古くから日本に自生する植物の一つであり、耐暑性・耐寒性ともに優れた庭木です。そのため北海道を除くほとんどの地域で栽培可能で、公園等でもその姿を見ることができます。
また病害虫も少なく、育て方も難しくありません。とはいえ植える場所の選定や管理をきちんと行わないと育ちが悪くなるので注意しましょう。
星型の白い花を咲かせる
エゴノキは5月から6月にかけて、下に垂れ下がるような星型の白い花を咲かせます。花の大きさは約2cmほどで花柄が細長く、数輪まとまって咲く姿が印象的です。その姿から「ジャパニーズ・スノーベル」と呼ばれることもあり、日本以外の国でも親しまれています。
果皮には毒がある
可愛らしい楕円型の実をつけるエゴノキですが、果皮にはエゴサポニンと呼ばれる毒が含まれています。この毒には溶血作用や血球破壊作用があり、実を口にすると胃腸障害や目の充血などの症状が起こります。その味はえぐみがあり、一説ではエゴノキという名前は「えぐい」が変化したものと言われています。
またサポニンは水に混ぜると界面活性作用が表れ、石鹸のように泡立ちます。昔はエゴノキの実を洗剤として使用していたこともあるそうです。
樹皮が剥がれることがある
老木の場合に多く見られますが、樹皮が縦に裂けて剥がれる場合があります。これは病害虫の被害ではなく、エゴノキでは自然と起こる現象です。剥がれた樹皮は次第に回復します。
シンボルツリーとしてもオススメ
シンボルツリーにおすすめ
7m~8mを超える高さまで成長するエゴノキは、シンボルツリーにおすすめです。細い枝と小ぶりな葉が作り出すさわやかな姿は、和洋問わずどちらのテイストの庭にもマッチするため人気があります。
また頻繁な剪定をせずとも自然に樹形を保ってくれるため、ガーデニング経験が少ない方でも管理しやすいというメリットもあります。
初夏に咲く花や樹皮の変化を楽しむ
星型の白い花が特徴のエゴノキですが、満開時には枝いっぱいに花を咲かせ「スノーベル」の呼び名にふさわしい姿を見せてくれます。大きく成長したものは特にその印象が強く、見る人を圧倒するほどです。
またエゴノキは樹皮の変化も楽しむことができ、若い木であれば模様の目立たない滑らかな印象ですが、成長を重ねるにつれて縦にシワの入ったような模様に変化していきます。
春から初夏は白い花を、夏は灰白色の実をつけた姿に癒やされながら、年数によって変化する樹皮を観察する。という長期的な楽しみ方ができるのが、エゴノキの魅力です。
落葉樹らしさを活かす
エゴノキは落葉樹であるため冬には葉を全て落としますが、日当たりの観点ではメリットでもあります。日差しの強くなる春から夏には木陰を作り、秋から冬には葉を落として日当たりを確保します。エゴノキの周囲に背の低い他の植物を植えている場合は特に大きなメリットです。
また1年中葉を落とさない常緑樹に比べ、様々な表情が見られます。
樹高が小さなピンク・チャイム
エゴノキには、白以外にもピンクの花を咲かせる品種があります。ピンク・チャイムと呼ばれるこの品種は、樹高が3m~5mと比較的低いのが特徴です。お庭が狭い場合や近隣住宅の日当たりを邪魔してしまいそうな場合は、こちらを植えると良いでしょう。
広いお庭に植える場合は通常のエゴノキと一緒に植えることで、色や高さにバリエーションを持たせると面白いかもしれません。
エゴノキの育て方と特徴の育て方・管理方法
植え付け・植え替え
土は腐植質が多く含まれていて水はけが良く、極端な乾燥が起きない保水力のあるものが適切です。植え付けは11月から3月の葉が落ちている休眠期に行います。
植え付けの手順ですが、まずは深さ・幅ともに根鉢の2倍ほどの穴を堀り、腐葉土を穴の1/3ほど混ぜてから植え付けましょう。次は根鉢の周りにしっかりと水を注ぎながら棒などでつつき、植え土を馴染ませます。
なお、若木は横枝が伸びて幹が曲がる場合があるので必ず支柱を立てるようにしましょう。
エゴノキはかなり大きくなる樹木です。植え替えは2~3年に1度のペースで行う必要があります。植え替えには一、二回りほど大きい鉢を用意し、根を傷つけないよう根鉢は崩さず行いましょう。時期は植え付けと同様休眠期です。植え替えが終わったら水をたっぷり与えます。
肥料
エゴノキは肥料があまり必要ない樹木です。しかし葉色が悪い場合や生育が良くない場合には、花後の7月頃にお礼肥として肥料を与えましょう。有機肥料か緩効性肥料がおすすめです。
1月から3月にも寒肥として与える事ができますが、この時期は根が休眠しているため、即効性のものや成分の強いものは控えましょう。お礼肥と同じ種類のものが適しています。
施肥を行うときは幹を避け、枝先端の下あたりの表面に撒く、もしくは10cmほどの深さに埋めます。なお、幼木に肥料を与えすぎると花つきが悪くなる場合があるので注意しましょう。
剪定
エゴノキは自然に美しい樹形を作るため、基本的には剪定しません。枯れてしまった枝や伸びすぎた枝だけを切るようにしましょう。ただし枝の途中から切ってしまうと、切り口から新たに複数の枝が伸びて樹形を乱すことがあるため、枝の根元から切る必要があります。剪定の時期は休眠期の11月から3月中です。
病害虫
病害虫はあまり発生しない樹木ではありますが、カイガラムシやカミキリムシの被害を受けることがあります。カイガラムシは樹液を吸ってエゴノキの成長を妨げ、フンは病気の原因にもなります。この害虫は殺虫剤の効きが悪いため早めに駆除する必要があります。
エゴノキの枯れた枝には、カミキリムシが穴を空けて産卵することがあります。この卵から生まれるテッポウムシは幹の内部を食い荒らしてしまうので、枯れた枝は早めに剪定しましょう。
なおエゴノキがかかる病気としては、うどんこ病やさび病、褐斑病があります。これらは剪定等で、風通しが良く樹木の内側まで光が届くよう管理することで予防することができます。
日当たり
根付いてしまえばかなり丈夫で自然の雨だけでも育てることが可能ですが、エゴノキは乾燥を嫌います。特に夏の乾燥しやすい時期はできるだけ水切れさせないようにしましょう。鉢植えの場合は水やりがより重要になるので注意が必要です。乾燥しすぎると葉が落ちてしまいます。
水やり
根付いてしまえばかなり丈夫で自然の雨だけでも育てることが可能ですが、エゴノキは乾燥を嫌います。特に夏の乾燥しやすい時期はできるだけ水切れさせないようにしましょう。鉢植えの場合は水やりがより重要になるので注意が必要です。乾燥しすぎると葉が落ちてしまいます。
熊本県の海と山に囲まれた田舎で育ち、幼少期からガーデニング好きの祖母を手伝う。高校時代には、音楽を中心に様々な芸術分野に興味を持つようになり、同時に自然の持つ面白さや奥深さに気づく。現在はライターとして活動し、多趣味を活かして幅広いジャンルで執筆。他にもカメラやデザインについて勉強中。自然に囲まれて暮らすのが1つの目標。