庭に木を植えたい!と思っても、庭木には数えきれないくらいの種類があるので、どれをどう選べばいいのか、どれが育てやすいのか…。と迷ってしまいますよね。この記事では、用途やジャンル別に合わせた木の選び方、オススメの木をご紹介します。
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目次
設置場所から選ぶ
庭木を上手に育てるには、植える場所の条件が大きく関わってきます。
場所によって植物にとって重要な光の環境が変わるし、見栄えや役割的にもそれぞれの場所に適した木というものがあります。
たとえば、部屋の中なら光が少なくても平気な耐陰性の高い木を鉢植えで置いたり、玄関から門までの道など毎日見る場所では四季折々の姿を見せる木があったりすると良いです。
よく木が植えられる場所をピックアップして、それぞれのオススメをご紹介します。
玄関に設置
玄関先に植える木の場合、家の雰囲気に合った木や、季節の変化を感じ取れる木がオススメです。
玄関先の木は毎日見るものだし、お客さんが家に訪れる際に必ず見る、いわば家の顔になる木だからです。
たとえばモダンな雰囲気を大事にしている家なら、コバノトネリコやソヨゴなどシンプルでさわやかなイメージの木を植えたり、季節の変化を楽しむため、芽吹きや紅葉で四季折々の姿を楽しめるイロハモミジの木を植えたりしてみても良いでしょう。
自分が見ていて飽きない木を選んでみるのがオススメです。
お庭に設置
お庭に植える木の場合、シンボルツリー的な要素が求められます。
お庭に植える木は土が多い分大きくなりやすいし、道行く人がついつい見てしまう家の象徴的な木になることが多いです。
たとえば大きなクリスマスツリーのようになるモミの木や、とにかく見栄えの良いサクラの木を植えてみても良いでしょう。
また、植える場所によっては木陰をつくったり、目隠しとしての役割があると良いこともあります。
なんにしろお庭の木は鉢植えや小さな植え桝と違ってすぐに植え替えができないので、長く付き合っていく木になることは間違いありません。
家のコンセプトや自分の好みに合った木を選ぶと良いでしょう。
駐車場に設置
駐車場に設置する木は、大きくなりすぎず枝葉を横に広げない木がオススメです。
大きくなりすぎると陰ができてしまったり、落葉や枝に止まった鳥のフンなどで車が汚れてしまったり、張り出した枝が車を傷つけてしまうこともあります。
たとえばツツジやカナメモチ、イヌツゲなどあまり大きくならず、大きさのコントロールがしやすい木を植えてみると良いでしょう。
予算から選ぶ
予算の金額から植える木を決めるという手もあります。
木の値段は同じ種類でも大きさによって変動することが多く、すぐに完成した庭をつくりたいか、最初は寂しくても後々の成長を楽しみたいか、などでかかる金額が大きく変わってきます。
予算の範囲内で、どんな木が植えられるか考えてみましょう。
5,000円から選ぶ
5,000円以内を目安に選びたい!という場合は、基本的に木の大きさは1m以内になります。
ただ、サクラや松など一般に広く流通しているものに限りますが、30~70㎝くらいの苗木なら数百円~千円くらいで手に入れることも可能です。
最初のお庭の雰囲気こそスカスカで寂しいものにはなりますが、「自分で木を育てたい!」「庭と一緒に成長したい!」というようなタイプの方にはそうした庭づくりもアリだと思います。
15,000円から選ぶ
15,000円くらいを目安にすると、グッと選択肢が広がります。
比較的安価で流通しているコニファー類やシマトネリコ、ソヨゴなどであれば、1.5mくらいの十分成長して見栄えする木を買うこともできます。
また、ツツジやモミジの改良品種など、広く量産されていないものも視野に入ってくるでしょう。
ただし、いずれの場合も植栽工事などの費用は入っておらず、自分で穴を掘って植える必要が出てくることには注意が必要です。
50,000円から選ぶ
ちょっと余裕をもって50,000円くらいから…という場合は、施工費も含めて考えることができます。
樹種や大きさによりますが、たとえばシマトネリコなどの広く流通している木の2mくらいのものなら、条件や業者にもよりますが施工費込みで50,000円で収まる場合があります。
いずれにせよ2mクラスの木を自力で植えるのはとてつもない重労働なので、予算に余裕をもってプロにお願いするのがオススメです。
落葉樹と常緑樹から選ぶ
庭木には大きく分けて落葉樹と常緑樹があります。
それぞれ寒さへの耐性や落葉や剪定など管理上の問題など、少し性質が違うのでそうした観点から選んでみてもいいかもしれません。
落葉樹と常緑樹の性質と、それぞれオススメの樹種をご紹介します。
落葉樹とは
落葉樹は、読んで字のごとく冬に葉っぱが落ちる木のことです。
冬になると全て葉っぱが落ちるのが基本ですが、クヌギやコナラなどいつまでも枯れた落ち葉が木に張り付いているものや、ツツジの仲間などでは条件によって落葉度合いが変わる半落葉樹というものもあります。
冬に葉っぱを落とすのは寒さに耐えるためであることが多く、北海道や東北など寒い地域では、植えられている木のほとんどが寒さに強い落葉樹となります。
落葉樹でおすすめの庭木
落葉樹の醍醐味の一つとして、紅葉や新緑など、季節ごとの色の変化があります。
そのためイロハモミジやケヤキ、コバノトネリコなど紅葉がきれいなものを植えると、四季折々の変化を楽しむことができるのでオススメです。
また、葉っぱが落ちることにより、春先に花が咲く木だと木全体が染まるようなとても美しい姿になります。
サクラやモクレンなど、葉っぱが芽吹く前に花を咲かせる花木も落葉樹ならではといったところです。
常緑樹とは
常緑樹は、落葉樹に対して冬にも葉っぱが落ちない木のことです。
一度つくった葉っぱは数年単位で使っていくものなので、基本的に落葉樹よりも落葉の量は少なくなります。
ただし常緑樹でもシラカシやクスノキなど条件が悪いと冬にほとんど落葉してしまうものがあることや、大きくなると落葉の量がばかにならないということには注意が必要です。
基本的に寒さに弱いので適しているのは関東から西、となることが多いですが、アセビやソヨゴ、各種常緑針葉樹など、比較的寒さに強い常緑樹も存在します。
常緑樹でおすすめの庭木
常緑樹の魅力の一つとして、冬でも葉っぱが落ちずに寂しい姿にならないというものがあります。
そのため葉っぱや樹形が美しい観葉植物的な選び方をしていくのがオススメです。
葉っぱや樹形がさわやかなソヨゴやハイノキなどがオススメです。
また、葉っぱが落ちない分、花の華やかさは落葉樹に劣ることが多いですが、それでも常緑ヤマボウシやツバキなど、花木として美しいものもたくさんあります。
低木、中木、高木から選ぶ
庭の大きさや管理のしやすさなどから、低木・中木・高木といった大きさのカテゴリーから選んでみるのもオススメです。
小さな庭に10mや20mにも育つ高木を植えると、成長するにしたがってうっそうとしたイメージになってしまう場合があります。
また、広い庭に3mに満たない低木がポツンと生えているだけだとそれはそれで寂しいものがあります。
もちろん樹種やレイアウト、管理の仕方によるところではありますが、木の大きさを基準にしてみると選びやすいです。
低木の定義とは
低木は丈の低い木という意味ですが、きちんとした定義はありません。
扱う分野や人によって基準がそれぞれ違っているためです。
一般的には根元から数本に枝分かれし株立ち状となる、ある程度の高さ以下の木を低木と呼ぶことが多いです。
その高さの基準があいまいで、2mとすることもあれば3~4mとされることもあるし、人の背丈くらいとされることもあります。
一応、林学関係では2~3m以下の木のことが低木とされることが多いです。
これは植物生態学・地理学におけるラウンキュルの生活系分類に従ったもので、植木のクラス分けにも使われることがあります。
この記事でも、ラウンキュルの生活系分類での定義に従ってお話していこうかと思います。
低木のおすすめの庭木
低木は、枝葉や花、果実が手の届くところで見られるというところが魅力の一つです。
高木の樹冠いっぱいに花が咲くのも魅力的ですが、すぐ近くで見た方がお花を楽しめることもあります。
たとえばヤマブキやユキヤナギなどの花がきれいなもの、ブルーベリーなどの実を収穫するものなどがオススメです。
また、高木の根元に植えてアクセントとして使うこともできるので、そうした場合は全体の雰囲気に合ったもの、たとえば洋風の雰囲気を出したいならマホニアコンフューサ、高木が春に花を咲かせるならそれに合わせて春に花が咲くもの、といった使い方もありです。
中木の定義とは
木を仲間分けする際、中木という言葉は植木屋さん以外ではあまり使われません。
一般的には2~5mくらいの、低木と高木の間くらいの高さのものを中木と呼ぶことが多いです。
低木の項で紹介したラウンキュルの生活系分類では低木と高木の境を5mくらいで二分し、大低木や亜高木と呼ばれることがあり、中木というのはそこに当てはまるものだと考えられます。
中木のおすすめの庭木
中木にもいろいろなものがありますが、比較的まとまりがよく、扱いやすい木が多いのが特徴です。
10mも20mにもなる高木のように(高木でも実際にお庭でそこまでの高さになることは少ないですが)手が付けられない大きさにならず、はるか上の樹冠で花や実がついてるというようなことにはなりません。
シンボルツリー的な風格を保ちつつ、花や実や紅葉などを間近で楽しむことができます。
たとえばイロハモミジやツバキ、ボケやカリンのように、一年のうちどこかのタイミングで何か楽しめる要素があるものがオススメです。
高木の定義とは
高木も低木や中木とおなじで、必ずこれを使わなければいけないというきちんとした定義はありません。
一般的には、きちんとした主幹を持ち、ある程度以上の高さに伸びるものが高木と呼ばれます。
先に紹介したラウンキュルの生活系分類では、7,8または10m以上が高木とされます。
少なくとも主幹があり10m以上の高さがあれば、特に個人の感覚や認識の違いで境界があいまいになる言葉もないので、高木と言って良いのではないかと思います。
高木のおすすめの庭木
高木はいわずもがな大きくなる木なので、シンボルツリー的な扱い方をしていくのがオススメです。
たとえばケヤキやモミの木など、花や実を楽しむわけではないですが、その風格や佇まいで安心できる木を選ぶと良いでしょう。
ちょうどいい木陰ができるのも高木ならでは。
ただ、高木となると落葉や虫が発生したときの量も半端ではなくなるので、掃除や近隣への迷惑が気になるのであれば常緑樹の方がよいかもしれません。
もっと言うと常緑針葉樹の方が葉っぱが小さく、虫も比較的発生しづらいです。
育てやすさから選ぶ
木にも種類によってさまざまな性質があるので、育てやすい木とそうでない木とがあります。
自分の技術や経験と相談して、それに合わせた木を考えてみるというのも選び方の一つです。
扱い方が難しい木は剪定の仕方一つとっても他の木と違う部分があるので、まずは初心者向けの育てやすい木から始めてみると良いでしょう。
初心者向けの庭木
コバノトネリコやソヨゴなど、自然樹形が美しい木は放っておいてもきれいに整うのでオススメです。
切っても良く芽吹くものが多いので、間違えて切りすぎてしまってもなんとか体裁を保てる者が多いのも理由の一つ。
樹形を整える切り戻しなどを行う練習台にもなります。
そういう意味では、なにも考えず刈り込んでもなんとかなるイヌツゲやカナメモチなどもオススメです。
中級者向けの庭木
中級者向けの木としては、リンゴやブルーベリーなどの果樹がオススメです。
花を咲かせるための剪定のタイミング、切り方、実を上手につけるための管理の仕方や人工授粉など、普通に木を育てるにしても少し手間がかかります。
病害虫や鳥獣害が比較的多いのも気になるところ。
ただ、仕事ではないので気楽にチャレンジできるし、上手にできれば家族みんなで楽しむことができます。
品種どうしの掛け合わせや品種の良さを最大限引き出す管理など、極めていくととても奥が深いものです。
上級者向けの庭木
アカマツやクロマツなどの松の仲間は、他の木と比べて扱いが難しい種類です。
植木屋さんに剪定をお願いするときも、松の剪定は別途見積もりとなることが多いです。
ほとんどの種類の松は芽吹くタイミングが限られているので、他の木のように切りすぎてしまってもひこばえが出てくるようなことが無く、極端な話、葉っぱをすべて落としてしまうと100%枯れてしまいます(リキダマツのような一部の種類を除く)。
松の管理でしか使われない用語もあり、比較的病害虫も多いので、案外庭で立派に育てるのは難しい木なのです。
ただ、その分松にしか出せない迫力や趣があり、立派に育ったものはかなりの価値があります。
木を育てるのに興味が出てきたら挑戦してみても良いでしょう。
用途から選ぶ
なんのために木を植えたいのか、用途から選んでみるのが結局大事だったりします。
育てやすさや価格も大事ですが、それに引っ張られすぎて当初の目的を忘れないようにしましょう。
木を植える目的別にオススメの樹種をご紹介します。
目隠しに適している木
リビングや玄関先などの目隠しとして木を植えたいときは、コバノトネリコやハイノキなどの雑木風の木がオススメです。
横に広がる自然樹形でさりげない目隠しができるし、管理も楽なためです。
広い範囲を目隠ししたい場合は、カナメモチやカイヅカイブキなどを一面に植えて生垣を兼ねた目隠しとしても良いでしょう。
シンボルツリーとしての庭木
シンボルツリーとして植えたい場合は、見ていて飽きの来ない木や、安心感のある木がオススメです。
また、育てやすい木というのも重要なポイントです。
毎日見るものなので、季節ごとの変化や年を追うごとの成長があったり、お庭の真ん中にどっしり立って見守ってくれたりするような木の方がより「シンボルらしさ」があります。
ケヤキやシラカシなどの大きくなる木や、サクラやイロハモミジなどの季節ごとの変化があるものがオススメです。
これは家の雰囲気やコンセプト、植える人の好みなどもあるのでしっくりくる木を探してみてください。
庭木はどこで購入するのがベストか
庭木はインターネットでも購入することができますが、その多くは工事なしで商品のみ届きます。
自分で植えてしまうと、枯れてしまう事もあります!
庭木の注文から工事までを一括でしたいなら、植木市場がおすすめです!
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愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。