屋外でありながら雨風をしのげる。室内でありながら開放感がある。そんな「半屋外」のガーデンルームがお庭にあれば、ご家族で楽しめる時間が増えますね。しかしガーデンルームの設置には高額な工事費用がかかります。「ガーデンルームを設置したいけど、高額な費用をかけてもし失敗したら……。」と考えて、二の足を踏んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
当記事ではガーデンルームを設置して後悔しないために、設置前に知っておきたいポイントをまとめました。またガーデンルームを設置したものの、ちょっと思っていたのと違ったな……と感じている方のために、ガーデンルーム設置後にできる改善策もご紹介します。ぜひ参考にしてください。

目次

ガーデンルームを設置したら、どんなスペースにしたい?ガーデンルーム設置の目的を考える。

ガーデンルームを設置して後悔しないためには、ガーデンルームをどのように活用するか目的を事前に明確にしておくことが大切です。ここではガーデンルームの活用方法を挙げています。

ガーデンルームの目的①:敷地の中に雨をしのげる空間を増やす。

屋外のように開放的な空間でありながら雨にしのげるため、ガーデンルームは洗濯物を干す場所に適しています。しかしただ洗濯物を干すための場所なら、ガーデンルームではなく「サンルーム」と呼ばれることが多いようです。サンルームは三方をガラスサッシで囲んで機能性を追求した印象があります。

反対にガーデンルームは三方をガラスサッシで囲むサンルームのようなものもあれば、腰壁などで下半分だけゆるく仕切るなど仕様はさまざまです。機能性よりも「室内と庭をつなぐ空間」というコンセプトで作られています。

ガーデンルームの目的②:おうちの外観をおしゃれにグレードアップさせる。

ガーデンルームはデザイン性が高く、設置すればおうちの外観がアップします。屋根や柱のデザインをおうちの外観とコーディネートすると、ガーデンルームを後からリフォームで設置してもおうちとの一体感が出ます。ガーデンルームは室内を増築するのとは異なりますが、外部から見るとまるでおうちが大きくなったようにも見えます。

ガーデンルームの目的③お子様の遊び場、観葉植物置き場など趣味嗜好の空間を作る。

お子様をお庭で遊ばせると日の当たりすぎや虫さされなどが気になります。ガラスサッシで仕切られたガーデンルームを採用すれば虫にさされる心配もなく、シェードを使って直射日光を遮ることもできます。

ほかにもガーデンルームは屋外ほど過酷な暑さ寒さにならないため、観葉植物を育てる場所にも適しています。観葉植物は屋外の雨ざらしで育つものは少なく、屋内でも日当たりが必要なものが多いのでガーデンルームは植物にとって適した環境です。ガーデニングが趣味の方にガーデンルームは魅力的ですね。

ガーデンルームを設置したら後悔するかも?ガーデンルームのおもなデメリットをご紹介。

ガーデンルームを設置して後悔しないために、あらかじめ知っておきたいガーデンルームのデメリットをまとめました。参考にしてください。

ガーデンルームのデメリット①:夏は暑く冬は寒い。

ガラスサッシで仕切られたガーデンルームは気密性が高く設計されていますが、断熱材が入った壁で囲まれている室内とくらべると外気の影響を受けやすくなります。そのため真夏や真冬などは快適な温度を保つのが難しいかも知れません。

対策としては夏ならシェードなどで直射日光が入るのを遮る、冬なら使用時以外は室内とガーデンルームを仕切る、などが挙げられます。

ガーデンルームのデメリット②:設置費用が高い。

設置工事費用が百万円以上と、ガーデンルームは採用に少々勇気が必要です。特にガラスサッシで仕切らない腰壁タイプのような仕様は、機能面ではウッドデッキとテラス屋根をセットで設置するのとさほど変わりません。

ガーデンルームの設置費用で悩むなら、他の部材を使用してガーデンルームのようなスペースを作れないかどうか検討してみましょう。エクステリアのプランニングに強い業者に相談してみるのもおすすめです。

ガーデンルームのデメリット③:ガラス張りにすると雨などの汚れが目立つ。

お庭にガラス張りのガーデンルームを設置すると、窓の汚れが気になります。特にお庭の地面が土のままだと砂ぼこりや雨で跳ね上げられた泥で窓が汚れるのは仕方ありません。ガラス張りのガーデンルームはお庭を見渡すためのものです。せっかくの景観を台無しにしないために、ガーデンルームには時折メンテナンスが必要です。

ガーデンルームのデメリット④:屋内のようで屋内ではない空間。

ガーデンルームはショールームやカタログで見るとまるで屋内の空間が広がるようなイメージがありますが、快適に使用できる時期は一年の中でそうたくさんありません。特に冬場は開け放しておくと寒いため、室内と仕切って生活することがほとんどです。ガーデンルームはあくまでも屋外の空間として考えましょう。

ガーデンルームの設置で失敗しないために必ず知っておきたいポイント。

ガーデンルームを設置する前に必ず知っておきたいポイントをまとめました。

事前に知っておきたいポイント①:ガーデンルームは固定資産税の対象になることも。

不動産登記法では床面積に加算するものに、

・天井がある。

・3方向以上が壁やガラスなどで囲まれている。

・床から一番高い天井までの高さが1.5m以上。

以上の条件を挙げています。

この条件ではガラス張りのガーデンルームは固定資産税の対象です。
ただこの条件のほかに基礎の作られ方や面積も考慮されます。

これは一軒一軒事情が異なるため、ガーデンルームの設置前に固定資産税の対象になるかどうかを必ず確認しましょう。

事前に知っておきたいポイント②:ガーデンルーム内の日当たりは良くても、室内の日当たりが悪くなることも。

特にガーデンルームの屋根に非透過タイプを採用した場合、ガーデンルームへの直射日光を遮るため温度の上昇は防げますが、室内の日当たりは悪くなってしまいます。非透過タイプは軒天にダウンライトなど照明を取り付けやすいため、夜間にガーデンルームを使用したい方にはおすすめです。

事前に知っておきたいポイント③:換気の問題が生じる。

ガラス張りのガーデンルームでは気密性が高くなるため、換気を考慮する必要があります。特に屋外と室内の温度差が大きくなる冬場や、ガーデンルームに洗濯物を干して湿度が高くなっている場合は結露やカビの原因にもなるため注意が必要です。

事前に知っておきたいポイント④:ガーデンルームで快適に過ごせる季節はさほど多くない。

ガーデンルームにかかわらず日本全体に言えることですが、真夏の気温上昇や冬場の寒さが厳しい昨今の日本列島ではお庭で快適に過ごせる季節はそう多くありません。

雨や風をしのげるガーデンルームでも屋内に比べると外気の影響は受けやすいものです。設置後に後悔しないためにはガーデンルームの採用前にはどのように空間を活用するかを検討し、費用対効果を考えましょう。

事前に知っておきたいポイント⑤:設置場所によっては外から丸見え。

ガーデンルームの軒天などに照明を取り付ければ、夜間でも楽しめる空間になります。しかし夜間の屋外で照明をつけていると外からは丸見えです。

場所にもよりますが、近隣に住宅がある場所に照明付きのガーデンルームを設置する場合は、シェードなどを取り付けて目隠し対策することをおすすめします。

ガーデンルームを設置後、後悔している方へ。対策できるポイントをご紹介!

ガーデンルームを設置したものの「こんなはずではなかった」「思っていたのとちょっと違う」と感じている方もいると思います。せっかく設置したガーデンルームをもっとお気に入りの場所にするためにできる限りの対策をご紹介します。参考にしてください。

対策①:暑さや外部からの視線が気になる時はシェードを活用。

ガーデンルームの屋根に透過タイプを採用した場合、日差しが直接ガーデンルームにはいるので季節によってはガーデンルーム内が暑くなりすぎてしまいます。

快適な空間にするためにはオプションのシェードがおすすめです。LIXILでは「内部日除け」という名称で販売されています。

対策②:虫よけは大切!開閉する窓にはオプションの網戸を設置する。

映画やテレビでは庭に面した窓を開け、縁側などでくつろいでいるシーンをよく見かけます。
しかし窓を全開にしたまま、虫が入ることを気にせず快適に過ごせる住宅はあまりないのではないでしょうか?ガラス張りのガーデンルームを採用したら、開閉する窓にはオプションの網戸を採用されることをおすすめします。

対策③:気温上昇を防ぐにはガラスサッシに遮熱フィルムを貼る。

遮熱フィルムをガーデンルームのガラスに貼る方法です。遮熱フィルムとは窓に当たる日射熱を30%~70%もカットしてくれるもので、暑さ対策のほかに紫外線対策や省エネ対策にもなります。

遮熱フィルムには透過性のあるものはもちろん、少し黒みがかったスモークタイプや中の様子をわかりにくくするミラータイプなどもあります。

価格は3M社の遮熱フィルムを例に挙げると1016㎜×2000㎜で約1万円です。Amazonや楽天などのネット通販でも購入できます。DIYでも施工できますが、すき間なく綺麗に貼る自信がないという方は業者に依頼することをおすすめします。

まとめ

当記事ではガーデンルームを設置して後悔しないために知っておきたいポイント、ガーデンルームを設置した後のお悩み対策についてお伝えしました。コロナ禍以降リモートワークが普及し、おうちで過ごす時間が増えました。

おうちをより快適な場所にする意味でガーデンルームは効果的です。ガーデンルームだけでなくどんな外構部材にもいい点と悪い点が必ずありますが、採用する目的がしっかり定まってさえいれば「設置してよかった!」と感じることがほとんどです。どんな空間にしたいかを明確にして、快適なガーデンルームをつくりあげましょう!

高杉 有希子
監修者 エクステリアプランナー 高杉 有希子

静岡県御殿場市の土建屋に生まれ、大型重機が大好きな子供時代を送る。
建築に憧れ、三重短大で住環境を学ぶ。新卒でハウスメーカーFC工務店の「インテリアプランナー」に応募するも、社長の勘違いで募集したかったのはなんと「エクステリアプランナー」!!
ハウスメーカーで個人住宅のエクステリアを担当。その後、ゼネコン住宅事業部のインテリアプランナー、植木屋の外構プランナーを経て、現在は(株)ガーデンメーカーで営業設計を務める。

執筆者 らいち

大阪生まれ大阪育ち。古めの建築物が大好きです。暇さえあれば、団地建て替えの現場を見物に行って萌えています。