秋になると赤く色づくモチノキの実。庭木としても人気があり、鮮やかな実が冬の景色を彩ります。
しかし、適切に管理しないと実がつかないこともあります。
毎年しっかりと実を楽しむためには、正しい育て方と剪定が大切です。
今回は、モチノキに実がならない原因と対処法、実をつけるための育て方や剪定方法について紹介します!

目次

モチノキに実がならない原因と対処法

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どうしてモチノキに実がならないのか。
それには複数の原因があり、それぞれの対処法があります。

まずは、モチノキに実がならない原因とその対処法について知っておきましょう。

1. 雄株のモチノキ|そもそも実がならない

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モチノキは雌雄異株(しゆういしゅ)の樹木で、雄株と雌株が別々に育ちます。
雄株の木には花が咲きますが、実をつけることはありません。
実を楽しみたい場合は、雌株のモチノキを選びましょう。

ただし、雌株だけでは受粉ができず、自家受粉で実がならないこともあります。
近くに雄株がないと花粉が届かず、結実しにくくなります。
確実に実をつけたい場合は、同じ環境に雄株を1本植えておくと安心です。
モチノキを植えるときは、雄株と雌株のバランスを考えることが重要です。

対処法:雌雄の違いを確認する

モチノキに実をつけたい場合は、まずは雌雄の違いを確認することが必要です。
モチノキには雄株と雌株があり、実をつけるのは雌株のみです。
雄株だけでは花が咲いても、実がなりません。

見分けるポイントは花の構造です。
雄株の花には雄しべだけがあり、雌株の花には小さな雌しべが中央にあります。
春から初夏にかけて咲く花を観察し、どちらの株かをチェックしましょう。

2. 受粉の失敗|近くに雄株がないため受粉できない

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モチノキの実がならない原因のひとつに、受粉の失敗があります。
雌株の木だけを植えていると、花粉を運んでくれる雄株がなく、実がつきません。
モチノキは風や虫によって受粉するが、近くに雄株がないと花粉が届きにくいです。

対処法:受粉を助ける工夫をする

モチノキの実をつけるためには、受粉を助ける環境づくりが大切です。
近くに雄株があっても、風通しが悪かったり、虫が寄り付きにくかったりすると受粉がうまくいかないことも。

受粉を促すには、まず枝が混み合っている場合は剪定をして風通しを良くすることがポイントです。
ハチやチョウなどの昆虫が訪れやすいように、近くに花の多い植物を植えるのもおすすめです。
庭の環境を整えることで、自然と受粉がスムーズに進みやすくなります。

3. 肥料の過不足|春に花が咲いていない

肥料

そもそもモチノキの実を楽しむためには、春にしっかりと花を咲かせることが重要です。
花がつかない原因のひとつに、肥料の過不足があります。
肥料が足りないと、樹勢が弱まり花芽がつきにくくなります。

一方で、窒素分の多い肥料を与えすぎると、葉ばかりが茂り花が咲かないことも。
適量の肥料を与えるためには、冬の寒肥として有機肥料を土に混ぜ込むのがポイントです。
春の追肥は控えめにして、花付きのバランスを整えましょう。

対処法:花が咲きやすい肥料やりを行う

モチノキの花を咲かせるためには、適切な肥料を与えることが重要です。
窒素が多すぎる肥料ばかり与えていると、葉ばかりが茂り、花芽の形成がうまくいかないこともあります。

冬の寒肥として、有機質の堆肥や油かすを根元に施すのがポイントです。
春はリン酸を多く含む肥料を控えめに与えることで、花付きが良くなります。
肥料の量や時期を意識することで、健康な枝葉と美しい花を楽しめます。

4. 日照不足と植栽環境|日当たりや育てる環境が悪い

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モチノキは日当たりの良い場所を好む樹木です。
日照不足になると花付きが悪くなり、実がならないことがあります。
特に、建物の陰や大きな木の下など、長時間日陰になる場所では、生長が鈍くなりやすいです。

また、水はけが悪い土壌や風通しの悪い環境も、根の張りを妨げる原因になります。
健康な木に育てるためには、日当たりと風通しの良い場所を選び、土壌の状態を整えることが大切です。

対処法:日当たりと栽培環境を整える

モチノキの実つきを良くするためには、日当たりの確保が重要です。
1日を通してしっかり日が当たる場所に植えると健康な枝葉が育ち、花付きも良くなります。
半日陰でも育ちますが、極端に日照が不足すると花芽がつかなくなることも。

また、水はけと風通しの良い環境を整えることもポイントです。
土が硬い場合は、腐葉土や川砂を混ぜて改良すると根張りが良くなります。
植え付け場所を見直し、適した環境をつくることで、モチノキ本来の美しさを引き出せるでしょう。

剪定の失敗|新しい枝を切りすぎた

pruning

モチノキは、春から初夏にかけて伸びる新しい枝に花芽をつけます。
剪定のタイミングや切る場所を間違えると、翌年の開花が減り、実がならなくなることがあります。
特に、夏以降に強剪定をすると、翌春に咲くはずの花芽ごと切り落としてしまう可能性があります。
剪定のしすぎは、木の負担にもなるため注意が必要です。

適度な剪定で枝葉のバランスを整えながら、花芽を残すことが大切です。剪定の方法を見直すことで、実つきが改善されます。

対処法:剪定のタイミングとやり方を知る

モチノキの実をつけるためには、剪定のタイミングとやり方にも正確性を求めましょう。
花芽がつく新しい枝を切りすぎると、翌年の開花が減り、実もならなくなります。
剪定の適期は、花が終わった後の6〜7月ごろがベスト!

冬の剪定は花芽を落とす原因になるため避けるのが無難です。
枝が混み合いすぎた部分を間引くように切り、全体のバランスを整えることがポイントです。
適切な剪定を行うことで、花付きが良くなり、実もつきやすくなります。

また、どの枝を残せばよいかわからない場合は、プロの業者へ依頼するのもおすすめです。
適切な剪定を行い、毎年安定して実がつくように整えます。

6. 水の不足|水やりの頻度が足りない

watering

モチノキは乾燥に強い樹木ですが、水不足が続くと花芽の形成が遅れ、実がつきにくくなることがあります。

特に、植え付けて間もない苗木は、根が十分に張っていないため、水切れしやすいです。
夏の高温期に水やりを怠ると、枝葉の勢いがなくなり、花付きや実つきに影響することもあるため注意が必要です。

乾燥が続く時期は、朝か夕方の涼しい時間帯にしっかりと水を与えることが大切です。
適切な水やりで、健康なモチノキを育てましょう。

対処法:適切な水やりを行う

モチノキの実つきを良くするためには、水やりの頻度と量を見直すことが大切です。
特に、根が十分に張っていない若木は、水不足になると花芽が育たず、実がならないこともあります。

水やりのタイミングは、土の表面が乾いたらたっぷりと行うのがポイント。
夏は朝か夕方の涼しい時間帯に行い、冬は乾燥しすぎない程度に控えめにすることが大切です。

地植えの場合も、極端に乾燥が続くときは水やりをすることが必要です。
適度な水分を与え、元気な木に育てましょう。

モチノキを実らせるための育て方のコツ

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モチノキに実がならない原因を作らないためにも、苗木を植え付ける前から育てる環境を良くすることが大切です。

植え付けの適期と土壌の質を知っておく

soil

モチノキの適切な植え付け適期は春か秋で、極端な暑さや寒さを避けることがポイント。
水はけの良い土を好むため、粘土質の土や水が溜まりやすい場所は避けるようにしましょう。

植え付け前に腐葉土や赤玉土を混ぜて、ふかふかの土を作ると根付きが良くなります。
適した環境を整えることで、丈夫なモチノキに育ちますよ。

苗木のうちは水やり・肥料やりをしっかりと行う

watering

モチノキの苗木は、根が浅く乾燥しやすいため、水やりをこまめに行うことが大切です。
特に、植え付けから1〜2年は土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えましょう。

肥料は、春と秋に緩効性の有機肥料を根元に施すと生育が安定しやすくなります。
生長が進むと乾燥や養分不足にも強くなりますが、苗木のうちは水分と栄養をしっかり補い、健康な木に育ててくださいね。

冬の時期には病害虫対策を行う

カイガラムシ

冬はモチノキが休眠する時期のため、病害虫の被害を防ぐための対策をしておくことが大切です。
特に、カイガラムシは枝や幹に付着しやすく、放置すると樹勢が弱る原因に。

対策として不要な枝を剪定し、風通しを良くすることがポイントです。
冬のうちに薬剤を散布しておくと、春の発生を抑えられます。

定期的なチェックと予防を行い、健康なモチノキを育てましょう。

モチノキを実らせるための剪定のポイント

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秋にモチノキの真っ赤な実が観賞できるように、剪定のポイントを押さえておきましょう。
ここでは、モチノキに実がつくための、剪定のコツを紹介します。

Point1. 透かし剪定を適切に行う

pruning

モチノキを健康に育て、実つきを良くするためには、透かし剪定が欠かせません。
枝葉が混み合いすぎると、日光や風が十分に行き渡らず、花付きや実つきが悪くなることもあります。

剪定のタイミングは、生長が緩やかになる冬から春先が適しています。
絡み合った枝や、内側に向かって伸びる枝を間引くように切ると、風通しが良くなり病害虫の予防にもつながります。
適度な剪定を行うことで、バランスの良い美しい樹形を保つことができます。

Point2. 実がつく枝と不要な枝を見極める

pruning

モチノキの実つきを良くするには、剪定時に実がつく枝を残し、不要な枝だけを取り除くことがポイント。
新しい枝に花芽がつくため、強剪定をしてしまうと翌年の実が減ることがあります。

見極めのポイントは、細く弱った枝や、内側に伸びる枝です。
これらは養分を分散させるため、思い切って剪定すると樹勢が整います。
実を楽しみたい場合は、勢いのある健康な枝を残します。
適切な剪定を行い、美しいモチノキを育てましょう。

Point3. 剪定後にはケアをしっかりと行う

pruning sealer

剪定後のケアを丁寧に行うことで、モチノキの健康を保ち、実つきを良くすることができます。
特に太い枝を切った後は、切り口から病原菌が侵入しやすいため注意が必要です。
剪定をした後には癒合剤を塗って、切り口を保護するのがポイントです。

また、剪定後は木に負担がかかるため、数日間は水やりを控えめにして様子を見ましょう。
適切なケアを行うことで、元気な枝葉が育ち、翌年の花や実つきも良くなります。

モチノキの詳しい剪定方法について知りたい方はこちらの記事へ!

モチノキに実がなるまでにかかる年数と生長過程

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生育環境、管理方法がしっかりとできていても、モチノキが幼木であれば、実が付くことはなかなかありません。

植え付けから開花・結実までの流れ

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基本的にモチノキは生長がゆるやかで、実がつくまでに数年かかることが多いです。
苗木を植え付けてから根がしっかり張るまでに1〜2年、その後、春に新芽を伸ばしながら枝が増え、3〜5年ほどで花をつけ始めます。

開花した雌株に受粉が成功すると、秋に赤い実がなります。
最初の数年は実がつきにくいことがありますが、適切な管理を続けることで、毎年安定して花を咲かせ、実を楽しめるでしょう。

実がなるまでの注意点

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モチノキの実を楽しむためには、生長過程で適切な管理をすることが大切です。
植え付け後は根が張るまで水切れに注意し、乾燥しすぎないように管理しましょう。

また、雌株だけでは受粉ができず実がつかないため、近くに雄株を植えることもポイントです。
剪定のしすぎは花芽を減らす原因になるため、枝を透かす程度にとどめることが大切です。

環境を整えながら育てることで、安定した結実につながります。

成木になった後の管理方法

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成木になったモチノキは、生長が落ち着くため管理がしやすくなります。
ただし、枝が混み合うと風通しが悪くなり、花付きや実つきに影響することもあります。
剪定は花が終わった後の初夏に行い、不要な枝を間引くのがポイントです。

肥料は春と秋に緩効性のものを施し、根の健康を保ちましょう。
乾燥が続く時期は水やりを適度に行い、樹勢を維持することが大切です。
適切な管理を続けることで、毎年安定した実つきを楽しめます。

モチノキに実がならないことに関するよくある質問

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最後に、モチノキの実がならないことに関するよくある質問をまとめました。
まだまだ不安な方は、ここでの回答を参考にして、管理方法を見直してみてください。

モチノキに実がつかない場合に試すべきことは?

モチノキに実がつかない原因はいくつか考えられますが、まずは雌株かどうかを確認してみましょう。
雄株だけでは花が咲いても実はなりません。

また、近くに雄株がない場合は受粉がうまくいかず、結実しにくいこともあります。
剪定のしすぎで花芽を落としていないか、水やりや肥料のバランスが適切かもチェックしましょう。
環境を整えながら管理すると、翌年以降に実がつく可能性が高まりますよ。

近くに雌株がない場合、実がならない可能性は高くなりますか?

モチノキは雌雄異株のため、雌株がないと実はつきません。
雄株だけでは花が咲いても受粉ができず、結実することはありません。

近くに雌株がない場合、実がならない可能性は高くなりますが、数十メートル以内に雌株があれば、風や虫が花粉を運んでくれることもあります。
確実に実をつけたい場合は、雄株と雌株をセットで植えるのが安心です。

モチノキは鉢植えでも育てられる?

モチノキは鉢植えでも育てることができますが、根がしっかり張る広さが必要です。
生長すると大きくなるため、深めで直径40cm以上の鉢を選ぶのがポイントになります。
水はけの良い土を使い、日当たりと風通しの良い場所で管理すると健康に育ちます。

鉢植えの場合は乾燥しやすいため、水切れに注意しましょう。
定期的に植え替えを行い、肥料を適量与えることで、美しい樹形を維持しながら育てられます。

モチノキを実のらせる剪定はsmileガーデンへ

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モチノキの実を楽しむなら、剪定の技術が重要です。
smileガーデンなら、実つきを考えた適切な剪定で、美しい木を維持できます。
全国No.1の店舗数で、庭木1本から依頼が可能です。
出張見積もり無料で、費用も明瞭です。

経験豊富な職人が、花芽を残しながら剪定を行い、翌年も実がつきやすい仕立てに整えます。
モチノキの剪定を安心して任せるなら、smileガーデンへ依頼してみてください。

氏永 勝之
監修者 smileグループCEO
株式会社ガーデンメーカー 代表取締役
愛知農園植木苗木株式会社 専務取締役
一般社団法人ガーデンビジネス協会 代表理事
氏永 勝之

愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。

執筆者 柴﨑光一

リゾートガーデンスタイル専属の庭師×Webコンテンツクリエイター。 カナダのトロントで造園士を、その後日本で花屋のバイヤー・鉢物の管理・アドバイザーを経験した後、ヤシの木を主体とするリゾート・ドライガーデンの造園士に。 現在は、リゾートガーデンスタイルの社会福祉施設・DOG CAFEの専属庭師に加え、畑の開拓・管理、SNSも兼務。 植物を専門とするWebコンテンツクリエイター、ガーデニング商品の監修者としても活躍中。

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