庭で育てられて、生でも食べられるジューンベリー。
非常に魅力的な果樹ですが、育て方によっては実がならないこともあります。
なぜ実がならないのか、どうしたら実がなるのか、解説していきます。
目次
ジューンベリーの木に実がならない3つの原因とは
ジューンベリーに実がならない原因には、大きく3つの原因があります。
自分の庭のジューンベリーに当てはまるものがないかチェックしてみましょう。
決して育てにくい種類の木ではないので、原因を見つけて対処できれば実がなるはずです。
手入れの仕方
手入れの仕方が原因で実がならないパターンです。
環境が良ければ、特に手を加えなくても実がなることはありますが、庭はあくまで人工的な環境で、そこに人為的にジューンベリーの苗木を植えているので、実がなる条件が整っているとは限りません。
毎年十分な量の実を収穫するためには、手入れが必要ということを覚えておきましょう。
剪定のやり方
剪定のやり方によっては、実がなるはずの枝を切ってしまっていることもあります。
ジューンベリーは春になると枝先に花を咲かせ、それが6月ごろ実になります。
そして、その花芽ができるのは実が熟したあとの夏頃です。
なので、秋から冬にかけて枝先をまんべんなく刈り込んでしまうと、せっかくの花芽が落ちてしまい、実がならないどころか花が咲かないというわけです。
冬に剪定する場合は、全体を切り戻すのではなく、何本か骨格となる枝を決めて、それに合わせて切っていくようにしましょう。
また、まだ株が若いころは、剪定量が多いとその分成長速度が遅くなります。
小さな苗木から育てる場合などでは、剪定は控えめにしましょう。
木に元気が無い
木に実をつけるほどの元気がない場合です。
木が枯れるほどではなくても、栄養分が足りていなくて実をつけないことがあります。
地植えの場合、冬の間に緩効性の化成肥料などを与え、鉢植えの場合、早春と秋ごろに肥料を与えるのがおすすめです。
窒素分が多いと実がなりづらいことがあるので、与えるならリン酸が多いものを使いましょう。
また、若木だと実をつけられるほど育っていない可能性もあります。
ジューンベリーは耐陰性がありますが、あまりに暗すぎると成長速度が遅くなり、大きくならないという場合があります。
当然花付きも悪くなるので、ジューンベリーが育ちやすい環境を目指しましょう。
乾燥してしまっている
ジューンベリーは、花芽ができる夏ごろに強い乾燥にあうと、実つきが悪くなることがあります。
夏場に長期間雨が降らず、葉がしおれていたり葉先から枯れているようなことがあれば、水やりをしたり根元にマルチングしたりして乾燥を防ぎましょう。
うまく受粉できていない
ジューンベリーは自家受粉でも実をつけるので、基本的に別品種を並べて植える必要はありません。
ただし、花に訪れる虫がいないか少ないと受粉がうまくいかないことがあります。
花は咲くけどそのまま落ちて実にならないという場合などは、自分で綿棒などを使って受粉させる人工授粉を試してみましょう。
鳥に食べられている
実がならないのとは少し違いますが、ジューンベリーの実は鳥に食べられてしまうことがあります。
実はできていたのにあるとき突然無くなってしまうという場合には、鳥の食害を疑ってみましょう。
被害が激しい場合は熟したらすぐに収穫するか、防鳥ネットを使うなどして対策できますが、難しい場合もあります。
ジューンベリーの木の実らせ方
ジューンベリーは、上手に育てればご家庭の庭でも実をつけることができます。
環境をあまり選ばないので、比較的育てやすいです。
また、スーパーなどに出回ることが少ないジューンベリーの実は、自分の庭ならではの魅力となります。
ジューンベリーの特徴を覚えて、育成にチャレンジしてみましょう。
ジューンベリーの木の育て方とは
ジューンベリーは、鉢植えでも地植えでも育てることができます。
土は水はけと水もちの良いものを選び、弱酸性の土を好むので苦土石灰などは施用しません。
夏場に乾燥が続いた場合は、地植えの場合でも水やりやマルチングを行いましょう。
地植えの場合は2月ごろ、鉢植えの場合は3月と9月ごろに緩効性肥料を与えます。
半日陰でも育ちますが、可能であれば日当たりの良い場所で育てましょう。
ジューンベリーの木の実がなるまで何年掛かる?
ジューンベリーの苗木は、一般的に3年くらいで実をつけはじめるといわれています。
ただし、それは順調に生育できた場合で、うまく成長できていないと3年たっても実がならないこともあるので注意が必要です。
逆に生育が早いと3年たたずとも実がなる可能性もあるので、あくまで年数は目安として考えましょう。
ジューンベリーの木の寿命って?
樹木が確実に寿命(老衰)で枯れたと判断するのは難しく、多くが様々な原因が複合的に絡んで枯れていると考えられます。
ジューンベリーや近縁のザイフリボクは、実もの盆栽として扱われることもあり、健全に育てば数十年以上育つものと考えて良いでしょう。
枯れる事はあるの?
ジューンベリーも、管理方法や環境要因などによって枯れることがあります。
苗木の段階で枯れることも、大木になってから枯れることもどちらの可能性もあります。
枯れてから後悔しないよう、丁寧な管理を目指していきましょう。
ジューンベリーの木を育てる上での注意点
ジューンベリーを育てるうえで、注意しなければいけないことがいくつかあります。
いずれも外からくるもので、ときに防ぐのが難しいものもありますが、対策できるものはあらかじめ準備しておきましょう。
鳥に注意
ジューンベリーの実は美味しいので、鳥によく食べられます。
庭に植えている以上多少は仕方ない部分もありますが、被害が大きい場合は実が熟す間のみ防鳥ネットをかけたり、毎日チェックして熟したものからすぐに収穫したりして対策しましょう。
鳥を音で威嚇するなど、一時的に追い払うこともできますが、害が無いとわかるとまた集まってしまうので注意が必要です。
病気に注意
ジューンベリーにつく病気はそれほど多くないですが、レッドロビンなどに多く発生するごま色斑点病にかかる可能性があります。
葉に赤黒い斑点ができる病気で、それ単体で枯れることはありませんが、被害が大きくなると成長が遅くなったり、早期に落葉したりする場合があります。
近隣のレッドロビンやバラ科の樹木などをよくチェックして、発生していないか注意しましょう。
発生したら早いうちに薬剤を散布したり、斑点の出ている葉を摘み取って焼却処分するなどして対処が可能です。
まとめ
ジューンベリーは、うまく育てれば庭でそのまま食べられる果実をつける魅力的な木になります。
どうして実がならないのか、どうすればよく育つのか、特性を理解して育てれば、たくさん実をつけることが可能です。
どうしても実がならないという場合は、周りの環境や手入れの方法から原因を探り、トライアンドエラーで色々試してみましょう。
愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。