柚子の木を育てているのに、なかなか実がならない…。
そんな時は、管理方法に問題があるかもしれません。
柚子の木の管理方法によっては何年たっても実がならないという場合もあります。
柚子の木の特性や実をつけるための管理方法などについてご紹介します。
目次
柚子の木に実がならない3つの原因とは
柚子の木に実がならない原因にはいくつかあり、その多くが管理方法によるものです。
元々実をつけるまでに比較的長い年月が必要な樹種なので、そもそも柚子が実をつけるほどの年月を経ていないという場合もありますが、管理方法によっては何十年たっても実がならないという可能性もあります。
実がならない原因を大きく3つに分けて紹介するので、当てはまるものがないかチェックしてみましょう。
剪定時期・方法
剪定のやり方の問題で、柚子の木が本来花や実をつけるはずの枝を切ってしまっているという場合です。
柚子の木は春、夏、秋に枝を伸ばす場合がありますが、そのうち実をつけるのは春に伸びた枝だといわれています。
剪定する際にはその枝を残して切る必要があるため、全ての枝を短く剪定するようなことをすると全く実がならないこともあり得るので注意が必要です。
また、苗が小さい頃から剪定していると、成長が悪くなってしまいます。
その場合も、本来実ができる樹齢になっても成長量が足りず、いつまでたっても実がならないということになりかねません。
剪定時期
柚子の木の剪定時期は、芽吹く前の3月くらいが良いとされています。
その時期が一番柚子の木にとってダメージが少なく、弱りづらいです。
それ以外の時期に多少切る分には問題ないですが、木の骨格を整えるような剪定をしてしまうと、反動のように勢いよく枝が伸びることがあります。
そうして伸びた枝には花芽がつきづらいので、適期以外に大きな剪定を行うと実がならない・なりづらいことがあります。
実がなる年、ならない年(隔年結果)
柑橘類には「隔年結果」という、実がなる年とならない年を交互に繰り返す性質があるものが多く、柚子はその性質が比較的強いといわれています。
今年実がなった枝には来年実がならず、今年実がならなかった枝には来年実がなるというイメージです。
これを剪定のやり方によって毎年実がなるようにコントロールするのですが、やり方によっては逆に隔年結果を強くしてしまい、一年ごとに実がなる年とならない年を繰り返してしまっている可能性も考えられます。
日当たり
日当たりが悪いと、柚子の成長も遅くなります。
特に柚子は日当たりの良い場所が好きな木なので、日陰に植えておくと、一般的に実がなり始める樹齢に達しても成長が追い付いておらず実がならないということになりかねません。
急に日当たりを良くすると葉っぱが枯れてしまう場合もありますが、柚子の成長に適した日当たりかどうかはよく確認しておきましょう。
肥料のあげ方
柚子の栽培には多くの肥料が必要ですが、その結果窒素の量が多くなりすぎると実がなりづらくなります。
見た目としては、葉っぱが濃い緑色になり、サイズが大きくなり、実がつかないのに枝葉をぐんぐん伸ばして成長するイメージです。
もちろん窒素は植物が育つのに必要な成分なので、与えてはいけないということはないのですが、柚子に実をたくさんつけてほしいのに上記のような状態になっている場合、窒素は控えめで、リンやカリウムの多い肥料をあげるように意識しましょう。
また、肥料を全くあげていない場合、元々の土質などにもよりますが、成長量が足りずあまり実をつけない場合もあります。
柚子の木の実らせ方
柚子の木に実がならない原因を解説してきましたが、それでは実をたくさんつけるためにはどうしたらよいでしょうか?育て方によって、柚子の木の成長や実のなり方は大きく変わってきます。
柚子の木がたくさん実るように、特徴や育て方を知っていきましょう。
柚子の木の育て方とは
柚子の木は、多肥多水栽培が基本となります。
庭木には根付いたら肥料も水やりも必要ないという木も多いですが、柚子ではそうはいかない(枯れるわけではないが果樹として良い木にならない)ので注意しましょう。
排水性と保水性のバランスが取れた土に植え、3月上旬、6月上旬、11月の年3回有機質の肥料を与えます。
通常気にする必要はありませんが、先述したような窒素過剰の様子がみられる場合は肥料の種類を変えてみてください。
寒い地域は栽培に適さず、東北南部より南で育てるのが良いとされています。
日当たりを好むので、日陰にならない場所に植えるようにしましょう。
柚子の木の実がなるまで何年掛かる?
一般的に市販されている接ぎ木苗の柚子だと、だいたい3~4年くらいで実がなるといわれてます。
ただし、環境条件や育て方などによって変わるため、実際にはもっと長くかかると考えるのが良いでしょう。
また、木が若いうちにヒモなどで枝を横に広がるような形で固定する(誘引といいます)と、より早く実がなるともいわれています。
木のことわざ
ただし、これはある程度育った枝を使った接ぎ木苗の場合なので、種からたまたま芽生えたようなものを育てた場合はかなり長い年月がかかります。
柚子の木のことわざに、「柚の木は孫の代にならねば実がならぬ」「柚橙十三年」というものがあります。
これは柚子の木に実がなるのに、10年以上もの長い年月が必要というものです。
また、「桃栗三年柿八年」という有名なことわざにも続きがあって、「柚子の大馬鹿十八年」といわれています。
おそらく現代のような接ぎ木苗では無く種から育てたもののことでしょうから、柚子の実がなるのにそれだけ長い年月がかかったということがうかがえます。
柚子の木の寿命って?
柚子の木の寿命は100年以上あるとされ、育つと非常に大きな木になります。
広島県には樹齢150年と言われている柚子の木があるほどです。
大切に育てれば庭の柚子も孫の代まで大事にされるような木になるかもしれません。
また、実生の柚子は長命だが接ぎ木苗の寿命は短いということもいわれますが、寿命60年なんて言われるソメイヨシノにも樹齢100年を超える大木があります。
育て方や環境にも大きく左右されると思われますので、実際に寿命がどれくらいか確かめてみるのも良いでしょう。
枯れる事はあるの?
柚子の木も、様々な理由によって枯れることがあります。
寿命で死ぬことも当然可能性としてはありますが、弱った木には虫や菌が多くつくので、確実に老衰で枯れたと判断するのは難しいかもしれません。
普通に病虫害で枯れることもあるし、管理の過不足で枯らしてしまうこともあるでしょう。
基本的に「木は枯れるもの」と考えて育ててみてください。
柚子の木を育てる上での注意点
上記で解説したこと以外に、柚子の木を健全に育てるうえで気をつけることがあります。
柚子に限らずですが、果樹を育てる際には病害虫との闘いになることが多いです。
たくさん実をつけるために、病害虫と上手に向き合う力を身に着けてみましょう。
害虫に注意
柚子の木にはハダニやカイガラムシなどいくつかの害虫が発生します。
カイガラムシは発生初期ならブラシでこそぎ落としたりして防除できることもありますが、難しい場合は薬剤を使うのが無難です。
また、柚子の木にはアゲハチョウの幼虫が発生することもあります。
どんな昆虫図鑑にも載っているような有名な虫で、お子様の自由研究や自然体験に適してはいますが、見かけによらずたくさん葉っぱを食べてしまうので、果実の収穫を優先したい場合は駆除してしまうのが良いでしょう。
病気に注意
柚子の木の病気には様々なものがあり、代表的なものだと果実が腐ったようになる褐色腐敗病、葉っぱや果実に斑点ができる黄斑病などがあります。
柑橘類によく発生する病気にかいよう病がありますが、柚子の抵抗性は比較的強いです。
木を健康に保つことも重要ですが、やはりせっかくできた果実が病気でダメになってしまうのは避けたいところ。
褐色腐敗病は、冬の間は土の中で菌が越冬し、暖かい時期の雨水による跳ね返りで果実に感染します。
まず被害を受けた果実は早めに除去することと、跳ね返りを防ぐために湿度の高い場所では排水性を良くしたり、わらを敷いて跳ね返りを防ぐことなどが重要です。
黄斑病は木が弱ると発生しやすい病気なので肥料などで樹勢を旺盛にすることと、5~8月ごろ木をよく観察し、発病が確認できたらなるべく早く薬剤を使って防除します。
まとめ
柚子の木は管理方法によってはうまく育たなかったり、実があまりつかなかったりします。
そうした事態を防ぐためには、木の特性をきちんと理解することが重要です。
柚子の木にたくさん実をつけるために、育て方の参考にしてみてください。
愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。