夏になると甘い実をつけるプルーン。しかし、毎年花は咲くのに実がならない…と悩んでいませんか?
受粉や土壌環境が影響することもあり、ちょっとした管理の違いで結果が変わることもあります。
今回は、プルーンの木が実をつけない原因と対策、実をならせる育て方のコツを紹介します!
目次
プルーンの木に実がならない原因と対処法
どうしてプルーンの木に実がならないのか。
それには複数の原因があり、それぞれの対処法があります。
1. 受粉がうまくいっていない
プルーンの木に実がならない原因のひとつは、受粉がうまくいっていないことです。
プルーンの多くは自家受粉しにくく、ほかの品種の花粉が必要です。
近くに別の品種が植わっていなかったり、開花時期がずれていたりすると、受粉がうまくいかず、結実しないことも。
また、受粉を助けるミツバチやハナアブが少ないと、花粉が運ばれず、実がつきにくくなります。
春先の天気が悪く、花粉が飛びにくいことも影響します。
対処法:受粉を助ける工夫をする
異なる品種のプルーンを近くに植えると、花粉が行き渡りやすくなります。
ミツバチやハナアブなどの訪花昆虫が少ない場合は、筆や綿棒を使って人工授粉をすることも効果的です。
開花時期に雨や風の日が続くと花粉が飛びにくくなるため、受粉しやすい晴れた日を狙って作業するのがおすすめです。
また風通しを良くして、昆虫が集まりやすい環境をつくりましょう。
2. 肥料のバランスが悪い
窒素が多すぎると枝葉ばかりが茂って花が少なくなり、リン酸やカリウムが不足すると、花付きが悪くなって実がつかないこともあります。
肥料を与えすぎたり、タイミングが合わなかったりすると栄養が偏り、うまく結実しないことも。
庭植えの場合は土の状態によっても影響を受けるため、知らず知らずのうちに養分が偏っていることもあります。
対処法:適切な肥料の与え方を見直す
プルーンの木に実をつけさせるには、肥料のバランスが大切です。
窒素が多すぎると葉ばかりが茂るため、リン酸やカリウムを含む肥料を意識して与えると、花付きが良くなります。
元肥は冬に、追肥は花が咲く前の3月ごろと、実が膨らむ5月ごろが目安です。
ただし、肥料を与えすぎると逆効果になるため、様子を見ながら調整しましょう。
庭植えの場合は、有機質の堆肥を混ぜて土壌を整えるのも効果的です。
3. 環境が適していない
プルーンは日当たりと風通しの良い場所を好むため、日陰や湿気の多い場所では花付きが悪くなり、結実しにくくなります。
特に、長雨が続くと根が弱り、実をつける力が落ちることも。
寒さには比較的強いですが、厳しい寒冷地では冬の低温で花芽が傷み、春にうまく咲かないことがあります。
逆に、暖地では冬の寒さが足りず、花芽がつきにくいです。
対処法:プルーンの生育に適した気温・日当たり具合を見直す
日当たりが悪い場所では、プルーンの木の花付きが悪くなるため、1日を通してよく日の当たる場所に植えましょう。
冬の寒さが足りない地域では、休眠が浅くなり花芽が育ちにくくなるため、暖地向きの品種を選ぶのもポイントです。
反対に厳しい寒さが続く地域では、冬の強風や霜よけをすると花芽が守られます。
鉢植えなら、気温や日照にあわせて移動させることで、実付きがよくなります。
4. 樹齢が若すぎる or 老木になっている
植えて間もない若木は、まだ根がしっかり張っておらず、花や実をつける力が足りないことがあります。
品種によっても異なりますが、実がつき始めるのは植え付けから3〜5年後が目安です。
一方で、樹齢が進んだ老木は、枝の勢いが落ち、花芽のつく数が減ることも。
特に、何年も剪定をせず放置していると古い枝ばかりが残り、花や実がつきにくくなります。
対処法:生長段階に応じたケアを行う
若木の場合は、しっかり根を張らせるために、植え付け後2〜3年は剪定を控え、枝を伸ばしながら育てるのがポイント。
肥料は控えめにし、プルーンの木の生長を優先しましょう。
一方で、老木は古い枝が増えて実付きが悪くなるため、不要な枝を剪定して若返らせることが大切です。
勢いのある新しい枝に花芽がつきやすくなります。
5. 枝が混み合いすぎている
枝葉が密集すると、プルーンの木の内部に日光が当たりにくくなり、花芽の形成が妨げられます。
生長が早い品種は放っておくと枝が伸びすぎ、花がつきにくくなることもあります。
また、風通しが悪くなると湿気がこもり、病害虫の発生が増えて木の元気がなくなる原因にもなります。
対処法:通気性を確保し、栄養を集中させる
込み合った枝を間引くことで日光が内部まで届き、プルーンの木に花芽がつきやすくなります。
内側に向かって伸びた枝や、交差している枝は優先的に剪定するといいです。
風通しが良くなることで、病害虫の予防にもつながるほか、不要な枝を減らすことで、残った枝に栄養が行き渡り、実の付きが良くなります。
6. 剪定の失敗
花芽がつく枝を誤って切ってしまうと、翌年の春に花が咲かず、実がつきにくくなります。
冬の剪定で短く切りすぎると新しい枝ばかりが伸びてしまい、花芽がつかないこともあるでしょう。
逆に、剪定をせずに放置すると枝が混み合い、日光や風が通らなくなり、花付きが悪くなることもあります。
対処法:適切な時期と方法で剪定を行う
プルーンの適切な剪定時期は、木が休眠している冬の12〜2月と、生長が落ち着く夏の7〜8月の2回です。
冬剪定では、細い枝や混み合った枝を整理し、風通しを良くすることがポイントです。
夏剪定では、徒長枝を間引き、栄養を実に集中させると効果的です。
プルーンの木を実らせるための育て方のコツ
基本的に土壌は、酸性〜中性〜アルカリ性のどれかに振れ、pH(ペーハー)で表します。
養分の吸収や微生物の活動に影響し、作物の生育を左右するため、プルーンの木にも影響があります。
苗木を植え付けるときは、土壌のpHにも注意して、プルーンの木が結実するように育て方を工夫してみてください。
ここでは、プルーンの木の育て方について、コツを紹介します。
①土壌のpHを弱酸性〜中性に保つ
プルーンの木に適した土のpHは、6.0〜7.0の弱酸性〜中性。
土が酸性に傾きすぎると、根が養分を吸収しにくくなり、生育が悪くなることもあります。
植え付け前に土壌をチェックし、酸性が強い場合は苦土石灰をまいて調整しましょう。
適切なpHを保つことで根がしっかり張り、花芽がつきやすくなり、実のつきも良くなります。
②人工摘果で養分を集中させる
プルーンの木が元気に育っていても、実が小さいまま育たないことがあります。
その原因のひとつが、実の数が多すぎること。
枝についたままにしておくと養分が分散し、すべての実が十分に育ちにくくなります。
人工摘果を行い、1カ所につき1〜2個だけ残すことで残った実に、しっかりと養分が届くようになります。
摘果の適期は、結実後の5月〜6月ごろ。
適度に間引くことで、大きく甘いプルーンを収穫しやすくなります。
③開花期の天候を考慮して保護する
春先に強い風や長雨が続くと、花粉が流されて受粉がうまくいかず、実がつかない原因になります。
特に雨が多いと花が傷み、ミツバチなどの昆虫の活動も減るため、受粉の機会が少なくなることも。
開花時期に天候が不安定な場合は、雨よけシートや寒冷紗を使って花を保護しましょう。
④コンパニオンプランツを活用する
プルーンの木を元気に育てるには、コンパニオンプランツを取り入れるのがおすすめです。
相性の良い植物を一緒に植えることで、害虫の発生を抑えたり、土壌の状態を整えたりする効果があります。
特に、マリーゴールドは土の中のセンチュウを減らし、バジルやラベンダーは害虫を寄せつけにくくする働きがあります。
クローバーを植えると根に栄養を供給し、土をふかふかにする効果も。
周りの環境を整えることで健康な木に育ちます。
⑤生長を促すために適度なストレスを与える
生長を促すために適度なストレスを与えて、プルーンの木に実をつけさせることもコツです。
水やりを控えめにしたり、剪定で枝を整理したりすることで、木が生命力を高め、実をつけやすくなります。
春から初夏にかけて、わずかに水分を制限すると根がしっかり張り、花芽の形成が促進されます。
ただし、過度なストレスは逆効果になるため、枝葉の状態を見ながら調整しましょう。
プルーンの木の剪定とコツ
ここでは、プルーンの木に実がつくための剪定のコツを紹介します。
Point1. 冬剪定で骨格を整え、実がつきやすい枝を作る
プルーンの木を実らせるには、冬剪定でしっかりと骨格を整えることが大切です。
剪定の適期は休眠期の12月〜2月ごろ。
不要な枝を整理し、実がつきやすい健康な枝を育てるのがポイントです。
内向きに伸びる枝や重なり合う枝は間引き、風通しを良くしましょう。
前年に実をつけた枝の先端を軽く切り戻すことで、新しい結果枝の生長を促すことも可能です。
枝の配置を整えることで日当たりが良くなり、花芽がつきやすくなります。
Point2. 夏剪定で不要な枝を間引き、栄養を集中させる
果実の肥大が進む7月〜8月ごろには、夏剪定で不要な枝を整理しましょう。
勢いよく伸びた徒長枝や内向きに伸びる枝を間引くことで、光と風がよく通るようになります。
ただし、枝葉が混み合うと栄養が分散し実がつかなくなったり、小さくなったりすることも。
夏剪定で養分を実に集中させることで、実がつきやすくなり、大きくて甘いプルーンを収穫しやすくなります。
Point3. 実をつける枝を適度に残し、更新を繰り返す
プルーンは前年に伸びた枝に花芽がつきやすいため、剪定の際に実をつける枝を適度に残しましょう。
古くなった枝ばかりになると、実のつきが悪くなるため、若い枝を伸ばしながら定期的に更新するのがポイント。
前年に実をつけた枝を軽く切り戻し、新しい結果枝の生長を促します。
適度に更新を繰り返すことで、毎年しっかりと実をつける健康な木に育ちます。
Point4. 開花前に弱剪定し、花芽と受粉効率を高める
春先の芽吹き前の2月〜3月ごろに枝を軽く整理すると、プルーンの木は花芽のつきが良くなり、受粉の効率も高まります。
枝が混み合っていると花が十分に開かず、ミツバチなどの昆虫の活動も妨げられることも。
内向きに伸びた細い枝や重なり合う枝を間引き、風通しを確保するのがポイント。
プルーンの木が実をつけるまでにかかる年数と生長過程
そもそもプルーンの木は、どのぐらいの年月をかけて実をつけるのでしょうか。
ここでは、植え付けてから実をつけるまでの年数と生長過程について解説します。
実がなるまでの年数と目安
一般的に、プルーンの木は接ぎ木苗の場合3〜5年ほどで結実し始め、安定して収穫できるようになるまでには6〜7年ほどかかることもあります。
種から育てた場合はさらに時間がかかり、実をつけるまでに10年以上かかることも。
環境や管理方法によって生長スピードは変わるため、適切な剪定や肥料管理が重要です。
若木の育て方と生長の段階
プルーンの木は、苗木を植え付けてから1〜2年目は根がしっかり張るように、乾燥を防ぎながら適度に水やりを行いましょう。
3年目ごろから枝が増え、幹も太くなり始めるため、風通しを良くする剪定を行います。
4〜5年目には花芽がつきやすくなり、適切な管理で初めての結実が期待できる時期です。
成木になった後の管理方法
プルーンの木が成木になったら、剪定は冬と夏に行い、不要な枝を間引いて風通しを良くします。
実をつける枝の更新を続けることで、毎年の結実を安定させることが可能です。
肥料は開花前の2月と収穫後の9月に与え、養分をしっかり補給させます。
水やりは、乾燥が続く時期に根元が乾かないように調整しましょう。
プルーンの木に実がならないことに関するよくある質問
最後に、プルーンの木に実がならないことに関するよくある質問をまとめました。
プルーンの実が生長途中で落ちてしまうのはなぜですか?原因と対策を教えてください。
プルーンの実が途中で落ちる原因は、受粉不足や栄養不足、環境の影響が考えられます。
受粉がうまくいかないと、実が十分に発育せず落ちてしまうことも。
栄養が分散すると、すべての実に養分が行き渡らず、未熟なうちに落果しやすくなります。
特に乾燥や強風が続くと木がストレスを受け、実を落としてしまうこともあります。
適切な剪定で枝数を調整し、受粉を助ける環境を整えましょう。
また定期的な水やりと追肥で、実つきを安定させることもポイントです。
プルーンの木の実が熟す前に落ちるのは病気のせい?それとも育て方に問題がある?
プルーンの実が熟す前に落ちる原因は、病気や育て方の影響が考えられます。
「灰星病(はいぼしびょう)」や「褐斑病(かっぱんびょう)」にかかると、実が変色し、落果しやすくなることもあります。
湿度が高く、風通しが悪い環境では病気が発生しやすいため、適度な剪定をして、湿気がたまらないようにしましょう。
また、栄養不足や水分管理のミスも落果の原因になる場合も。
根が十分に養分を吸収できないと、木が負担を減らすために実を落とします。
受粉後にできた小さな実がポロポロ落ちてしまいます。どんな対策をすれば実が残る?
プルーンの小さな実が落ちる原因は、栄養不足や環境の影響が考えられます。
受粉後の時期に乾燥が続くと、実がしっかり育たず、自然に落ちてしまうことも。
水切れを防ぐため、土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをすることが大切です。
実が多すぎる場合は、養分が分散するため、摘果をして負担を減らすのもポイント。
風通しの悪い環境では落果が増えることもあるため、剪定で枝の間引きを行い、健康な実を育てるための環境を整えましょう。
プルーンの木の実が落ちやすい時期や気温の影響はありますか?防ぐ方法が知りたいです。
プルーンの実が落ちやすい時期は、開花後の結実初期と夏の高温期です。
特に6月〜7月ごろは、木が養分を調整するために自然落果が起こりやすくなります。
また、急な気温の変化や長雨、乾燥が続くと、木がストレスを受けて実を落とすことも。
落果を防ぐには、土の乾燥を防ぐために敷きワラやマルチングを行い、適度な水やりをしましょう。
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