庭にはびこっている笹を駆除するのは、とても大変ですよね。笹は繁殖力が強く、地中に茎をのばして成長するので、駆除も一筋縄ではいきません。笹を駆除する様々な方法を、一つずつご紹介していきます。
目次
笹の駆除が難しい理由
笹は駆除が難しい植物です。放っておくとあたり一面を覆いつくしてしまい、そこからの駆除は容易ではありません。笹を効果的に駆除するためには、笹がどんな植物か知っておく必要があります。
笹の特徴や、どうして駆除が難しいのか理由をご紹介します。
繁殖力が強い
笹は成長スピードが速いです。多少暗い環境でも、あっという間にあたり一面を埋め尽くしてしまいます。密に葉が繁るので、他の植物が生えないくらい覆いつくしてしまうのが笹の厄介なところです。種類や環境によっては人の背丈を軽々超えるくらいに大きくなることもあります。
多少暗い場所でも育つため、他の明るい場所を好む植物と違い、他の植物を植えて競争させるという方法もなかなか使えません。笹の仲間は数十年に一度しか花を咲かせないという特徴があるので、他の植物が毎年花を咲かせる分のエネルギーを葉っぱを増やすことに回せるというのも強さの秘訣として考えられます(刈り取りが何度も行われると毎年のように咲く場合もあります)。
切っても地下茎が残る
笹は地上だけでなく地下にも茎を伸ばし、縦横無尽に伸ばした地下茎から新たな芽を芽吹いてきます。そのため、何度か刈り取ったくらいではまた地下茎から芽吹いてきて、完全な駆除ができません。だからといって地下茎ごと引き抜こうにも、根が強くて難しいです。
どうして庭に生えてくるのか?
そもそも、植えてもいないのにどうして庭に笹が生えてくるのでしょうか?植えていた笹が繁茂しすぎたというパターンもあるかとは思いますが、笹の侵入経路に身に覚えがない場合も多いかと思います。
前述しましたが笹はふつう数十年に一度しか花を咲かせず(刈り取りが何度も行われると毎年のように咲く場合もあります)、種も風で飛ぶような性質のものではないため、種がどこからかやってきて芽生えるということはほとんどありません。どうして笹が庭に生えてくるのかその理由をご紹介します。
地下茎で伸びてくる
まず考えられるのが、地下茎が隣から伸びてきたというパターンです。笹の地下茎は先がとがっていて、小さな隙間にも入り込んで伸びていきます。隣の敷地などから地下茎が伸びてきたというのが一つ可能性としてあるといえるでしょう。
付近に笹が生い茂っている場所はないか、確認してみてください。
元々庭にいた
笹の地下茎がどこかにあって、それが増えてきたというパターンです。もともと庭に笹が生えていた場合はもちろん、どこかから持ち込まれた土に地下茎が混じっていたという可能性も考えられます。
また、庭に少し笹が生えていたからといって、量が少なければそれを認識できない、していないようなことも多々あります。どこからともなく笹が生えてきたという場合は、もともと庭に生えていたのかもしれません。
笹を駆除するための方法
笹を駆除するためには、様々な方法があります。除草剤を使うのが手っ取り早くはありますが、諸般の事情により使えない場合など、他にも試せる方法があります。
自分の庭の状況や、労力などから取れる方法を考えて、実施してみてください。
除草剤
笹を駆除するのには、やはり植物を枯らすために開発された除草剤が最も効果があるといえます。除草剤と聞くとあまりよくないイメージを持たれる方もいるかもしれませんが、除草剤含む農薬は厳しい試験を突破して商品化されているので、使用方法を守れば環境や対象外の生物への影響はなるべく少なくなるよう設計されています。
もちろん、撒いた範囲内であれば他の植物への影響が出る場合もあるかと思いますが、竹、笹のような一面を覆い尽くしてしまう植物の場合、基本的には地面が明るくなることによる良い影響の方が大きくなるようです。
除草剤といっても種類があるので、中でも竹林の駆除に使われるようなものを2つご紹介します。
塩素酸系除草剤
塩素酸系除草剤は、笹や竹に対して土に撒くことで効果を発揮する除草剤です。商品としては、デゾレートAZやクロレートSなどがあります。春から秋の間に土の上に撒くだけで良いので労力が少なく、手軽に使えるのが良いところです。後述するグリホサート系除草剤と違い、茎の細い笹類にも効果的です。
笹を刈り取った後に散布すると、刈り取った笹が邪魔をして薬剤が土まで届かない場合があるので注意しましょう。
グリホサート系除草剤
グリホサート系除草剤は広く使われる除草剤ですが、竹や笹に対しては茎に穴を空けて原液を注入することによって使われます。商品としては、ラウンドアップなどがあります。夏から秋の間に、茎に穴を空けて原液を注入し、その穴を塞ぐことで時間をかけて枯れるというものです。
ただし、これは主に竹に対して行われるもので、太く大きな笹でも一つ一つに穴を空けて注入して塞いで…と作業をしていくのはあまり現実的ではありません。刈り取り後に再生したものに散布する方法などもありますが、一気に枯らすほどの効果は得られない場合もあるようです。
何度も刈り取る
ふつう、笹を刈り取ると再び地下茎から新たな芽が芽吹いてきます。一見すると駆除が不可能だと思うかもしれませんが、芽を出すのには少なからずエネルギーを使います。本来ならそのエネルギーは光合成することによって再び補充されるのですが、そうなる前に何度も刈り取ることで、いずれエネルギーが尽きて、枯れていくという仕組みです。
植物の成長はよく投資にたとえられ、最初は大きなエネルギーを使って芽を出し(投資)、そこで生まれた葉っぱが光合成することによってそれを上回る栄養(利益)を得るというように表現されます。この方法は、投資した先から刈り取ってしまい、笹の貯蔵養分(貯金)を空にしてしまうという方法です。
ただし、この方法は刈り残しが無いように注意しなければならず、隣の敷地の笹原と庭の笹の地下茎がつながっているなどすると、何度刈り取っても養分が供給され、いつまで経っても枯らすことができません。場合によってはシートで地下茎の伸びを遮る作業が必要になることだけ注意しておきましょう。
地下茎を掘り取る
刈り取った後に再生してくる地下茎を掘り起こすという方法です。地下茎から再生してくるなら地下茎ごと除去してしまおうという単純な方法ですが、これができるのであれば最も手早く効果が出ます。
しかし、はびこっている笹の地下茎すべてを掘り起こすというのは大変な労力になり、コンクリートの隙間に入り込んでいる場合など掘り取ることが難しい場合もあり、これだけで駆除するというのはあまり現実的ではありません。
やるなら他の方法と併用しながら、確実に駆除するエリアを徐々に広げていくイメージでやっていくのがおすすめです。
シートなどで地下茎を制限する
シートやトタンなどを地中に埋めて、地下茎が伸びてこなくする方法です。隣の敷地から伸びてくる場合や、笹をある程度の範囲だけ残しておきたい場合などに使うことができます。
笹はあまり深く根を張らないので、50㎝~1m程度の深さまで敷き詰めれば問題ありません。ただし、笹の地下茎は先がとがっていて隙間にも入り込むので、シートやトタンの境目などには隙間が無いように注意しましょう。
また、シートを埋めるために50㎝の溝を掘るのにはそれなりに労力がいるので、手間のかかる方法ではあります。
細い笹・竹を枯らす方法
細い笹や竹は、繁殖力がとてもに強く、庭に生えると簡単には取り除けない厄介な植物です。
根が深く広がり、地中で伸びる地下茎から新たな芽がどんどん生長するため、一度生えたら何度も刈り取っても再び芽を出すことも。
放置していると、その場所が竹林のように鬱蒼(うっそう)とたくさん生え、そこからさらに範囲が広がってしまいます。
ほかの植物を傷つけたり、生育を阻害したりすることもあるので、できるだけ小さいうちに対処しましょう。
何度も刈り取る方法や地下茎の生長抑制など、笹・竹を枯らす方法がありますが、その中でも除草剤を使って対処するのがおすすめです。
細い笹や竹にもよく効き、大きくなる前に簡単に対処ができます。
ここでは、除草剤を使った効果的な駆除方法について詳しく解説します。
細い竹を枯らす除草剤
細い竹がたくさん伸びて、駆除に頭を抱えている場合は、塩素酸系の除草剤で対処するのがおすすめです。
ただし、適切な方法で使用しないと、思うような結果が得られないこともあります。
細い竹に効く塩素酸系の除草剤
・塩素酸系の除草剤
土に散布することで地下茎まで浸透し、竹全体を枯らす効果があります。
主に春から秋にかけて使用するのが良く、地面にまんべんなく散布するだけで、労力をかけずに駆除できます。
特に、細い竹や笹には効果的な除草剤です。
おすすめの塩素酸系の除草剤:「デゾレートAZ」「クロレートS」
除草剤を効果的に使うためのポイント
Point1. 刈り取り後に使用するタイミング
除草剤を使用するときは、刈り取った直後に散布するのは避けましょう。
切り株や刈り取った竹が薬剤をブロックし、地面まで届かないことも。
土に直接散布するタイプの塩素酸系除草剤は、刈り取り後数日経ってからの散布のが良いです。
Point2. 地下茎に確実に届かせること
そもそも竹や笹の生命力は地下茎にあるため、除草剤は土に浸透させて地中までしっかりと届かせることが大切です。
定期的に散布を行うことで効果を持続させましょう。
Point3. 除草剤を使い分け、定期的に散布すること
細い笹や竹の場合は塩素酸系の除草剤を使い、太い竹の場合、グリホサート系の除草剤を使いましょう。
除草剤を正しく使い分けることで、地下茎から再び笹・竹が生えるのを防ぎ、確実に枯らすことができます。
ただし、一度の散布では不十分な場合もあるため、数回にわたって定期的に使うことがポイントです!
巷でよく言われる方法は?
これらの方法以外にも、巷で笹や竹の駆除に効くといわれている方法があります。いずれも噂レベルのものがほとんどですが、実際に効果があるかもしれないといわれているものもあります。
どんなものがあるのか、実際にその方法に効果があるのか、一つ一つご紹介していきます。
塩を撒く
笹に限らず雑草の駆除全般でいわれるもので、塩を撒くという方法があります。環境に与える悪影響が大きすぎるため基本的にはやらない方が良いとされるこの方法ですが、笹に対しては輪をかけてやらない方が良いです。
竹林で実際に食塩を施用した事例があるのですが、それでは他の植物は枯れたが竹は枯れないという結果になりました。笹も分類学的には竹と大きな違いはないので、笹に対してもあまり塩が効かない可能性が高いです。
もちろんよほど大量に撒けば枯れるのでしょうが、そうなると雨によって流出した場合の影響が大変なことになってしまうので、いずれにせよおすすめはできません。
石灰を撒く
まれに、石灰によって竹や笹が枯れるといわれることがあります。たしかに、笹が自生する日本の森林土壌は多くが酸性なので、土がアルカリ性に傾く石灰が笹の駆除に効きそうというのはわからないでもありません。
しかし、こちらも実際に竹林に施用した例では効果がありませんでした。土を入れ替えるほど大量に施用した場合はわかりませんが、そこまでするのであれば他の方法を使った方が良いでしょう。
熱湯をかける
熱湯をかけるのも、まったく効果がないとはいえませんがあまりおすすめはできません。地下茎まで熱が届くほど熱いお湯を、大量の笹を枯らすほど準備するのは安全面や手間からあまり現実的ではありませんし、同じ範囲にある他の庭木などの根っこも枯らしてしまう可能性もあります。
また、土の中の土壌生物たちが死滅してしまうことによる悪影響も考えられます。手間と労力と、周囲への悪影響といった面からあまりおすすめできない方法です。
1mの高さで切る
主に竹に対して使われる方法ですが、冬に地面から1mの高さで切ると地下茎まで枯れる、と言われることがあります。1mの高さだと竹が切られたことに気づかず、春に根から水分を上げる際に、切り口から水があふれ出てそのまま干からびてしまうというものです。
こちらも、たしかに切った部分は枯れることもあるようですが、地下茎まで枯らすことは難しいようです。しかし、少ないながらも地下茎まで枯れたという成功例もあるようで、何か条件などがある可能性はあります。
笹も種類によっては竹のように大きくなるものがありますので、刈り取りのついでにやってみるのもよいかもしれません。
一番良いのはどの方法?
どの方法が一番良いのかは、庭の状況と笹の繁茂の度合い、笹をどれくらい残したいかなどによって変わってきますが、紹介した中では塩素酸系除草剤や、何度も刈り取ることが比較的広いシュチュエーションで使用できて、効果が出やすいといえるのではないかと思います。
また、これらの方法を複数組み合わせてみるのもおすすめです。庭の状況に応じて、いろいろな方法を試してみてください。
笹を駆除するのにかかる期間
笹を駆除するのには、繁茂の程度や使う方法によって、1年から数年単位の時間がかかります。特に何度も刈り取る方法では、枯らしきれない場合複数年にわたって笹をいじめ続けなければいけない場合も少なくありません。笹の駆除は長い闘いになることを覚悟して挑むようにしましょう。
まとめ
笹を駆除するには、様々な方法があります。いずれもメリットやデメリット、労力や効果の大小など様々ですが、これらの方法を駆使すればいずれ笹を枯らすことができるでしょう。庭の状況をよく確認しながら、自分に合った方法を試してみてください。
愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。