ガーデニングをしていると、雑草との闘いは避けては通れないものです。終わらない雑草駆除に辟易している方も多いのではないでしょうか。また、お金をかけて対策する方法もありますが、できれば安く済む方法で対策したいですよね。ここでは、お金のかからない雑草対策の方法と、その効果についてご紹介します。
目次
お金のかからない雑草対策4選!
雑草対策には、様々な方法があります。その中でも、大規模な施工を必要とするものや、薬剤を使うものではそれなりにお金が必要になります。
しかし、効果のほどはさておき、お金のあまりかからない雑草対策の方法があるのも事実です。それぞれの方法のやり方と特徴や効果、デメリットなどをご紹介します。
ただ、庭の広さや環境、雑草の種類などにもよって異なりますが、「お金をかけずに除草剤も顔負けの雑草対策」のような方法はなかなか無いということには留意しておきましょう。
場合によっては、一度お金をかけて対策した方が長い目で見て安く済むこともあり得ます。
熱湯でお金のかからない雑草対策
雑草に熱湯をかけることにより、熱で雑草を枯らして駆除する方法です。100℃の熱湯をかければ、大概の雑草を枯らすことができます。
やかんなどで沸かしたお湯を何度も運んで雑草にかけることで、駆除することが可能です。
ただし、一般的な家庭にある設備で一度に沸かして運べるお湯の量はたかが知れているので、何度も沸かして何度も運ばなければいけないこと、場合によってはやけどの危険性もあること、地下茎や根っこまで枯らしきるのは難しい場合があること、植えている植物の根っこまで枯らしてしまう可能性があること、地中の微生物まで殺してしまうことなどから、少なくとも庭全体の雑草対策を行う場合にあまりおすすめできる方法ではありません。
あくまで狭い範囲で、余ったお湯を使うなどして補助的に行うのが無難でしょう。
重曹でお金のかからない雑草対策
重曹水を散布して、雑草を枯らす方法です。重曹水には雑草を枯らす効果がありますが、そのままかけてもふつうは体内に吸収されないので、一度鎌などで傷つけてから散布するという手順が必要になります。
雑草にかければ枯らすことのできる除草剤と比べて、少し手間がかかるというのが特徴です。
また、ふつう除草効果も除草剤より劣ります。重曹は除草剤よりも安いですが、除草剤もそこまで高価というわけではありません。
一度刈り取りなどで傷をつける手間をかけなければいけないということと、除草効果が劣るということと重曹と除草剤の価格差を天秤にかけて、どちらを使うか選んでみるのがおすすめです。
ただし、傷をつけないと雑草体内に浸透しないという性質上、枯らしたくない植物の間に生える雑草を枯らしたい場合や、特定の種類、個体の雑草のみ枯らしたいという場合は、役に立つ可能性もあります。
場所の条件などから除草剤を使えない場合も、代替策として使えるかもしれません。
草抜きでお金のかからない雑草対策
草を手で拭き取ることで、雑草を駆除するという極めてシンプルな方法です。地下茎や根っこまで抜けるので、それらの部位で繁殖する雑草には比較的有効な方法です(ただし、全て抜き取るのは困難です)。また、刈り取りと比べて切った先から再生する心配が少なくなります。
ただし、広い範囲で行うのは凄まじい労力が必要になることと、雑草の種類や大きさによっては抜き取るのが難しいものもあることなどから、全て抜き取りで対処するのはあまり現実的ではないかもしれません。
あくまで狭い範囲や、特定の種類の除草にとどめておくべきでしょう。
ただし、雑草の性質の中で「一年で枯れる一年生・越年生で、種が地中で休眠しない」というものであれば、抜き取りだけでその種類をかなり減らせる場合もあります。
たとえば、オオアレチノギクやヒメムカシヨモギなどの風で種が飛んでいくものや、コセンダングサ、イネ科植物などは、種をつける前に抜き取ってしまえばかなり数を減らせる可能性があります。
当然、それらの雑草が減って空いたスペースにはそのうち別の雑草が生えてきますが、それらの雑草には別の対策方法が有効な可能性もありますし、厄介な雑草を一度完全に駆除することが大事である場合もあります。
やっていくうちに抜き取りが上手になる
また、抜き取りを行っているうちに雑草の性質がわかってくると、効率的に駆除できるようになっていきます。
「この雑草はすぐに種をつけるから見つけ次第抜いた方が良い」「この雑草は抜き取りだけでは駆除できないから除草剤を使う」「この雑草は葉っぱを広げて周囲の雑草を生えにくくするから、しばらく泳がせたあと種をつける前に抜き取る」など、ただ抜き取るだけではなくそれぞれの雑草の性質を活かした効率的な対策ができるようになります。
もちろん、それだけでは限界がありますが、ただ作業として行うよりも少しずつ雑草対策が上手になるのが楽しくなってくるかもしれません。
草刈りでお金のかからない雑草対策
草刈りにより、雑草対策を行う方法もあります。草刈り鎌や、あれば刈払機などを使って雑草の地上部を刈り取る方法です。
雑草の生え方にもよりますが、手で抜き取るよりも効率的に広い面積を処理することができます。
ただし、多くの場合この方法では雑草を枯らしきることが難しく、根際からまた芽吹いてくるため、雑草そのものを無くすことには繋がりません。
しかし、草刈りの頻度により雑草の高さをコントロールできるので、高さを抑えた状態の草地を保つことができます。
雑草が伸びすぎると困るけど、雑草が全く無いと雨で土が流れて困るような、あぜ道や法面のような場所におすすめの方法です。
適度な草刈りで程よい草地をつくる
また、適度な草刈りを続けることにより、地下茎に多くの養分を投資しているチガヤなど、草刈りに強い種類の雑草が増えてきて、空き地にいち早く生えてくるような雑草は減っていきます。
うまく管理できれば、年2回ほどの草刈りだけで厄介でない雑草がそれなりの草丈で生きているだけの、ほどよい草地ができるかもしれません。
もちろん、面積が広すぎるとその年に2回の草刈りすら大変ですが、ほど良い草地ができれば地域の生き物の生息場所になるし、お子さんがいれば庭で虫捕りもできます。
雑草対策をしたい目的によっては、そうした方向性で管理してみるのも良いでしょう。
一番お金のかからない雑草対策とは
紹介してきた中で、結局どの方法が一番お金がかからないかと言うと、それは雑草対策の目的(一時的なものなのか永続的に続けるものか等)や、庭の環境(面積や明るさ、雑草の種類等)などによっても異なります。
実際的に支出を最も抑えられるのは、多くの場合軍手代くらいで済む草抜きでしょう。
しかし、それには膨大な労力と時間が必要になり、それが毎年、あるいは毎月、毎日必要になります。猛暑の中草抜きをして、熱中症で入院することになったら目も当てられません。
労力や時間と金額や雑草対策をしたい目的などを天秤にかけて、最も現実的なところを考えてみるのが良いでしょう。
場合によっては、紹介してきた方法の他にも、一見お金のかかりそうな方法も検討してみるのがおすすめです。
最初の施工にお金がかかっても、それ以降雑草対策の手間が無くなるか少なくなるのであれば、長い目で見ればお金がかからない場合もあります。
自分の庭ではどの雑草対策がお金がかからないか、考えてみましょう。
防草シートと砂利敷き
雑草対策の方法の中で、「防草シートを敷いて、その上に砂利を敷く」というものがあります。
防草シートだけでは見栄えがあまりよくありませんし、砂利だけでは雑草を防ぎ切るのは難しいです。
両者を組み合わせることにより、雑草がより生えにくくなるだけでなく、見た目も維持できます。
また、砂利を敷いていてもいずれ隙間から雑草が生えてきてしまいますが、防草シートが下に敷いてあることにより、雑草が下まで根っこを張ることができず、根づきにくくなるし抜きやすくなるというメリットもあります。
大規模な施工をするわけではないので、長い目で見ても悪くない方法かもしれません。
その他のお金がかからない雑草対策
それ以外にも、雑草対策には様々なものがあります。基本的には、「雑草が生えにくい環境にする」「雑草そのものを枯らす」といったことを目指すことになります。
これらはアイデアと工夫次第で効果が変わってくるので、紹介するものよりももっと楽で安く済む方法が見つかるかもしれません。
雑草に対する知識や理解度が増せば増すほど、アイデアも思いつきやすくなります。
庭の環境や雑草の種類も見ながら、どんな方法が取れるか考えてみてください。
他の植物を植える
他の植物を植えて地面に光を当たらなくすることで、雑草の生育や発芽を抑える方法です。
どこからともなくやってくるような雑草の多くは種が小さく、栄養があまり入っていません。そのため、種が発芽した時点でその雑草にとって良い環境でないと、すぐに栄養を使い果たして枯れてしまうのです。
道ばたの雑草が深い森の中には生えないように、他の植物で地面を覆ってあげることで、雑草の生えづらい環境を長期間維持することができます。
もちろん、どうしても隙間はできますし、それだけで100%雑草を防ぐことは難しいです。
また、栄養を貯めた地下茎で繁殖するものなど防ぐことが難しい雑草もあります。
しかし、植えた植物で地面が覆われれば、そこから一面に雑草が茂っているという状態にはならないはずです。
使用する植物は、グランドカバープランツと呼ばれる地面を這って育つ性質をもつものが使われることが多いですが、横方向に枝を広げる庭木(低木含む)などでも一定の効果はあります。
苗の値段はピンキリですが、数百円で買えるような安いものも多いので、それをうまく育てることができれば安く済みます。
肥料はあまり無くても育つものを使うか、生ごみ堆肥などを使うなどして工夫しましょう。
注意点としては、植えた植物の手入れが必要なので労力が無くなるわけではないことと、植えたグランドカバープランツが増えすぎて、そちらの対処が大変になる場合があることです。
ガーデニングが好きで、なおかつ手入れをする時間がある場合などに、この方法を使うようにしましょう。
踏みつけて雑草が生えにくい環境に
踏みつけにより地面を踏み固め、雑草を育ちにくくする方法です。
踏み固めたくらいでどうにかなるとは思えないかもしれませんが、意外にも雑草を防ぐ効果は大きいです。
実際に、子どもたちが常に踏みつける小学校の校庭や児童公園の土などでは、草むしりもしていないのにほとんど雑草が生えていません。
また、公園の木が周囲の地面の踏みつけにより衰退する例は枚挙にいとまがありません。
そうした木の治療を行う場合は、地面に穴を開けるなどして通気性の確保を行うことが多いです。
土が固まると根っこを伸ばせなくなるだけでなく、通気性や透水性の悪さから根っこが弱ってしまうため、物理的な改善を図ります。
この弱るメカニズムは雑草にとっても同じことで、踏み固めるだけで生育が抑えられます。
やり方は、ただまんべんなく踏みつけるだけ。場合によっては、人を集めたり車を使ったりしても良いでしょう。
周りから伸びてくる植物の根っこなどにより土が耕されてしまうので、定期的に行う必要があります。
デメリットとしては、広い面積で行うのが難しいこと、環境によって藻が生えて滑りやすくなったり、乾燥して砂ぼこりが激しくなったりすることなどです。
また、周囲に植えている植物があるなら、それらへの影響も無視できません。
雑草を防ぐ効果も完全ではないので、あくまで補助的なものと考えた方が良いでしょう。
まとめ
雑草対策には様々な方法がありますが、いずれの方法もある程度お金や労力がかかるものばかりです。
その中でも、「雑草の生えにくい環境をつくる」方法は、初期投資さえ済ませばそれ以降のお金はあまりかからない場合もあります。
目先の手軽さ、お金のかからなさも大事ですが、長い目で見て思い切って雑草の生えにくい施工をしてみても良いかもしれません。
自分で施工するとうまくいかない可能性もあるので、知識と経験のあるプロにお願いするのがおすすめです。
庭の条件に応じた対策を相談することができるので、失敗する可能性も少なくなります。
ぜひ検討してみてください。
愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。