庭のあちこちから雑草が生えて鬱陶しい…雑草が生えてこなくなればいいのに…。そんなことを思ったことはありませんか?雑草対策には、グランドカバーが有効な場合があります。どんな種類が雑草対策に役立つのか、どんなことに気をつければ良いのかなどご紹介します。

目次

雑草対策でグランドカバーがおすすめの理由とは

草とりをする人

 一部のグランドカバー(地面を這って育つタイプの植物)は、雑草対策に役立つことがあります。
 庭に生える雑草の多くは、他の植物との光をめぐる競争、つまり自分より上に他の植物の枝葉が来ることに弱いです。そのため、地面に光が当たらなくなってしまえば、あまり雑草は生えてきません。
 雑草が生えてくる前に、グランドカバーによって地面を覆ってしまえば、雑草が生えてこなくなるというわけです。
 グランドカバー以外にも、黒いシートで覆って雑草を生えなくする方法などもありますが、グランドカバーは花が咲いたり、ハーブとして利用できたりと、園芸的な楽しみもあるのが魅力です。また、勝手に増えてくれるので、自動的に庭の隅々まで雑草対策ができます。

後悔しないグランドカバーの選び方

虫眼鏡

 グランドカバーとして植えられる植物には様々な種類があります。綺麗な花が咲くものや、葉っぱが美しいもの、背丈が高いものから低いもの、繁殖スピードの大小まで様々です。
 きちんとその種類の性質を知ったうえで選ばないと、いざ庭に植えてみたら、思っていたのと違って後悔するということにもなりかねません。
 膨大な種類の中から後悔しないものを選ぶために、気をつけておいた方が良いことをご紹介します。

成長速度に気をつける

 雑草対策になるグランドカバーは、いち早く庭全体を覆えるような成長速度の速いものがあります。中には、ヒメイワダレソウやツルニチニチソウなど、野生化して外来種として生態系に悪影響を与えるようなものもあります。こまめに管理できるのなら問題ありませんが、場合によっては手がつけられなくなり、グランドカバーが雑草のようになってしまうこともあります。そうした植物はたくさん苗がつくれるので、安く手に入るものが多いので注意が必要です。
 自分がお手入れにどれくらい時間をかけられるか、どれくらい細かくチェックできるかといったところを考えて、種類を選ぶようにしましょう。


グランドカバーの特性をよく知っておく

 グランドカバーとして扱われる植物にはたくさんの種類があります。それぞれの種類に異なる性質があり、共通しているのは「背丈が低く、地面を這うように育つ」ということくらいです。
 そのため、植えたいグランドカバーが庭の環境条件や、グランドカバーを植える理由にマッチするかどうか、きちんとチェックしておきましょう。

 それぞれの特性には、花や葉っぱの色形はもちろん、成長速度や背丈、好きな光の強さ、乾燥への耐性など様々なものがあります。ハーブのように、グランドカバー以外の用途で使えるものも多いです。
 中でも、「好きな光の強さ」と「踏まれるのに強いかどうか」はチェックしておくのがおすすめです。好きな光の強さは庭の環境によりうまく育つかどうかが変わり、踏まれるのに強いかどうかは植える場所によってはうまく育たなくなる場合があります。

 インターネットの情報だけでなく、販売店で店員さんに聞いたり、ご近所さんで実際にその種類を育てている人に聞いたりして情報を集めておきましょう。


花の時期以外も知っておく

 グランドカバーに使われる植物には、ヒメイワダレソウやツルニチニチソウのような、美しい花が魅力的なものが多いです。しかし、意外と花の時期が短いなどの場合があり、思っていたのと違うことがあります。

 インターネットで調べると、多くの場合花の写真を写した画像が出てくるかと思いますが、実際に育ててみてどうなるかということは書かれていないことが多いです。花の時期や葉っぱだけの姿など、写真からわかること以上の情報をよくチェックしておきましょう。


雑草対策におすすめのグランドカバー3選

ハツユキカズラ

 膨大な種類があるグランドカバーの中でも、雑草対策に役立つものとそうでないものがあります。密に茂って庭の地面を暗くすることで雑草の繁茂を抑えてくれることが、雑草対策に役立つグランドカバーに共通する特徴です。
 ここで紹介するグランドカバーは、街なかでも見かけることの多い種類ばかりですが、いずれも植えられている範囲には雑草が生えていないことがほとんどです。
 それはつまり、うまく育てれば雑草対策に役立つ種類だということです。雑草対策に役立つグランドカバーの特徴や魅力、植える際の注意点などをお伝えします。


オカメヅタ

 オカメヅタはセイヨウキヅタ(いわゆるアイビー、ヘデラ)に近縁な種類で、濃い緑色の大きな葉っぱが特徴のグランドカバーです。地面を覆うようにつるを伸ばし密に葉っぱを広げるので、地面は暗くなり、雑草はほとんど生えられなくなります。
 耐陰性もあるので、新幹線の高架下などに植えられることも多いです。繁殖力の強いグランドカバーがなかなか成長できないような暗い場所でも、雑草抑制効果を存分に発揮してくれるのが魅力です。
 注意点としては、葉っぱの色が濃いので植え方によっては鬱蒼とした雰囲気になってしまうことが挙げられます。耐陰性のある植物の宿命のようなところがありますが、上手にレイアウトして雰囲気が暗くなりすぎないようにしましょう。


ハツユキカズラ

 ハツユキカズラは、テイカカズラというつる植物の園芸品種で、葉っぱの新芽が白やピンク色になるものです。花が咲かなくとも美しい姿が人気で、各地の庭などでよく植えられています。
 テイカカズラは耐陰性のある植物で、葉っぱの色は例に漏れず濃い緑色ですが、ハツユキカズラは明るい白やピンク色なので、庭の雰囲気を暗くすることがありません。
 また、綺麗な花が咲くグランドカバーと違い、一年中美しい姿を楽しめるというのも魅力的です。
 しかし、踏まれるのにはあまり強くないため、人がよく通る場所にはあまり植えられないことには注意が必要です。


フッキソウ

 フッキソウは丈の低い常緑低木です。低い幹を密に茂らせるので、グランドカバーとしてよく用いられます。隙間なく生えるため、フッキソウが茂っている場所にはほかの植物がほとんど生えることができません。
 日本に自生もしていますが、野生化でも森林の中で林床を埋め尽くすように広がる様子がよくみられます。春になると白くてかわいらしい花を咲かすのが魅力的で、花の咲く時期以外にも、独特な形の葉っぱが小さな森のようにわさわさ茂っている様子がかわいらしいです。
 ただし、フッキソウは放置しすぎるとどんどん生育範囲を広げて、手が付けられなくなる場合もあります。植える場合は花壇など増えられる範囲に限界のある場所にするか、こまめに様子を確認できるようにしておきましょう。


雑草対策に強いグランドカバーの作り方

庭の手入れをする人

 グランドカバーで雑草対策をするためには、グランドカバーを密に茂らせて、他の植物の生える場所をできるだけ無くさなければいけません。

 そのためには、常に元気なグランドカバーを保つ必要があります。グランドカバーを茂らせた場所に不用意に足を踏み入れることでその部分だけ枯れてしまったり、グランドカバーが根付く前にお手入れをやめてしまって弱らせてしまったりすると、雑草対策に弱いグランドカバーになってしまいます。
 グランドカバーが十分茂って他の植物が生えられなくなるまでは、しっかりと生育の様子を見てお手入れできるようにしておきましょう。

 また、グランドカバーが元気に茂っているからといって放置してしまうと、繁茂しすぎて手が付けられなくなり、雑草くらい厄介なグランドカバーが出来上がってしまう場合もあるので注意が必要です。


グランドカバーのお手入れ方法

庭のお手入れ道具

 グランドカバーを元気に保つためには、ある程度お手入れする必要があります。とはいえ、グランドカバーにはもともと強い種類が多いため、あれこれ手をかけすぎるのもよくありません。
 細かい施肥のタイミングやお手入れのコツはグランドカバーの種類によって異なりますが、全体として共通しているお手入れ方法をご紹介します。


まんべんなく茂らせるために

 雑草対策のためには、まずまんべんなくグランドカバーを茂らせなければいけません。植えてから茎が伸びてくるのを待つことになりますが、基本的に、茂らせたい場所を埋め尽くすまではなるべくそこに立ち入らないなどするのがおすすめです。

 たとえ踏まれるのに強いグランドカバーでも、頻繁に踏まれる場所ではあまり茎を伸ばすことができません。よく通る場所にグランドカバーを植える場合は、繁茂するまで基本的にその場所を踏まない、飛び石などを設置してそこを通るようにするなどの対策をしておきましょう。


水のあげ方

 屋外に地植えしてグランドカバーを育てる場合、基本的に根付いてからは水をあげる必要はありません。根付くまでの一か月ほど、もしくは茎が旺盛に伸び始めるまでは、土が乾いたら水をあげて、根っこが伸びてくるのを待ちます。元気に成長し始めて、すっかり根付いたと思ったら、それ以降は自然に任せるようにしましょう。

 ただし、真夏に雨の降らない日が続き、明らかに葉っぱがしおれて元気がないというような場合には、一時的にたくさん水やりをして復活させます。
 それ以外のときに頻繁に水やりをしていると、問題なく生育する場合もありますが、水たまりができてグランドカバーが育ちづらくなったり、先に他のコケなどが生えてきたりする場合もあるので、注意が必要です。


生える範囲の調整

 グランドカバーが繁茂してくると、生えている範囲からどんどん外へ外へと茎を伸ばそうとしてきます。そのまま成長すると増えすぎて厄介なことになるので、伸びすぎた部分は適宜切って調整する必要があります。

 繁茂させたい範囲の際で切ってしまうと、すぐに成長してまた切る羽目になるので、繁茂させたい範囲の内側で切ってしまうのがおすすめです。庭をきれいに管理するというのももちろんですが、野生化しうるものを育てている以上、多少なりとも責任をもって管理するようにしましょう。

雑草対策に効くグランドカバーを管理する際の注意点

赤いカラーコーン
虫眼鏡

 雑草対策のためにグランドカバーを植える場合、雑草を生やしたくない場所にグランドカバーをしっかり繁茂させることが重要です。グランドカバーの葉っぱが隙間なく地面を埋め尽くし、地面に光が当たらない状態にしておかなければいけません。グランドカバーを植えたからといって、隙間があるとそこから雑草が生えてくる可能性があることに注意してください。

 また、ヤブカラシやドクダミのような、地下部の茎や根っこに栄養を貯める多年草の場合、貯めた栄養を使ってグランドカバーより高く茎を伸ばしてくる場合があります。そうした雑草が既に庭に生えている場合は、グランドカバーとは別に別途対応する必要があります。
 あくまでグランドカバーは地面を暗くして雑草の発芽を防ぐ方法のひとつというだけで、万能の雑草対策ではないということに留意しておきましょう。

 繁殖力の強い園芸植物によって雑草を減らすというこの方法は、ある意味「毒を持って毒を制す」ようなものです。そのため、グランドカバー自体が毒、つまり邪魔な雑草のようになってしまう場合もあります。グランドカバーも生きた植物だということを理解し、しっかり制御できるようにしましょう。

まとめ

きれいな状態の庭

 雑草対策を行うために、グランドカバーは非常に有効な手段のひとつです。ただし、雑草対策に効く種類のグランドカバーを選んだり、雑草が生える隙間の無いようにしっかりグランドカバーを育てたりと、少し手間のかかる方法ではあることに留意しておきましょう。

 グランドカバーにより雑草対策ができるようになれば、自動的に雑草の生えにくい庭になるだけでなく、庭の植物の一員として見た目を楽しむこともできます。
 もしグランドカバーの選び方や育て方に自信がない、作業をする時間がないといった場合には、ぜひスマイルガーデンなどのプロの業者に依頼してみてください。プロの技を見たり直接話を聞いたりすることで、庭の雑草対策がもっと上手になるかもしれません。ぜひ検討してみてください。

氏永 勝之
監修者 smileグループCEO
株式会社ガーデンメーカー 代表取締役
愛知農園植木苗木株式会社 専務取締役
一般社団法人ガーデンビジネス協会 代表理事
氏永 勝之

愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。

執筆者 瀬尾一樹

樹木医です。木も草も大好きで、将来は自分だけの森を持ちたいと思っています。木の美しさや育てる楽しさだけでなく、生きものとしての生態的な面白さも伝えていきたいです!好きな木はケヤキです。