秋の風物詩ともいえるカキの木。
ふっくらとした大きな実はみずみずしく、口いっぱいに淡い酸味のある甘さが広がります。
しかし、管理がしっかりとできていないと実がならないことも。
毎年実を収穫するためには、適切な管理が必要です。
今回は、カキの木に実がならない原因と対処法、実をつける育て方・剪定方法について紹介!
目次
カキの木に実がならない原因と対処法
まずは、カキの木に実がならない原因とその対処法について知っておきましょう。
1.カキの木の若さ|木が若すぎる
カキの木は植え付けてすぐに実をつけるわけではありません。
昔から「桃栗三年柿八年」といわれるように、
種から育てると実がなるまでに8年ほどかかることもあります。
苗木を植えた場合でも、結実まで3〜4年ほどかかることも。
木が若いうちは、生長にエネルギーを使うため、実をつけにくいです。
焦らずに木がしっかりと育つように剪定や肥料管理を行いながら、実がなるのを待ちましょう。
対処法:苗木から育てて結実を早める
カキの木を早く実らせたい場合は、種からではなく苗木から育てるのがベスト。
種から育てると結実まで8年ほどかかりますが、苗木なら3〜4年で実をつけることが多いです。
接ぎ木苗を選ぶと、親木の性質を受け継ぎやすく、実がなりやすくなりますよ。
植え付ける場所は、日当たりと水はけの良い環境をつくりましょう。
冬の剪定や適量の追肥を行い、元気な枝葉を育てることで、実がつく時期を早めることができます。
2. 隔年結果|実がならない年がある
カキの木は毎年安定して実をつけるとは限りません。
豊作の年と、不作の年が交互に訪れる「隔年結果(かくねんけっか)」と呼ばれる性質をもつことが多いです。
前年にたくさんの実をつけると、木が疲れて翌年は花芽がつきにくくなります。
特に放任すると、実の付き方にばらつきが出やすくなることも。
毎年安定して実を収穫したい場合は、実が多くついた年に間引きを行い、木の負担を減らすことがポイントです。
対処法:隔年結果を防ぐための摘果・剪定をしっかりと行う
カキの木の隔年結果を防ぐには、摘果と剪定を適切に行うことが大切です。
実が多くついた年は小さなうちに摘果し、木の負担を軽減させましょう。
1つの枝に2〜3個程度の実を残すと、翌年も花芽がつきやすくなります。
剪定は冬に行い、枝が混み合わないように風通しを確保することがポイントです。
実をつけすぎると翌年の花芽が減るため、摘果と剪定をバランスよく行い、毎年安定して収穫できるように整えましょう。
3. 剪定の失敗|花芽を切りすぎた
カキの木の剪定を間違えると、実がつかなくなる原因になります。
特に花芽を多く切り落としてしまうと翌年の開花が減り、実がならなくなることも。
カキの木の花芽は、夏から秋にかけて枝の先端付近に形成されます。
冬の剪定で枝を短く切り詰めすぎると、花芽ごと切り落としてしまうこともあります。
剪定を行うときは不要な枝を整理しながら、花芽がついた枝を残すことが大切です。
適切な剪定で、安定した収穫を目指せます!
対処法:適切な剪定時期・方法を守る
剪定で花芽を切り落とさないためには、時期と方法を守ることが大切です。
カキの木の剪定は、休眠期の1〜2月が適期です。
枝を短く切りすぎると花芽を失い、実がつかなくなる原因になります。
込み合った枝や徒長枝を間引くように剪定し、風通しを良くすることがポイント。
どの枝を残せばよいかわからない場合は、プロの業者へ依頼するのもおすすめです。
適切な剪定を行い、毎年安定して実がつくように整えます。
4. 肥料の過不足|多すぎ・少なすぎ
カキの木は、肥料の量が多すぎても少なすぎても実がつきにくくなります。
肥料が不足すると、花芽の形成が遅れ、実がつかない原因となる場合も。
一方で肥料を与えすぎると枝葉ばかりが茂り、実をつける力が弱まります。
特に窒素分の多い肥料を過剰に施すと、葉ばかりが大きくなり、花がつきにくくなることもあります。
肥料の量や種類を適切に調整し、木の状態を見ながら管理することが、毎年しっかりと実をつけるポイントです。
対処法:カキの木にあった肥料・施肥方法で育てる
カキの木に適した肥料を正しく施すことで、実つきを良くできます。
冬の寒肥にはゆっくり効く有機肥料を与え、春の芽吹き前にはリン酸やカリウムを多く含む肥料を施すことが大切です。
窒素が多すぎると枝葉ばかりが茂り、実がつきにくくなるため、バランスを意識することがポイントです。
肥料は幹の近くではなく、根が広がる周囲にまくと吸収しやすくなります。
適切な施肥で、元気なカキの木を育てましょう。
5. 日照不足と植栽環境|育てる環境が悪い
カキの木は日当たりの良い場所で育てることで、しっかりと花芽をつけ、実をならせます。日照不足の場所では枝が間延びしやすく、花芽の形成が遅れることがあります。
特に建物や他の樹木の影になる場所では、光が不足しがちです。
また、水はけの悪い土壌や風通しの悪い環境では、根の生育が悪くなり、健康な木に育ちにくくなります。
カキの木が元気に生長できる環境を整え、安定して実をつける状態をつくることが大切です。
対処法:日照環境を改善する
カキの木がしっかり実をつけるために、日当たりをしっかりと確保しましょう。
周囲に大きな木がある場合は、剪定をして枝を整理し、十分な光が当たるように調整します。
建物の影になっている場合は、鉢植えなら移動させ、地植えなら冬の剪定で枝の間引きを行い、光を取り込みやすくします。
風通しの良い環境を作ることで、病害虫の予防にもつながります。
日照不足を解消し、元気な木に育てることで、実のつきを良くすることができますよ。
6. 受粉の失敗|受粉樹がない
カキの木の中には自家受粉できる品種と、受粉樹が必要な品種があります。
単独では実がつかない品種を育てている場合、近くに受粉樹がないと結実しにくくなります。
特に甘柿の品種では、受粉樹がないと実がならなかったり、種なしの実になって落ちやすくなったりすることも。
人工授粉をすることで実をつけることもできますが、安定した収穫を目指すなら、相性の良い受粉樹を近くに植えることがポイントです。
対処法:受粉樹を植えて・人工授粉で受粉を助ける
受粉を確実にするためには、相性の良い受粉樹を近くに植えましょう。
甘柿の中には、渋柿を受粉樹として植えることで、実が安定してつく品種もあります。
またスペースがない場合は、人工授粉をするのも効果的です。
開花時期に、他のカキの木の花粉を筆や綿棒で花に付けることで、受粉を助けることができます。
ミツバチなどの昆虫が少ない環境では、特に人工授粉が役立ちます。
7. 病害虫|実に栄養がいっていない
カキの木が病害虫の被害を受けると、葉や枝に栄養が奪われ、実の成長が妨げられます。
カイガラムシやアブラムシがつくと、新芽の生育が悪くなり、花芽の形成にも影響が出ます。
黒星病や炭そ病にかかると、葉が落ちやすくなり、光合成が十分にできなくなることもあります。
特に梅雨時期は湿度が高く、病気が発生しやすい環境になります。
害虫の発生を抑え、病気を予防することで木が健康に育ち、実のつきを良くすることができます。
対処法:3月下旬〜8月下旬ごろまでは防除
病害虫の被害を防ぐには、
3月下旬〜8月下旬ごろまで定期的に防除を行うことが大切です。カイガラムシやアブラムシは春から夏にかけて発生しやすいため、見つけたら早めに対処します。
薬剤散布をする場合は、
新芽が出る3月下旬と、害虫が増える6月〜7月ごろに行うのが効果的です。
病気を予防するためには、枝葉が混み合わないように剪定し、風通しを良くすることも重要です。
カキの木を実らせるための育て方のコツ
カキの木に実がならない原因を作らないためにも、苗木を植え付ける前から育てる環境を良くすることが大切です。
植え付け前に土壌改良を行う
植え付け前に土壌を整えてから、カキの木を植え付けましょう。
水はけの悪い場所では根腐れを起こしやすくなるため、腐葉土や赤玉土を混ぜて、排水性と通気性を良くします。
酸性の土を嫌うため、苦土石灰をまいて土壌を中和してから、植え付けてくださいね!
適度な水やりを心掛ける
カキの木は乾燥に強いですが、水不足が続くと花芽の形成が悪くなり、実つきが悪くなります。
特に植え付け直後や夏場は、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えることが大切です。
反対に、水を与えすぎると根腐れを起こす原因になるため注意が必要です。
地植えの場合は自然の雨で十分ですが、乾燥が続くときは適度に水やりをしましょう。
開花時期には人工授粉を試みる
カキの木の受粉がうまくいかないと、実がつかないことがあります。
特に単独で育てている場合や、受粉樹が近くにない場合は、人工授粉を行うのがおすすめです。
開花時期に、綿棒や筆を使って雄花の花粉を雌花につけることで、受粉を助けることができます。晴れた日の午前中に行うと、成功しやすくなります。
自然受粉だけに頼らず、人工授粉を取り入れることで安定した収穫にもつながりますよ!
実の栄養分を集中させるための摘果
カキの木にたくさんの実がつくと、栄養が分散し、大きく育ちにくくなります。
特に小さな実が多いと、成熟前に自然落果することも。
適度に摘果を行い、1つの枝に2〜3個程度の実を残すことで、栄養を集中させることができます。実が小指の先ほどの大きさになったら、形の悪いものや傷があるものを間引くのがポイントです。
摘果をしっかりと行うことで、大きく甘いカキの実を育てることができます。
カキの木を実らせる剪定のポイント
毎年カキの木の実を収穫するためには、適切な剪定が欠かせません。
Point1. 冬の剪定:実をつけるための基本的な剪定をする
カキの木の剪定は、葉が落ちて株が休眠期に入る冬に行うことで、花芽を守りながら樹形を整えられます。
翌春の芽吹きを促進するため1〜2月ごろに剪定を行い、長く伸びた徒長枝や混み合った枝を間引き、風通しを良くしましょう。
ただし花芽は前年に伸びた枝につくため、切りすぎると実がつかなくなることも。
また太い枝を切る場合は切り口に癒合剤を塗り、病気を予防することも大切です。
Point2. 春の摘蕾:不要な蕾を減らして実を充実させる
春に多くの蕾(つぼみ)をつけるカキの木ですが、そのままにしておくと栄養が分散し、実が小さくなります。
摘蕾(てきらい)を行い、養分を残した蕾に集中させることが大切です。
4〜5月ごろを目安に1つの枝に2〜3個の蕾を残し、それ以外は間引きます。
形の悪いものや弱々しいものを優先的に取り除くことがポイントです。
摘蕾をすることで、しっかりとした大きな実が育ち、収穫の質が向上します。
Point3. 夏の剪定:枝の整理と徒長枝の処理を行う
夏の剪定は不要な枝を整理し、風通しを良くすることが目的です。
6〜7月ごろに、徒長枝や混み合った枝を間引くことで、光が均等に当たり、実の生育が促されます。
特に、真上に勢いよく伸びる徒長枝は養分を奪いやすいため、早めに切り戻すことが大切です。枝が混みすぎると病害虫の発生原因にもなるため、適度に透かすことがポイントです。
Point4. 収穫後の剪定:翌年の実つきを良くする
カキの木は、収穫後に適切な剪定を行うことで、翌年の実つきを良くできます。
11〜12月ごろ、枯れ枝や細い枝を整理し、日当たりと風通しを確保しましょう。
実がなった枝の先端には翌年の花芽がつくため、短く切りすぎないよう注意が必要です。徒長枝や込み合った部分を間引くことで、木全体のバランスが整い、養分が効率よく行き渡ります。
カキの木の詳しい剪定方法について知りたい方はこちらの記事へ!
カキの木の実が落ちるリスクとその対策
カキの木は、生長の過程で自然に実を落とす「生理的落果」を起こします。
1. 生理的落果の原因と対策
特に6〜7月ごろ、木が育つためのエネルギーを調整しようと、多くの実を落とすことがあります。
落果を減らすためには、春の摘蕾や摘果を行い、残した実に栄養を集中させることが大切です。
適切な水やりと施肥を行い、木がストレスなく育つ環境を整えることもポイントです。バランスの取れた管理で落果を抑え、しっかりとした実を育てましょう。
2. 害虫(カキノヘタムシガなど)による落果を防ぐ
カキノヘタムシガは、カキの実のヘタ部分に卵を産みつけ、幼虫が中に入り込むことで落果を引き起こします。
被害を防ぐためには、5〜6月ごろの成虫発生時に防虫ネットをかけるか、薬剤を散布することが効果的です。
幼虫が入り込んだ実は落ちやすくなるため、早めに摘果して被害の拡大を防ぐことも大切です。
定期的な観察と適切な防除で、健康な実を守り、安定した収穫につなげましょう。
3. 環境ストレスによる実落ち対策
強い風や急な乾燥、長雨などの環境ストレスも実を落とす原因の1つです。
特に夏場の水不足は、落果の大きな原因になります。
土の表面が乾いたら、朝か夕方にたっぷりと水を与えましょう。
風の強い場所では、防風ネットを設置すると安心です。
長雨が続くと根腐れのリスクもあるため、水はけの良い環境を整えることがポイントです。
カキの木に実がならないことに関するよくある質問
最後に、カキの木の実がならないことに関するよくある質問をまとめました。
カキの木が実をつけるまで何年かかる?
カキの木が実をつけるまでの年数は、種から育てるか苗木から育てるかで変わります。
種から育てた場合、結実までに7〜8年ほどかかります。
苗木から育てる場合は、早ければ3〜4年で実をつけることが多いです。
特に接ぎ木苗は生長が早く、比較的短期間で結実しやすいのが特徴です。
植え付け後の管理によっても実のつく時期が変わるため、適切な剪定や肥料管理を行い、カキの木が元気に育つ環境を整えることが大切です。
カキの木の隔年結果とは何なのか、防ぐにはどうすればいい?
カキの木の隔年結果とは、実が多くつく年と、ほとんどならない年が交互に繰り返される現象のことです。
前年に実が多くつくと木が疲れて翌年の花芽が少なくなり、実がつきにくくなります。
隔年結果を防ぐには、実が多い年に摘果を行い、栄養を残した実に集中させることが大切です。
1つの枝に2〜3個程度を残し、余分な実を間引くことで、木の負担を減らせます。
受粉樹は必要? 単独で実をつける品種はある?
カキの木には、受粉樹が必要な品種と、単独で実をつける品種があります。
渋柿の多くは単独でも実をつけやすいですが、甘柿の品種の中には受粉樹がないと結実しにくいものもあります。
「富有」や「次郎」は単独で実をつけやすく、「禅寺丸」や「筆柿」は受粉樹があると安定して実がなります。
単独での結実が不安な場合は、異なる品種を近くに植えると、より確実に実をつけることができます。
どのような剪定方法がの実を増やすのに効果的なのか?
どのような剪定方法がの実を増やすのに効果的なのか?
実を増やすためには、冬と夏の剪定を適切に行うことが大切です。
冬の剪定では、前年に伸びた枝を残しながら、不要な枝を間引いて日当たりと風通しを良くします。
花芽がつく枝を切りすぎないよう注意が必要です。
夏の剪定では、徒長枝を整理し、栄養を実に集中させることがポイントです。
剪定のバランスを整えることで花芽の数が安定し、毎年しっかりと実をつけるようになります。
カキの木を実のらせる剪定はsmileガーデンへ
カキの木の剪定で実を豊かに育てるには、プロの技術が重要です。
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愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。
リゾートガーデンスタイル専属の庭師×Webコンテンツクリエイター。 カナダのトロントで造園士を、その後日本で花屋のバイヤー・鉢物の管理・アドバイザーを経験した後、ヤシの木を主体とするリゾート・ドライガーデンの造園士に。 現在は、リゾートガーデンスタイルの社会福祉施設・DOG CAFEの専属庭師に加え、畑の開拓・管理、SNSも兼務。 植物を専門とするWebコンテンツクリエイター、ガーデニング商品の監修者としても活躍中。