庭木のほかに生垣などでも使われるカイヅカイブキですが、場合によっては枯れてしまうこともあります。

どんな原因で枯れることが多いのか、枯れたかどうか見分けるにはどこを見れば良いのか、解説していきます。

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氏永 勝之
監修者 smileグループCEO
株式会社ガーデンメーカー 代表取締役
愛知農園植木苗木株式会社 専務取締役
一般社団法人ガーデンビジネス協会 代表理事
氏永 勝之

愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。

執筆者 瀬尾一樹

樹木医です。木も草も大好きで、将来は自分だけの森を持ちたいと思っています。木の美しさや育てる楽しさだけでなく、生きものとしての生態的な面白さも伝えていきたいです!好きな木はケヤキです。

目次

【大前提】植物が枯れる原因の3要素とは

庭木が枯れる原因には、種類ごとの特性が影響している場合もありますが、多くの庭木に共通しているものもあります。

原因は一つではなく複合的であることが多く、枯れたあとに「確実にこれが原因で枯れた」と言い切るのは多くの場合難しいですが、推測される原因としては似通ったものが多いです。

庭木が枯れる原因に多いものを3つにまとめてご紹介します。

管理方法によるもの

森の中で自然に育つ木と違って、庭に植える木は自分で管理をしなくてはいけません。

庭のスペースに合わせて剪定したり、病害虫を駆除したり、掘り上げて植え替えたりといった管理をして木を育てていきます。

その分管理方法が木の健康に与える影響は大きく、間違った方法で管理を続けるとと庭木が枯れる原因となることがあります。

植え付け時などの水管理

水をあげたりあげなかったり、水やりの方法で枯れてしまうパターンです。

鉢植えの場合だとまた別ですが、庭に地植えする場合、根付いてからは基本的に水やりをしなくていい樹種が多いです。

ただ、植え付けてから暖かい時期で数週間、新しく芽が出て旺盛に成長するまでは定期的に水をあげなければいけません。

そこを怠ることによって、植え付けてすぐに枯れてしまうことがあります。

逆に、根付いてからも頻繁に水やりをしていると、根っこが地表近くに集まって生え、夏場の乾燥で一気に枯れてしまうこともあります。

元々乾燥に弱い樹種や、地植えでも雨がほとんど当たらない場所に植えてある場合、真夏に長い間雨が降らなくて枯れることなどもあるので一概には言えませんが、水関係で枯れてしまう場合があることを覚えておきましょう。

剪定のやり方

剪定は木が大きくなりすぎないようにしたり、樹形を整えたり、風通しを良くしたりと庭木を管理するうえで必要なことですが、そのやり方によって木が枯れてしまう場合もあります。

本来光合成する器官である枝葉を切ってしまうことは、基本的には多少なりとも木にダメージを与えることだからです。

たとえばコニファー類など、芽吹く力が弱かったり、芽吹いても再生するのが遅い木の場合、丸坊主になるような剪定をするとそのまま枯れてしまうことがあります。

また、一般的に落葉樹より常緑樹の方がたくさんの栄養を使って葉をつくるので、葉の大部分を失うような剪定は大きなダメージになり得ます。

剪定単体では問題無くても、それによって水を吸い上げる力が弱まり、幹に日が当たることによって乾燥してしまうなど、連鎖的に影響が出て枯れてしまう場合も少なくありません。

ただしこれは樹種による部分が大きく、剪定で枯らす方が難しいような木もあります。

深植え

よくあるけど見落とされがちで認知もあまりされていないのが深植えという行為。

植え付けた根元にさらに土を盛るようなイメージで、本来よりも深く植えてしまうことを言います。

これによって根っこに酸素が生き届かなくなり、根腐れしたり根っこが弱ったりしてしまいます。

公園や街路樹の大きな木でもみられ、根元の張り出している部分が無く、寸胴のような幹になっているものは深植えされていることが多いです(全てではありません)。

これも、深植えされたから高確率で枯れる、というものではなく、いくつかの原因が重なって枯れる場合の原因の一つとなるような感じです。

その他の管理方法の影響

それ以外にも、ある程度の面積がある庭だと土が踏み固められて根っこが伸ばせなくなったり、肥料をあげすぎたり、熱帯生まれの木だと寒さ対策が必要だったり、珍しいものでは犬のマーキングスポットになっていて枯れたりと、管理の方法が枯れる原因となる場合があります。

庭木が何度植えても枯れてしまうという場合は、原因を探ったうえで、管理方法をまず疑ってみましょう。

日照浴びすぎ・浴びなさすぎ

植える場所の日当たりが良すぎたり、逆に悪かったりすると枯れてしまうことがあります。

庭木の種類によって、とにかく日当たりの良い場所が好きなものから、鬱蒼とした木の陰で育つようなものまであり、それらの条件が合わないと弱ってしまうためです。

その木が本来好む環境より日照の強い場所だと、葉っぱが黄色っぽくなったり、葉先や縁から枯れていったりするのが目安になり、逆に日照の弱い場所だと、全然成長しなかったり、間延びしたような樹形になったりします。

後者の場合は植えた後に他の木の枝葉が伸びてきて陰になることもあるので難しいですが、庭木を地植えする際はどんな場所に植えるかが非常に重要です。

庭や公園などで同じ種類の木が元気に育っている場所を見つけたら、それを再現するイメージで考えてみると良いでしょう。

また、植替えや他の木の剪定などで急に日当たりが変わると、一気に枯れてしまう場合もあるので注意が必要です。

病害虫の影響

菌による病害や、害虫の被害によって枯れる場合もあります。

ただ、意外とこれら単体で木が枯れることは少なく、美観が悪くなるだけで木の健康にさほど問題は無かったり、原因は別にあって、弱ったところを追い打ちする形で枯らしてしまったりということが多いです。

問題になりやすいのは幹や根に害を与える病気や害虫で、たとえば木が若いうちはカミキリムシの幼虫に幹を食べられて水が上げられなくなったり、木が大きくなっても根っこに害を与えるナラタケや白紋羽病などが発生するとそれ単体で枯れてしまう場合もあります。

また、近年問題になっているナラ枯れやマツ枯れ、クビアカツヤカミキリ、沖縄など亜熱帯地域では南根腐病など、単体で木を枯らすほどの害があり、なおかつ対処が難しい病虫害もあります。

原因は一つでは無いことも多い

庭木が枯れる原因を一つに特定できず、複合的な要因が重なり合って枯れてしまう場合も多いです。

木が弱ると自然淘汰されるような形で病虫害が多く発生したり、通常なら問題にならない要因が複数重なって枯れる原因になったりします。

たとえば「剪定しすぎて水を吸い上げる力が弱くなって幹焼けし、そこから菌が侵入」だったり、「日当たりが悪い+深植えにより衰弱し、根腐れした部分から病原菌が侵入」など、考えられるパターンはいくつもあります。

また、普段は害を与えず樹体内に存在するが、木が弱ると病気を発生させるという性質の菌も多いです。

単体では枯れるほどではない原因が、重なり合うと木を枯らすことがあるというのを覚えておきましょう。

カイヅカイブキの枯れる原因もほぼ3要素

カイヅカイブキが枯れる原因は様々ですが、よくある原因としては大きく3つに分かれます。

木が枯れてしまったとき、次に木を植えるときに失敗しないよう、枯れた原因をしっかり把握しておくのが大事です。

庭のカイヅカイブキが枯れたのはどの原因なのか、あるいはまた別の原因なのか、チェックしてみましょう。

剪定のしすぎ

カイヅカイブキは針葉樹の中では比較的刈り込みに強く、生垣に使われることもあります。

しかし、マサキやカナメモチなどほかの生垣に使われる樹種と比べると刈り込み後の再生はかなり遅いです。

強剪定しすぎて枝葉がほとんどない状態にすると、再生が追い付かず枯れてしまうことがあります。

生垣ではなく庭木として植えている場合も同様です。

前の年と同じ大きさになるまで刈り込む程度なら基本的に問題ありませんが、少なくとも枝葉の半分以上を失うような剪定は控えるようにしましょう。

日当たりが悪くて枯れる

カイヅカイブキは日当たりの良い場所を好む樹木です。

屋内や他の木の陰など、日当たりの悪い場所に植えると枯れてしまうことがあります。

植えた後に建物が立ったり他の木の枝葉が伸びてきたりという場合もあるので注意が必要です。

新しい枝葉が全く伸びず、そのまま枯れてしまったという場合は日当たりを疑ってみるのが良いかもしれません。

その他管理方法の影響で枯れる

他にも、植え付け直後から根付くまでに水やりを怠って枯らしてしまったり、周りの地面が踏み固まって根っこを伸ばせなかったりと、管理方法の影響で枯れてしまうことがあります。

まめにカイヅカイブキの様子をチェックして、枝葉の伸び具合はどうか、害虫がついていないかなど、見てあげるようにしましょう。

知っておきたいカイヅカイブキの枯れたかどうかを見分ける方法

カイヅカイブキは、枯れているかどうかがわかりづらい場合があります。

カイヅカイブキは枝にうろこ状あるいは針状の小さい葉が圧着してついており、広葉樹とは少し違ったつくりをしているためです。

どんなところを見れば枯れているかわかるのか、チェックしてみましょう。

単純に元気がない

カイヅカイブキが元気かどうかは、判断が難しい部分があります。

枝葉の構造から、広葉樹のように葉の色が悪かったり垂れ下がっていたりなどの目安が当てはめづらいためです。

元気が無い場合は枝葉の成長量が少なく、スカスカだったり古い枝が目立って茶色い部分が多く見えたりすることが多くなります。

元気なカイヅカイブキは緑が濃くて枝葉が密に出ているものが多いので、庭や庭園など、よく管理されている場所のものと庭のカイヅカイブキとを見比べてみましょう。

触るとパリパリで、枝ごと折れる

枝葉を触るとパリパリ崩れて、小枝ごと折れるような場合は、少なくともその部分は枯れていることになります。

葉っぱ(枝についている鱗のような部分)が枯れていそうだけど枝先を曲げても折れない場合、まだ生きている可能性はあります。

枝葉の色は茶色くなることもありますが、急速に枯れた場合などは黄緑色のままパリパリになっていることも多いです。

注意しなくてはいけないのが、植物は一部分だけ枯れていても他の部分は生きていることもあるということ。

大きい枝が一本枯れていても他の枝は生きていたり、枯れたと思っても幹から芽吹くようなこともあります。

木自体が枯れたかどうかは、全体を見つつある程度の期間を置いて判断すると良いでしょう。

カイヅカイブキを枯らさないための対策とは

カイヅカイブキを枯らさないためには、カイヅカイブキの特徴を理解し、それに合った育て方をする必要があります。

実際のところ木が枯れる原因はケースバイケースで、とても大事に育てていたのになぜか枯れるということも無くは無いです。

しかし、きちんと育てれば少なくとも枯れる可能性を大幅に下げることができます。

どんな育て方をするのが良いか、チェックしてみましょう。

カイヅカイブキの特徴を理解

カイヅカイブキはヒノキ科の一種で、ビャクシン(イブキ)という木の栽培品種です。

燃え盛る炎のような樹形が特徴的で、刈り込みに強い性質から庭木や生垣として植えられます。

ヒノキ科全般に共通しますが、広葉樹などとは違い、枝に圧着するようにうろこ状あるいは針状の葉っぱがつくのが特徴です。

カイヅカイブキの場合、通常はうろこ状の葉っぱが、強剪定すると針状の葉が出てきます。

潮害や乾燥に比較的強く、日当たりの良い場所を好みます。

生育の適地は、北海道から九州までとかなり広い範囲です。

水やりの頻度

庭に地植えする場合、植え付けてからしばらくは水やりを行います。

土を少し掘っても乾いているようだったら、下まで浸透するようにたっぷり水やりを行い、根付いて枝葉が旺盛に伸びるようになったらそれ以降は気にする必要はありません。

水のやり方にもよりますが、根付いてからも頻繁に水やりをするとかえって根っこが土表面に集まって枯れやすくなったり、根っこの成長量が少なくなったりします。

水をやるならやるで、土が乾燥したのを見てから下まで浸透するようにたっぷり与えるようにして、中途半端な量を毎日与えるようなことが無いようにしましょう。

カイヅカイブキは乾燥に強いので、よっぽど土が少なく狭い場所で育てたりしない限り、庭に根付いてからの水やり不足で枯れることは考えにくいです。

ただし鉢植えの場合は根を張れる範囲が少ないので、土が乾いたら定期的に水やりをしましょう。

植える場所の日照

日当たりの良い場所に植えます。

背の高い木の葉っぱで陰になっていたり、建物と建物の間のような暗い場所だったりすると、成長できずに静かに枯れていくことがあるので注意が必要です。

また、最初に日当たりの良い場所に植えても、後から別の木が伸びてきたり、建物が立ったりして環境が変わる場合もあります。

植えたあとも、木の様子を気にかけてあげてください。

病気にかからないようにするためには

どんなに健康に育てていても、病気にかからないようにすることは基本的には難しいです。

大事なのは発病してからの早期対処と、感染源を残さないことです。

カイヅカイブキはカビによるいくつかの病気にかかることがありますが、その多くは病気にかかった枝葉を切って焼却処分または土の中深く(1m以上)に埋めることでとりあえずの対処ができます。

蔓延すると切るべき罹病部が多すぎたり、取り残しが出たりするので、なるべく早く対処するのが大事です。

また、カイヅカイブキがかかるさび病という病気では、近くに植えられたナシ、カリン、ボケなどの木とカイヅカイブキを菌の胞子が行ったり来たりして病気を発生させます。

枝や幹から樹脂が漏れる樹脂胴枯病では、近くのヒノキ科樹木から伝染します。

このように感染源が明らかな場合は、それらを除去することで病気の発生を無くすことも可能です。

まとめ

カイヅカイブキは比較的丈夫な木ではありますが、環境や管理方法によっては枯れてしまうこともあります。

枯れてしまったり弱ったりした場合は、その原因を推測して、試行錯誤しながらその庭に合った育て方を身に着けていくのがおすすめです。

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