庭の芝生やコンクリートなど、環境によっては様々な場所に苔が生えてきますよね。放置しておくと見栄えが悪く、滑って転ぶ可能性もあり厄介です。そんな苔の対策方法を、苔の種類ごとにご紹介します。

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氏永 勝之
監修者 smileグループCEO
株式会社ガーデンメーカー 代表取締役
愛知農園植木苗木株式会社 専務取締役
一般社団法人ガーデンビジネス協会 代表理事
氏永 勝之

愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。

執筆者 瀬尾一樹

樹木医です。木も草も大好きで、将来は自分だけの森を持ちたいと思っています。木の美しさや育てる楽しさだけでなく、生きものとしての生態的な面白さも伝えていきたいです!好きな木はケヤキです。

目次

庭に生える苔の種類は?

お庭の苔

 庭の苔対策をするには、庭に生えているのが苔の中でもどの仲間に入るのか知っておかなければいけません。苔と呼ばれるものの中には、本当は苔(コケ植物)ではないものがかなり多く、見た目も全く違うのに混同されています。
 広く苔と呼ばれるものの中でも、どの仲間なのかによって対策方法も若干変わってきます。ある程度併用できる対策方法もありますが、確実に対策するにはどの苔なのか知っておくに越したことはありません。あなたの庭に生えている「苔」が、一体どの仲間に属するのかチェックしておきましょう。
 なお、「種類ごとの対策方法」と前述しましたが、生物学的な種ではなく、以下の見出しに記載する大枠の仲間ごとの対策方法をご紹介することとします。


コケ植物

 コケ植物こそが、正しく苔と呼ばれるべき植物かと思います。よく見ると小さな葉っぱのような構造が見て取れたり、ゼニゴケのような平べったい構造が広がっていくのもコケ植物です。歴史の長い庭園の石をモコモコと覆っているものといえば理解しやすいでしょうか。苔玉やコケテラリウムに使われるのは一般にコケ植物です。
 シダ植物や種をつくる植物と違って維管束(栄養や水分を運ぶパイプ)が無く、胞子で繁殖します。切れ端からでも再生することはありますが増えるスピード自体はそこまで強くないものが多く、庭で問題になるものは少な目です。
 ゼニゴケが見た目状不快といわれたり、芝生の隙間から生えて芝の居場所を横取りしてしまったりといった害があるくらいです。


気生藻類

 気生藻類は、陸上で生育する微細藻類の総称です。一つ一つはとても小さく、肉眼ではほとんど見えません。それらが繁殖して広がることにより、コンクリートや壁一面が緑や黒っぽくなります。苔と呼ばれ駆除されることが多いのはこの気生藻類ですが、「庭 藻類」などで検索するとほとんど後述するイシクラゲばかり出てきてしまい、逆に「庭 コケ」などで調べると気生藻類が出てくるなど、これら気生藻類を苔と呼ぶのが広く浸透しているようです。
 気生藻類には緑藻類といわれるものが多いですが、藍藻類と呼ばれる違った分類群のものも多く、いくつかの種類が混生することもあります。かなり身近にみられる存在で、コンクリートブロックが黒や緑に変色しているように見えるものや、ガードレールにススのようなものがついているのも気生藻類の集まりであることが多いです。
 コケ植物と違って、肉眼で拡大しても葉のような構造がみられず、びっしり色を塗ったように緑や黒になっています(一部、オレンジ色の群落をつくるスミレモ類などでは、けば立ったような構造などがみられるものもあります)。


イシクラゲ

 イシクラゲは藍藻類というグループの仲間です。学校の校庭などで、雨の後にぶよぶよのキクラゲのようなものが多数広がっているのを見た覚えはないでしょうか。これがイシクラゲです。
 イシクラゲ自体に目立った害はないものの、この見た目の気持ち悪さから駆除が行われることがあります。乾燥時には乾いた状態で地面に張り付いており、雨が降るとワカメを水で戻したように復活します。
 ちなみに、キクラゲは菌類なのでイシクラゲとの類縁関係はありません。


地衣類

 地衣類は、菌類と藻類が共生しているものです。特定の菌類(カビやキノコの仲間)の中に前述した気生藻類などが入り込んでこの形をとります。灰色や黄緑色などの色で、パっと見コケ植物のような姿をしています。
 種類によって好む場所が異なりますが、コンクリートの表面や木の樹皮などに生えているものが多いです。成長速度が遅いものが多いため、基本的に庭で害になるようなことはありません。
 まれに木の樹皮についているものを高圧洗浄で落として対策するようなことがありますが、基本的に地衣類が樹皮についていても特に害は無いです。


小さな種子植物

 小さな種子植物、いわゆる草の仲間にも苔のような姿をしたものがあります。マンネングサの仲間のような、背が低く小さな葉っぱが密集するようなものがコケ植物と混同されやすいです。実際に、草なのに「○○ゴケ」のような名前がついたものも少なくありません。
 コケ植物やその他の藻類などとは、茎葉がはっきりしており(コケ植物の中にも茎葉のような構造がみられるものもあります)、花を咲かせることで見分けられます。
 コケ植物では胞子を出す果実のような構造がみられることもありますが、花は咲かせません。コケ植物より明るい場所を好み、乾燥した場所でよく増えるものも多いため、他の苔と比べて庭で害になるシチュエーションが若干異なる場合があります。

どうして生えてくる?

様々な苔画像

 ここまで紹介してきたいわゆる苔と呼ばれる植物たちは、胞子や種子、あるいは茎葉の切れ端、細胞などが庭に運ばれてきて繁茂します。風や人の足にくっつくなどして運ばれてきたか、もともと庭の土に入っていたのかもしれません。特に気生藻類などは一つ一つは目に見えないほど小さいので、いくらでも侵入するルートが考えられます。
 苔は侵入しないようにするのではなく、こまめに対応するかそれらが生えにくい環境にするなどして対処するのが良いでしょう。

苔による悪影響

 苔が庭に繁茂することによって、いくつか悪影響があります。いずれも苔がどの仲間のものなのかによって出る悪影響が異なります。
 コケ植物や地衣類などでは繁茂することによって風情が出て好まれる場合もありますが、種類や状況によっては悪影響となる場合もあるということを覚えておきましょう。


滑って転ぶ原因になる

 主に気生藻類やイシクラゲによっておこる悪影響です。微細な気生藻類がコンクリートの隙間を埋めてしまい、地面がつるつるになって滑ってしまったり、イシクラゲを踏んで滑ってしまうなどの悪影響が考えられます。
 安全管理上問題となることが多く、人が頻繁に通るのであればただちに対処した方が良いでしょう。


美観が悪くなる

 こちらも気生藻類やイシクラゲで多く起こり得る悪影響です。壁やコンクリートの地面がうっすら緑色や黒色に染まっていたら、なんとなく汚れているような印象を受けます。イシクラゲやコケ植物のゼニゴケ類などでは、そのものの見た目があまり好きではないという場合も多いでしょう。
 実害はなくとも、自分の庭を掃除するという意味でも対処が必要になる場合が多いです。

芝生が生えにくくなる

 こちらはコケ植物や小さな種子植物によって起こります。芝が生えるところにコケ植物などが生えることによって、芝の場所を奪ってしまいます。本当ならば一面びっしりのきれいな芝生にしたいところを、いろいろなものが生えてゴチャゴチャしたような見た目になってしまうというものです。
 これはかなり限定的なシチュエーションにはなりますが、芝生を維持するうえで対処しなければいけないことです。

種類ごとの対策方法

苔の種類画像

 苔からの悪影響を減らすために、それぞれ対策をしなければいけません。しかし、前述したとおり広く苔と呼ばれるものには様々な種類があり、それぞれ類縁関係も遠ければ体の構造も異なります。
 そのため、自分の庭で問題を起こしているのがどの苔なのかハッキリさせたうえで、それぞれに合った対策方法を講じるようにしましょう。


コケ植物

 コケ植物には、コケ植物用の除草剤を使うのが有効です。ゼニゴケ類によく効くものや、芝生の隙間に生えるコケ用のものもあるため、用途に合わせて選ぶことができます。また、木酢液のような酸性の液体をかけることでも効果があるとされています。コケといいつつ対象にしているのは気生藻類である場合もありますが、商品によっては共通して効果がある場合もあるようです。
 コケ植物は他の大きな植物が生えていない裸地と呼ばれるところに生えるので、他の植物を植えてコケ植物の生えるスペースを無くしてしまうのも一つの手です。また、成長スピードは遅いものが多いので、手で取れる範囲なら取ってしまうのも手っ取り早くはあります。


気生藻類

 気生藻類は、高圧洗浄機やブラシなどでこすることで駆除できます。土の表面に発生して問題になることは少なく、基本的にはコンクリートの表面などに発生するので、これが手っ取り早い方法といえるでしょう。
 気生藻類(コケと表現されることが多いです)に対応した薬剤も売っているので、それらを使って駆除することもできます。また、カビキラーなどの薬剤が効くともいわれています。
 除去剤の中にはアクアリウムの藻類などの駆除に使われるものも多く、それらは陸では使うことができないので注意しましょう。


イシクラゲ

 イシクラゲは専用の駆除剤があります。イシクラゲが乾燥した時ではなく、雨などで水を含みぶよぶよになった状態で使用するのが効果が大きいです。また、重曹なども効果があるといわれています。
 狭い範囲なら手で取ることもできなくはないですが、広範囲にイシクラゲが生えている状態だと労力が大きいため、あまりおすすめしません。また、こちらも植物が生えていない裸地に生えるので、芝生など何か植えてしまうのも一つの手です。


地衣類

 地衣類は基本的に成長が遅いので、ブラシや高圧洗浄機などで落としてしまうのが手っ取り早いです。ただし、美観が悪くなる場合がある程度の害しかないため、あまり目くじらを立てて駆除しなくても良いかもしれません。
 もし広範囲に繁茂していて対処したいという場合は、一応駆除剤もあるのでそちらを使ってみてください。


小さな種子植物

 コケと見間違えるような小さな種子植物は、除草剤を使って駆除するのが手っ取り早いです。コケ植物や気生藻類などの駆除剤とはそれぞれ併用することはできないことが多いので注意しておきましょう。
 手で取ることもできなくはないですが、かなり大変な作業になるうえに、再び生えてきたり、種類によってはトゲがあるようなものもあるので、狭い範囲でなければあまりおすすめはしません。踏まれることに弱いものが多いので、まんべんなく何度か踏んでみるのも良いでしょう。
 コケ植物や気生藻類などと違って明るい場所を好むものが多いので、他の植物などで覆ってしまえば弱らせることができる場合もあります。

苔の生えにくい環境にする

生えにくい苔の環境画像

 苔全般に通じて、そもそもこれらが生えにくい環境にしてしまうというのが可能であれば、それが最も効果のある対策になります。駆除剤を使ったりこそぎ落としたりしても時間が経てばまた生えてきますが、環境を変えることができればそれ以降も生えてきません。
 実際には実現が難しいものもあるかと思いますが、苔が生えにくい環境についてご紹介します。


日あたりをよくする

 苔の多くは、乾燥に弱いです。強い光そのものが苦手なものも多く、日あたりが良くなって乾燥するようになると、苔の生えにくい環境になります(コケと見間違われやすい小さな種子植物を除く)。周りの木の枝を剪定するなどして日あたりを調整できるのであれば、乾燥するよう日あたりを強くするのも良いかもしれません。
 ただし、コケ植物などの中にも強い光や乾燥に強いものがいるため、元から十分強い光が当たっているという場合はさらに日あたりを良くしても改善しない場合があるので注意しましょう。


庭の水はけをよくする

 苔が生える場所は常に少し湿っているような場所が多いので、水はけをよくするのも一つの手です。通気性の良い土に入れ替えたり、雨の後長時間水たまりができるような場所であれば水の抜ける穴をつくったりするのも良いかもしれません。


他の植物を植える

 苔が生える場所は、基本的に他の植物との競争が無い場所です。苔が生えて困っている場所に、他の植物を植えてしまえば、苔は生えなくなります。
 ただし、芝生のような背が低いものだとコケ植物などが間から生えてくることもありますし、背の高い植物を植えても根元のわずかな土表面に生えてくることは避けられません。

まとめ

 一般に広く苔と呼ばれるものはかなり広い範囲を指しており、それぞれ特徴や対策方法が微妙に違います。可能であれば、環境を変えてしまうのが一番の対策となります。
 難しく感じるかもしれませんが、それぞれ共通した対策方法が使えることもありますし、あまり難しく考えずにこれだと思った対策方法を使ってみてください。

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