毎年5月5日ごろに訪れる立夏は、夏のはじまりを知らせる季節。いわゆる「初夏」に当たり、多くの植物が見頃を迎える時期でもあります。今回は、立夏とは何か、立夏の日、立夏のころに見られる樹木の種類、立夏のころにおすすめの場所など、たっぷりと詳しく紹介!
目次
そもそも立夏(りっか)とは何の日?
「夏の兆しが見え始めるころ(=夏が立つ)」の意味であり、一年を24つの節気に分けた1つである二十四節気(にじゅうしせっき)の7番目に当たる立夏(りっか)。 暦(こよみ)の上では春分と夏至の中間ごろになり、しばしば暑さを感じ始める5月5日ごろに毎年訪れ「夏」が始まり、8節目の「小満(5月21日ごろ)」の前日まで続きます。 二十四節気においては、穀物をうるおす雨が降るころの「穀雨(4月20日ごろ)」の次の節気にあたり、雨が降る日が多くなり始めるころでもあります。 そもそも二十四節気とは、1年を4つの季節に分けた春夏秋冬を、さらにそれぞれの6つに分けた節気(4×6=24)のことです。 もともとは古代中国で発案されたもので、日数によって分けていましたが、現在では太陽の位置から日割りして、日付を定めているようです。 下記の表が、二十四節気と現在の日付です。季節 | 二十四節気 | 月 | 新暦の日付 |
春 | 立春(りっしゅん) 雨水(うすい) 啓蟄(けいちつ) 春分(しゅんぶん) 清明(せいめい) 穀雨(こくう) | 1月節 1月中 2月節 2月中 3月節 3月中 | 2月4日ごろ 2月19日ごろ 3月5日ごろ 3月21日ごろ 4月5日ごろ 4月20日ごろ |
夏 | 立夏(りっか) 小満(しょうまん) 芒種(ぼうしゅ) 夏至(げし) 小暑(しょうしょ) 大暑(たいしょ) | 4月節 4月中 5月節 5月中 6月節 6月中 | 5月5日ごろ 5月21日ごろ 6月6日ごろ 6月21日ごろ 7月7日ごろ 7月23日ごろ |
秋 | 立秋(りっしゅう) 処暑(しょしょ) 白露(はくろ) 秋分(しゅうぶん) 寒露(かんろ) 霜降(そうこう) | 7月節 7月中 8月節 8月中 9月節 9月中 | 8月8日ごろ 8月23日ごろ 9月8日ごろ 9月23日ごろ 10月8日ごろ 10月24日ごろ |
冬 | 立冬(りっとう) 小雪(しょうせつ) 大雪(たいせつ) 冬至(とうじ) 小寒(しょうかん) 大寒(だいかん) | 10月節 10月中 11月節 11月中 12月節 12月中 | 11月7日ごろ 11月22日ごろ 12月7日ごろ 12月21日ごろ 1月5日ごろ 1月21日ごろ |
2023年の立夏(りっか)はいつ頃?
2023年の立夏は、5月5日(金)〜5月21日(日)です。黄道を24等分した二十四節気によって日付が決まるので、毎年5月5日とは限らないので、カレンダーをチェックしてみるといいです。 2023年度以降の立夏は、下記の日付となっています。- 2024年(令和6年):5月4日(土)〜5月20日(月)
- 2025年(令和7年):5月5日(月)〜5月21日(水)
- 2026年(令和8年):5月5日(火)〜5月20日(水)
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立夏(りっか)のころ【季節を感じる樹木】
夏の訪れを告げ、雨がよく降るようになる立夏。 このころになると、多くの樹木の生長が活発になり、色とりどりの花・実・葉を楽しめます。 ここでは、立夏のころに花を咲かせる・芽吹く・実を付ける樹木を紹介します。立夏のころ|花を咲かせる木
立夏のころに花を咲かせる樹木は、以下の種類です。- ヤマボウシ
- エゴノキ
- ユリノキ
- ニセカシア
ヤマボウシ
初夏に白い風車のような花(苞)が空へ向くように咲くヤマボウシ。 波打った光沢のある濃緑の葉の隙間から、立ち上がるように伸びた花が満開になる姿が上品で美しく、夏の訪れを告げます。 品種によって、クリーム色・ピンク・赤紫の苞が咲くもの、黄緑や白い斑が葉に入るものなど色のバリエーションが豊富です。 秋には赤くて丸い実が付き、トロピカルな風味を堪能でき、真っ赤な紅葉も楽しめます。エゴノキ
緩やかな曲線を描くように横に伸びた枝葉に、白い鈴のような花が下向きにたくさん咲くエゴノキ。 先端がしゅっととがった葉の下に隠れるように咲く花はしとやかで美しく、「森のシャンデリア」と呼ばれることも。 なめらかな黒みを帯びた灰色の樹皮と白の花・黄緑の葉が相まった姿が、夏の始まりを教えてくれます。 9月を過ぎたころには、黄緑色の実と黄色の紅葉を観賞できます。ユリノキ
地面から繊細な網目模様が入った茶色の太い幹がまっすぐと伸び、初夏になるとチューリップのような黄色い花が咲くユリノキ。 アメリカが原産のモクレン科の樹木で、明治時代に渡来して以来日本でも広く普及し、公園の木や街路樹に植えられるようになりました。 花は上品な香りを放ち、開花を終えると松ぼっくりのような実を付けます。 秋には黄緑色のカクレミノのような葉が黄色く紅葉し、冬になると落葉します。ニセアカシア
梅雨の時期に入ると、フジ(藤)に似た白い花が枝垂れるようにたくさん咲き、木に雲がかかったような姿になるニセアカシア。 「甘い誘惑」の花言葉をもち、初夏に満開になると、フローラルな甘い香りを放ちます。 香りが良いことから、香水の原料として使われることも。 さらに、花から採れる上質な蜜はハチミツの原料にもなり、養蜂家では栽培するところも多くあります。 秋になるとマメ科独特の長い実が付き、鮮やかな黄緑の葉を楽しめます。 品種によっては、輝くようなレモンイエロー色の葉が出る種類もあり人気の樹木です。立夏のころ|芽吹く木
立夏のころに芽吹く樹木は、以下の種類です。- ブナ
- オニグルミ
ブナ
地面から空へ太く立ち上がった真っ白な幹が美しく、初夏に産毛の生えた新葉を芽吹くブナ。 冬芽から輝くような新葉がゆっくりと芽出す姿が美しく、神秘的な景色を演出します。 新葉が展開してまもなくのころは、産毛でびっしりと覆われ銀葉にも見えます。 7月を過ぎたころには鮮やかに青葉に、10月ごろには赤や黄色に紅葉したあと、茶色く枯れ春先ごろまで残っていることも。 四季折々で色の変化を楽しめる広葉樹の代表的な樹木です。オニグルミ
すうっと広がるように鳥の羽に似た葉が展開し、秋には生毛の生えた茶色い実がなるオニグルミ。 雄花と雌花で咲くタイミングが違いますが、初夏に新葉が芽吹くと同時に開花します。 枝先から立ち上がるように、鮮やかな赤い産毛の生えた赤い花びらをもった雌花が、無数の緑色の小さな花が集まって紐状で垂れ下がるように雄花が咲きます。 秋には食用となるクルミの実が熟しはじめます。立夏のころ|実がなる木
立夏のころに実が付く樹木は、以下の種類です。- ヤマモモ
- ナツグミ
- ビワ
ヤマモモ
1本の枝から螺旋(らせん)を描くように葉が互い違いに展開し、5月中旬ごろに枝先につぶつぶとした表面の赤い実が付くヤマモモ。 熟した実は、ほのかな酸味のある甘みが特徴で、採れたてであれば新鮮なものを生で食べることができます。 比較的日持ちが短いため、お店に出回ることが少ないのです。 庭木として育てれば、春に花を観賞でき、初夏においしい実が収穫できるでしょう。 黒みを帯びた灰色の幹は、つるつるとしたなめらかさで、力強いたたずまいと樹形も観賞できます。ナツグミ
ざらざらとした模様になる茶色の幹が伸び、展開した枝葉の下からぶ下がるように丸みのある楕円形(だえんけい)の実が付くナツグミ。 前年4〜5月に白い花(苞)を咲かせたあと、翌年の5〜7月にかけて実が付く特徴があり、長い間時間をかけて熟します。 そのため、「用心深い」の花言葉が付けられたといわれることも。 ぷにぷにとした弾力のあるやわらかい実は、さくらんぼのように甘みが強くて生でも食べることができます。ビワ
初夏に産毛の生えたオレンジ色の実が、枝の先端に複数で付くビワ。 上品な甘さがあることから、スーパーでも購入できるフルーツで、初夏を代表するような果樹です。 11〜2月ごろにかけて開花する白い小さな花は、円すい状に集まって立ち上がるように咲き、ほのかに甘い香りを放ちます。 葉脈がしっかりと映った厚みのある葉は、冬でも葉が落ちない常緑性で、1年を通して鮮やかな緑を楽しめる庭木になります。立夏(りっか)といえば【行事や食べ物】
5月上旬から中旬ごろまでを指す立夏は、本格的な暑さが続く夏が来るまでの準備期間ともいわれることがあるようです。 ここでは、立夏のころに行われる行事と食べ物について紹介します。立夏の行事
御田植神事(おたうえしんじ)
雨の日が多くなる立夏は、梅雨入り前の季節であり、地域によっては豊作を願うお祭りを開催するところもあります。 その中でも特に、お祓いをした女性や子どもが踊り笛を鳴らし、お米の苗を植える「御田植神事」が、立夏を代表するような行事です。 「早乙女(さおとめ)」と呼ばれる若い女性が、神に豊作を祈ったことからはじまり、古くは女性の働きぶりが主力だったそうです。 地域によっては、6月ごろに開催するところもあり、土地柄や環境によって異なるでしょう。母の日
毎年5月の第2日曜日にある「母の日」は、日本の伝統的な文化とはいえませんが、世界で共通する日であり、大きな行事ともいえます。 初夏には、「無垢で深い愛」の花言葉が付けられたカーネーションが咲く時期です。 その中でも、「母への愛」の花言葉をもった赤いカーネーションは上品で美しく、母の日のプレゼントに定番で人気です。立夏の食べ物
ちまき(粽)・かしわもち(かしわもち) 男の子の健やかな成長を祝う「端午の節句」は、現代では「こどもの日」と呼ばれています。 こどもの日は、毎年5月5日にある行事であり、立夏にちょうど差し掛かる日でもあります。 端午の節句では、ちまきやかしわもちを供物として用いていることから、立夏で食べるものと定着したようです。たけのこ
立夏の七十二侯の末候には「竹笋生(たけのこしょうず)」があります。 5月15日ごろにある候であり、たけのこが地上から顔を出す時期です。 そのため、立夏の時期にはたけのこが旬とされ、食べる機会が増える時期でもあります。立夏(りっか)の時期に【おすすめの場所】
一般的には「初夏」に当たる立夏は、まだまだ過ごしやすい時期であり「お出かけシーズン」といわれることも。 ちょうどゴールデンウィークに差し掛かる時期でもあるので、素敵な場所に足を運んでみてください。 ここでは、立夏の時期におすすめの場所を3つ紹介します。あしかがフラワーパーク
立夏の時期には、栃木県足利市にある「あしかがフラワーパーク」で、紫・白・黄色のフジを観賞してみましょう! 中でも樹齢160年以上の「大藤」は、栃木県指定天然記念物で、広さ1,000㎡の大藤棚は圧巻です。 また、フジだけでなく、園内には5,000株以上のツツジも見頃を迎え、赤やピンクなどの花を観賞できます。 フジとツツジのコラボレーションが素晴らしくて、大いに花木の美しさを堪能できますよ。 ■あしかがフラワーパーク- 所在地:〒329-4216 栃木県足利市迫間町607
- 開園期間:年中(2月第3水、木と12月31日は休園)
- 開園時間:通常AM10:00〜PM5:00(時期によって異なる)
- 料金:大人 400〜2,100円、子ども200〜1,100円(時期によって異なる)
- 駐車場:無料駐車場あり
国営ひたち海浜公園
初夏の時期になると、茨城県ひたちなか市にある「国営ひたち海浜公園」のみはらしの丘にあるネモフィラが見頃を迎えます。 スカイブルーの絨毯が敷かれたような美しい景色が幻想的で、まるで絵本の中にいるような気分にもなれます。 ネモフィラだけでなく、スイセンやチューリップ、バラなどの花も観賞できるので、色の変化を大いに堪能できるでしょう。 ■国営ひたち海浜公園- 所在地:〒312-0012 茨城県ひたちなか市馬渡字大沼605-4
- 開園期間:年中(毎週火曜日、12月31日〜1月1日、2月の第1月曜日〜金曜日は定休日)
- 開園時間:AM9:300〜PM17:00(時期によって異なる)
- 料金:大人(高校生以上) 450円、シルバー(65歳以上)210円(中学生以下は無料)
- 駐車場:有料駐車場あり
芝桜の丘(羊山公園)
埼玉県秩父市にある「羊山公園」では、4月中旬から5月初旬ごろにかけて、40万株の芝桜が見頃を迎えます。 赤・ピンク・白などの芝桜が端から端までいっぱいに広がり、自然のキャンバスを見れます。 また、羊山公園から見える秩父のシンボルである「武甲山」も美しく、芝桜と相まった風景が圧巻です。 ■芝桜の丘(羊山公園) 所在地:〒368-0023 埼玉県秩父市大宮636o 開園期間:4月中旬〜5月初旬 開園時間:AM8:00〜PM5:00 料金:一般300円(中学生以下は無料) 駐車場:有料駐車場あり(多数)まとめ
5月5日〜5月20日ごろまでの時期を指す立夏は、さまざまな植物が花を咲かせ、新葉を芽吹き、実が付くので、自然の美しさを堪能できる時期です。 気温や湿度が高くなく、まだまだ過ごしやすい時期なので、お出かけのシーズンでもあり、たくさんの観光スポットがあります。 たけのこをはじめ、ニンジンやアスパラガス、フキや玉ねぎなどの野菜は旬を迎えるので、おいしい料理を味わえるでしょう。 一般的には立夏で食べる伝統的なものはないので、旬の食材の風味や豊かな味を楽しむことが大切です。 ぜひ立夏の時期には、色鮮やかな花・実・葉が観賞できる場所へ足を運び、自然に触れ、おいしい料理を満喫してみてください。愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。
建築・インテリア学科卒の造園士×Webコンテンツクリエイター。 東京で建築、カナダのトロントで造園、その後カナダのハリファックスの大自然で植物と戯れながら、植物・庭・ガーデニングのWebコンテンツクリエイターを開始。 現在はヤシの木を主体とするドライガーデンの造園士とWebコンテンツ・ガーデニング商品の監修者としても活動中。日本での建築とカナダでの造園の経験に加え、趣味の植物やコケの収集、植物アート作りを生かして、 みなさんに植物や庭の魅力をお届けします。