庭木として使われる木には、たくさんの種類があります。せっかく植えるのならいい木を植えて、おしゃれな庭にしたいですよね。今回は、数ある庭木の中でもオススメなものを、用途やテイスト別に紹介していきます。
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目次
シンボルツリーと庭木は微妙に違う
シンボルツリーと庭木では、立ち位置がちょっと違います。
シンボルツリーは庭の主役となる木で、家の第一印象を決めるもの。
利便性よりも、見た目の印象がまず重視されます。
庭木は庭を彩るということに変わりはありませんが、家を見たときにまず目に入るようなものではありません。
そのため目隠しや日よけなど、用途があればそれが優先されます。
料理で例えるとシンボルツリーがメインディッシュ、庭木が前菜や付け合わせのような感じですね。
どちらも必要ですが、微妙に重要視する点が違うのです。
庭の場所やシミュレーション別 おすすめの庭木
庭のどこに植えるか、立地環境やどんな庭にしたいのかによってオススメできる木は変わります。
たとえば庭の端っこに植えるのなら目隠しを重視した生垣や横枝の広がる木、日差しが強い庭なら日除けに使える大きな木、といったような感じです。
それぞれ木の特性を理解して植えることで、良い庭づくりができるのです。
それぞれの条件によってオススメできる木が違ってくるので、シミュレーションごとにそれぞれに合わせた木を紹介していきます。
シンボルツリー・高木として利用出来るオススメ庭木 ヒマラヤスギ
庭のど真ん中にシンボルツリーとして大きな木を植えたい場合、ヒマラヤスギがオススメです。
大きくなると60メートルにもなる木で、傘のようになる樹形が特徴的です。
大きく枝を広げた姿はインパクト抜群なので、とても印象的な庭をつくることができます。
もちろん庭木で何十メートルにもなることはまれですが、数メートルでもかなり大きく感じるので、植える際は長年付き合っていく前提で、広いスペースをとって植えるようにしましょう。
目隠し・中木のために利用出来るオススメ庭木 アオダモ
窓の前や玄関などに、目隠しとして中木を植える場合は、アオダモの木がオススメです。
株立ち仕立てのものがよく植えられていますが、適度に枝葉を広げてくれるのでちょうどいい目隠しとなります。
落葉樹ということもあり全体的にさわやかな印象で、泡のような花や板のような実もさわやかさを引き立ててくれます。
目隠しというと生垣をうっそうと茂らせるようなイメージですが、アオダモなら圧迫感もなくちょうどいい目隠しができてしまうのです。
ガーデニング・低木として利用出来るオススメ庭木 ドウダンツツジ
ガーデニングを楽しむために低木を植える場合では、ドウダンツツジがおススメです。
ドウダンツツジは大きくなると数メートルにもなりますが、剪定して管理すれば簡単に1メートルもいかないくらいのかわいい姿に仕立てることができます。
四季折々の姿を見せてくれる木で、春には芽吹きとともに咲くかわいらしい花、夏にはひし形のきれいな葉。
秋には鮮やかな紅葉、冬にはマッチ棒のようなかわいい冬芽を、それぞれ楽しむことができる飽きの来ない木です。
花を楽しむ際には、剪定は花の終わった晩春あたりに行い、それ以後は徒長枝以外は切らないようにしましょう。
日除けとして利用出来るオススメ庭木 ケヤキ
庭の日差しが強く、日除けの木を植えたい場合は、ケヤキがオススメです。
ケヤキは竹ぼうきを逆さにしたような独特の樹形が特徴的な木で、庭に大きすぎず小さすぎないちょうどいい日陰をつくってくれます。
横枝が広がらないので剪定の必要も少なく、楽に育てられる木です。
さらに、冬になると葉っぱが落ちるので、庭に日差しが入って暖かくなります。
木の生理的な現象を利用して、気温調節ができるのです!株立ち仕立てのものもあり、さわやかな見た目が人気を呼んでいます。
大きさは調整できますが放っておくと20メートルくらいに大きくなる木なので、庭のスペースや管理頻度と相談して大きさを調整するようにしましょう。
和風なお家に合うオススメ庭木 イロハモミジ
和風なお家では、イロハモミジがオススメです。
モダンな雰囲気の家が多くなった昨今、あまり和風に似合う木というのは植えられなくなっている印象です。
そんな中でイロハモミジは、数ある庭木の中でダントツに和風にマッチする庭木といってもよいでしょう。
普通に育てていても盆栽のような樹形になり、いわずとしれた紅葉は見る人の心を奪います。
さらにたくさんの種類や品種があり、それぞれが魅力的な姿をしています。
和風のお家に庭木を植えるなら、まず一本植えてみてください。
洋風なお家に合うオススメ庭木 シマトネリコ
洋風なお家では、シマトネリコがオススメです。
洋風な庭に似合う木というのは色々ありますが、シマトネリコは他にない独特の姿で、庭の雰囲気を引き立ててくれます。
観葉植物としても使えるツヤツヤの丸い葉っぱにさわやかな樹形は、家の雰囲気を一気に明るくする力があります。
元々沖縄などに自生する木というのもあって、庭の目につく場所に植えるだけで、見る人を明るく元気にしてくれるでしょう。
東北地方より北では寒くて枯れてしまうことが多いので、そこだけ気をつけるようにしてくださいね。
庭木の選び方・木の特性を理解しよう
木は生き物なので、それぞれに特徴や特性があり、向き不向きの環境、管理方法などがあります。
たとえば成長が遅く、剪定するとなかなか芽吹かないモミノキを1メートルほどの生垣として使ったら、たちまち枯れてしまうでしょう。
あまり大きくならないソヨゴを日除けのために植えても、ちゃんとした日陰ができるのに何年もかかります。
それぞれの木の特性を理解して、それぞれに合った植え方をすれば、おしゃれでなおかつ利便性があり、管理も楽な理想の庭がつくれるのです。
常緑樹と落葉樹が存在する
木は特性として大きく常緑と落葉に分かれ、それぞれ性質が違います。
常緑樹と落葉樹で好きな環境も違うし、剪定や移植の時期などの管理方法にも違っているため、それぞれどんな性質を持っているのがよく知っておく必要があるのです。
それぞれにメリットがあればデメリットもあります。
まずはそれぞれの特性を覚えておけば、上手な庭木選びができるようになるでしょう。
常緑樹と落葉樹それぞれの性質と、庭木でオススメの種類についてもご紹介します。
常緑樹とは
常緑樹とは、読んで字のごとく「常に緑の樹」で、一般的に冬になっても葉っぱが落ちない性質の木です。
半年で葉っぱが落ちる落葉樹と違い、多くの場合1枚の葉っぱを数年にわたってつけ続けるので、分厚くて丈夫な葉っぱを持っています。
葉っぱに栄養をたくさん使っているため、剪定しすぎると弱ってしまうことに注意が必要です。
剪定に適しているのは芽吹く前の3~4月、または成長が止まる9~10月ころとされますが、葉っぱが半分以上なくなるような剪定は極力しないようにしましょう。
メリットとしては冬でも葉っぱが残るので寂しい雰囲気にならないこと、デメリットとしては葉っぱが分厚いので陰になりやすく、うっそうとした雰囲気になりやすいこと、寒さに弱いものが多いことなどが挙げられます。
常緑樹のオススメ庭木 ソヨゴ
常緑樹の庭木では、ソヨゴがオススメです。
ソヨゴはあまり大きくならない常緑樹で、葉っぱのフチが波打つことが特徴です。
全体的にさわやかな姿が人気で、庭木のほかに街路樹として使われることもあります。
あまり大きくならず、さわやかな見た目なので、常緑樹のデメリットの「うっそうとしがち」というところを完全にカバーしています。
観葉植物的な楽しみ方ができる木なので、一年中楽しむことができますよ。
あまり主張はしませんがどんな庭にもマッチする扱いやすい木です。
落葉樹とは
落葉樹は「葉っぱが落ちる樹」で、文字通り冬になると葉っぱが落ちることが特徴です。
冬の寒さに耐えるための性質で、芽吹いてから半年ほどで葉っぱを落としてしまうので、葉っぱにかけるコストが少なく、常緑樹に比べて薄い葉っぱとなっています。
剪定や移植に適した時期は11月~3月ころの葉っぱが落ちてから芽吹くまでの間で、その間であればかなり強く剪定しても弱ることは少ないです。
メリットとしては葉っぱが薄いので明るい雰囲気ができることや、冬に葉っぱが落ちるので日が差し込み、庭の温度調節ができること、デメリットとしては冬の姿が寂しいこと、ちょっと暑くなったり乾燥したりすると葉っぱを落としてしまうことなどが挙げられます。
落葉樹のオススメ庭木 ハナミズキ
落葉樹の庭木では、ハナミズキがオススメです。
春に大きな花を咲かせるのが特徴で、白やピンクのものがよく植えられています。
昔は記念樹として人気の木でしたが、今では庭木に街路樹にと各地でその人気ぶりを発揮している木です。
冬になって葉っぱが落ちるころには、アンコールワットの屋根のような特徴的な冬芽をつくります。
これは次の春に咲く花のつぼみが入った花芽で、小さいですがとても面白い形なので存在感があります。
落葉樹の中でも、冬場に寂しさを感じさせない珍しい木です。
植える位置が日向や日陰で向き・不向きが存在する
庭木を植える位置の日当たりによって、オススメの木が変わります。
木はみんな植物なので、太陽の光がどれくらい当たるかは、生きていくうえでとても重要なこと。
日向に生える木と、日陰に生える木だと好きな環境も違うのです。
もともと明るい日向に生えるような木を裏庭のような日陰に植えたら弱ってしまうし、もともと暗い森の中でひっそり育つ木をカンカン照りの日向に植えたら、葉っぱが日焼けして枯れてしまいます。
植えたい庭木がどんな日当たりが好きな木なのかは、きちんと把握しておくようにしましょう。
直射日光に向いてる庭木 レッドロビン
直射日光が当たり、カンカン照りになるような場所に植えるなら、レッドロビンがオススメです。
レッドロビンは改良された品種で、カナメモチという木がもとになっているのですが、これは本来山の尾根筋などの、乾燥して日当たりが強い場所に生える木です。
暗いところでも育ちますが、明るいところの方がより元気に育っている様子が見られます。
赤い新芽が特徴的ですが、これは強い光から新しい葉っぱを守るためのもの。
光対策はバッチリというわけですね。
とはいえ光に対して無敵というわけではないので、植え付けしたての頃は特に葉っぱの様子を気にかけてあげるようにしてくださいね。
日陰に向いてる庭木 マンリョウ
他の木の陰や、建物の陰になるような場所にも庭木を植えたい!というときは、マンリョウを植えるのがオススメです。
あまり大きくならない木で、大きくなっても1メートルやそこら。
元々は暗い森の中でひっそりと育つ木なので、あまり大きくなる必要がないというわけですね。
逆に日当たりのいい場所に植えると、すぐに日焼けして枯れてしまいます。
日陰になる場所には木にしろ建物にしろ、日を遮る何かがあると思うので、そういう場所にマンリョウはうってつけです。
冬になるとたくさん実をつける木で、見た目としても美しい木です。
春夏秋冬を感じれる庭木
せっかく四季のある日本に住んでいるのだから、庭木も四季それぞれで楽しめるものを植えたいですよね。
四季それぞれに花や実をつける木があり、それぞれ魅力的なものがたくさんあります。
毎年庭のどこかできれいな花が咲いていたら、素敵ですよね。
春は元気が出るように花がいっぱい咲く木を、冬はちょっとセンチな気分に浸れるようにささやかな花の咲く木を、というような感じで季節ごとにテイストを変えてみても楽しいです。
春夏秋冬でそれぞれ映える木をバランスよく植えて、一年中楽しめる飽きの来ない庭をつくってみましょう!
春に花や実がなるオススメ庭木 ジューンベリー
春に花が咲く木はたくさんありますが、中でもオススメなのはジューンベリーです。
サクラと同じバラ科の木で、サクラを少し大きくしたような花を咲かせます。
とてもきれいな花で、木いっぱいに真っ白な花が広がる様子は、花見とは違った魅力があります。
花が終わっても、初夏にはおいしい実が。
そのまま食べてもおいしいし、ジャムなどに加工して食べてみてもよいでしょう。
春から夏が来るまでの間、ずっと楽しむことができる木です。
夏に花や実がなるオススメ庭木 サルスベリ
夏に花を咲かせる木では、サルスベリがオススメです。
サルスベリは漢字で書くと「百日紅」と書き、名前の通り長い間花を咲かせるのが特徴です。
ちょうどジューンベリーの時期が終わってから咲き始め、秋ごろまで長い間花を楽しめます。
南国のような花が特徴で、ピンクと黄色のコントラストがとてもきれいです。
夏の楽しくワクワクする雰囲気を存分に引き立ててくれることでしょう。
白花のものや、少し花が控えめなシマサルスベリという種類もあるので、自分の好みに合わせて選んでみてください。
秋に花や実がなるオススメ庭木 キンモクセイ
秋になると木は冬支度を始めるのが普通なので、実はあまり花を咲かせる木はいません。
しかし、キンモクセイは、ちょうど秋になることに花を咲かせます。
オレンジ色の花を木いっぱいにつけ、木全体が鮮やかに染まるのは圧巻だし、なにより魅力的なのはその香り。
否が応でも季節を楽しむことができるでしょう。
花はそのままポプリなどにして長い間楽しめるようにしてもいいし、植えた人の特権として色々な楽しみ方ができるのもいいですね。
冬に花や実がなるオススメ庭木 ロウバイ
冬に花が咲く木としては、ロウバイがオススメです。
葉っぱが落ちた枝全体に黄色い花を咲かせ、木全体が淡い黄色に染め上げられたようになります。
香りもよく、ちょっと気持ちが寂しくなってしまう冬に、たくさんのいろどりを与えてくれます。
花全体が黄色のソシンロウバイという品種が人気ですが、ちょっと控えめな普通のロウバイを植えてみてもよいでしょう。
葉っぱが出ている時期は主張が弱いのもあって、冬が来るのが楽しみになってくる木です。
手入れや育ちやすさ、初心者向けの庭木
数えきれないほどの種類の庭木がありますが、「剪定ってなに?」「肥料ってどうあげればいいの?」というような初心者の方だと、どうやって選べばいいかよくわからないですよね。
実際僕もそうで、最初は手入れのての字もわからず、何度も木を枯らしてきました。
そこで、管理が簡単で育てやすい、初心者でも育てられるオススメの木を紹介していきます。
なにを植えたらいいのかよくわからないときは、とりあえずこれを植えてみましょう。
手入れのしやすさオススメ庭木 マサキ
手入れが簡単な木としては、マサキがオススメです。
本来生垣として植えられることが多い木ですが、観葉植物としても花や実を楽しむ木としても人気があります。
マサキは刈りこみに強いので、ちょっとやそっと剪定を失敗しても全然平気です。
花や実もきれいなので、どの時期にどう剪定したらいいのかなど、ちょっとした練習台になってもらうと良いでしょう。
ほっといてもいいし、好きな形に刈り込んでもいいし、どう手入れしてもなんだかんだ元気に育つ木です。
オスの木とメスの木があるので、実を楽しみたい場合はオスの木とメスの木をそれぞれ植えるようにしましょう。
育ちやすさオススメ庭木 プラタナス
育ちやすさとしては、プラタナス(モミジバスズカケノキ)がオススメです。
大きな葉っぱをつける木は、だいたい明るい場所での成長が速いです。
その成長の速さを買われ、今や全国で街路樹や公園樹として植えられています。
育ちやすさだけでなく、モミジのような葉っぱに美しいマーブル模様の樹皮、丸い実がぶら下がる姿など、ビジュアルとしても他にない独特なものを持っています。
他にもいろいろな魅力があるので、育てていくうちにどんどん好きになっていく木です。
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愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。