アジア圏を原産とする常緑低木、強い香りが特徴で、三大香木の1つにも数えられている。
白い花が美しく、中には八重咲きの品種も存在する。実が熟しても裂けないことからクチナシと名付けられたと言われている。
基本5データ
- 分類
- 庭木-低木・下草
- 学名
- Gardenia jasminoides
- 科・属名
- アカネ科 クチナシ属
- 別名
- センプク
- 草丈・樹高
- 1〜2m
- 栽培可能地域
- –
- 花色
- 白
- 開花期
- 6〜7月にかけて
- 結実期
- 10月〜11月にかけて
- 耐暑性 / 耐寒性
- 耐暑性:強い 耐寒性:やや弱い
三大香木にも数えられるクチナシ
白い花を咲かせる常緑低木
クチナシは、白い花を咲かせる常緑低木です。
花は6月から7月にかけての初夏に咲きます。
非常に強い香りを持つのが特徴で、ジャスミンのような甘い香りを放ちます。
イギリスでは「cape jasmine」とも呼ばれ、その香りの良さから、香水の原料として利用されることもあります。
クチナシから抽出されるアロマオイルには抗菌や抗炎症の効果がありますが、クチナシの精油は非常に希少価値が高く、ほとんど流通していません。
多くの場合は天然香水として利用されています。
アロマバスやトリートメントオイルとして使うことも可能ですが、高価なためオススメできません。
世界全体に様々な品種が存在し、日本や中国といったアジア圏を主な原産地とします。
名前の由来
クチナシの名前の由来には、いくつかの説が唱えられています。
最も有名なのは、クチナシの実が熟しても裂けることがなく、「口のない実」とする説でしょうか。
他には、結実したときに残る萼の部分を口、果実の部分を梨と捉え、口梨(クチナシ)とする説などがあります。
クチナシの実は赤茶色で、秋頃になると結実します。
実にはクロチンと呼ばれるカロチノイドの1種が含まれており、昔から黄色の着色料として利用されてきました。
クチナシの花言葉
クチナシと聞くと、「死人に口なし」という言葉を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?日本では女の子のいる家では、「嫁の口がない」という意味に繋がるため植えない方が良いという俗信もあります。
しかしクチナシの花言葉には、「優雅」「喜びを運ぶ」「洗練」など、ポジティブな意味を持つ言葉ばかりです。
アメリカでは男性が女性をダンスパーティーに誘う際、クチナシの花を贈ることもあります。
目で見る以外の楽しみ方も
花はその姿と香り両方が楽しめる
クチナシの花は清楚な白い花弁が特徴で、上品な雰囲気が魅力です。
咲き始めは真っ白で次第に黄色がかっていき、クリーム色に変化していきます。
切り花として利用されることもありますが、クチナシの花は傷がつきやすい上に長く持たないため、本来は切り花に適していません。
それでも利用されるのは、クチナシの持つ上品な雰囲気とその香りの良さからではないでしょうか。
また通常のクチナシは一重咲きですが、品種によってはバラのような八重咲きを見せるものもあります。
クチナシの品種
クチナシには様々な品種があります。
八重咲きのものや斑入りのものも存在するため、選択肢の多さも魅力です。
・オオヤエクチナシ
オオヤエクチナシは、その名の通り八重咲きのクチナシです。
通常のクチナシの変種といわれており、現在庭木として植えられているクチナシのほとんどがこの品種となっています。
花はバラのような形状をしており、通常のものよりも大きいのが特徴です。
別名ガーデニアとも呼ばれます。
・コクチナシ
コクチナシは、通常のクチナシよりも樹高が低く、枝も横方向に広がる品種です。
花も一回り小さく、こちらも一重咲きと八重咲きの2種類が存在します。
・斑入りクチナシ
斑入りクチナシは、その名の通り葉に斑が入ります。
通常の葉は濃い緑色で、和風やモダンスタイルのお庭に適しています。
班入りクチナシはより軽やかな雰囲気になるため、洋風ガーデンにもおすすめです。
クチナシの育て方と特徴の育て方・管理方法
植え付け・植え替え
クチナシは耐陰性があり、日陰でも育てることが可能です。
しかし花をしっかり咲かせたい場合には、やはり日当たりの良い場所を選ぶ必要があります。
土質はあまり選びませんが、腐植質でひどく乾燥しない土壌を選ぶようにしましょう。
また、クチナシは耐寒性が弱いため、冬場に冷え込む場所や風の当たりやすい場所は避けるのが無難です。
大きく育つ品種でもそれほど樹高は伸びないため、狭い場所でも問題ありません。
植え付け、植え替えの適期は4〜6月、9月となります。
植え付けの際は、広さ、深さともに根鉢よりも2回りほど大きい穴を掘り、堆肥などを元肥としてすき込みましょう。
加えて土壌がアルカリ性または中性の場合は、葉が黄化する可能性があるため、ピートモスを混ぜて調整します。
後は根鉢を軽くくずして、植え付けましょう。
最後にしっかり水を与えます。
ぐらつかないよう支柱を立てておくとより安心です。
鉢植えの場合は、赤玉土と腐葉土を3:1の割合で混ぜた土を用意し、粒状肥料を元肥として加えましょう。
植え替えは通常2〜3年に1度のペースで行いますが、根詰まりをおこしていないか定期的に確認しておきましょう。
肥料
肥料は庭木が成長を始める3月頃と、開花する6月頃に与えます。
油かすなどの有機質肥料が良いでしょう。
夏以降に肥料を施してしまうと、枝ばかりが伸びて花芽が育ちにくいため注意が必要です。
剪定
クチナシは樹形が自然と整うため、剪定に神経質になる必要はありません。
徒長枝を切り除く程度にしましょう。
注意点としては、夏以降に剪定しないことです。
クチナシは7月と9月に花芽が増えるため、花芽を切り取ってしまうことになります。
剪定は開花してからできるだけ早く行うことを意識しましょう。
病害虫
クチナシは、褐色円星病やすす病などの被害を受けることがあります。
こうした病気は風通しが悪いことが原因で発生するため、予め風の通る場所に植えたり、定期的に剪定を行うことで予防しましょう。
害虫としてはオオスカシバやアブラムシ、カイガラムシなどの被害を受けることがあります。
特に、オオスカシバの幼虫はクチナシの葉や花芽が好物で、食い散らかしてしまうため厄介です。
防虫ネットなどはクチナシを傷つける可能性もあるため、幼虫を見つけ次第捕殺するようにします。
日頃から様子を観察することを心がけましょう。
日当たり
庭植えの場合、根づけばそれほど水やりの必要はありません。
ただし夏場の乾燥が激しい時期には、朝夕の涼しい時間にしっかりと水を与えます。
鉢植えの場合は、夏は朝夕の2回、春・秋には1〜2日に1度、冬は土が乾燥次第水やりを行いましょう。
水やり
庭植えの場合、根づけばそれほど水やりの必要はありません。
ただし夏場の乾燥が激しい時期には、朝夕の涼しい時間にしっかりと水を与えます。
鉢植えの場合は、夏は朝夕の2回、春・秋には1〜2日に1度、冬は土が乾燥次第水やりを行いましょう。
熊本県の海と山に囲まれた田舎で育ち、幼少期からガーデニング好きの祖母を手伝う。高校時代には、音楽を中心に様々な芸術分野に興味を持つようになり、同時に自然の持つ面白さや奥深さに気づく。現在はライターとして活動し、多趣味を活かして幅広いジャンルで執筆。他にもカメラやデザインについて勉強中。自然に囲まれて暮らすのが1つの目標。