グミ(茱萸・胡頽子)は、楕円形の赤い実をつける低木。
常緑の品種と落葉の品種があり、用途や栽培地域によって使い分けられる。
常緑のナワシログミ、落葉性のビックリグミなどがよく知られている品種。
実は食べられますが、お菓子のグミとは関係が無いんです。
基本データ
- 学名
- Elaeagnus
- 科・属名
- グミ科グミ属
つややかな赤い実がかわいい常緑・落葉樹
グミとは
グミは、グミ科グミ属の樹木の総称です。
世界各国に50種類以上の品種が存在していて、日本にはナツグミ、アキグミ、オオバグミ(マルバグミ)、ツルグミ、ナワシログミなど十数種類にのぼる品種が自生しています。
常緑性の品種と落葉性の品種があります。
サクランボを縦に引き延ばしたような、楕円形の赤い実を付けるのが特徴です。
この実がお菓子のグミのように見えることからグミの名が付いたと勘違いされることもありますが、実際は無関係です。
単にグミというと紛らわしいため、植物を指すときにはあえて「グミの木」「グミの実」などと呼ぶことも多いです。
4月~6月には白い花を咲かせます。
グミの花言葉は「用心深い」「野生美」などです。
グミ材は、金槌の柄として使われることもあります。
実は食べられる
グミの実は食べられます。
赤く熟した実は、ほんのり甘く、とろりとした舌触りが楽しめます。
生食もできますし、お菓子のトッピングにしたり、ジャムにしたり、シロップ漬けにしてもよいでしょう。
収穫時期は品種によって異なります。
春グミに分類される品種は5月~6月、秋グミは10月ごろになると食べ頃を迎えます。
公園樹や庭木としてもポピュラーなグミですが、実の販売を目的とした果樹として栽培されることはほとんどなく、グミの実が市場に出回るのは稀です。
サンシュユの花 グミの実は、春先に黄色い花を咲かせるサンシュユの実と良く似ていて、しばしば混同されます。
サンシュユはミズキ科ミズキ属の落葉樹で、グミの仲間ではありません。
サンシュユの名に棟てられた漢字は山茱萸(山のグミ)で、ヤマグミの別名も持ちます。
なお、グミの実は、子房以外の器官が発達した偽果(ぎか)です。
葉には特徴的な毛が生えている
グミの仲間は、実だけでなく葉も特徴的です。
葉の表面にはお椀のような形状の細かな毛が密集して生えており、この毛は鱗状毛と呼ばれます。
鱗状毛は、新芽や若い茎にも生えています。
顕微鏡などで観察しても楽しいでしょう。
常緑種と落葉種を用途に応じて使い分ける
常緑の品種は暖地向き
常緑の品種と落葉の品種があるグミですが、ナワシログミなどの常緑種のグミは特に、暖かい気候を好みます。
関東地方以西の暖地で栽培するなら常緑種がおすすめです。
ビックリグミ(大王グミ)などの落葉性の品種は、比較的寒さに強く、全国で栽培可能と言えます。
品種にもよりますが、グミの仲間の樹高は概ね2~3mで落ち着くため、コンパクトな庭のシンボルツリーやサブツリーにもぴったりです。
常緑の品種は生け垣や目隠しにも活用できます。
斑入り葉の品種もある
グミの一種であるナワシログミの中には、「ギルドエッジ」「ライムライト」など葉に黄色の斑が入る園芸品種があります。
どちらかというと実を鑑賞するイメージの強いグミですが、斑入り品種はカラーリーフとしても重宝します。
斑入りのナワシログミは、塩害にも強く、海が近い場所や潮風が強い地域でも栽培可能です。
グミ(の仲間)の詳細情報
- 草丈・樹高
- 1m~3m
- 栽培可能地域
- 全国
- 花色
- 白
- 開花期
- 4月~6月
- 結実期
- 6月~11月
- 耐暑性 / 耐寒性
- 落葉品種のほうが耐寒性に優れています。常緑の品種は関東地方以西の地域での栽培が向いています。
グミ(の仲間)の育て方・管理方法
- 植え付け・植え替え
- 植え付けや植え替えの適期は、11月か、2月~3月ごろです。根に肥料分を固定することができる性質があるため、やせ地でも育てられます。鉢植えの場合、2年~3年に一度は一回り大きな鉢に植え替えてください。挿し木や取り木で簡単に増やせます。
- 肥料
- 常緑の品種にも落葉する品種にも、2月~3月ごろに寒肥として有機質肥料か緩効性の化成肥料を与えます。
- 剪定
- 常緑のグミは、成長期に入る前の6月~7月に徒長した枝を切り戻して形を整えます。落葉の品種は、葉が落ちている時期に、徒長枝や枯れてしまった枝など、不要な枝を落としてください。グミの枝にはトゲがあるため、剪定する際には厚手の手袋をするなどの対策が必要です。強剪定したあとはトゲが増えやすいとも言われています。
- 病害虫
- 病気や害虫の被害を受けにくい品種ですが、春先に新梢や葉にアブラムシが発生することがあります。発見次第、捕殺するか薬剤を散布して駆除してください。
- 日当たり
- 一度根付いた株には、特に水やりは必要ありません。真夏など極端に乾燥するときはたっぷりと水を与えてください。
- 水やり
- 一度根付いた株には、特に水やりは必要ありません。真夏など極端に乾燥するときはたっぷりと水を与えてください。
出典(引用元)
椎葉林弘『よくわかる庭木大図鑑』永岡書店
小幡和夫ほか『樹木博士入門』全国農村教育協会
草間祐輔『症状と原因が写真でわかる 庭木・花木・果樹の病害虫ハンドブック』家の光協会
植物が大好きなライターです。小学校の自由研究は「雑草の研究」でした。忙しい毎日でも無理なく楽しめるガーデニングを日々研究しています。雑草&野草・カラーリーフ・球根植物・100円ショップの園芸グッズ。