花壇で植物を育てていると、様々な雑草が生えてきます。抜いても抜いても生えてくる雑草の対処に苦戦している方も多いのではないでしょうか。花壇でできる雑草対策の方法についてご紹介します。

目次

おすすめの花壇の雑草対策3選

花壇の手入れをする人

 花壇には、様々な雑草が生えてきます。花壇に花を植える際に、少なくとも植えてからしばらくはどうしても土がむき出しで日の当たる場所ができてしまいます。そうした場所は、踏まれないので土が柔らかく、土に栄養があり、適度に日が当たる、雑草が生育するのに絶好の場所です。

 土によってはもともと雑草の種が潜んでいることがあるため、花壇をつくってすぐに雑草が生えてくる場合もあります。そうした事情から、花壇での雑草対策は必須といっても良い作業です。

 しかし、花壇には雑草のすぐ近くに育てたい植物が存在する場合がほとんどなので、庭での雑草対策をすべて花壇に用いるということは難しく、花壇の環境に適した雑草対策を行う必要があります。
 花壇で行うのにおすすめの雑草対策を、ピックアップしてご紹介します。

グランドカバープランツ

グランドカバープランツ

 グランドカバープランツを植えることで、雑草対策になる場合があります。うまくいけば植えた植物を隙間を埋めるように育ってくれるので、雑草の生える場所を日陰にして、発芽や成長を抑えてくれます。グランドカバープランツはきれいな花を咲かせるもの、良い香りがしてハーブのように使えるもの、広範囲に広がることで庭の雰囲気をつくってくれるものなど、園芸植物として楽しめるものが大多数です。グランドカバープランツが花壇を埋め尽くすまである程度の時間がかかりますが、ガーデニングを楽しみながら、雑草対策をすることが可能です。

 注意点としては、グランドカバープランツは繁殖力が強いものが多いため、常に外に逃げ出さないように注意しながら手入れする必要がある点です。グランドカバープランツが増えすぎたことによって、グランドカバープランツが雑草以上に厄介な存在になってしまった例も少なくありません。
 また、花壇にパンジーやビオラなどの背の低い草花を植えると、グランドカバープランツに覆われてしまったり、目立たなくなってしまったりという懸念点があります。
 植えるグランドカバープランツの特性をよく知ったうえで、こまめな管理ができる方におすすめの方法です。

おすすめのグランドカバー.1:リッピア

 リッピアは、ヒメイワダレソウとも呼ばれるクマツヅラ科のグランドカバープランツです。地面を這うように広がり、かわいらしい白~ピンク色の花を咲かせます。
 繁殖力が強く、明るい場所であれば素早く成長して地面を埋め尽くします。うまく育つと、一面に花を咲かせてとてもきれいです。背が低いので、花壇で小さめの草花と一緒に育てることもできます。

 しかし、その繁殖力の強さから、各地で野生化して問題になっています。庭で育てているうちに外へ外へと茎を伸ばして野生化し、近所の庭に侵入して繁殖するような可能性もあるので注意して育てましょう。花壇から外に出ないように、毎日よく見て手入れすることが大事です。

おすすめのグランドカバー.2:グレコマ

 グレコマは、カキドオシとも呼ばれるシソ科のグランドカバープランツです。丸っこい葉っぱが特徴で、地面を這うように広がって育ちます。春になると紫色のかわいらしい花を咲かせます。園芸店では、葉っぱに白い模様が入った斑入りのものが販売されていることも多いです。草地などにふつうに生える植物でもあり、都市部でも道ばたや河川敷、公園などで見かけることが少なくありません。

 また、葉っぱをこすると良い匂いがするのが特徴で、日本在来の和ハーブとして用いられることも多いです。日本にもともと自生する植物ということもあって育てるのが容易で、よく育ちます。
 注意点としては、開花期があまり長くないので、かわいらしい花を目当てに植えるとすぐに花の時期が終わってしまって拍子抜けすることがある点が挙げられます。とはいえ、丸っこい葉っぱもかわいらしく、ハーブとしての利用もできるので、そういうものだと思って育てるのが良いかもしれません。

 また、育てやすい分繁殖もしやすいので、近所に野生化しないよう注意や日々の手入れを欠かさないようにしておきましょう。

おすすめのグランドカバー. :オカメヅタ

 オカメヅタは、濃い緑色の大きな葉っぱを持ったアイビーの仲間です。カナリーキヅタ、ヘデラ・カナリエンシスなどの名前で呼ばれることもあります。耐陰性があり、暗い場所でもよく育つのが特徴で、高速道路の高架下や、街中の日陰に植えられた街路樹の植え桝などに植えられます。

 繁茂すると雑草を抑制する効果が強く、地面を隙間なく葉っぱで埋め尽くしてしまうので、雑草はなかなか生えられません。注意しておくべき点として、グランドカバープランツの中では少し高さをとるので、小さな草花を育てづらくなることと、濃い緑色の葉っぱにより少し鬱蒼とした雰囲気になってしまうことが挙げられます。

 また、近くに適度な暗さの樹林があると、そこに茎を伸ばして野生化する可能性があります。樹林に野生化すると人知れず大繁殖してしまう可能性があり、手が付けられなくなってしまうため、日々の手入れには注意しておきましょう。

おすすめのグランドカバー. :フッキソウ

 フッキソウは、グランドカバープランツとして用いられるツゲ科の常緑小低木です。地面を這うように広がり、密に枝葉を茂らせます。小さいですが白くて変わった形の花を咲かせることと、小さい木がたくさん生い茂っている様子は、フッキソウならではのものです。

 庭に植えられる他、公園の木の植え桝などに植えられていることもあります。日本の森林などにも自生し、林床一面に広がっている光景を見かけることもあります。育てやすく雑草抑制効果も高いので、雑草対策のグランドカバープランツとして優秀な種類です。

 しかし、こちらも例にもれず繁殖力が強いので、放っておくとどんどん増えて花壇を埋め尽くしてしまいます。また、グランドカバープランツにしては背が高いので、小さい草花も埋もれてしまう点には注意が必要です。他のグランドカバープランツと同様に、日ごろから成長する様子を注意してみておくようにしましょう。

おすすめのグランドカバー. :リシマキア

 リシマキアは、オカトラノオ属と呼ばれるグループの総称です。地面を這うように広がる種類が、グランドカバープランツとして活用されています。
 様々な種類が販売されており、黄色い葉っぱが美しいもの、黒い葉っぱに黄色い花を咲かせるものなど、バリエーションは様々です。庭の雰囲気や他の植えている植物に合わせて、好みのものを選ぶことができます。

 もちろん、地面を這うように広がるので花壇の中に繁茂させれば雑草対策になります。背も低いので、小さい草花と一緒に植えることも可能です。

 種類や品種によってはよく広がり、野生化することもあるので、他のグランドカバープランツ同様に日々の様子をよく観察し、手入れを欠かさないようにしましょう。

おすすめのグランドカバー. :ハツユキカズラ

 ハツユキカズラは、テイカカズラという植物の園芸品種です。新芽の部分を中心に葉っぱが白~ピンク色に色づくのが特徴で、花を咲かせなくても大変美しいのが特徴です。色づいた葉っぱは季節を通じて美しく、一年中楽しむことができます。つる性の植物ですが地面を埋めるようにに育つこともあり、グランドカバープランツとして用いられます。密に育てば雑草抑制効果は高いです。
 もとになった種類のテイカカズラは日本の山野にごく普通に存在するつる植物ということもあって、育てやすさも魅力の一つ。

 野生化することは少ないですが、花壇を埋め尽くしたら外につるを広げていくので、あまり放置せず伸び放題にならないように手入れをしましょう。

グランドカバープランツによる雑草対策の注意

 グランドカバープランツで雑草対策をする際の注意点として、繁茂しすぎたり野生化したりしないために日々の手入れが必要な点が真っ先に挙げられます。繁茂しきって雑草を十分抑制できるようになってからは、そこから外に出すぎないように日ごろから観察、手入れが必要です。
 それなりに手間はかかるので、雑草対策に使う労力がグランドカバープランツの手入れの労力に置き換わると考えると良いかもしれません。園芸を楽しめる方でないと、大変に思う場合も多いでしょう。植えておしまい、とはいかないことは十分留意しておく必要があります。

 また、ガーデニングをする方の中には、グランドカバープランツが野生化することに対して無頓着な方も少なくありませんが、近所の庭に侵入して雑草化したり、野生化して周囲の生態系や農林業に悪影響を与えた場合、今後法律で規制されてしまう例もあります。

 現在特定外来生物として法律で規制されている種類の中には、もともと園芸植物だったものが少なくありません。グランドカバープランツは、繁殖力が強く野生化しやすいものも多いので注意が必要です。自分で自分の趣味の幅を狭めてしまわないよう、節度を持った育て方をしましょう。
 また別の注意点として、地下茎や根っこに栄養を貯めるタイプの多年生雑草が既に花壇内で繁茂している場合、それらの雑草はあまり抑制できないことがあります。グランドカバープランツで日陰をつくっても、地下茎や根っこに貯めた栄養を使ってグランドカバープランツより上まで茎を伸ばして葉っぱを広げてしまうためです。

 そうした多年生雑草はあらかじめ除草剤などで駆除しておくか、そういうものと割り切って地道に抜き取っておくなどするようにしましょう。

バークチップ

バークチップ

 バークチップは、木の樹皮でつくられたチップのことです。これを土がむき出しになっている部分に植えることで、日が当たらず雑草を抑制することができます。バークチップはホームセンターなどでも容易に手に入るし、施工もバークチップを敷くだけなので、手軽に雑草対策をすることが可能です。
 本物の木の樹皮を使っていることもあって、見た目も悪くありません。グランドカバープランツのように管理しきれなくなってしまうようなこともないです。

 しかし、バークチップにより土の湿気が逃げず、じめじめした環境になってしまう点がデメリットとして挙げられます。また、炭素の多いバークチップを土壌生物が分解しようとする際に、土の中の養分である窒素を使い切ってしまう窒素飢餓という現象も起こる可能性があります。また、バークチップ内に含まれるフェノール成分が抜け出て影響を与える場合もあります。

 とはいえ、土の中にバークチップを混合するのではなく上に敷くだけなので、敷いたら確実に影響が出るというようなものではありませんが、メリットばかりではないことに注意しつつ使用するようにしましょう。

植栽で影を作る

 植えた植物で影をつくって雑草を生えにくくする方法です。枝をあちこちに伸ばして広い範囲を覆うことができる植物を植えることで、それらの植物が育てば育つほど雑草の生えにくい環境がつくられていきます。
 低木ならユキヤナギやヤマブキのようなあちこちに枝を長く伸ばすものを、草本ならタカノハススキなど、例を挙げるときりがありませんが、密に枝葉を茂らせるものがおすすめです。グランドカバープランツと併用してみるのも良いでしょう。ガーデニングを楽しみながら雑草対策をすることができます。
 日々の手入れが必要なことと野生化に注意しなければいけないことはグランドカバープランツと同様ですが、這って伸びないタイプの草本や低木は野生化しづらいものや日々の手入れが少なくて済むものも多く、グランドカバープランツに比べて管理が楽なものが多いです。
 その代わり、雑草対策としてカバーできる範囲が広がりにくく、細かい隙間までなかなか埋められません。また、影をつくれるほど植えた植物が成長するまで、少し時間がかかります。あくまで補助的なものと考えて、他の方法と併用しながら使ってみてください。

見つけ次第抜く

 生えてきた雑草を見つけ次第抜き取る方法です。今回紹介した方法ですべての雑草が生えてこないようにするのは難しいので、この方法での雑草対策は多少なりともやっていかなければいけません。根っこの強い雑草を上手に抜き取る道具など、様々なものが開発されているのでそれらを活用してやってみてください。

 単純な作業に見えるかもしれませんが、意外にも奥が深くて面白い作業です。花壇に生える雑草には膨大な種類がありますが、それぞれに特徴があり、暮らし方や特性も異なります。雑草と付き合っていくうちに、名前がわからなくてもだんだん雑草の種類の違いがわかってきて、生える時期や上手な抜き方などが見えてきます。たとえば、「この雑草は放置すると厄介だから早めに抜いたほうがいい」だったり、「この雑草は秋に花を咲かせるから、それまで少し成長させて他の雑草の芽生えを抑えてから抜き取る」だったりと、やればやるほど上達していくのです。

 名前がわかれば、特性や個別の対策方法などを調べてみても良いでしょう。雑草との付き合い方がわかれば、雑草が生えてくるのを止められなくても、雑草が繁茂するのは徐々に止められるようになっていくはずです。

花壇ではNGな雑草対策

NGと書かれた紙とペン

 雑草対策には様々な方法がありますが、花壇ではあまりおすすめできないものもあります。花壇には雑草以外の育てたい植物が植わっているため、それらにも影響を及ぼす方法は取れないためです。とはいえ、工夫次第では上手に活用できる場合もあるので、それを踏まえたうえでチェックしてみてください。

除草剤

 除草剤は、雑草以外の植えている植物への影響を考えると花壇では少し扱いづらい方法です。植えている植物に誤って除草剤がかかってしまい、その植物にも効果のある除草剤だった場合、枯らしてしまうかもしれません。雑草にだけかけようと思っても、誤って植えている植物にもかけてしまいそうで怖いですよね。
 しかし、野菜を育てている畑でも、雑草駆除のために除草剤が使われることがあります。そうしたことができるのは、作物に影響のない時期、種類などを考慮した除草剤を使用しているためです。たとえば、作物には効果が無いがその作物畑で繁茂しやすい特定の雑草には効果のある除草剤のようなものがあります。そうしたものを使用することで、作物を枯らすことなく雑草対策ができています。

 花壇でも、植えている植物の種類や生えている雑草の種類によっては似たようなことができるかもしれません。もちろん、その除草剤の適用範囲内で行う必要があるのでよくチェックする必要はありますが、除草剤で駆除できるに越したことはないので、ぜひ調べてみてください。

熱湯など

 熱湯などの、除草剤以外の「雑草にダメージを与えて枯らす」方法もあまりおすすめできません。特に熱湯は、雑草以外の植えている植物にかかって枯らしてしまうのはもちろん、地中にある植えている植物の根っこを傷めてしまう可能性があります。
 植物は、地面から上のイメージよりはるかに広く根っこを張っています。雑草しか生えていないように見える土でも、その下には植えている植物の根っこが伸びていることは少なくありません。葉っぱだけを見て雑草を枯らしたつもりになっても、見えないところで植えている植物にダメージを与えてしまうかもしれません。
 熱湯による除草方法自体も、家庭にある範囲の道具で行うのは安全面や手間、光熱費などからもあまりおすすめはできませんし、地道に手で引っこ抜く方が結果的に楽だし他の植物への悪影響も少ないです。

花壇で問題になりがちな雑草

ホトケノザ

 花壇には様々な雑草が生えてきますが、生えてきやすい雑草とそうでないものがあります。生えてきやすい雑草は、苗の土の中によく種がまぎれている種類や、何かしらの要因で種がたどり着きやすい種類、栄養豊富な環境を好む種類などがあります。
 逆に生えてきづらい雑草は、乾燥を好むもの、種が人の足にくっついて運ばれるなどで花壇までたどり着きづらいものなどです。ヤブカラシやイタドリなどの地下茎や根っこで主に繁殖する雑草も、花壇が他の土と繋がっておらず、もともとその土の中にもいないような状態であれば、あまり姿を見せません。
 花壇でよく見る雑草について、ピックアップしてご紹介します。

スベリヒユ

 スベリヒユは、スベリヒユ科の一年草です。肉厚な葉っぱと小さくて黄色い花が特徴で、畑や花壇などの土によく生えてきます。園芸植物のポーチュラカ(ハナスベリヒユ)と近い仲間なので、それらを植えていると気づかれずに繁殖してしまうことがあります。一点からあちこちに茎を伸ばして成長するので、引っこ抜いて駆除してしまいましょう。
 小さくて黄色い花を咲かせ、そのあと果実から小さい種をたくさんばらまきます。花は午前中しか開かずに、そのあとしぼんでしまうという特徴と、花を開かないでつぼみのような状態で自家受粉する「閉鎖花」と呼ばれる花をつけるという特徴があるため、普段見ていても花を咲かせていることに気が付かないということが多いです。
 ある程度成長したら茎の先などにフタのついた果実をつけるようになるので、そうなる前に抜き取って駆除してしまいましょう。
 また、コニシキソウなどの有毒種との識別ができている必要がありますが、スベリヒユはおいしい雑草として有名です。大きなものが取れたら食べて処理してしまうのも良いかもしれません。

ホトケノザ

 ホトケノザは、シソ科の一年草です。主に春先に、紫色の細長い花を咲かせます。コンクリートの隙間などよりも畑や植え込みなどの土のある場所を好み、春先の畑では遠目に見てもわかるくらい一面に紫色の花を咲かせることがあります。畑のようなかく乱(生育地が破壊されること)の多い場所を好む性質があることや、土の中に種が入っていることはもちろん、アリが種を運ぶ場合があることなどで、花壇の中に入ってきやすい種類の雑草です。
 花を咲かせる前に抜き取ってしまうのが良いですが、ホトケノザもスベリヒユ同様につぼみのような状態で自家受粉を行う閉鎖花を咲かせます。また、春だけでなくほとんど一年中繁殖している様子が見られる種類でもあります。
 そのため、一見花をつけているように見えなくても、見かけたら抜き取ってしまうくらいの姿勢で対処に臨むのがおすすめです。

クワクサ

 クワクサは、クワ科の一年草です。クワの葉っぱを小さくしたような葉っぱをつけ、葉っぱの腋に小さく目立たない花の集まりをつけます。果実になると、はじけて種を遠くに飛ばすのが特徴です。
 あまり目立たない雑草ですが、夏になると植え込みなどでみかけることがよくあります。販売されているポット苗の土から生えていることも多いので、土の中によく種が混じっているのかもしれません。
 花や実が全く目立たないので、実がなっていることになかなか気づかず、繁殖を許してしまうことがあります。かなり小さいうちから花を咲かせ始め、成長と共にいくつも花を咲かせて種をつけてしまうので、早い段階から抜き取ってしまうのがおすすめです。

オオアレチノギク

 オオアレチノギクは、キク科の二年草です。夏から秋にかけて花を咲かせる時期になると、背が高くなって目立たない花を咲かせ、多数の種を風で飛ばします。街中でも見かける雑草なので、小さな種が風に乗って飛んできて、生えてくることが多いです。
 基本的に、種がたどり着いたらすぐに芽生え、秋から冬の間はロゼットと呼ばれるコースターのように葉っぱを広げた姿で過ごします。そこから背を伸ばして、夏や秋に花を咲かせるという生活サイクルをしているので、花を咲かせていない冬のうちに抜き取ってしまうのがおすすめです。

これから花壇を作る人へ ~雑草の予防方法~

植木鉢の植物と庭道具

 これから新しく土を準備して花壇をつくるという場合、その段階で雑草対策ができる可能性があります。土の中には雑草の種が含まれていることがあり、それらを処理しておくことで、雑草が生えてくるのを予防することができるためです。
 とはいえ、植える植物のポット苗の土に種が含まれていることも多いですし、自然に飛んでくる雑草の種も多いので、それだけですべての雑草が生えてくるのを予防できるわけではないのですが、雑草をかなり減らすことはできます。これから花壇をつくる際に、あらかじめ土を消毒しておく方法についてご紹介します。

夏なら太陽熱利用土壌消毒

 太陽の熱により土を高温にして、土を消毒する方法です。土の中の病原菌や害虫だけでなく、雑草の種なども処理することができます。1年の中でも特に暑い7月から9月上旬までの、3週間ほどの間に行うことができる方法です。
 まず土を準備して、熱が通りやすいよう水を含ませます。その後ビニールシートを隙間なくかぶせたら石などで重しをして、3週間ほど待てば完了です。晴れた日が続けば土が高温になり、消毒できているはずです。土壌の消毒に用いられる薬剤は、匂いがしたり、土の中の微生物も殺してしまったりとデメリットもありますが、この方法であればそれらの薬剤を用いずに土壌の消毒ができます。
 ただし時期が限られているので、無理に行わずに「できたらラッキー」くらいの感覚でいておきましょう。

土壌還元消毒

 土壌還元消毒は太陽熱での土壌消毒と同様に、土をビニールで覆って行う土壌の消毒方法です。太陽熱での土壌消毒と異なり、ビニールで土を覆う前に米ぬかやふすま、糖蜜を含む資材など、微生物の栄養になるものを散布します。
 その後大量の水を含ませた後ビニールで密閉することで、土の中の微生物が米ぬかなどを分解する際に酸素を消費し、酸素のない状態にすることで病原菌や害虫を駆除するという方法です。この方法も、太陽の熱による高温がある程度必要なため、気温の低い冬などに行うのには向いていません。

氏永 勝之
監修者 smileグループCEO
株式会社ガーデンメーカー 代表取締役
愛知農園植木苗木株式会社 専務取締役
一般社団法人ガーデンビジネス協会 代表理事
氏永 勝之

愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。

執筆者 瀬尾一樹

樹木医です。木も草も大好きで、将来は自分だけの森を持ちたいと思っています。木の美しさや育てる楽しさだけでなく、生きものとしての生態的な面白さも伝えていきたいです!好きな木はケヤキです。