畑や庭でよく見かける雑草のスギナ。土中に伸ばした地下茎(根)であっという間に増えていきます。放っておくと増えすぎて、周りの植物の生育に悪影響を及ぼすことも。スギナの特徴や生態について解説したうえで、効果的なスギナの駆除方法をお伝えします。
目次
そもそもスギナの特徴・生態とは
スギナ(杉菜)は、トクサ科の多年草でシダ植物の一種。
畑の周辺や道ばた、空き地、庭などあらゆる場所で見かける雑草です。
酸性の土壌と日当たりの良い場所を好み、春から夏にかけて発生します。
冬になって地上部の葉が枯れても地中に根が残っているため、翌年にまた同じ場所から芽を出します。
スギナの茎は、栄養茎と胞子茎の2種類に分けられます。
一般的に、栄養茎をスギナ、胞子茎をつくし(土筆)と呼びます。
3月~4月の早春に出る胞子茎(つくし)が生長したあと、同じ場所に緑色の葉を持つ栄養茎(スギナ)が発生します。
つくしの頭の部分は、胞子嚢胞と呼ばれる胞子葉の集まりで、内側にたくさんの胞子嚢を付けているのが特徴。
つくしと若いスギナの芽は、食用とされることもあります。
スギナの葉を煮出したスギナ茶にはミネラルが豊富で、健康に気を使っている人からも人気です。
大量発生しやすいのがスギナ
スギナは、生命力の強い雑草の中でも増殖スピードが早いことで知られています。
地下茎を土中に長く伸ばして増えていくためです。
伸ばした地下茎から地上部に芽を出すことで、広範囲に広がっていきます。
スギナの地下茎は、驚くほど深く広く張り巡らされることから「地獄草」という別名で呼ばれることも。
特に、スギナはほかの雑草や植物が生えていない場所で増殖しやすい傾向にあります。
気が付いたら一面がスギナ畑になっていた…といったことも珍しくありません。
一方で、スギナよりも強い雑草がはびこっている場所では、爆発的には増えにくいです。
根を伸ばして増えていく性質があるため、地上に表出している部分だけを刈り取ってもまたすぐに新たな芽を出します。
さらに厄介なのは、スギナの地下茎は、畑を耕すなどして切断しても再生すること。
人間の手では根絶不可能な雑草とも言われています。
スギナを放置するとどうなるか?
スギナは、放置しておくと地下茎を伸ばしながらどんどん増殖します。
つくしの後に出るスギナの栄養茎は、高さ30cm~60cmほどまで大きくなり、スギナが繁茂すると景観が破壊されます。
それだけではなく、他の植物の生育に悪影響を及ぼすことも。
たとえば、千葉県の松戸市にある本土寺は、花菖蒲の名所として知られています。
しかし、菖蒲田にスギナが大量発生してしまったことにより、花菖蒲が楽しめなくなった年がありました。
このように、環境が合えば大増殖するスギナは、観光資源でもある花の名所に打撃を与えたり、農作物の収量が減ってしまったりと、深刻な被害をもたらすこともあります。
スギナの駆除方法
畑や庭でスギナを見つけたら、大量発生して手が付けられない状態になる前に、早急に駆除しましょう。
スギナの駆除方法や予防方法を紹介します。
効果的な農薬・除草剤
スギナは、農薬や除草剤で駆除・予防することができます。
地下茎から増えるスギナを根こそぎ枯らすには、土中の根まで浸透移行するタイプの除草剤がマスト。
スギナに効果的な除草剤としては、「ラウンドアップ」や「サンフーロン」が代表的です。
すでにスギナが大量に生えている場合、地上に出ている草を枯らす茎葉処理型の除草剤で処理してから、地中に残った根を浸透移行型の薬剤で駆除しても良いでしょう。
どの除草剤を選んだら良いかわからないという人は、パッケージに「スギナにも効果がある」と明記されているものや、適用する雑草にスギナが含まれているものを選ぶと失敗がありません。
農薬や除草剤でスギナを駆除する場合の注意点としては、花壇や芝生など他の植物が育たなくなると困る場所への散布は避けましょう。
除草剤の効能により、他の植物まで枯らしてしまう恐れがあるからです。
防草シートを敷いて予防する
地表を覆って草を生えにくくする防草シートもスギナの対策に有効です。
すでに発生してしまったスギナを駆除するというより、スギナが生えてこないように防草シートで予防します。
芽吹く力の強いスギナがシートを突き破って出てこないよう、高密度で厚みのあるタイプの防草シートを選びましょう。
防草シートを突破してスギナが生えてきてしまった場合は、適切な除草剤による駆除が求められます。
熱湯の対策
ペットや小さい子どもが遊ぶ庭などに薬剤を使いたくない場合、熱湯を使ってスギナを駆除することもできます。
生えているスギナに熱湯を直接かけて、葉や根を駆除します。
しかしながら、広い範囲のスギナの駆除には何十リットルという大量の熱湯が必要になり、沸かす手間や運搬方法を考慮すると現実的には難しい方法です。
お湯が根に浸透するときには温度が下がり、適切な効果を得られない可能性もあります。
熱湯によるスギナ駆除は、狭い範囲のスギナをピンポイントで根絶したいときにおすすめ。
熱湯を扱うときは、火傷に注意してください。
塩での駆除はできる?
薬剤を使いたくないとき、熱湯の次に思い浮かぶのが塩を使った対策です。
スギナをはじめとした雑草は、塩をまいて枯らすことができます。
ただし、スギナの周りの植物まで枯らしてしまうことや、塩の成分が土中に残って時間が経って他の植物を植えても育たなくなるリスクが。
また、地中の配管や家の基礎をサビつかせる危険もあるため、あまりおすすめできる方法ではありません。
根っこが重要
スギナは、地下に張り巡らされた根ごと取り除かなければ根絶できません。
そのため、除草剤を使うなら地中の根まで浸透して枯らすタイプを選び、根まで駆除することを意識しましょう。
スギナの根は、切れてもまた再生します。
スコップで掘り返すなどの中途半端な対策では、数は減らせても完全に駆除することは不可能です。
スギナは多年草であり、地中に根が残っていると、翌シーズンに同じ場所で繁殖します。
雑草駆除ならsmileガーデン!
生命力の強い雑草を自分で処理するのは大変です。
smileガーデンに任せていただければ、雑草が生えてこないような対策も含めて承っているので、是非相談してみてください!
愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。
植物が大好きなライターです。小学校の自由研究は「雑草の研究」でした。忙しい毎日でも無理なく楽しめるガーデニングを日々研究しています。雑草&野草・カラーリーフ・球根植物・100円ショップの園芸グッズ。