お庭にたくさん雑草が茂っていると、除草するだけでも一苦労ですよね。安く手軽に除草できる方法は無いかと探して、「重曹が除草に効く」という情報にたどり着いた方も多いのではないかと思います。ここでは、重曹を除草に使う際の手順やメリット、デメリットなどについてご紹介します。
目次
雑草対策として重曹は除草効果あり!
結論から言うと、重曹にはそれほど高くは無いものの除草効果があります。
そもそも重曹とは、炭酸水素ナトリウム(NaHCO₃)と呼ばれるもので、白い粉末状の塩のようなものです。
使い方は様々で、掃除や料理、中和剤や消火剤などとしても使用されています。その中でも、何らかの方法で物理的に傷つけた雑草に重曹を溶かした水を浸透させると、雑草を枯らす効果があるとされています。
もともと重曹は農業や園芸の場でも使用されることがあり、農作物や人に悪影響が無いことが明らかな「特定農薬(特定防除資材)」というものにも選ばれており、ハーモメイト水溶剤のように農薬として販売されているほどです。
しかし、通常は殺菌剤などの利用をされることが多く、ハーモメイト水溶剤も、うどんこ病や灰色かび病菌などの病原菌に対して、植物に影響を与えることなく治療ができるといったもので、除草効果はそれほど期待されていません。
除草効果はありますが、使い方を工夫すれば除草の効果も出るには出る、といった具合のものであることに留意しておきましょう。
重曹を使った除草方法の手順ガイド
重曹を使って除草を行うためには、いくつかの手順があります。きちんと手順を守って使わないと、除草効果があまり得られません。ただ重曹を散布するだけでは、植物の体内に浸透していかないためです。
ただしく手順を守って重曹を使うようにしましょう。
ステップ1:重曹水をつくる
まず、水に重曹を溶かして重曹水をつくります。濃度は厳密に計算しなくても大丈夫ですが、大体、15%くらいの濃度の重曹水をつくれば効果があると考えられます。
重曹で除草を行う場合、雑草の傷がついた箇所に重曹水がしっかりかからなければ効果がありません。ジョウロなどで庭全体に散布したい場合、庭の面積に合わせてそれなりの量の重曹水をつくらなければいけないことには注意しておきましょう。
枯らしたい雑草が決まっていて、そこに丁寧に注入するような場合は、その雑草の量に合わせた重曹水をつくれば問題ありません。
ステップ2:雑草に傷をつける
草刈り鎌などを使って、枯らしたい雑草に傷をつけます。重曹水のままでは、植物の体に中に浸透していくことが無く、除草効果も得られません。物理的に枯らしたい雑草にあらかじめ傷をつけておく必要があります。
重曹水をかけやすい位置に傷がつけばなんでも良いですが、草刈り鎌などであれば広い範囲で一斉に傷をつけられますし、重曹水のかかりやすい上向きに断面がくるように傷つけることができるのでおすすめです。
また、高圧洗浄機などで雑草をなぎ倒しながら重曹水を散布できるのであれば、それが一番効率的で効果も得られやすいです。
ステップ3:重曹水を散布する
枯らしたい雑草に重曹水を散布します。庭の雑草すべてを枯らしたい場合は、ジョウロなどで一斉に散布するのがおすすめです。全体に重曹水がかかるように、丁寧にまんべんなく散布しましょう。
一方、庭の雑草の中で、ある種類の雑草だけを枯らしたい場合や、雑草にまぎれて育てている植物が生えているような場合は、枯らしたい雑草だけを選んでスポイトなどで傷口に重曹水をかけるのもおすすめです。そこから重曹水が浸透していき、徐々に雑草が枯れていきます。
ステップ4:経過観察を行う
重曹水を散布したあとは、しっかり枯らせたかどうか経過観察を行いましょう。散布してからは徐々に雑草が枯れていきますが、場合によってはうまく傷がつけられていなかったり、重曹水の散布がうまくいっていなかったりすると、枯れずにそのまま育つ雑草がでてきます。
一度散布したからといって油断せず、効果が実際に出ているかどうかしっかりモニタリングするのがおすすめです。
雑草対策で重曹を除草に使うメリットとは
雑草に傷をつけなければいけない、しっかり重曹水を傷口に散布しなくてはならないと、雑草対策として使うにはやや手間のかかる重曹ですが、そうした用途で使うメリットはどのあたりにあるでしょうか。
重曹を除草対策で使う上のメリットについてご紹介します。
安価で入手しやすい
重曹は除草剤に比べて、安価で入手しやすいというメリットがあります。除草剤は、量や製品にもよりますが、数千円単位の値段であるものが多いです。広い庭全体の除草をしたいという場合、数百円や千円で済むようなことはあまりないでしょう。
しかし重曹は、重曹水をつくる前の1~2kgくらいの粉末が数百円で売っていることも珍しくありません。除草剤に比べて全体的にかなり安価なところは大きなメリットといえます(ただし、除草剤も希釈して使用するものでは少ない量でかなりの範囲を除草できるものが多いです)。
その分の手間などと天秤にかけて何を使うか選ぶようにしましょう。
除草剤の使用ルールに縛られない
除草剤を使う場合、使用者の服装や体調、天気や風などを見ながら、適した条件で適した状態での使用が推奨されることが多いです。また、使用できる植物種の範囲や回数、使用時期、濃度なども決まっています。周囲の農作物や育てている植物などに悪影響を及ぼすことがないように気を付ける必要があります。
しかし、重曹の場合は人や農作物に害が無いことが明らかだとされているため、除草剤ほど使用の制限はありません。もちろん、なんらかの理由で周囲に害があることが明らかな状態で使用してはいけませんし、なんでもして良いわけではありません。しかし、除草剤よりは比較的気楽に使えるといえるでしょう。
特定の雑草のみを枯らすことができる
重曹は普通に散布すれば植物に害がないものなので、特定の雑草のみを枯らすということが可能です。庭に生える雑草の中で、特定の種類、特定の株だけを枯らしたいという場合や、生い茂る雑草に混じって育てている植物が生えている場合などは、枯らしたい雑草にのみ傷をつけて、その傷口にのみ重曹水を散布することで、その雑草のみを枯らすことができます。
枯らしたくない植物に傷さえついていなければ、もし重曹水がかかっても枯れることはありません。浸透する力の強いタイプの除草剤では、枯らしたい植物にかかるとそのまま枯れてしまう場合があります。場合によっては、重曹水の浸透力の低さが逆にメリットになるかもしれません。
重曹を使った除草のデメリットとは
重曹を使って除草をする場合、メリットもありますがデメリットもあります。基本的には重曹は比較的安価で手に入るというところに大きなメリットがあるので、それ以外の効果や手間などの除草剤に劣る部分では多少なりとも我慢しなければいけない部分はあります。
どんなデメリットがあるのか、チェックしてみましょう。
除草剤と比べると効果が劣る
重曹は、除草剤と比べると除草効果は当然劣ります。雑草を駆除するために開発された除草剤と比べ、重曹は多くの場合他の目的で使用するために販売されているので、効果が劣るのは当たり前といえば当たり前かもしれません。
除草剤の種類や用途によって効果範囲や作用の仕方も異なりますが、雑草の葉っぱにかければ浸透していく除草剤と比べ、重曹は雑草を一度傷つけなければ植物の体内に入っていきません。そうした浸透力の差に加え、枯らす力も除草剤の方が勝っていることの方が多いです。
安価な分仕方ないかもしれませんが、除草剤もそこまで高額というわけでもないので、価格差に見合った効果であるかはきちんと精査しておくのが良いでしょう。
広範囲の使用に不向き
重曹は広範囲に施用するのにはあまり向いていません。一度雑草を傷つけなければ浸透しないため、広範囲で使用するためには広範囲の草刈りをまず行う必要があります。また、安く済ませるために家庭にあるものだけを使用することにこだわりすぎると、広い面積をお庭で使うジョウロで何往復もして重曹水を撒きにいかなければいけません。
高圧洗浄機などで雑草を傷つけながら重曹水を散布できれば良いですが、家庭にある設備で重曹を使う場合は基本的に二度手間になるため、あまり広い範囲で使用するのは現実的ではありません。
雑草対策として重曹で除草をする3つのコツとは
雑草対策として重曹を使用する場合、注意しておくべきポイントがいくつかあります。重曹は除草のために開発されたものでは無いので、除草に使うためにはそれに応じた使い方をしなければいけないためです。
どんなところに気をつけなければいけないのか、チェックしておきましょう。
傷をつけてから重曹を散布する
重曹は、そのまま植物にかけただけでは植物の体内に浸透していきません。必ず傷をつけてから、その傷にかかるように重曹を散布する必要があります。
そのため、一度草刈り機や草刈り鎌などで傷をつけてから散布します。傷をつける際は、重曹がかかりやすいように上向きに断面をつくっておくのがおすすめです。
丁寧に散布する
散布の際は、雑草につけた傷に重曹がかかるよう丁寧に散布します。枯らしたい雑草の種類が限られているような場合は、切った茎の断面に垂らして確実にかけるのもおすすめです。
雑草につけた傷に重曹がかからないと枯れないので、まんべんなく丁寧に散布するようにしましょう。
一度撒いたからと放置しない
一度重曹を撒いて作業が完了してからも、定期的に様子を見て確認することが大事です。重曹がうまくかかっておらず枯れていない雑草があるかもしれないし、いずれにせよ地下茎までは枯らせないので、地下茎から復活したものが繁茂してしまうかもしれません。
散布したから大丈夫だと放置していたら、しばらくして見に行った際に全く雑草が減らせていないということになりかねません。散布してからしばらくの間は、定期的に様子を見ておくようにしましょう。
ドクダミの重曹を使った除草方法
庭にはびこる厄介なドクダミも、重曹で除草することができます。他の雑草と同じように草刈り鎌などで傷をつけてから重曹を散布して処理します。
ドクダミは主に地下茎で繁殖すると考えられていますが、秋ごろにできる種にも立派な発芽能力があります。できるなら、果実をつける前の時期までに散布を行うのがおすすめです。
重曹で雑草対策!よくある質問と回答まとめ
Q.重曹で雑草を完全に枯らすことができる?
A.できる場合もありますが、地下茎で繁殖する多年草などを完全に枯らすことは難しいことが多いです。
Q.重曹で枯らせる雑草、枯らせない雑草は?
A.重曹を散布しても地面から上も枯らせない場合もありますが、具体的にどの種類がどれくらい枯らせる、枯らせないというのは伝聞の域を出ないと思います。○○は枯らせない、という情報があっても、処理がうまくいっていなかったなどの可能性もあります。
Q.人体に影響はある?
A.大量に摂取するなどしなければ、特に悪影響は無いとされています。
愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。