イチイの木は、刈り込みにも耐えるしなやかさとかわいらしい実などが人気の木です。しかし、イチイを育てているとなぜか枯れてしまうことがあります。イチイの木がなぜ枯れてしまうのか、考えられる原因とその対策方法をご紹介します。
目次
イチイの木が枯れてしまうのはなぜ?

イチイの木を育てていても、なぜか枯れてしまうことがあります。一体なぜ枯れてしまうのでしょうか。枯れた原因を取り除かないと、イチイの木を再び植えてもまた枯れてしまう可能性が高いです。なぜ枯れてしまうのか、その原因を推測してみましょう。
ただし、枯れる原因はかなりケースバイケースのため、「〇〇なら、××が原因」のように断言することはできません。可能性の高そうなものを一つずつ検証していくことが大切です。
よくありがちな原因というのはあるので、それらとその対策をご紹介します。
原因は複数の可能性もある

イチイの木が枯れてしまうことについて、その原因は一つとは限りません。複数の原因が関わり合って結果的にイチイの木が枯れてしまったという可能性もあります。その場合、一つの原因を取り除いただけでは解決しないかもしれません。
ある一つの原因によってイチイの木が弱ってしまい、そこに追い打ちをかける形で別の原因が重なってしまったというようなことも含めて、様々な角度から考えてみるようにしましょう。
手入れのしすぎ、しなさすぎ

イチイの木は、手入れのしすぎで枯れてしまう可能性があります。木を育てているとあれこれ手をかけてしまいたくなるのはわかりますが、何ごともやりすぎはよくありません。よかれと思って行ったお手入れが、イチイの木を枯らしてしまうこともあります。
また、手入れをせずに放置しすぎて枯れてしまう可能性もあります。これはイチイの木の日常的な手入れというよりは、植え付け後の手入れだったり、異常が発生した際に放置してしまったり、周りの環境が徐々に悪くなることに気づかなかったりといったものです。
いずれにせよ、適切な手入れを適度に行う必要があります。
剪定
イチイの木は、剪定のしすぎで枯れてしまう可能性があります。イチイの木は刈り込みにも耐える比較的強い木です。しかし、強剪定にはそれほど強くありません。
そのため、剪定をたくさんしているうちにイチイの木が弱ってしまい、枯れてしまうというパターンが考えられます。
たくさん剪定した後になかなか復活せずに枯れてしまったという場合は、そちらが原因かもしれません。
植え付け、植え替え後の管理
鉢植えから庭の土に植え付けたり、一度根付いた場所から別の場所に植え替えたりした場合、その後に枯れてしまうことがあります。
イチイは比較的、植え替えが難しい木です。植え替え作業のやり方やその後の管理の仕方によって、枯れてしまう可能性は十分にあります。植え替えや植え付けをしてからしばらくして枯れてしまったという場合は、そちらが原因かもしれません。
肥料のやりすぎ
肥料をやりすぎて枯れてしまうことも考えられます。適切な肥料を与えるとイチイの木はよく育つようになりますが、やりすぎると枯れてしまうことがあります。
肥料焼けという現象で、肥料の濃度が濃くなりすぎると浸透圧の関係で水が出ていって枯れてしまうためです。木が弱っているときも、通常より薄めの肥料を与えるようにします。
肥料を通常よりたくさん与えていたという場合は、こちらが原因かもしれません。
水のやりすぎ
水をやりすぎて枯れてしまうことも考えられます。植物を育てるといえば水やりと考える方も多いかもしれませんが、庭の土に地植えしている場合、それほど頻繁な水やりは必要ありません。
水をやりすぎることで、かえって根腐れの原因になったり、乾燥に弱い体質になったりして、枯れる原因になります。毎日のようにイチイの木に水をやっていたという場合は、そちらが原因かもしれません。
手入れの仕方

イチイの木を枯らさないために、適切な手入れを適度にする必要があります。実際のところ、どの程度が適度かはケースバイケースで、庭の広さや日当たりなどの環境、イチイ自身の大きさや樹勢などの状態にもよって異なるので、こうするべきというハッキリした基準はありません。
最適なものは失敗しながら覚えていく必要がありますが、どのようにしたら良いかという目安をご紹介します。
剪定のやり方
イチイは比較的刈り込みにも耐えることができる木です。どう枝をどう切るかは剪定の目的によって変わりますが、大きさの調整をしたいなら長く伸びた枝を全体的に枝分かれの部分で切り戻すか、枝の途中で切り詰めるかして、風通しを良くしたいなら混んでいる部分の枝を枝分かれの付け根から切り取るなどして、特定の樹形に仕立てたいなら、理想の形になるように全体のバランスを見ながら整えていきましょう。
ただし、イチイの木は強剪定にはそれほど強くありません。芽吹く力はありますが、成長が速いわけではないので、強く剪定すると弱ったり再生に何年もかかったりします。その間に他の原因によって枯れてしまう可能性もあるので注意が必要です。
また、暑い時期は避けて剪定を行いましょう。芽吹き前の3月頃、寒すぎず暑すぎない6月、9月ごろに剪定を行うのがおすすめです。
植え付け、植え替え後の管理方法
植え付け、植え替え後は、土が乾いたら鉢植えの木のようにたっぷり水を与えるようにします。期間の目安としては、暖かい時期で数えて1~2カ月ほどです。イチイの木が新たな枝葉を出して成長し始めた場合、その後の水やりは基本的に必要ありません。
イチイの木は成長が遅いので、庭の土に根付いたかどうか判断が難しい場合は、植木屋さんなどに相談してみても良いでしょう。また、一度根付いたイチイの木を別の場所に植え替えしたいという場合は、プロの業者にお願いするのがおすすめです。
若い木ならあまり考えずに作業してもなんとかなる可能性もありますが、植え替えがやや難しい性質のイチイの木ということもあり、植え替え作業がうまくいかないとそのまま根付かずに枯れてしまう可能性もあるためです。
木の根っこはふつう枝葉の広がりよりも長く伸びているので、植え替えの際は根元近くで根っこを出させる「根回し」という作業が必要です。そうした作業には専門的な技術が必要になってきますし、植え替え時に根っこを切った分の調整として剪定を行なったり、木をなるべく傷つけないような運び方をしたりと、根回し以外にも専門的な技術が必要な場面は多いです。
肥料のやり方
イチイの木に肥料を与える場合、2〜3月ごろに寒肥として油かすなどの有機質肥料を与えるのがおすすめです。与える量に正解はありませんが、肥料のパッケージに書いてある分量を目安に与えるようにしましょう。
庭の土に地植えしている場合、肥料を与えずに枯れるより肥料を与えすぎて枯れる可能性の方が高いです。むやみにあげすぎてしまうと、枯れる原因になってしまうので注意しましょう。
また、イチイの木の元気があまり良くない場合は、肥料を少なめにするか与えないことがおすすめです。基本的には適切な量の肥料を与えつつ、場合によって量を調節しましょう。
水のやり方
庭の土に地植えしている場合、水やりは基本的にやらなくても問題ありません。水やりが必要な場面は、植え付けや植え替えをしてから根付くまでの間や、真夏に長期間雨が降らなかった場合などです。
それらの場合は、水が下の方までしっかり浸透していくようにたっぷり水を与えます。ジョウロで与える場合など、たくさん水をあげているつもりでも全然下まで浸透していない場合があります。表面だけ濡らすだけだと、木の根っこは水を吸うことができませんし、土の表面が常に濡れている状態になると、酸素が土の中に移動せず、根っこが酸欠になってしまう可能性もあります。
気になるなら土を試しに掘ってみるなどしつつ、下まで水を浸透させるようにしましょう。
植え付け後の環境が悪い

イチイの木を植え付けたあとの環境が悪く、弱ったり枯れたりしてしまうこともあります。植物は自ら移動することができないし、人の手で移動するのにも手間や木に対する負担が大きいです。
そのため、植え付ける環境はとても重要になります。イチイの木が枯れる原因になりうる環境条件についてご紹介します。
日当たり
日当たりが悪いと、イチイの木が弱ったり枯れたりしてしまう可能性があります。また、日当たりが良すぎても枯れてしまう可能性があり、注意が必要です。適切な日当たりの場所を選ぶ必要があります。
植え付けてからほとんど成長せずに徐々に枯れてしまった場合や、直射日光が強く当たる場所に植え付けて、葉っぱの色が変わって枯れてしまったという場合などは、日当たりが原因かもしれません。
土の条件
土の状態が悪くて、イチイの木が弱ったり枯れたりしてしまう場合もあります。土の状態というと肥料分など栄養条件をイメージする方も多いかもしれませんが、通気性や透水性、保水性など物理的な条件が関わっていることが多いです。
土が極端に乾燥しやすい場合や、踏み固められて草も生えないような状態になっている場合、水はけが悪く雨が降ると何日も水たまりが残るような場合など、それらの条件を改善すると、イチイの木が枯れづらくなるかもしれません。
環境の改善方法

植え付けた場所の環境が悪くてイチイの木が弱ったり枯れたりしていると推測できた場合、それらの条件を改善してみましょう。環境さえ良くなれば、枯れずに元気に育つようになる可能性があります。
どのように改善していくのが良いか、方法をご紹介します。
日当たりの改善方法
イチイの木を植えている場所の日当たりが悪い場合は、日を遮っているものを取り除くことで日当たりを良くします。
日を遮るものとしてよくあるのが、植えているイチイの木よりも背が高い別の木の枝葉や、大きな物置や建物などの構造物といったものです。木の枝は、可能なら剪定してイチイの木に日が当たるようにしましょう。間引く程度でも効果がある場合もあります。
構造物も移動できそうなら移動してしまうのが良いかと思いますが、建物だったり、他の敷地にあるものだったりすると、移動することができません。そうした場合は、イチイの木を別の場所に植え替えるという選択も取れます。
ただし、イチイの木は比較的移植の難しい木です。おそらく、根っこを余すところなく掘り上げられる若木でもなければ、ただ掘り上げてほかの場所に植え付けただけでは枯れてしまうでしょう。移植にはやや高度な技術が必要になります。難しそう、うまく移植する自信がないと感じたら、プロの業者にお願いするのがおすすめです。
また、特に乾燥するような場所では、日当たりが強すぎてイチイの木の元気がなくなる可能性があります。そうした場合、逆に日当たりを弱くしてあげる必要があります。寒冷紗などを設置して日を遮ったり、他の木や構造物で遮ったりするなどの方法が取れます。
土の改善方法
土は、主に保水性や透水性などの物理的な部分を改善するのがおすすめです。特に、踏み固められた土や水はけが悪い土は改善した方が良いでしょう。
ただし、ただ踏み固められた土をスコップなどでほぐすのでは、あまり効果がありません。またすぐに踏み固められてしまうし、根っこを痛めてしまう可能性もあります。
たとえば、通気透水性の改善なら、1m程度の縦穴を掘って、筒状に加工した竹を埋めるという方法があります。また、同じ要領で土に埋めるためのパイプもあるので、それを使っても良いでしょう。
透水性を改善する場合は水抜き穴を掘るなどの方法もありますが、こちらはうまくいかない場合もあるのでプロの業者にお願いするのがおすすめです。
また、根元周りの土を掘って土壌改良資材と一緒に埋め戻す方法もありますが、こちらも掘る場所や資材の選び方などによっては木を枯らしてしまう可能性もあるので、プロの業者にお願いしたほうが良いでしょう。
病気や害虫

病気や害虫などによって枯れてしまうこともあります。かかったら単体で木を枯らしうるものもありますし、他の原因で弱っているところにとどめを刺す形でイチイの木を枯らしてしまうこともあります。
イチイの木につく病害虫は比較的少ないですが、大量に害虫がついていたり、明らかに根っこなどの様子がおかしかったりするのであれば、対策をしたほうが良いかもしれません。
イチイの木につく病虫害
イチイの木につく病気の中で病原性の強いものに、根腐病や白紋羽病があります。
根腐病は初夏から梅雨ごろにかけて根っこが腐って枯れるもので、一度かかったら治療は困難です。水はけが悪いことが発生の原因になるので、水はけをよくすることと、周りの木にも感染するので発生したら根っこを抜き取って焼却処分しましょう。
白紋羽病は根元に白い菌糸の膜ができ、木が急速に枯れてしまうという病気で、こちらも一度かかったら治すことは難しい病気です。他の木に感染することもあるので、根っこだけでなく土も掘り出して消毒や入れ替えを行いましょう。
害虫としては、カイガラムシの仲間がつくことがあります。こちらはこれだけでイチイの木を枯らすことは少ないですが、大量に発生したり他の原因で弱ったりしていると、枯れる原因となります。数が少ないうちにブラシなどでこそぎ取るか、適用のある薬剤を使用して駆除しましょう。
病虫害の対策方法

病害虫を防ぐためには、日ごろからイチイの木をよく観察して、変化に気づくようにするのがおすすめです。早めに気づくことで、被害を最小限に抑えられます。
また、水はけが悪いなど環境が良くないと病気が発生する原因になるので、周りの環境を良好に保つことも大切です。
まとめ

イチイの木は様々な原因で枯れることがあります。庭のイチイの木が枯れた、もしくは枯れそうなのはどこが原因なのか推測して、改善していくことで、いずれ枯らさずに育てられるようになるはずです。
うまくやる自信がないという場合や、最初はプロに教えてもらいたいという場合などは、Smileガーデンなどの業者にお願いするのが良いでしょう。自分で試行錯誤するよりも、結果的によほど安く済む可能性もあります。ぜひご検討ください。
愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。




