春に可憐な花を咲かせ、夏には鮮やかな実が楽しめるサクランボの木。
しかし、なかなか実がならずに悩むこともあります。
毎年しっかり実をつけるためには、受粉環境や剪定方法を見直すことが大切。
サクランボの実がつかない原因と対処法を詳しく解説します!

目次

サクランボの木に実がならない原因と対処法

cherry tree

水やりや肥料やりをしっかりと行っていても、サクランボの木は実がつかないこともあります。
まずは、実がならない原因とその対処法について知っておきましょう。

1. 授粉用の木が不足している・相性が悪い

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サクランボの木は自家受粉が難しい品種が多く、近くに別の品種がないと実がつきにくいです。
1本だけで育てている場合、受粉相手がいないことが原因の可能性が高いです。

また、異なる品種があっても花の咲く時期がずれていたり、相性が合わなかったりすると受粉しにくくなります。

対処法:受粉しやすい品種を2本以上植える、または人工授粉を行う

サクランボの実つきを良くするためには、相性の良い品種を2本以上植えましょう。
同じ品種では受粉しにくいものが多いため、異なる品種を近くに植えると実がつきやすくなります。

すでに1本だけ育てている場合は、人工授粉を試すのもおすすめです。
筆や綿棒を使い、花粉を別の花に優しくつけるだけで受粉の成功率が上がります。

2. 剪定不足または剪定のやりすぎ

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剪定の仕方によって、サクランボの木は実つきが大きく変わることもあります。
剪定をしないと枝が混み合い、日当たりや風通しが悪くなり、花がつきにくくなるため実もつきにくいです。

一方で、枝を切りすぎると花芽まで落としてしまい、実がならなくなることもあります。

対処法:適切な時期と方法で剪定を行う

サクランボの実つきを良くするには、剪定のタイミングと方法が大切です。

冬の休眠期には、古くなった枝や混み合った枝を間引き、風通しを良くしましょう。
花芽を残すことを意識しながら、切りすぎないようにするのがポイントです。
夏は、伸びすぎた徒長枝を整理して、樹形を整えます。

ただし剪定のしすぎは花芽を減らし、剪定不足は木を弱らせる原因になるので、枝葉が混み合っている・不要な枝が伸びている箇所を集中的に切りましょう。

また、どの枝を切れば良いかわからない場合は、プロの業者へ依頼するのもおすすめです。
適切な剪定を行い、毎年安定して実がつくように整えます。

3. 土の状態が悪い

サクランボの木がうまく育たない原因の一つに、土の状態が関係していることもあります。

水はけが悪いと根が傷み、元気に生長できません。
逆に、乾燥しすぎると根が十分に水分を吸収できず、花芽の形成に影響が出ることも。

特に粘土質の土や砂質の土は、水の管理が難しくなります。

対処法:土壌改良を行い、適切な水やりをする

サクランボの木を健康に育てるには、土の状態を整えることが大切です。

水はけが悪い場合は、腐葉土やパーライトを混ぜて通気性を良くし、乾燥しすぎる場合は、保水性のある堆肥を加えましょう。

地植えの場合、根元にマルチングをして水分の蒸発を防ぐのもベスト。
水やりは土の表面が乾いたらたっぷりと与え、過湿を防ぐことがポイントです。

根の環境を整えることで、花芽がつきやすくなり、実つきの改善につながります。

4. 肥料の不足または過剰

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肥料の量が適切でないと、サクランボの木は花芽がつきにくくなります。

肥料が不足すると栄養が足りず、花や実をつける力が弱まり、反対に肥料を与えすぎると枝葉ばかりが茂り、肝心の花芽がつきにくくなることも。

特に窒素分が多い肥料は、生長を促進しすぎて実つきを悪くします。

対処法:適量の肥料を適切な時期に与える

サクランボの木には、冬の休眠期に寒肥として有機質のものを、春は花芽の生長を助けるためにリン酸を多く含む肥料を使うのがおすすめです。

生長期に窒素分が多すぎると枝葉ばかりが茂り、花が咲きにくくなるため注意が必要です。
肥料を適量に調整し、木の状態を見ながら与えることで、健康な枝に花芽がつき、実の収穫につながりますよ。

5. 害虫や病気による被害

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サクランボの木がうまく実をつけない原因として、害虫や病気の影響が考えられます。

アブラムシやカイガラムシがつくと、新芽や花芽の生長が妨げられ、実つきが悪くなります。

また、灰星病やさび病などの病気にかかると、葉が枯れたり花が落ちたりすることも。
風通しが悪いと病害虫が発生しやすくなるため、剪定をして日当たりを確保しましょう。

対処法:病害虫対策を徹底し、健康な木を育てる

サクランボの木を守るためには、病害虫の予防と早めの対策が大切です。
アブラムシやカイガラムシは、春先から発生しやすいため、見つけ次第駆除しましょう。
病気を防ぐには、風通しを良くするために適度な剪定を行い、枯れ葉や落ちた実は早めに取り除くことがポイント。

発生が多い場合は、適切な殺菌剤や殺虫剤を散布すると効果的です。
木を健康に保つことで、花芽がつきやすくなり、実の収穫につながります。

サクランボの木が実をつけるために知っておくべきこと

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実をつけさせるためには、サクランボの木の生態について知っておくと、失敗することも少なくなるでしょう。

①受粉に必要な本数は2本以上がベスト

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1本だけでは実がつきにくいサクランボの木は、品種が多いため、2本以上植えるのがおすすめです。
異なる品種を組み合わせることで受粉しやすくなり、実つきが良くなります。

特に自家受粉が難しい品種は、相性の良い品種を近くに植えると効果的です。
スペースが限られている場合は、一本の木に異なる品種を接ぎ木する方法もあります。
受粉環境を整えることで花が実になりやすくなり、サクランボの収穫が楽しめます。

受粉におすすめの組み合わせと品種名

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  1. 佐藤錦 × 高砂
  2. 紅秀峰 × ナポレオン
  3. 豊錦 × 高砂
  4. 大将錦 × 高砂
  5. ナポレオン × 佐藤錦

「佐藤錦」は「高砂」や「ナポレオン」との相性が良く、受粉しやすい組み合わせです。
「紅秀峰」や「大将錦」は「佐藤錦」と一緒に植えると実つきが安定しやすいのでおすすめ。
基本的にサクランボの木は、1本の木では受粉が難しい品種も多いため、異なる品種を近くに植えるのがポイントです。

②サクランボの木の開花から収穫までの流れ

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3~4月|開花期:受粉が成功するかどうかの重要な時期
4~5月|結実期:受精後の果実生長
5~6月|肥大期:果実の肥大と成熟
6~7月|収穫期:実が赤く熟すころ

③実をつけるために必要な寒冷期を迎えること

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サクランボの木は、しっかりと寒さを経験しないと花芽がつきにくい果樹です。
多くの品種は、一定期間の低温にさらされることで休眠から目覚め、春に元気に開花します。
比較的7.2℃以下の低温に約1,000時間以上さらされることが必要といわれています。

ただし冬の寒さが足りないと、花が咲かずに葉ばかりが茂ることも。
特に暖地では、寒さが十分でないため実がつきにくくなることがあるので、品種選びや寒冷期の管理を工夫する必要があります。

④サクランボの木の栽培環境

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日当たりと風通しの良い場所に植えることで、花芽がつきやすいサクランボの木は、1日6時間以上の日照が必要で、半日陰では実がつきにくいです。

土は水はけが良く、適度な保水力があるものが理想ですが、根腐れ防止のために排水性も良くしましょう。
特に粘土質や砂質の土は根が張りにくいため、堆肥や腐葉土を混ぜて改良すると育ちやすくなります。

寒さに強い一方で、夏の高温や乾燥には弱いので、適度な水やりとマルチングで環境を整えることが、実つきを良くするポイントです。

サクランボの木を実らせる栽培の工夫

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サクランボの木に実がならない原因を作らないためにも、苗木を植え付ける前から育てる環境を良くすることが大切です。

Point1. ミツバチなどの訪花昆虫を増やす環境を整える

サクランボの実つきを良くするには、ミツバチなど昆虫が集まりやすい環境を作ることが大切です。
花粉を運ぶ昆虫が少ないと受粉がうまくいかず、実がならない原因になる場合も。

農薬の散布は開花期を避けて行い、昆虫に優しい環境を保ちましょう。
周囲にラベンダーや菜の花など、蜜源になる植物を植えるのも効果的です。

Point2. サクランボの木を風通しの良い場所に植える

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風通しが悪いと湿気がこもりやすく、サクランボの木に病害虫が発生することもあります。
特に梅雨時期は灰星病などの病気にかかる場合も。

適度な間隔を空けて植えることで、日当たりも良くなり、枝葉の生長が安定します。
剪定をして内部の枝を整理することも、風通しを良くするポイントです。

Point3. 開花期に適度な水分を供給する

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サクランボの木がしっかりと開花し、実をつけるためには、適度な水分管理が欠かせません。
特に開花期は乾燥しやすく、水不足になると花が落ちたり、受粉がうまくいかなかったりすることがあります。

地植えの場合でも、土の表面が乾いたら朝か夕方にたっぷりと水を与えましょう。
鉢植えの場合は乾燥しやすいため、こまめな水やりが必要です。

Point4. 夜間の気温変化に注意し、霜対策を行う

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サクランボの木は、春先の気温変化に弱く、霜に当たると花芽が傷みやすくなります。
開花前後に霜が降りると、受粉がうまくいかず、実がつきにくくなることがあります。

寒冷地では、不織布や寒冷紗をかけて霜から守るのがおすすめです。
地植えの場合は、株元にワラや腐葉土を敷くことで、地温を保つことができます。
夜間の急な冷え込みに備え、霜対策を徹底することで、花を守り、実つきを良くすることにつながりますよ。

Point5. 枝に負担をかけすぎないよう支柱や支えを利用する

サクランボの木は、実がつくと枝に負担がかかりやすく、強風や重みで折れてしまうことがあります。
若木や細い枝は折れやすいため、支柱や支えを使って補強しましょう。

主幹や太い枝に支柱を立てて固定すると、風の影響を受けにくくなります。
果実の重みで枝が垂れる場合は、紐やネットを使って持ち上げると安心です。

サクランボの木の生長と実がなるまでにかかる年数

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生育環境、管理方法がしっかりとできていても、サクランボの木が幼木であれば、実が付くことはなかなかありません。

サクランボの木が実をつけるまでの生長過程

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比較的サクランボの木は、苗木を植えてからゆっくりと生長し、数年かけて実をつけるようになります。

植え付け1年目は根を張ることに集中し、2~3年目に枝葉がしっかりと伸びていきます。
4~5年目になると花を咲かせるようになり、受粉が成功すれば小さな実がつき始めます。

また安定して収穫できるようになるには、適度な剪定や肥料管理が欠かせません。
生長に合わせて適切な手入れを続けることで、元気な木に育ち、甘い実を楽しめます。

実がなるまでの年数と育成の注意点

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サクランボの木は、苗木を植えてから実がなるまでに4~5年ほどかかります。
早い品種でも3年ほどかかるため、じっくりと育てることが大切です。

特に幼木のうちは、根をしっかり張らせるために水やりや施肥を適切に行うことがポイント。

剪定を怠ると枝が混み合い、花芽がつきにくくなるので、当たりや風通しを確保しながら、生長に合わせた管理を行いましょう。

若木の育て方と管理のポイント

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サクランボの木を植え付けた直後は根の発育を促すために、土を乾かしすぎないよう注意しましょう。

春と秋には緩効性の肥料を与え、樹勢を整えます。
枝が混み合わないように剪定をし、日当たりと風通しを確保することで、病害虫の予防にもつながります。

サクランボの木の栽培でよくある失敗とその対策

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サクランボの木を実らせる過程で、栽培の失敗もあります。
対処法を知っておけば、より多くの実を収穫できるかもしれません。

実がならないまま成木になってしまった場合の対処法

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サクランボの木が生長しても実がならない場合は、受粉環境や剪定の方法を見直すといいです。

自家受粉が難しい品種は、相性の良い受粉樹を近くに植えると実つきが改善しやすくなります。
剪定をして風通しを良くし、日光が枝全体に当たるようにすることもポイントです。

肥料の与えすぎは枝葉ばかりが茂る原因になるため、リン酸を多く含む肥料を適量与えます。

サクランボの木を大きくしすぎない

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サクランボの木を大きく育てすぎると、剪定や管理が難しくなり、実つきが悪くなることがあります。生長が早い品種は、毎年の剪定で適度な高さに保つことが大切です。

主枝を間引きながら樹形を整え、枝葉を透かして日当たりと風通しを良くしましょう。
管理しやすいサイズを維持することで、花芽がつきやすくなり、実の収穫につながりますよ。

サクランボの木に実がならないことに関するよくある質問

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最後に、サクランボの木の実がならないことに関するよくある質問をまとめました。
まだまだ不安な方は、ここでの回答を参考にして、管理方法を見直してみてください。

サクランボの木は鉢植えで育てられる?

サクランボの木は、鉢植えでも育てることができます。
ただし、地植えに比べて根が広がりにくいため、水やりや肥料管理が大切です。

鉢は直径30cm以上の深めのものを選び、排水性の良い土を使うことがポイント。
根詰まりを防ぐため、2~3年ごとに一回り大きな鉢へ植え替えましょう。

日当たりの良い場所に置き、風通しを確保することで、健康な木に育ちます。

サクランボの種から育てることはできる?

サクランボの木は、種から育てることもできますが、市販のサクランボの種は発芽率が低く、品種によっては発芽しにくいこともあります。

発芽させるには、果肉をきれいに取り除き、乾燥しないように湿らせた土に埋めて冬を越させる「低温処理」が必要です。

発芽しても実をつけるまでに7年以上かかることが多く、親木と同じ品質の実がならない場合もあります。
確実に収穫を楽しみたい場合は、苗木を購入するのがおすすめです。

サクランボの木の寿命は?

サクランボの木の寿命は、おおよそ20〜30年といわれています。
適切な管理を続けることで、長く健康に育てることができるでしょう。

ただし、年数が経つと樹勢が弱まり、実つきが悪くなることがあるため、定期的な剪定や施肥が大切です。

特に、古い枝を間引いて風通しを良くすることで、花芽がつきやすくなり、寿命を延ばすには、根の負担を減らしながら育てることがポイントです。

サクランボの木を実らせる剪定はsmileガーデンへ

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氏永 勝之
監修者 smileグループCEO
株式会社ガーデンメーカー 代表取締役
愛知農園植木苗木株式会社 専務取締役
一般社団法人ガーデンビジネス協会 代表理事
氏永 勝之

愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。

執筆者 柴﨑光一

リゾートガーデンスタイル専属の庭師×Webコンテンツクリエイター。 カナダのトロントで造園士を、その後日本で花屋のバイヤー・鉢物の管理・アドバイザーを経験した後、ヤシの木を主体とするリゾート・ドライガーデンの造園士に。 現在は、リゾートガーデンスタイルの社会福祉施設・DOG CAFEの専属庭師に加え、畑の開拓・管理、SNSも兼務。 植物を専門とするWebコンテンツクリエイター、ガーデニング商品の監修者としても活躍中。

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