桜の木は、街路樹や公園の木として植えられることが多いですが、シンボルツリーや記念樹などの役割で庭にも植えられることがあります。しかし、せっかく植えた桜がなぜか枯れてしまうことも少なくありません。桜の木が枯れてしまう原因や、その対策をご紹介します。
目次
桜が枯れてしまう原因をご紹介

街路樹や公園の木として有名な桜は、庭にも植えられることがあります。庭に植えることで毎年好きなだけお花見を楽しめるし、たくさんある品種の中から好きなものを選ぶことができるので、とても魅力的です。
しかし、せっかく植えた桜の木も、なんらかの原因で枯れてしまうことがあります。その原因がわからないと、また桜を植えても枯れてしまうかもしれません。
なぜ桜が枯れてしまうのか、考えられる原因と、その対策をご紹介します。
強剪定による衰退

たくさん剪定をすると、桜が弱ってしまうことがあります。桜の木は横に開いたような枝ぶりに成長することが多く、植えた場所によっては枝が邪魔になることが少なくないです。
特に低い位置で横に伸びた枝は、太くなってからバッサリ切られてしまうこともあります。安全面のために仕方ないことではあるのですが、太くなった枝を切られると、それだけ桜が光合成により貯めた栄養を失ってしまうことになるし、枝葉が失われることによって光合成できる量も少なくなるので、ダメージは大きいです。また、傷口が大きいと桜に害を与える病原菌などが侵入してくるのを防ぐことができません。
桜の木が元気で、強剪定の頻度も少なければ問題なく生育することもありますが、桜の木があまり健康ではない状態で何度も強剪定されていると、衰退して枯れてしまう可能性もあります。
太枝をノコギリで切るような剪定をしている場合は、少しやり方を変えたほうが良いかもしれません。
桜の剪定の仕方

桜の木の剪定は、厳冬期をのぞく葉っぱの落ちている冬に行います。具体的な枝の切り方などは剪定の目的によって変わりますが、全体のバランスを見ながら、混んでいる枝や邪魔になりそうな枝、樹形を乱す枝などを切り、大きさを調整したいなら長く伸びた枝を切り戻す形で行います。
桜の木は横に大きく枝を広げるものが多いので、後々邪魔になりそうな枝は細いうちに切ってしまいましょう。また、桜の木はスペースさえあればそれほど剪定しなくても美しい樹形になる木です。
剪定を行う場合はなんのために行うのか自分の中でハッキリさせておくことがおすすめです。剪定は多少なりとも木にダメージを与えることが多い作業なので、目的をしっかり持つことでなんとなく枝を切るような余計な剪定をしなくて済みます。特に、弱っている木は剪定しない方が良い場合もあるので注意しましょう。
他の木の剪定も行っている場合は、都度剪定ばさみを消毒することも重要です。細菌による病気など、一度かかると治療が困難な病気が伝染るのを防ぐことができます。
剪定後のケアは必要?
ホームセンターなどで、剪定した傷口を保護する薬剤が売られていることがあります。これらは傷口から菌の侵入を防いだり、傷口の修復を速めたりするものです。これを塗っておけば多少傷口が大きくても問題ないと言う方もいますが、実際はどうなのでしょうか。実際のところ、小さな傷口であればそうした保護剤を塗る意味はあると思いますが、ノコギリで切ったような大きな傷口に対しては効果が期待できないと言われています。
一時的には効果があるかもしれませんが、少なくとも長期間病原菌の侵入を防ぐ効果は無いと考えた方が良いでしょう。
また、いくら傷口を保護したところで枝葉をたくさん切り落としたダメージはどうやっても残りますし、傷口を桜の木が修復するにしても、残った枝葉に対して傷口が大きすぎると、何年かかってもふさぐことができません。先に菌が入ってボロボロに腐らせてしまう方が速いでしょう。
そのため、基本的には太枝を切る剪定はなるべく行わないほうが無難です。
日照不足

桜の木を植えている場所の日当たりが悪く、うまく光合成できずに弱って枯れてしまうことがあります。成長が極端に遅かったり、何年たっても花を咲かせないか、咲かせても数が少ないという場合はこちらが原因かもしれません。
桜の木を健全に育てるために、適切な日当たりを保つ必要があります。
桜の木が好む日照と確保の仕方

桜の木は、日当たりの良い場所を好みます。花見ができるほどの桜並木を想像してもらえばわかるかもしれませんが、他に遮るものがほとんどない日当たりの良い場所で桜の木はよく育ち、花を咲かせます。
日陰でも枯れないこともありますが、それでも成長はかなり遅くなり、花は咲いても同じ樹齢の日当たりの良い桜と比べてごく少ないです。常緑樹に覆われているくらいの日当たりが悪い場所だと、花を咲かせるまで成長せずに枯れてしまうこともあるでしょう。桜の木がよく育つように日当たりを良くしなければいけません。
日当たりを確保するには、光を遮っているものを排除することが第一です。木の枝葉が覆いかぶさっているならその木の剪定を、枝葉ではない構造物ならそれの移動をしましょう。日を遮っているのが建物など移動できないものの場合や、覆っている木がなるべく剪定したくないものの場合などは、桜の木を別の場所に植え替える方法もあります。
ただし、一度根付いた木を植え替えるのには比較的高度な技術が必要になります。元気な若い木を植え替えるのであれば雑にやってもなんとかなる可能性もありますが、一定以上の大きさのあまり元気のない木であれば、極力桜の木にかかる負担を少なくしながらより確実な方法をとらなければいけません。
自信がなければプロの業者にお願いするのが良いでしょう。
病気や害虫

病気や害虫によって桜の木が枯れてしまうこともあります。桜の木は病害虫の多い木です。ものによっては、それ単体で桜の木を枯らしてしまうこともあります。
それほど強いものでなくても、桜の木が弱っているときにかかると大きなダメージになってしまうことが考えられます。桜の木への負担を減らすという意味でも、なるべく病害虫はついていないほうが良いでしょう。
桜の木がかかる病気
桜の木には、病原性はそれぞれ異なりますが様々な病気が発生します。葉っぱに小さな穴が空いたようになる穿孔褐斑病、一箇所から花の咲かない枝がたくさん出るてんぐ巣病、枝の途中などにゴツゴツしたコブができるこぶ病など様々です。
その中でも発生すると木を枯らしてしまうかもしれないのが、地上部が衰退していき、根元に菌糸の膜が発生する白紋羽病や紫紋羽病、根っこにキノコが寄生し、秋ごろにたくさんのキノコが発生するならたけ病やならたけもどき病などです。
いずれも根っこに菌がつく病気で、かかると桜の木を枯らしてしまう可能性があります。
発生してから人の手で治療する方法は、設備が必要な一部の方法を除いて無く、枯れた後は根っこを細根まで掘り取り、焼却処分し、根株の土も入れ替えたり消毒したりしなければいけません。
もちろん他の病気も、桜の木が弱っているときに大きなダメージになったり、桜の木が衰退するきっかけになったりするので注意が必要です。
桜の木につく害虫
桜の木につく害虫には、様々な種類があります。桜の葉っぱをかじって食べるモンクロシャチホコなどガやハバチの幼虫に、枝葉の汁を吸うアブラムシやカイガラムシ、ハゴロモの仲間など、幹を食べるコスカシバなど、各部位にそれぞれ虫がつきます。
枝葉よりも幹につく害虫のほうがダメージの大きいことが多く、元気な成木なら大した問題にならないこともありますが、幼木や元気でない木だと、枯れたり衰退したりする原因になりえます。
クビアカツヤカミキリ
桜の木につく害虫で注意しなければいけないのがクビアカツヤカミキリです。現在分布拡大中の外来種のカミキリムシで、幼虫が桜の木などの幹を食べます。成木ならたくさん発生して幹を一周食べられでもしないと枯れることは少ないですが、あまり大きくない木ではクビアカツヤカミキリ単体で枯れてしまうことも考えられます。
自治体が発生状況や対策などの注意喚起をしていることが多いので、お住まいの自治体まで分布が広がっているかどうか、自治体のホームページなどで確認してみましょう。完全に防ぎ切るのは難しいですが、発生していることがわかれば早めに対策が取れます。
なお、クビアカツヤカミキリは外来生物法における特定外来生物に指定されているため、移動や飼育などが法律で禁止されています。
病虫害対策

病害虫を未然に防ぐためにはいくつかの方法があります。一つは桜の木を健康に保つことで、全てではありませんが弱った木につくような病害虫は防ぐことができます。根っこの病気を防ぐためには、水はけが悪かったり乾燥しすぎたりするような極端な環境は避けるようにしましょう。
また、混んだ枝を整理して風通しを良くすることも予防になりますし、他の木の剪定をした後は一度剪定ばさみを消毒しておくのも感染を防ぐことにつながります。
植え付け、植え替え後の管理不足

植え付けや植え替えを行った後に枯れてしまうことも多いです。よくあるのが、植え付け後に根っこが庭の土に根付く前に枯れてしまうというパターンです。
他にも、植え替え作業によるダメージで枯れてしまったり、植え付け先の環境が悪くて枯れてしまったりすることも考えられます。
桜の植え付け、植え替え方法

桜の木の植え付けや植え替えは、厳冬期を除いた冬の間に行います。植え穴に元肥と一緒に植え付けたあと、水を流しながら棒などで根元の土を突っつき、根っこに土を密着させます。
その後は、根付いて新たな枝葉を旺盛に成長させるまでは、鉢植えに植えているのと同じように土が乾いたらたっぷり水を与えるようにしましょう。ここを怠って枯れてしまうことがあります。
また、一度地面に根付いた木を別の場所に植え替える場合は、植え付けよりやや大変です。小さな木なら根っこをなるべく傷つけないように掘り出せば良いですが、基本的に木の根っこは枝葉の広がりよりも遠くまで伸びています。
そのため、根元近くで根っこを出させる「根回し」という作業が必要になります。加えて、植え替え作業時に根っこを切った分、枝葉を切って出ていく水の量を調節する作業も必要です。
それらの作業は勘でやってうまくいく場合もあるとは思いますが、失敗すると枯れてしまいます。なるべくプロの業者にお願いしたほうが良いでしょう。
水やりは必要?
鉢植えではなく土に地植えした桜の木の場合、植え付けして根付いてからの水やりは基本的に必要ありません。山に生える木が水やりを必要としないのと同じで、根を張っていればよほど乾燥しない限り自力で根っこを伸ばして水を得ることができます。
頻繁な水やりをすることでかえって乾燥に弱くなったり、やりすぎて根腐れさせてしまうこともあるので注意が必要です。
ただし、植え付けや植え替えを行ってから根付くまでの間は、土が乾いたら下まで浸透するようたっぷり水やりを行います。また、真夏に雨の降らない期間が長く続き、明らかに葉っぱがしおれたり落葉したりする場合は一時的に水やりをしたほうが良いです。
土の状態が悪い

土の状態が悪くて桜の木が弱ってしまう可能性もあります。よほど極端な環境でなければ、栄養やpHなどの化学的な条件より水はけや通気性など物理的な条件が影響することが多いです。
土が踏み固められているような場合や、水はけが悪くて何日も水たまりが消えないような場合は、そちらが原因かもしれません。
土壌改良方法

土の状態を改善するには、土壌を入れ替える方法があります。桜の根元に穴を掘り、改良資材と一緒に埋め戻すというものです。他にも、通気性や透水性を改善する方法として、縦穴を掘って竹やパイプを埋設する方法もあります。
土を入れ替える方法の場合、穴を掘る位置や資材の配合など、専門的な知識や技術が必要になります。勘でやってうまくいく場合もあるとは思いますが、自信がなければプロの業者にお願いしたほうが良いでしょう。
肥料のあげ方
地植えしている桜の木には、肥料はほとんど必要ありません。やせ地に植えている場合や幼木の場合、冬の間に緩効性肥料を与えたほうが良いこともあります。
いずれの場合も、たくさん肥料を与えているとかえって弱ったり枯れたりしてしまうこともあるので注意しましょう。
桜の木は更新されていくもの

街中では、植えられてから数十年経ったボロボロの桜の木が切られてしまう様子をよく見ます。切られる原因は、樹勢の衰退や幹の腐朽による危険性などからです。
人の生活圏で木を育てていく以上、管理の中でどこかしらで劣化していき、更新が必要になるのは当たり前のことです。大きくなった桜が弱ったり枯れたりするのはある程度仕方ない部分もあるということを覚えておきましょう。
原因は一つとは限らない

桜の木が枯れる原因について、必ずしも原因が一つだけとは限りません。複数の原因が作用しあって枯らしてしまう可能性は大いにあります。
それ単体では大したことのないダメージでも、他の原因で弱っているところに受けると枯れる原因になることもあります。弱った木に狙って取り付く病害虫もいるので、環境要因などで弱ったところに病害虫が追い打ちをかける形で枯れてしまうということもあるでしょう。
枯れた原因を考える際には、様々な角度から考えることが大切です。
まとめ

桜の木が枯れてしまう原因は様々です。中には、枯れた原因が全くわからないということもあるでしょう。その中で枯れた原因について仮説を立て、それを取り除くようにしていけば、いつかは桜の木を枯らさずに育てられるようになるはずです。
そこまでの手間はかけられないという場合や、手入れする自信がないという場合には、Smileガーデンなどの業者に依頼してみても良いと思います。ぜひお気軽に相談してみてください。
愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。

