庭でレモンを収穫したくて育てていても、うまくいかないことは少なくありません。
花が咲いても実がならない、実が大きくならない、そもそも花が咲かないなど、様々な原因があります。
この記事では、それらの原因や育て方について解説していきます。
目次
レモンの木に実がならない3つの原因とは
レモンの木に実がならない原因にはいくつか考えられますが、植える場所や手入れの方法も含めた育て方に原因があることが多いです。
種から育てている場合では、まだ実をつける年齢になっていない可能性もありますが、育て方を間違えると実をつけるまでに普通より長い時間がかかってしまうこともあります。
レモンに実がならない原因を大きく3つに分けて紹介していきます。
①手入れの仕方
手入れの仕方が原因で、実がならなくなっているパターンです。
レモンは他の柑橘類に比べて隔年結果(実がなる年とならない年を繰り返す性質)が弱く、自家受粉も可能なため扱いやすそうにみえますが、手入れの仕方が悪いとかえって実がならない場合があります。
手入れの仕方が間違っていないか見直してみましょう。
剪定のしすぎ
剪定によって枝葉を落としすぎて、成長できていないなどの場合です。
レモンの木は芽生えてから3年くらいは実がならないといわれています。
しかし、若いうちから栄養器官である枝葉を剪定しすぎてしまうと、光合成する量が少なくなり、成長が遅くなることがあります。
また、花は新しく伸びた枝の先端部分に咲くことが多いです。
そのためこまめに剪定をしていると、大事な花芽を落としてしまって花が咲かないようになっている可能性があります。
少なくとも幼木のうちは剪定は控えめにして木を成長させ、大きくなってからも剪定は必要な分だけ行うことが大事です。
摘果をしていない
レモンの木は四季咲きで、何度もたくさん花を咲かせる性質があるため、普通に育てていると養分をたくさん使います。
そのため、花が咲いて受粉しても、栄養が足りなくなると上手に果実が太らないことがあります。
花は咲くけど実がならない・太らないという場合は、これが原因かもしれません。
花が咲いた後の未熟な果実の様子を見て、病気にかかっているものや傷ついているもの、なかなか太らないものは早いうちに摘果して、木が余計な栄養を使わないように気を払いましょう。
肥料のあげ方
レモンの木はたくさんの養分を必要とするので、肥料をたくさん与えるのが重要になります。
具体的にどれくらいあげるかというと、3月中旬、6月上旬、8月下旬、11月中旬を目安に年4回与えるのがおすすめです。
窒素、リン酸、カリの全て入っているものを与えるようにしましょう。
また、水やりも他の庭木よりも多めに行う必要があり、特に植え付け後1~2年くらいは冬も気を配って水を与えます。
②日当たり
日当たりが悪いと、レモンの成長も遅くなります。
特にレモンは日当たりの良い場所が好きな木なので、日陰に植えておくと、一般的に実がなり始める樹齢に達しても成長が追い付いておらず実がならないということになりかねません。
急に日当たりを良くすると葉っぱが枯れてしまう場合もあるので、環境を変える際は慎重になる必要はありますが、レモンの成長に適した日当たりかどうかはよく確認しておきましょう。
③病気や害虫の影響
レモンの木はそのまま育てると様々な病気にかかります。
病気により成長量が落ちるということもありますが、果実そのものが病気にかかる場合もあるので注意が必要です。
病気だけでなく、サビダニのような果実に影響を与える害虫もいます。
実が黒くなるというような場合は、病気や害虫の被害を疑った方が良いでしょう。
レモンの木の実らせ方
レモンの木に実がならない原因を解説してきましたが、それでは実をたくさんつけるためにはどうしたらよいでしょうか?育て方によって、レモンの木の成長や実のなり方は大きく変わってきます。
レモンの木がたくさん実るように、特徴や育て方を知っていきましょう。
レモンの木の育て方とは
レモンの木は、多肥多水栽培が基本となります。
庭木には根付いたら肥料も水やりも必要ないという木も多いですが、レモンで同じことをすると、枯れなかったとしても果実の収量は落ちるということがあるので注意しましょう。
水はけが良く、保水性のある肥沃な土に植え、3月中旬、6月上旬、8月下旬、11月中旬を目安に年4回の肥料を与えます。
また、寒さに弱いので、気温が‐3℃を下回るような地域では鉢植えで育て、冬は屋内に取り込むなどの管理を行います。
日当たりを好みますが風に弱いので、日当たりが良く風当たりが少ない場所を選んで植えましょう。
若木のうちにやっておく管理方法
レモンの木が若いうちに、樹形をつくっておくのがおすすめです。
樹形が横に開いて、日が全体によく当たるような形にすると実がなりやすく、管理もしやすくなります。
木が若いうちに主軸となる枝を3本決めて、上向きに伸びる枝を横倒しになるようにヒモで引っ張って固定し、そのまま育てて樹形を固定します。
普通に育てると上に伸びて大木になってしまいますが、この育て方をすることで収穫や摘果などの作業がしやすくなり、全体に光が当たるので育ちも良くなるというわけです。
また、レモンの枝にはトゲが生えますが、これは葉や果実を傷つける原因となり、作業もしづらいので適宜取ってしまいましょう。
レモンの木の実がなるまで何年掛かる?
種から育てる場合、条件にもよりますが3年ほどで実がなるようになるといわれています。
ミカンは四季咲き性で、春、夏、秋に花が咲きます。
実がなる時期は、初夏ごろからです。
実がなるまでの年数は日当たりや肥料の量などにも左右されるので一概には言えませんが、目安として覚えておきましょう。
レモンの木の寿命って?
レモンの木は、他の柑橘類に比べ樹勢が強く、枝が立ちやすい性質があります。
のびのび成長させたときの樹高は5mくらいです。
寿命がどれくらいかというのは、環境にもよるし、必ずしも寿命で枯れたとするのは難しいので一概には言えません。
しかし、100年以上生きることもあるといわれているので、大事に育てればあなたより長生きすることもあるでしょう。
枯れる事はあるの?
レモンの木も、様々な理由によって枯れることがあります。
寿命で死ぬことも当然可能性としてはありますが、弱った木には虫や菌が多くつくので、確実に老衰で枯れたと判断するのは難しいかもしれません。
普通に病虫害で枯れることもあるし、管理の過不足で枯らしてしまうことも考えられます。
基本的に「木は枯れるもの」と考えて育ててみてください。
レモンの木を育てる上での注意点
上記で解説したこと以外に、レモンの木を健全に育てるうえで気をつけることがあります。
レモンに限らずですが、果樹を育てる際には病害虫との闘いになることが多いです。
たくさん実をつけるために、病害虫と上手に向き合う力を身に着けてみましょう。
害虫に注意
レモンの木にはハダニやカイガラムシなどいくつかの害虫が発生します。
カイガラムシは発生初期ならブラシでこそぎ落としたりして防除できることもありますが、難しい場合は薬剤を使うのが無難です。
また、レモンの木にはアゲハチョウの幼虫が発生することもあります。
どんな昆虫図鑑にも載っているような有名な虫で、お子様の自由研究や自然体験に適してはいますが、見かけによらずたくさん葉っぱを食べてしまうので果実の収穫を優先したい場合は駆除してしまうのが良いでしょう。
また、ミカンサビダニの被害を受けると果実の色が黒くなってしまったり、アブラムシやカイガラムシを放置しておくとそこからすす病が発生し、果実にカビがついてしまったりと、せっかくできた果実がダメになってしまう可能性もあります。
害虫の発生に早期に気づけるようになるべく気を配っておくのが大切です。
病気に注意
レモンの木の病気には様々なものがあり、代表的なものだと果実が腐ったようになる褐色腐敗病、葉っぱや果実に斑点ができる黄斑病などがあります。
また、葉や果実にかさぶたのようなデコボコができるかいよう病という病気があります。
これは柑橘類の種類によって耐性が違うのですが、レモンは最弱クラスです。
傷口から感染することがあるので、薬剤での予防の他に枝のトゲと取り除くことや、風当たりを弱くするなどの対策が必要です。
褐色腐敗病は、冬の間は土の中で菌が越冬し、暖かい時期の雨水による跳ね返りで果実に感染します。
まず被害を受けた果実は早めに除去することと、跳ね返りを防ぐために湿度の高い場所では排水性を良くしたり、わらを敷いて跳ね返りを防ぐことなどが重要です。
黄斑病は木が弱ると発生しやすい病気なので肥料などで樹勢を旺盛にすることと、5~8月ごろ木をよく観察し、発病が確認できたらなるべく早く薬剤を使って防除します。
まとめ
レモンの木は管理方法や環境によっては実ができづらかったり、病気が発生したりします。
しっかり実をならせて収穫するには、こまめで適切な管理が重要です。
レモンの木にたくさん実をつけるために、育て方の参考にしてみてください。
愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。