世界三大香木の1つとして有名なクチナシの木。
芳醇な香りをお庭で気軽に楽しめたら素敵ですよね。
しかし、クチナシを庭に迎えるためには、育て方や植え方を知る必要があります。
お住いの土地の風土に合わせた植え方や管理の仕方をを知っておかないと、クチナシを元気に育てて末永く楽しむことも難しくなってしまいます。
そこでこの記事では、クチナシの育て方を隅々まで解説しています。
植え付けから剪定まで、初心者にもわかりやすいように紹介するので、ぜひ参考にしてください。
⇩管理に自信がないときは⇩
目次
育てる前に!まずはクチナシの基本情報を知ろう
分類 | 庭木-低木・下草 |
学名 | Gardenia jasminoides |
科・属名 | アカネ科 クチナシ属 |
草丈・樹高 | 1〜2m |
栽培可能地域 | 関東以西 |
花色 | 白 |
開花期 | 6月〜7月 |
結実期 | 10月〜11月 |
耐暑性/耐寒性 | 強い/やや弱い |
クチナシは日本を含むアジア圏が原産の常緑低木です。
6月の梅雨どきから香り豊かで純白の美しい花を咲かせるため、日本では古くから庭木として愛されてきました。
花は一重咲きと八重咲きの種類があり、特に八重咲きの品種はバラのような美しさが大変魅力的です。
樹高はそれほど大きくならないので地植えでも管理がしやすく、鉢植え栽培も可能。
また、暑さには強い性質を持つものの寒さにはやや弱い傾向があります。
地植えする場合は冬場の積雪や凍結には注意し、寒い地域では鉢植え栽培にしてあたたかい場所で冬越しをさせるといいでしょう。
⇩クチナシの育て方や特徴についてはこちら⇩
クチナシの育て方は3種類ある
クチナシには、種・挿し木・苗木の3種類の育て方があります。
それぞれの育て方を知り自分に合うクチナシの栽培方法を見つけましょう。
種から育てる
クチナシは種から育てることができます。
種まきのやり方は以下の通りです。
発芽するまではある程度の日数を必要とするので、どきどき水やりをしながら気長に待ちましょう。
ただしクチナシを種から育てるのはとても難しく、種子が発芽しなかったりカビが生えたりしてしまうことも多いです。
発芽したとしても、大きくなる前に枯れてしまうことも少なくありません。
種から育てる場合は、成功率が低くなることを理解した上でクチナシを育ててください。
挿し木で育てる
クチナシは挿し木で育てることも可能です。
挿し木はすでにクチナシを育てている人におすすめの育て方で、クチナシの木を増やしたいときにも非常に有効的な栽培方法となります。
では実際にどのような流れで挿し木をしていくのか見ていきましょう。
発根するまでは日陰〜半日陰の場所に置き、土が乾かないように水やりをして管理します。
1ヶ月ほど経過し、発根が確認できたら鉢上げを行ってください。
クチナシの挿し木におすすめの時期は6月〜7月ごろ。
適した時期に、挿し木でクチナシを育ててみてはいかがでしょうか?
苗木から育てる
クチナシを初めて育てるときは、苗木を購入して育てる方法が一般的。
ある程度大きく育ったものを庭に植え付けるだけなので根の活着が早く、すくすくと成長してくれます。
美しい花をいち早く鑑賞できることもメリットです。
苗木からだと育てやすい
ガーデニング初心者やクチナシを初めて育てる人は、苗木から育てる方法がもっともおすすめです。
種まきや挿し木は発芽から発根するまでの手間と時間がかかりますが、苗木ならすぐに庭へ植えられるので、気軽に育てることができます。
特に種まきと挿し木は水やりや日当たりといった日常の管理が難しく、初心者は戸惑うことも多いでしょう。
失敗を防ぐためにも、クチナシを初めて育てる人は苗木から育てることをおすすめします。
苗木から育てるときの手順徹底解説!
ここからは、苗木から育てるときの手順を紹介していきます。
育て方がわからない人は、ぜひ参考にしてくださいね。
手順1:まずは苗木を購入する
クチナシを育てるには、まずは苗木を手に入れてください。
クチナシは人気の高い庭木なので、近くの園芸ショップや植木屋、ホームセンターなどで苗木を入手できます。
万が一苗木がなかった場合には、オンラインショップを利用することで確実に入手することが可能です。
実際の店舗で購入する場合は、苗木を隅々まで確認し良し悪しを判断してから購入します。
いい苗を見分けるポイントは以下の4つです。
以上4つの条件を満たしている苗木を選ぶとよいでしょう。
これらのポイントを押さえつつ、病害虫の被害がなく健康的な苗木を選ぶと失敗がありません。
手順2:クチナシの好む生育環境を元に植える場所を決める
クチナシは本州の静岡県以西や四国、九州、沖縄などに自生する樹木で、温暖な気候を好みます。
これらの暖かい地域では、地植えで育てるといいでしょう。
クチナシは日当たりのいい場所を好むため、1日を通してよく日の当たる場所に植えると花付きがよくなります。
ただし強い西日は嫌うので、西日を避けられるような場所に植え付けるのがベスト。
耐陰性もあるため、半日陰の植栽にもおすすめです。
一方で寒さを苦手とするため、霜や積雪のある場所や寒風が強く吹き付けるような場所での栽培は好ましくありません。
寒い地域では室内で冬越しをする必要があることから、鉢植えで育てるのがおすすめです。
鉢植え栽培は、夏場を除いて日当たりのいい場所で育てます。
夏は強い直射日光を防ぐために、半日陰に置いて管理すると葉焼けや乾燥を防げるはずです。
冬は室内に取り込むか、寒風の当たらない軒下で管理します。
マルチングなどをしておくと、なおいいでしょう。
⇩自分の庭に植えたクチナシの植え方が正しいか迷ったときは⇩
手順3:クチナシを育てるのに適した土づくり
クチナシはやや湿り気のある腐植質の土が適しています。
加えてpH5.5〜6.5の酸性土壌を好むため、酸度がどちらかに偏っている場合には土の酸性度調節も必要です。
したがって、まずはクチナシを植える場所の土壌酸度からチェックしていきましょう。
土壌酸度計は土に挿すだけで簡単に測定できるため、1つ購入しておくととても便利です。
調整リトマス試験紙でも計測可能なので、どちらかを入手しておきましょう。
リトマス試験紙を使った土壌酸度の調べ方
リトマス試験紙を使って調べる場合は、土を少量採取し水の入った容器に土を入れてかき混ぜます。
しばらくすると土が沈殿してくるので、水の層にリトマス試験紙を入れて土壌酸度を計測してください。
土壌酸度の調整方法
極端に酸性へ偏っている場合には、苦土石灰もしくは消石灰を使って酸度を調節します。
消石灰は反応が強いため、2週間ほどの間隔を空けてから苗木を植え付けるように注意しまてください。
反対に、中性からアルカリ性の土壌では、酸度未調整のピートモスを加えます。
酸度調節を済ませたら、黒土や腐葉土、完熟堆肥などを加えてよく混ぜ込みます。
鉢植え用の土は赤玉土6〜7対腐葉土4〜3の割合でブレンドするか、市販の培養土を使用してください。
⇩土壌改良を自分で行うのが難しいときは⇩
手順4:クチナシを植える
それではいよいよ、クチナシの苗木を植えていきます。
地植えと鉢植えの植え方をそれぞれ解説していくので、手順やコツなどをしっかり覚えていきましょう。
地植えの場合
クチナシの植え付けに適した時期は3月〜4月です。
地植え・鉢植えともに、この時期に植え付けをすると失敗が少ないでしょう。
まずは、地植えするところに植え穴を掘ります。
深さは根の大きさに対して2倍、または50cmほどの深さの穴を掘ってください。
このとき石や雑草の根、害虫などを発見した場合には、必ず取り除いておきましょう。
次に、苗木の根を軽く崩していきます。
ポットや鉢などから苗木を取り出し、細根が少ない場合にはそのまま植え付けてOK。
根鉢が固まっている場合には、根を優しくほぐしていきます。
ただし、適期以外に苗木を植え付ける場合には、ダメージやストレスを軽減するために根を崩さずにそのままの状態で植えてください。
根についた土が崩れないように布と荒縄で根っこ部分が巻いてある根巻き苗の場合は根を崩す必要がないため、そのままで問題ありません。
苗木の準備ができたら、植え穴に植え付けていきます。
このときしっかりと根っこまで酸素が行きわたらせるため、深く植え過ぎないように土で高さを調節しながら植え付けることが大切なポイントです。
続いて、苗木の周りに土を入れて埋めていきます。
棒を挿し込んで揺すっていくと、隙間にもしっかり土が入るでしょう。
株元を軽く足で踏み固めたら、植え穴の周囲に丸く溝を作ってウォータースペースを確保します。
最後に水をたっぷり与えたら、地植えの完了です。
鉢植えの場合
鉢植えで育てる場合は、クチナシの苗木に対して一回りほど大きいサイズの鉢を用意しておきます。
また地植えのときと同様に、根鉢が固まっている苗木については軽く根をほぐしておいてください。
新しい鉢には、排水性がよくなるように鉢底石を敷いて置きます。
その上に鉢植え用の土を約1/3ほど入れて準備完了です。
次に、新しい鉢へ苗木を植えていきましょう。
鉢植えの場合は水やりがしやすいように、鉢の縁から約3cmほどのウォータースペースを確保することがポイントです。
また、このときも深く植え過ぎないように注意しつつ、土で高さを調節しながら植え付けてください。土を入れたあとは、棒を挿して軽く揺すり、隙間にもしっかり土を入れていきます。
苗木の植え付けができたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと水を与えて終了です。
また、鉢植えは地植えと比べると土がすぐに乾燥してしまいます。
クチナシは乾燥に弱い傾向にあるので、土の表面にウッドチップやバークチップなどのマルチング資材を敷いておくと過度な乾燥を防げるはずです。
手順5:肥料を与える
肥料は2月〜3月に寒肥と、開花後の7月にお礼肥を与えましょう。
寒肥とは春からの成長を促す役割がある肥料で、花や葉などを充実させる効果が期待できるものです。
一方、お礼肥は花の開花後や果実を収穫し終えたあとに与える肥料のことで、養分を失い疲れた株を回復させる効果があるとされています。
そのため、寒肥として与える肥料には、ゆっくり効果が長続きする緩効性化成肥料や有機質肥料がおすすめ。
お礼肥にはすばやく効果が現れる速効性の化成肥料を与えるといいでしょう。
寒肥に有機質肥料を与える場合は、根の先端部分に肥料が触れるように与えるのがコツです。
枝先の下を目安に、約20cmほどの穴を掘って有機質肥料を入れてから土をかぶせます。
化成肥料の場合は、枝先の下の位置を目安に土の上へばら撒いてください。
また、肥料を与え過ぎると苗木が肥料焼けを起こすケースもあります。
肥料焼けするとクチナシの成長を妨げてしまうので、規定量を守ることが大切です。
さらに、夏以降の追肥は花芽が少なくなり枝数ばかりが増えてしまうため、与える時期もきちんと守りましょう。
手順6:水やりをする
地植えしたばかりの苗木はまだ根付いていないため、水を吸い上げる力が弱い状態です。
そのため、植え付けてから約半年〜1年は、地面の乾き具合を見ながら水やりを行ってください。
約1年ほど経過すればしっかりと根付いているため、降雨のみで問題ありません。
ただし、夏に日照りが続くような場合には適宜水を与えましょう。
地植えの水やりの仕方は、土の表面が白く乾いたタイミングでたっぷりと水を与えます。
土の中まで水が浸透していくように、少しずつ水を与えるのがコツです。
鉢植え栽培でも、土の表面が白っぽく乾いたタイミングで水やりをします。
このとき、鉢底から水が流れ出るまでしっかりと与えましょう。
また、夏は水分が蒸発しやすく、1日1回の水やりでは水切れを起こすことも少なくありません。
クチナシは乾燥が苦手なので、夏は朝と夕方の涼しい時間帯に1日2回水やりをするのがおすすめです。
クチナシを元気に育てるための剪定とは
続いて、クチナシを元気に育てるための剪定方法を解説していきます。
7月までに剪定を終えるのがベスト
花木は花芽ができる時期がそれぞれ決まっています。
クチナシの花芽は、花が咲き終わったあとすぐに枝の先端部分へと作られます。
そのため、夏以降にクチナシの剪定を行うと花芽を切り落とし、翌年の花数が減る原因になってしまうのです。
クチナシは花を楽しむ樹木のため、せっかくの花芽を切り落としてしまうのはもったいないですよね。だからこそ、クチナシの剪定は5月〜7月までに終わらせるのがベストです。
安易に剪定を行うと気づかないうちに花芽を落としているケースもあるので、十分注意しましょう。
また、クチナシは株立ち状に育つ樹木であり、放任しておくと枝数がどんどん増えて全体が混み合ってしまいます。
枝が混み合うと風通しが悪くなるのに加え、病害虫が発生する原因に。
庭という限られた空間の中でクチナシを元気に育てるためにも、毎年の剪定は欠かさずに行いましょう。
花を楽しむなら「間引き剪定」をしよう
クチナシは日当たりのいい場所を好むので、枝葉が密生しているところでは風通しが悪くなるのと同時に日光が全体に行き渡らなくなります。
そうなると日照不足に陥って花芽が作られなくなり、花数が減る原因となってしまうのです。
また、いい花は太い枝へ付くもの。
細く貧弱な枝には花が付きにくく余計に養分を取られてしまうので、不要な枝を刈り取る必要もあります。
そこで、必要となる作業が間引き剪定です。
間引き剪定とは、不要な枝を付け根から切り取り枝数を少なくして適度に間引くことを言います。
間引き剪定をして適度に枝を間引くことで、風通しや日当たりを改善することが可能。
それに加えて、不要な枝を切り落として養分を余計に取られてしまうのを防ぐ役割もあります。
花をたくさん咲かせたいのであれば必要不可欠な作業なので、枝葉が密生してきたら必ず間引き剪定を行いましょう。
大きくなりすぎた木を小さくしたい時は「強剪定」を
強剪定は、大きく成長したり樹形がひどく乱れたりした庭木をコンパクトに切り詰める剪定方法です。
数年に1度は必要になる作業ですが、強剪定は庭木に過度なストレスやダメージを与えることから、おこなうことで翌年の花付きが悪くなったり、場合によってはそのまま枯れてしまったりするデメリットもあります。
強剪定を行う場合は、必ずデメリットやリスクを理解したうえで、剪定時期をきちんと守り、正しいやり方で剪定を行いましょう。
とはいえ、クチナシは生垣にも利用されるほど萌芽力があり強い刈り込みに耐えるため、強剪定をおこなうことによるデメリットを過度に心配する必要はありません。
なお、クチナシの剪定方法は、下記の記事で詳しく解説しています。
上手に剪定するコツや具体的な剪定方法を紹介しているので、こちらもぜひチェックしてくださいね。
「クチナシ 剪定」記事リンク挿入
クチナシに被害を与える病害虫とそれぞれの対策
クチナシを育てていると、ときおり病害虫の被害に悩まされることもあります。
被害を与える病害虫とそれぞれの対策方法をまとめたので、こちらもぜひ参考にしてください。
クチナシがかかりやすい病気
クチナシは褐色円星病、さび病、裏黒点円星病、すす病などの病気が発生するリスクがあります。予防策と処置の仕方を解説するので、発生した場合は早期に対策を行いましょう。
褐色円星病の症状と対策
クチナシの葉に淡褐色〜褐色の小さな斑点ができた場合は、褐色円星病(かっしょくまるほしびょう)を発症している可能性があります。
褐色円星病はカビの一種で、発症しやすい時期は7月〜9月ごろ。
はじめのうちは5mm前後の斑点が生じ、周囲の斑点とくっついて少しずつ拡大していきます。
やがて、多くの葉が落葉し、最悪の場合はクチナシが枯死することもあるので注意が必要です。
症状が出てしまったら、感染した葉を早期に摘み取ることが大切。
落葉した葉からも感染していくので、全て取り除いたあときちんと処分することもポイントです。
また、褐色円星病は雨によってほかの葉へ感染していくことから、鉢植えは雨除けに軒下へ移動しておくといいでしょう。
なお、クチナシは高温多湿の環境や多湿によって、褐色円星病にかかりやすくなります。
有効な防除方法は、あらかじめ薬剤を散布しておくことです。
加えて間引き剪定を行って風通しをよくしたり過度な水やりを防いだりして、多湿を防ぐことも重要でしょう。
さび病の症状と対策
さび病も褐色円星病と同じく、カビの一種です。
発症しやすい時期は5月〜7月ごろで、発症するとクチナシの葉に細かな褐色の斑点が現れます。
葉の裏側にはさびのようにも見える黄色の粉状のものが付着することから、景観を著しく妨げてしまうのが難点です。
発症した葉をそのまま放置した場合は、徐にほかの葉へと感染が拡大していきます。
すると葉の多くが粉状のもので覆われてしまうため、葉の蒸散や光合成に支障をきたし生育が悪くなったり弱ったりしてしまうのです。
枯れるリスクは低い病気ですが、美観をひどく損ねるのに加え成長にも影響を与えることからさび病を発症した場合は早めに対処しましょう。
発症した場合の対策方法は、該当の葉を摘み取り落葉した葉も全て取り除きます。
次にさび病に効果的な薬剤を散布して、ほかの葉への拡大を防いでください。
さび病が発生しやすい条件として、クチナシが弱っている状態のときや多湿のときがあげられます。
そのためクチナシが肥料不足にならないように追肥をしっかりと与えて、健康的な状態をキープすることが大切です。
剪定で風通しをよくし、カビの発生を抑制しましょう。
黒星病(黒点病)の症状と対策
クチナシはカビによって、黒星病(黒点病)を引き起こすことがあります。
症状は、葉に黒い斑点が現れるのが特徴。
やがて範囲が広がっていき、葉が黄色くなって枯れ落ちてしまいます。
被害が大きくなると、全ての葉が落葉してしまうため、場合によっては枯死することもある病気です。
黒星病(黒点病)は多湿の環境で発生しやすい病気なので、5月〜7月と9月〜11月に雨が続くようなときは注意します。
感染拡大を防ぐために症状が出た葉は全て摘み取り、枯れ落ちた葉なども必ず取り除いてください。
感染初期の段階なら、黒星病の治療薬を散布すると拡大を防げます。
有効な防除方法は、定期的に殺菌剤を散布すること。
鉢植え栽培であれば雨の当たらない軒下で育てたり、水やりによる泥と水のはね返りを防ぐためマルチングで土の表面を覆ったりする方法もおすすめです。
また、黒星病は一度感染すると完全に治るまでに時間がかかります。
早期発見できるように、日頃から葉の様子をチェックすることが大切。
発症してしまった場合には、根気強く病気に向き合っていきましょう。
すす病の症状と対策
すす病は、葉の表面に黒いすすのようなカビが発生する病気です。
発症しやすい時期は、アブラムシやカイガラムシなどが多くなる春から夏にかけて。
アブラムシやカイガラムシなどの害虫の排泄物が発生源となるケースが多く、ベタつく排泄物に黒いすすのようなカビが付着することで感染していきます。
葉が黒いカビに覆われてしまうと、光合成や蒸散がうまく行われず、生育が悪くなるなどの症状が出てくるのです。
主な対処方法は、すす病の根本的な原因となるアブラムシやカイガラムシをすぐに駆除すること。
大量に発生するとその分排泄物も多くなり、すす病をさらに拡大してしまう事態にもなりかねません。
万が一、害虫が大量に発生してしまった際には、薬剤を散布して駆除するといいでしょう。
また、すす病が発生した葉などはこすり落として水洗いをしたり、抜き取ったりすることで大部分を落とすことができます。
効果的な防除方法は、害虫の発生を防ぐこと。
害虫の数が少ないうちに殺虫剤を散布する、もしくは浸透性殺虫剤などをあらかじめまいておくことをおすすめします。
クチナシにつきやすい虫
クチナシにつきやすい虫には以下の通りです。
続いて、それぞれの害虫の予防策や処置の仕方を紹介していきます。
オオスカシバ
オオスカシバは、クチナシの葉を好んで食べる大きな蛾の幼虫です。
体は緑色または褐色で、お尻の方にはツノのようなものが付いています。
人体には無害な生き物なので、素手で触ってしまった場合も問題はありません。
しかしオオスカシバは食欲が旺盛で、そのまま放置しておくとクチナシの葉をたちまち丸坊主にしてしまうこともある厄介な害虫です。
発生しやすい時期は6月〜9月ごろ。
この時期にクチナシの葉が何かに食べられていたり樹木の下に糞が落ちたりしているときは、高い確率でオオスカシバなどの害虫が潜んでいます。
このような変化が見られた場合には、隅々まで確認して害虫を見つけ出し早期に駆除することが必要です。
オオスカシバは薬剤を使って駆除することもできますが、捕殺する方法が一般的です。
比較的大きな幼虫なので、割り箸などを使って捕まえるといいでしょう。
また、日頃からクチナシの葉の裏側までチェックしておくと産みつけられたオオスカシバなどの卵を発見できるため、被害を防ぐことができるはずです。
ワタフキカイガラムシ
ワタフキカイガラムシは、イセリアカイガラムシとも呼ばれるカイガラムシの一種です。
発生する時期は年に2〜3回ほどで、6月〜10月ごろの繁殖シーズンが多くなります。
体は白い毛のようなもので覆われているのが特徴で、雌の成虫は4〜6mmほどになる大型になり柑橘類の栽培では大きな影響を与えることでも知られています。
特にワタフキカイガラムシが大量発生した場合の被害は甚大で、クチナシの養分を多く吸汁し樹勢を著しく衰えさせてしまうのが厄介なところ。
さらに排泄物がすす病を誘発するので、数が少ないうちに駆除することがポイントです。
防除方法は、発生しやすい時期に殺虫剤を散布しておくこと。
また、枝葉が密生しているとワタフキカイガラムシの温床となってしまうので、定期的な剪定も欠かせません。
発生してしまった場合には、薬剤を散布したりブラシなどでこそぎ落としたりして駆除します。
また、ワタフキカイガラムシの天敵であるベダリアテントウムシを見つけて駆除してもらう方法も効果的です。
アオバハゴロモ
アオバハゴロモは1年に1回、5月〜9月ごろの時期に発生する吸汁性害虫です。
成虫は淡い青緑色の美しい体が特徴。鑑賞価値を下げることはありませんが、やはり成虫もクチナシの養分を吸汁してしまうので、数が増えてきた場合には駆除を検討しましょう。
幼虫、成虫ともにクチナシの養分を吸汁しますが、数が少ない場合はあまり影響が見られません。
しかし、大量に発生してしまった場合には被害も大きくなるため、クチナシの生育が悪くなってしまいます。
また、アオバハゴロモの幼虫は白い線状の分泌物を身にまとっており、クチナシの枝や葉を白く汚すことから景観を損ねる原因にもなります。
アオバハゴロモは毎年同じ箇所に発生しやすく、風通しの悪いところや混み合っている枝などに寄生することが多いです。
数が多く発生した場合には、殺虫剤を散布して駆除します。
アオバハゴロモの防除は、風通しをよくするため間引き剪定を行うことがポイントです。
あらかじめ薬剤を散布しておくと、簡単に防除ができるでしょう。
ツノロウムシ
カイガラムシの仲間であるツノロウムシも、クチナシの養分を吸汁する害虫です。
体長は1cm未満とやや大きく、ロウのような物質に体が覆われているのが特徴です。
ツノロウムシは5月〜6月に産卵して孵化します。
発生する時期は年1回ほどで、幼虫の被害がのはのは6月〜7月ごろ。
クチナシ以外にもさまざまな樹木に寄生します。
ツノロウムシが繁殖して数が増えていくと、クチナシの鑑賞価値が下がるのに加え吸汁被害により生育がひどく衰えていきます。
最悪の場合吸汁被害によってクチナシが枯死することもあるので、ツノロウムシの早期の発見と駆除が必要です。
また、ツノロウムシの排泄物からすす病が発症するケースもあるので、見かけた場合早めに駆除してしまいましょう。
幸いにも、体が白いことから発見しやすいので、見つけたらすぐにブラシやヘラなどを使ってこそぎ落としてください。
ツノロウムシの被害を食い止めるには、6月〜7月の幼虫が発生するタイミングで薬剤を散布しておくとよいでしょう。
成虫になると薬剤が効きにくくなり駆除に苦労するため、幼虫の段階で薬剤を散布するように心がけてください。
ポイントさえ押さえればクチナシを育てるのは難しくない
クチナシは環境さえ整えれば、育てやすい庭木です。
クチナシの育て方で、押さえておくべきポイントをリストにまとめました。
まず夏の強い日差しは避けること、そして霜が降りるような地域では寒さ対策が必要です。
毎年の剪定で枝数を減らすと、花数が増えるだけでなく病害虫対策にも効果を発揮します。
また、花芽を落とさないように8月以降の剪定と過度な乾燥はNGです。
これらの要点をしっかり覚えて適切に管理すれば、クチナシを育てるのはそこまで難しくないでしょう。
まとめ
クチナシの育て方について詳しく解説しました。
これから初めてクチナシを育てる人も、植え方や管理方法や病害虫の対処方法などが分かれば安心して育てることができますね。
とはいえ、「植える時間がなかなか取れない」「剪定に不安がある」など、まだまだクチナシの育て方や日々の管理に負担を感じてしまう人もいるでしょう。
自分で植えたり剪定したりするのが難しいなら、プロに作業を依頼してみるのもおすすめです。
弊社「smileガーデン」では、庭木の植栽や剪定を含め園芸に関するさまざまなサービスを提供しています。
苗木の選び方から土の作り方、日々の剪定や害虫消毒まで、一貫して作業をご依頼いただくことが可能です。
現地調査と見積もりは無料ですので、まずはお気軽にご相談から初めていただけますよ。
提案内容や金額に納得いかなかった場合は、見積もり後のキャンセルもOKです。
一度、相談してみることをおすすめします。
愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。