「一緒に休みましょう」の花言葉をもつコーヒーノキは、1年中緑鮮やかな葉が鑑賞でき、梅雨の時期に咲く白い花と赤い実がキュートで人気の観葉植物。
コーヒーノキの花・実・葉の特徴、育て方、適切な剪定の時期や方法、植え方など、たっぷりと紹介します!
基本データ
- 分類
- 果樹
- 学名
- Coffea
- 科・属名
- アカネ科コーヒーノキ属
- 草丈・樹高
- 5〜200cm
- 栽培可能地域
- 全国(室内のみ)
- 花色
- 白
- 開花期
- 5〜6月
- 結実期
- 9〜4月
- 耐暑性 / 耐寒性
- 強い/弱い
コーヒーの花・実・葉の特徴と花言葉、挿し木の仕方
コーヒーノキは、冬に葉を一斉に落とさない常緑性低木。
エチオピアやコロンビア、ベトナムなど、アフリカ・南米・東南アジアの赤道付近に自生しているため、暑さに強く寒さには極端に弱い特徴があります。
そのため、四季がある日本では冬越しがしにくく、庭木として育てるのは難しいです。
室内の観葉植物として育てるようにしましょう。
爽やかな甘い香りのするコーヒーノキの花と花言葉
5〜6月の梅雨の時期を迎えると、葉の付け根から5枚の花びらをもったジャスミンのような白い花が、枝に沿って2列で一直線上に咲くコーヒーノキ。
石けんとシトラスの香り混ぜたような、爽やかで甘い香りを放ちます。
花は2日ほど経つと枯れてしまいます。
コーヒーノキの花言葉
コーヒーノキの花言葉は「一緒に休みましょう」です。
コーヒーノキの実・種(豆)・葉の特徴
コーヒーノキの実と種(豆)
3〜5年程度生長したコーヒーノキは、梅雨の時期に花が咲いたあと、晩夏から翌年の春ごろにかけて楕円形(だえんけい)の実が付きます。
3〜4月ごろに赤く熟したあとに自然に落下し、収穫期を迎えます。
熟した実の中には、コーヒーの豆が2粒入っていますが、実が熟すまでは10ヶ月ほどと長くかかり、未熟のままではコーヒーの豆は利用できず、発芽もしにくいといわれることも。
コーヒーノキの葉
コーヒーノキは葉軸から、垂れるように先のとがったシワのある濃緑の葉を出します。
生長すると長さは、20〜30cm程度まで大きくなる場合も。
日向で十分に光を浴びて育ったコーヒーノキは、つやのある美しい葉になります。
コーヒーノキの生長スピード・寿命・樹高・苗木の価格
コーヒーノキは温暖な地域では比較的生長スピードが早く、根付くと幹や枝葉がより早く伸びます。
しかし低木のため鉢植えで育てる分には、大きくなっても樹高は2mほど。
剪定(せんてい)や病害虫対策など、きちんと手入れされた株であれば、コーヒーノキの寿命は100年以上もあるといわれているので、長きにわたって観葉植物として共に過ごせますね。
苗木の価格は、大きさや品種によって違いますが、樹高が30cm(3号鉢)ほどで、980円程度から販売しているところが多いようです。
挿し木で増やそう!コーヒーノキの増やし方
クワを増やしたいときは、枝の一部を切り取って「挿し木」をつくりましょう!
コーヒーノキの挿し木づくりに最適な時期
コーヒーノキの挿し木は剪定で切った枝を使い、5〜8月ごろにつくります。
寒い時期では生長が鈍くなるため、発根しにくいです。
コーヒーノキの挿し木の手順
Step1. コーヒーノキの新しい枝を、先端から数えて4〜6節目でカット。
先端のやわらかい部分もカットします(5〜15cmほどの長さ)。
これを「挿し穂」といいます。
Step2. 挿し穂の上部に付いた葉を1/3程度(2〜4枚)ほど残し、下部の葉や枝は全て摘取り除きます。
Step3. 小さめのコップや花瓶に入れた水か、水はけの良い土が入ったビニールポットなどに挿して、涼しい日陰で管理しましょう。
2〜3カ月で根が出ます。
3つのタイプ!コーヒーノキ種類
コーヒーノキは、品種改良されたものも含めると、現在は世界に約3,000〜6,000種類の品種があるといわれているようです。
しかし、実際には農家さんでも厳密な数はわからないようです。
コーヒーの種類は主に3つ!
さまざまな品種があるといわれているコーヒーノキ。
一般的にコーヒーノキ属に分類されるコーヒーノキには、アラビカ種・ロブスタ(カネフォラ)種・リベリカ種の3つが原種とされています。
アラビカ種
主にアフリカのエチオピアを原産とし、生産量の6割をしめるアラビカ種。
風味が味わいが豊かで、コーヒー豆の中で最も高品質といわれています。
しかし栽培が難しく、生産されている場所でも「さび病」による被害が多いようです。
ロブスタ(カネフォラ)種
ロブスタ種はコンゴを原産とし、酸味や苦味が強いコーヒーで、アラビカ種の次に生産量を誇るポピュラーな品種。
缶コーヒーやインスタントコーヒーで使われるコーヒー豆として、親しまれています。
リベリカ種
アフリカのリベリアを原産とするリベリカ種は、一部の地域でしか栽培ができないため収穫量が最も少なく、「幻のコーヒー」といわれる品種です。
強い香りと酸味で、まろやかな苦味が持ち味で、風味のバランスの取れたコーヒーになるようです。
コーヒーノキ(コーヒーの木)の育て方・管理方法
植え付け・植え替え
有機質たっぷりで排水性・通気性のある土に
花や実をたくさん付けるコーヒーノキは、有機質がたっぷりと入った土づくりが大切。
ただし、水はけが悪くて硬い土では根腐れが起こりやすく、枯れてしまうことも。
植え付ける前には、腐葉土、赤玉土、またはバーミキュライトを混ぜて、排水性・通気性の良い用土をつくりましょう。
用土の混合率は、腐葉土:赤玉土(バーミキュライト)が3:7になるようにして、ダマにならないようしっかりと混ぜ合わせてくださいね!
コーヒーノキの鉢植えの植えは、2年に1度
無数の細い根がたくさん伸びるコーヒーノキは、鉢植えで育てている場合は、2年に1回のペースで植え替えをします。
ただし、根鉢がパンパンになると根詰まりを起こし、葉がしおれて枯れたり、株が枯れてしまう場合も。
鉢底や土の表面から根が出ているときにも、一回り大きい植木鉢に植え替えましょう!
コーヒーノキの適切な植え替えの時期
コーヒーノキの植え替えの最適な時期は、気温が高くなる5〜8月ごろがベスト。
寒さにはとても弱い樹木なので、気温が低くい秋から春の間に植え替えをしてしまうと、株が寒さに当たって枯れてしまうこともあるので避けるようにしてくださいね。
コーヒーノキの植え付けの手順
Step1. コーヒーノキを鉢植えから抜く
コーヒーノキの鉢植えを植え替えるときは、根鉢を崩さず、やさしく扱いましょう。
根鉢が抜けない場合は無理に引っ張らず、鉢をほぐしたり、鉢底を手で下から叩いたりして慎重に抜きます。
Step2. 根鉢の高さを調節しながら、コーヒーノキを植え付ける
一回り大きい鉢に元肥をあらかじめ混ぜた用土を薄く敷きます。
コーヒーノキの根鉢の高さを調整しながら、用土を足し入れましょう。
鉢の縁から土の表面までの間に、3〜5cm程度のウォータースペース(水がたまるスペース)を設けると、水やりをしたときに水があふれにくいです。
Step3. 手でしっかりと固定させて、水をたっぷりとかける
指先で土を軽く押したり、手のひらで根鉢を軽く押したりしてコーヒーノキを地面に固定します。
最後に土と根が定着するように、水をたっぷりとかけましょう。
肥料
幹や枝葉がぐんぐんと伸びるコーヒーノキは、定期的な肥料が欠かせません。
植え付けるときに元肥を、開花前の3月に追肥を、花が咲き終わった6〜7月にお礼肥を、実が付きはじめる9月にお礼肥をを与えます。
花芽や実の付きが良くなるように、リン酸(P)が多めに入った緩行性化成肥料か、窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)のバランスが取れた緩効性化成肥料かを与えるのがおすすめです!
剪定
コーヒーノキは、幹から1本の長い枝葉を無数に伸ばすため、年に1回のペースで剪定をします。
剪定は、枝葉の数を間引いて減らす程度で切り、日当たりと風通しが良くなるようにすることがポイント。
枝葉を切り過ぎてしまうと、不自然な樹形になりやすく、見た目の悪い姿になってしまうので注意してくださいね!
コーヒーノキの適切な剪定時期|4月中旬〜5月中旬
コーヒーノキの剪定は、実を収穫したあとの4月中旬〜5月中旬にします。
6月以降に枝葉を切ってしまうと、花芽がどこに付いているのかわかりにくく、切り落としてしまう場合も。
また8月の真夏は、切り口から水分が抜けやすく、枝葉が枯れてしまうこともあるので、できるだけその時期の剪定は避けてくださいね!
コーヒーノキの剪定の手順
Step1.
コーヒーノキの樹高が高くなり過ぎてしまった場合は、中心の太い幹を枝分かれした箇所で切り落とす「芯止め」をします。
好みの高さの位置にある節目から、数ミリ上を切り戻しましょう。
Step2. 幹の胴回りに生える枝葉を切り落とす
幹の根元付近や胴回りから生える枝葉は、地面から20〜30cm程度間隔があくように、付け根から全て切り落としましょう。
放置していると生育を悪くさせたり、見た目がこんもりとした悪い姿になりやすいのです。
Step3. 新芽を付け根から6〜8節目の箇所で切り落とす
幹から長く伸びる枝葉の数が多いと、コーヒーノキの実が大きくならなかったり、病害虫の被害にあいやすくなったりします。
株の内側に日光と風が通るように、枝葉を幹の付け根から切り戻し剪定しましょう。
一本だけ長く伸び過ぎているものや、枝葉が並行に同じ方へ伸びている不要な枝を間引きます。
ツリー状になるようにイメージしながら、全体のバランスを整えてくださいね!
病害虫
病気
・さび病
コーヒーノキは、風で飛んできた菌が葉に付着したことによってさび病が発症しやすいです。
葉の表や裏に、黄色や茶色の斑点模様が現れ、次第に全体に広がって葉が枯れてしまいます。
日当たりや風通しが悪かったり、肥料を与え過ぎたりすると菌が繁殖しやすいです。
できるだけ、日陰過ぎない場所で管理し、2ヶ月に1回程度のペースで肥料を与えましょう。
害虫
・アブラムシ
・カイガラムシ
コーヒーノキを日当たりや風通しが悪い場所で育てていると、梅雨の時期や乾燥した秋ごろにはアブラムシやカイガラムシといった害虫が発生しやすいです。
また害虫の排せつ物によって菌やウイルスが繁殖し、すすびょうなどの病気にかかる場合もあるので注意しましょう。
日当たり
コーヒーノキは、春から夏の間にしっかり陽の光が当たるような暖かい半日陰で管理すると、元気に生長します。
日陰過ぎると枝葉がひょろひょろとした姿になり、花や実の付きが悪くなるほか、葉が落ちる場合も。
西日が強く当たってしまうと葉焼けを起こしやすいので、北東や東南の方角に置くのが最適です!
水やり
鉢植えで育てるコーヒーノキは、基本的には土の表面が乾いたら水をたっぷりと与えます。
冬は生育の活動が落ち着くため、土を乾燥気味にして管理します。
春と秋は月に3〜4回、夏は月に4〜5回、冬は月に1〜2回のペースで水やりをするのが適切です。
愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。
リゾートガーデンスタイル専属の庭師×Webコンテンツクリエイター。 カナダのトロントで造園士を、その後日本で花屋のバイヤー・鉢物の管理・アドバイザーを経験した後、ヤシの木を主体とするリゾート・ドライガーデンの造園士に。 現在は、リゾートガーデンスタイルの社会福祉施設・DOG CAFEの専属庭師に加え、畑の開拓・管理、SNSも兼務。 植物を専門とするWebコンテンツクリエイター、ガーデニング商品の監修者としても活躍中。