イチジク(無花果)は落葉広葉樹。
暖かい地域なら育て方が比較的簡単で、自家栽培しやすい人気の果樹。
果実は夏から秋にかけて収穫でき、生食やジャム、スイーツなど、さまざまな調理方法で楽しめる。
夏果、秋果、兼用品種など、多くの品種が存在する。
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基本データ
- 分類
- 果樹
- 学名
- Ficus carica
- 科・属名
- クワ科・イチジク属
- 別名
- トウガキ、ナンバンガキ
- 草丈・樹高
- 2m〜5m
- 栽培可能地域
- 東北南部以南
- 開花期
- 6月〜10月
- 結実期
- 7月〜9月
- 耐暑性 / 耐寒性
- 強い/やや弱い
イチジクは家庭で手軽に楽しめる人気の果樹
●イチジクとは?
イチジクは世界中で栽培されている人気の果樹で、栄養価が高いこともあり、古くから「不老長寿の果実」として人々に愛されてきました。
日本には江戸時代の初期に中国から渡ってきたとのこと。
挿し木で簡単に増やせることもあってか、多くの家庭で栽培され、食用・薬用に用いられたそうです。
●イチジクの特徴
落葉広葉樹のイチジクは、手の平の形に似た大きな葉を付けます。
樹勢が強いものの、剪定さえ行えば家庭向けのコンパクトなサイズ感で収まるので、冬の落葉期に枝を切り詰めるのがおすすめです。
暑さには強い性質を持つ一方、冬の寒さには弱い傾向があります。
東北南部以南であれば栽培も可能ですが、防寒用にワラなど巻いておくと冬の間も安心です。
また、イチジクは1本だけでも結実するのが特徴で、わざわざ2本以上の木を植えることもなく、気軽に育てることができます。
●イチジクの花
イチジクの開花期は6月から10月ごろと言われていますが、イチジクの花は通常の庭木のように鑑賞することはできません。
これは、イチジクの花が果実の中に咲く性質を持つことが理由に挙げられます。
イチジクの果実を割った時、中心にブツブツとしたものがありますよね。
実は、このブツブツがイチジクの花なのです。
ほかの植物のように花弁はありませんが、果実の空洞部分にはたくさんの花が並んでいます。
このような背景から、“花の無い果実”で「無花果」という名がつけられたと言われています。
●果実の旬は夏から秋の季節
イチジクが旬を迎える季節は、夏から秋の時期。
しかし、品種によって果実を収穫する季節は異なり、大別すると3つの部類に分類できます。
夏果専用品種というイチジクは、6月の下旬から8月上旬ごろに収穫期を迎えるもの。
秋果専用品種は、8月中旬以降に収穫できるものを言います。
そして夏と秋の両方の季節に収穫できるものは兼用品種と呼ばれ、長い期間果実を収穫できることが特徴です。
イチジクは栄養素が豊富!楽しみ方やおすすめ品種は?
●イチジクの栄養素
イチジクの果実には、食物繊維、鉄、カリウム、カルシウム、ポリフェノール、ビタミン、フィシンなど、さまざまな栄養素や女性に効果的な栄養が含まれています。
「不老長寿の果実」と呼ばれるだけあって、食べるだけでいろいろな栄養素が摂取できるなんて嬉しいですよね。
また、酵素のフィシンはタンパク質を分解するため、肉料理が柔らかくなるメリットや、食後の消化を助ける効果も期待できますよ。
●果実の食べ方&活用方法
基本的には生食で食べるのがおすすめです。
生食ならイチジクのふんだんな栄養素を体の中にそのまま取り入れることができます。
品種によっては、イチジクの皮ごと食べられるものがあるので、チェックしておくといいでしょう。
そのほかのおすすめの食べ方としては、ジャムやドライフルーツにしたり、サラダや前菜、肉料理に絞り汁を入れたりなどの活用方法がおすすめ。
スイーツにイチジクを入れれば、ワンランク上の爽やかな甘さの手作りスイーツが完成します。
●苗の選び方とおすすめ品種
イチジクの苗を選ぶときは品種選びが大切です。
夏果、秋果、兼用品種など、収穫したい季節に合わせてイチジクの品種を選びましょう。
小果や大果などのサイズ感で選んだり、皮ごと食べられたりする品種で選ぶのもおすすめです。
- ・桝井ドーフィン…イチジクの代表的な品種。
兼用品種で大果。
育てやすいことが特徴。 - ・蓬莱柿…日本イチジクとも呼ばれる秋果専用品種。
耐寒性が強く、東北地方でも栽培できる。
皮は柔らかい。 - ・ブラウンターキー…果実は小さいものの、酸味と強い甘みが特徴の美味しいイチジク。
兼用品種で樹形がコンパクトに仕立てられることから家庭向き。
皮ごと食べられる。 - ・キング…夏果専用品種で6月〜7月に収穫でき、良質な味の果実が多くとれる。
皮は緑色で丸ごと食べられるのも魅力。 - ・ビオレソリエス…皮は黒っぽい色の薄皮で、果実の糖度が高い高級イチジク。
秋果専用品種で小果。
樹勢が強い。
イチジクの育て方・管理方法
植え付け・植え替え
苗の植え付け・植え替え時期は、11月〜3月の間がベスト。
地植えの場合、植え替えは必要ありませんが、鉢植え栽培をしている家庭では、少なくとも2年に1回は植え替えをして根詰まりを防ぎましょう。
イチジクは、水はけと水保ちのいい土を好みます。
植え付ける前に石灰を撒いて酸度調節をし、赤玉土、腐葉土、堆肥などをすき込んで肥沃な土作りを心がけてください。
鉢植え栽培の場合は、果樹用の培養土を使用すると、苗の植え付けが簡単に行えます。
肥料
イチジクなどの果樹は、肥料を多く必要とします。毎年12月には寒肥として有機肥料を与え、果実の収穫量をアップさせましょう。
有機肥料には油かすなどがおすすめです。
イチジクの上手な育て方のポイントとして、一年に1回は苦土石灰を撒いて弱アルカリ性に酸度調節をしておくと、生育がよくなるでしょう。
剪定
剪定に適した時期は、12月から2月の落葉期です。
落葉期に剪定を行うことで、剪定によるストレスを軽減できます。
また、樹勢の強いイチジクは果実の収穫量が減ってしまうことがあるので、あえて剪定をして樹勢を落としてあげると、果実の実付きが良くなります。
剪定方法は、秋果専用品種ならどの場所でカットしても問題ありません。
しかし、夏果専用品種は前年に伸びた枝先に果実がなります。そのため、夏果品種を剪定する場合は、形を整えたり不要枝をカットしたりする程度に留め、切り詰め過ぎないように注意しましょう。
剪定した枝や幹からは白い樹液が出てきます。樹液に触れると手が荒れたりかゆみが出たりするケースがあるので、剪定をするときは手袋をして行うのがおすすめです。
なお、剪定した不要枝は、挿し木によって増やすことも可能です。イチジクの苗をもっと増やしたい人は、不要枝を捨てずに挿し木にチャレンジしてみるといいでしょう。
病害虫
果樹のなかでは、育て方が比較的簡単なイチジクですが、家庭で育てる際にはカミキリムシなどの害虫に注意が必要です。
カミキリムシの被害に合うと、最悪の場合イチジクの木が枯死してしまうので、幹に穴が空いたり木屑を発見したりしたときは早急に殺虫剤をかけて駆除してください。
日当たり
地植えしたばかりの時期は、土の表面が乾いたタイミングで水やりをします。
その後、しっかりと根を張れば、ほとんど降雨だけで問題なく育つでしょう。ただし、夏場の水切れには弱いので、夏の間は様子を見ながらたっぷりと水をあげてください。
鉢植え栽培では土の表面が乾いていたら、日々水やりを行います。
水やり
地植えしたばかりの時期は、土の表面が乾いたタイミングで水やりをします。
その後、しっかりと根を張れば、ほとんど降雨だけで問題なく育つでしょう。ただし、夏場の水切れには弱いので、夏の間は様子を見ながらたっぷりと水をあげてください。
鉢植え栽培では土の表面が乾いていたら、日々水やりを行います。