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ウメ(梅)の育て方と特徴

梅の木(ウメノキ)は、サクラと並んで日本の春を代表する花木です。
白や桃色のあでやかな花を楽しんだあとは、実を収穫して梅酒や梅干しにも加工できます。
500種以上と言われる品種の豊富さが特徴ですので、用途や好みに合わせ、自宅にぴったりの梅の木を見つけてみてください。

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基本データ

分類
庭木-落葉
学名
Prunus mume
科・属名
バラ科サクラ属・アンズ属
別名
ニオイザクラ、ムメ、好文木、花の兄、雪中君子、春告草、風待草、花魁、香栄草
草丈・樹高
3m~5m
栽培可能地域
全国
花色
白・ピンク・赤
開花期
1月~3月
結実期
6月~7月
耐暑性 / 耐寒性
暑さにも寒さにも強いです。
アンズの性質を持つ「豊後性」の品種は、耐寒性に優れており、寒い地域での栽培に向いています。

梅の木(ウメノキ)は縁起物でもある日本人にとって馴染み深い庭木

梅の木(ウメノキ)とは

梅の木(ウメノキ)は、中国原産のバラ科サクラ属またはアンズ属の落葉樹です。
枝にまといつくように咲く白やピンクの花は、見た目の華やかさはもとより香りも素晴らしく、古くから日本の庭園で楽しまれてきました。
鑑賞を目的とした花木としての歴史は、サクラよりも古いと言われています。
5枚の丸い花びらを付ける一重咲きの品種から、豪華な八重咲きが楽しめる品種、枝垂れ咲くタイプもあり、花色も白・薄桃・濃桃・紅色などバラエティに富んでいます。
そんなウメの花言葉は、「忍耐」「高潔」「忠実」です。
初夏には果実を収穫することができます。
花木としてだけでなく、果樹としての利用価値が高いことも、ウメの人気が衰えない理由でしょう。
ウメは、寿命が70年~100年と長いことや、寒さの厳しい早春にいち早く開花することなどから、慶事の象徴に位置づけられています。
松・竹と共に「歳寒三友(さいかんのさんゆう)」として、菊・蘭・竹と共に「四君子(しくんし)」として讃えられる、おめでたい樹木です。

万葉集では100首以上のウメの歌が詠まれた

ウメは、薬用植物の「鳥梅(うばい)」として、奈良時代以前に中国から日本に伝来したのがはじまりと言われています。
ウメが古くから日本で親しまれてきた証拠として、日本最古の歌集「万葉集」には、100首以上ものウメの歌が収録されています。
新元号「令和」の出典となったのも、「梅花の歌」三十二首の序文です。
「初春の令月にして、気淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫す」

花ウメと実ウメがある

梅の写真

500種以上とも言われるほど多くの品種が存在するウメ。
花を鑑賞するための「花ウメ」と、果樹の収穫を目的とした「実ウメ」の2種類に大きく分けられます。
実ウメの品種で代表的なのは、「白加賀(しろかが)」「小梅(こうめ)」「南高(なんこう)」「豊後(ぶんご)」など。
品種によって実の大きさや風味が著しく異なります。

花ウメの品種は3系9性に分類される

梅の写真

花ウメの品種は、花の特徴や性質により、3つの系統と9つの性(しょう)に分類されています。
野梅系(やばいけい):野梅系は、野生の梅からに近い性質を持つ系統で、強健な品種が多い傾向にあります。
枝が細く花や葉も小さめですが、花の香りが良いのが特徴。
香りを楽しみたい人におすすめです。
さらに細かな分類として、野梅性(やばいしょう)・難波性(なにわしょう)・紅筆性(べにふでしょう)・青軸性(あおじくしょう)に分けられます。
代表的な品種は「道知辺(みちしるべ)」「初雁(はつがり)」などです。
緋梅系(ひばいけい):緋梅系の品種は、枝や幹の断面が赤い色をしているのが特徴です。
花色は赤とは限らず、白い花を咲かせるものもあります。
葉は小ぶりで、野梅系と似た性質を持っています。

紅梅性(こうばいしょう)・緋梅性(ひばいしょう)・唐梅性(とうばいしょう)に細分されます。
「紅千鳥(べにちどり)」や「緋梅(ひばい)」が良く知られた品種です。
豊後系(ぶんごけい):豊後系は、アンズの血を多く引く系統です。
枝ぶりが強く、葉も大きめな傾向にあります。
アンズのような薄桃色の花を咲かせる品種が多く、花の香りは弱めです。
耐寒性に優れていて、寒い地方での栽培にも向いています。

分類は、豊後性(ぶんごしょう)・杏性(あんずしょう)です。
「桃園(ももぞの)」「記念(きねん)」といった品種があります。

花を見る楽しみ、果実を使う楽しみがある

季節感を味わえる落葉樹

早春に花が咲き、初夏には新緑が楽しめ、夏に実が収穫でき、冬には落葉するウメ。
四季の移ろいと共にさまざまな姿で楽しませてくれる梅の木(ウメノキ)は、季節感を演出したい人におすすめの庭木です。
花や実のイメージが強いウメですが、秋~冬の落葉期には、曲がりくねった枝や幹のユニークな樹形も楽しめます。

梅の木(ウメノキ)の実を収穫して梅酒や梅干しとして楽しむ

梅の写真

梅の実は、5月~6月頃に熟し、収穫適期を迎えます。
「梅雨」の語源は、ウメの実が熟す時期に降る雨だからという説があります。
収穫したウメは、焼酎に漬け込んで梅酒に、塩漬けにして梅干しに、砂糖に漬けて梅シロップにするなど、さまざまに活用できます。
自宅でウメの実を収穫したいときは、実ウメに分類される品種を選ぶようにしましょう。
ウメは、自家受粉では結実しにくい「自家不和合成」という性質の強い果樹です。
確実に実を成らせるためには、2品種以上のウメを植えてください。

和風庭園・住宅に良く合う花木

梅の写真

趣のある樹形と上品な花が楽しめるウメは、和風の住宅や庭との相性が良い庭木です。
伝統的な日本家屋に限らず、現代的な雰囲気のある和モダンな家にもマッチするでしょう。
先述の通りウメは縁起物でもあり、縁起の良い庭木を植栽したいときにもおすすめです。
ただし、冬には落葉するため、外部からの視線を遮る目隠しや防風・防音などの用途には向きません。

剪定を怠らないことが美しい樹形を保つコツ

梅の写真

ウメの樹形を維持するには、適切かつこまめな剪定が不可欠です。
生長が早く、生育期には勢いよく枝が伸びるため、放っておくと枝が混みあい、樹形が著しく乱れてしまいます。
古い枝には花や実が付きにくい性質があり「サクラ切る馬鹿、ウメ切らぬ馬鹿」ということわざがあるほどです。

ウメ(梅)の育て方と特徴の育て方・管理方法

植え付け・植え替え

植え付けや植え替えは、落葉中の12月~2月ごろに行います。
ただし、霜がおりる恐れのある1月・2月の寒さが厳しい時期の作業は避けましょう。

ウメは、有機質が多く、水はけの良い土壌を好みます。
植え付ける場所に、堆肥などの有機質肥料か緩効性化成肥料を混ぜ込んでおくと良いです。

肥料

開花結実後の7月にお礼肥として、11月~12月に寒肥として、有機質肥料を与えてください。

剪定

ウメの剪定は、夏と冬の2回が基本。
夏(6月~8月中旬)は、伸びすぎた徒長枝や混みあった枝を間引く様にカットします。
樹形を乱すように伸びた枝や、ひこばえなど不要な枝も取り除いておきましょう。

冬(11月~12月)の落葉期には、夏と同様に不要な枝を落とすと共に、樹形を整える目的で剪定をします。
冬季の剪定で、花芽の付いた枝を3分の2程度まで切り戻すことで、樹全体のサイズが大きくなりすぎないように維持することができます。

病害虫

病害虫には比較的強い樹種ですが、うどんこ病やアブラムシ、毛虫類が付くことがあります。
いずれの病害虫も、枝が混みあっているなど、風通しが悪い状態で発生しやすくなります。
適切に剪定して予防しましょう。

特に気を付けたいのは、「ウメケムシ」とも呼ばれるオビカレハという蛾の幼虫です。
ウメケムシは、ウメの樹皮に巣を作り集団で住み着きます。
葉を食害してウメを弱らせるため、卵の状態か、まだ小さい幼虫のときに捕殺してください。

日当たり

地植えの場合、基本的には水やりは必要ありません。
苗の植え付け直後や、極端な感想が続いた場合には水を与えると良いでしょう。
鉢植えの場合、土の表面が乾燥したら、鉢底から流れ出るくらいたっぷりと水をやります。

水やり

地植えの場合、基本的には水やりは必要ありません。
苗の植え付け直後や、極端な感想が続いた場合には水を与えると良いでしょう。
鉢植えの場合、土の表面が乾燥したら、鉢底から流れ出るくらいたっぷりと水をやります。

出典(引用元)

平野隆久『よくわかる樹木大図鑑』永岡書店
小幡和夫ほか『樹木博士入門』全国農村教育協会

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年間実績
3万件

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瀬尾 一樹
監修者 樹木医 瀬尾 一樹

樹木医です。木も草も大好きで、将来は自分だけの森を持ちたいと思っています。木の美しさや育てる楽しさだけでなく、生きものとしての生態的な面白さも伝えていきたいです!好きな木はケヤキです。

執筆者 小原らいむ

植物が大好きなライターです。小学校の自由研究は「雑草の研究」でした。忙しい毎日でも無理なく楽しめるガーデニングを日々研究しています。雑草&野草・カラーリーフ・球根植物・100円ショップの園芸グッズ。

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