クリスマスツリーで有名なもみの木。日本の山野にも自生し、傘のような樹形に育つ。
基本データ
- 分類
- 庭木-常緑
- 学名
- Abies firma Siebold et Zucc.
- 科・属名
- マツ科モミ属
- 別名
- モミ、モミソ
クリスマスツリーとして有名なもみの木とは
モミノキとは
モミノキは、本州から九州(屋久島まで)に分布する日本固有の樹木です。もともと海岸近くの丘陵地から山地にかけての地域に自生する木で、遠くから見てもわかるきれいな円錐形に育ちます。よく似た仲間にウラジロモミ、シラビソ、オオシラビソなどがいて、標高が高い場所では入れ替わるようにそれらの木が見られるようになります。
クリスマスツリーの木
モミノキはクリスマスツリーに使われることで有名で、きれいな円錐形の樹形に育つのが特徴的です。この育ち方は「単軸分枝」という遺伝子で決められた性質で、特に手を加えなくても自然とこの樹形になります。他にクリスマスツリーに使われる木としては、近い仲間のウラジロモミやドイツトウヒなどがあり、こちらの方が利用されることが多いです。
ウラジロモミとの違い
よく似たウラジロモミとは、葉っぱの先がモミノキの方が鋭いこと、若枝に毛が生えないことなどで見分けられます。また、ウラジロモミは名前の通り葉っぱの裏が真っ白になるので、遠くから見るとうっすら白みがかっていることも見分けのポイントです。ちなみに、ドイツトウヒは葉の断面がひし形なので簡単に見分けられます。
都会では育ちにくい
本来モミノキは東京の平地にも生えるような木でしたが、今はそういった場所で見かけることは少なくなっています。モミノキは浅く根を張るタイプの木なので、人がよく通る街中では土が踏み固められることが多いからです。そのため、庭木として植える場合も周囲の土がなるべく踏み固まることの無いように配慮する必要があります。
花や実
あまり花のイメージがないモミノキですが、ちゃんと立派な花が咲きます。5月頃に雄花と雌花の両方が咲き、雄花はきつねのしっぽのようなクリーム色で、雌花は松ぼっくり型をしています。ただし、花が咲き始めるのは60~70歳からと言われているので、庭に植えたものでお目にかかることはなかなかないかもしれません。
もみの木の楽しみ方
クリスマスツリーとして
オーソドックスにクリスマスツリーとして使うのが良いでしょう。自然に円錐形の樹形がつくられるので、玄関先や庭の真ん中に植えておくだけで華やかなクリスマスを楽しむことができます。よく利用されるウラジロモミと違って少し枝がはみ出る樹形になりますが、そのままの野性味あふれる樹形を楽しんでもいいし、気になるなら剪定して整えると良いです。
たくさん植えて西洋風の庭園に
クリスマスのイメージもあってか、モミノキを植えると庭が西洋の雪国のような雰囲気になります。モミノキはウラジロモミやドイツトウヒと違って挿し木で増やすことができるので、たくさん増やせば庭全体を西洋風に彩ることができます。メンテナンスの手間が少ないので、手軽に西洋風の庭づくりができますよ。
大きく育ててシンボルツリーに
庭のスペースが十分にあれば、シンボルツリーとして思いっきり大きく育ててしまうのがおすすめです。最大で30mになることもあり、どこよりも巨大なクリスマスツリーが完成します。何十年もたてば花も咲き松ぼっくりもとれるようになるでしょう。モミノキの松ぼっくりは、枝に乗っかる感じで上向きに着くのがかわいらしいです。
アウトドアでモミノキを探す
山間部に行けば、モミノキは割と普通に生えています。よーく目をこらして山肌を見ると、木々の中にクリスマスツリー型のモミノキがポツンと生えているのが見られます。庭木で植えて毎日観察していれば、野外でモミノキを見かけたときもきっとわかるはず。ウラジロモミと一緒に植えておけば、「あれはモミノキだ」「あっちは白く見えるからウラジロモミかも」なんて家族であれこれ言って楽しむこともできます。
モミノキの育て方と特徴の詳細情報
- 草丈・樹高
- 20m
- 栽培可能地域
- 北海道以南
- 花色
- クリーム色
- 開花期
- 5月
- 結実期
- 10~11月
- 耐暑性 / 耐寒性
- 耐寒性は強く、耐暑性は普通。
モミノキの育て方と特徴の育て方・管理方法
- 植え付け・植え替え
- 2月中旬~3月頃の、葉っぱが芽吹く前で、なおかつ厳冬期を避けた時期に行いましょう。水はけのよい土に植えるとよいです。植え替えは難しく、一度植え付けてから植え替えると枯れてしまう危険があるので、技術のある業者に依頼するなどするのがおすすめです。
- 肥料
- あまり必要としませんが、必要であれば12月~2月頃の寒い時期に寒肥として堆肥などを与えるようにしましょう。
- 剪定
- 基本的には木のアウトラインを保ったまま、混みあった枝や上向きの枝など、内側の枝を剪定する形になります。高さを抑えコンパクトにしたい場合は注意が必要です。てっぺんの枝を剪定すると、周りの横枝が持ち上がるなどして樹形が大きく崩れる可能性があるためです。また、モミノキはひこばえをほとんど出さない木なので、枝を切るとそのまま光合成する量が減り、衰弱に繋がります。大きさをコントロールしたい場合はこまめな剪定で慎重に整えるようにしましょう。
- 病害虫
- 病害虫はあまり見られませんが、若木だとがんしゅ病などが発生することがあります。がんしゅ病にかかると樹皮の色が変わり、そこから先の枝が枯れてしまいます。病気が発生した部分を剪定し、枝や周りの木を間引いて風通しを良くするようにしましょう。また、雪の多い地域だと苗木が枯れるファシディウム雪腐病や暗色雪腐病などが発生することがあります。これも病気の発生した部分を剪定するか、雪に埋もれないサイズの苗木を植え付けるのが良いです。害虫としてはアブラムシやガの幼虫などが発生することがありますが、薬剤で対処することができます。大発生することはあまりありませんが、ひこばえを出しにくいモミノキの性質上、葉っぱを半分以上食べられるとそのまま衰弱してしまうこともあるので、たくさん虫を見かけたら早めに対処しましょう。
- 日当たり
- 乾燥にはあまり強くないので、乾燥しがちな街中に植える場合、植え付け後しばらくは水やりをしながら様子を見るようにしましょう。ただ、与える水の量が少ないと根っこが地面の上に集まり、余計に乾燥に弱くなってしまいます。水やりは少しずつではなく、一度にたくさんあげるとよいです。
- 水やり
- 乾燥にはあまり強くないので、乾燥しがちな街中に植える場合、植え付け後しばらくは水やりをしながら様子を見るようにしましょう。ただ、与える水の量が少ないと根っこが地面の上に集まり、余計に乾燥に弱くなってしまいます。水やりは少しずつではなく、一度にたくさんあげるとよいです。
出典(引用元)
「樹木医必携」
成美堂出版
「庭木・花木の手入れとせん定」
山と渓谷社
「樹に咲く花 合弁花・単子葉・裸子植物」
林将之出版
「葉っぱで見わけ五感で楽しむ樹木図鑑」
愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。