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アカマツの育て方と特徴

日本を代表するマツの一種である赤松。荒れ地に真っ先に生える陽樹として有名で、山の尾根や海岸など栄養の少ない環境に日本の山野にも自生している。庭木以外に盆栽や木材としての利用もされる。魅力的な木だが、病害虫の多さには注意。

アカマツ(赤松)の木の管理方法についてはこちら

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基本データ

分類
庭木-常緑
学名
Pinus densiflora Siebold et Zucc.
科・属名
マツ科マツ属
別名
メマツ、オンナマツ、ミツバアカマツ

日本の山野によく生える、樹皮が赤い松

赤松(アカマツ)とは

アカマツは北海道南部から九州に自生する針葉樹の一種です。
日本に自生する松の仲間は他にも種類がありますが、普段目にするものの多くがアカマツやクロマツないしその雑種。
沖縄にいくとリュウキュウマツがみられます。
クロマツとよく似ていますが、その名の通りアカマツは樹皮が赤く、クロマツは樹皮が黒っぽいのが特徴です。

ほかにも、アカマツは葉っぱがやわらかくクロマツは葉っぱが硬いことなどで見分けられます。
また、海岸沿いに植えられるクロマツに比べ、アカマツは海岸沿いのほかにも山地の尾根などでもよく見かけるという特徴があります。
日本に自生する松の仲間(マツ科マツ属)では、アカマツとクロマツとリュウキュウマツのみが、二葉性とよばれる葉っぱが2本の束になって出てくる種類で、それ以外は5本の束になる五葉性か、カラマツやモミなどマツ属以外のグループのものです。
アカマツは4月~5月くらいの時期に花を咲かせ、翌年の11月~12月に2年かけて松ぼっくりができます。
なお、マツの花粉症は造園業などマツによく触れる業種などではあるようですが、スギやヒノキのように一般的ではありません。

病気で枯れていっている

今、日本の松は「マツ材線虫病(マツ枯れ)」によって大量に枯れていっています。
マツノマダラカミキリという小さなカミキリムシが、北アメリカから来たマツノザイセンチュウという線虫の仲間を運び、線虫が松樹体内で繁殖してあっという間に枯らしてしまうという病気です。
日本に自生する松のほとんどはこの病気に弱く、一面の松原がこの病気によって数年で壊滅的に枯れてしまうといった事例も珍しくありません。

毎年あるいは数年に一度の薬剤使用により予防する方法はありますが、一度病気にかかったマツを治療することは難しく、その多くが枯れてしまいます。
幸いにもアカマツはクロマツより若干この病気に耐性があると言われていますが、いずれにせよかかったら枯れてしまう可能性は高いので、育てる場合は周囲のマツ林やマツの植えてある公園がどんな状態か見ておくのがおすすめです。

厳しい環境に強い

アカマツは乾燥や栄養不足などの厳しい環境にも耐えられるという特徴を持っています。
実際にアカマツは山の尾根などに生えていることが多く、そうした場所は栄養も水も下に流れ出していくので土が痩せており、遮るものがないので風当たりも強いです。
アカマツの葉っぱは針のようでほかの広葉樹などにくらべて光合成の効率は悪いですが、そうした厳しい環境に耐えることで生き残っています。
厳しい環境に耐えられる秘密のひとつに、根っこに菌が住みついて共生しているというのがあって、秋の味覚のマツタケなどもその一種です。

さまざまな品種

アカマツは木材としての利用もありますが、それ以上に庭木や盆栽などで扱われてきていて、様々な品種があります。
葉っぱに黄色の斑が入ったジャノメマツや、傘のようにたくさん枝分かれするタギョウショウなどが有名です。
特別な品種でなくても、新芽を切ってうまく枝をコントロールすると、ある程度好きな形に仕立てることもできます。

赤松は和風の庭に最適な、美しい樹形の木

庭に風情を出す

赤松は何よりも和風の庭に似合います。
アカマツの醸し出す和の雰囲気は、ほかの木ではなかなか再現できないもので、和風の庭にマツの木は必須と言っても良いでしょう。
とても大きくなる木ですが、年を経るごとに立派になり、風情も増していきます。
若木のころから育てておけば、数十年後には樹形が大きく変わり、雰囲気も全く違ったものになっているはずなので、成長を実感するのにこれ以上のものはありません。

美しい樹形を創り出す

赤松は、大きく曲がった風情のある樹形ができるのも大きな特徴です。
上手に仕立てるのには技術がいりますが、せっかく植えるのなら美しい樹形をつくるのにチャレンジしてみるのがおすすめです。
大きく上手に仕上がったものだと、値段をつけられないほどの価値になっていることも。
盆栽でやってみても良いし、庭に植えたものでやってみても良いです。
いずれにせよ一生の趣味として楽しむことができます。

松ぼっくりを利用する

アカマツの特徴として、秋に松ぼっくりができるというのがあります。
松ぼっくりは子どもとの工作に使ったり、インテリアに使ったりなどで利用することができますが、変わったところでは松ぼっくりジャムというのもあります。
まだ緑の若い松ぼっくりを砂糖と水と一緒に煮込んだもので、松ヤニのさわやかな香りと甘味がマッチして、意外にもおいしいです。
他にも枝葉が良く燃えるので焚火に使ったりと、鑑賞用以外にも案外使いどころがあるのがアカマツです。

アカマツの育て方と特徴の詳細情報

草丈・樹高
10~20m
栽培可能地域
北海道以南
花色
オレンジ(雄花)紫(雌花)
開花期
4月~5月
結実期
11月~12月
耐暑性 / 耐寒性
どちらも強い

アカマツの育て方と特徴の育て方・管理方法

植え付け・植え替え
2月~4月上旬の、休眠明け前に行います。
土は水はけの良い土であることが重要で、少し高く植える場合もあります。
木を植える際は水極めといって水を流して棒で突っつきながら隙間なく土を流しこむということをしますが、アカマツの場合は根っこの隙間に棒などで土を入れる土極めを行うのがおすすめです。
野生で生えるアカマツはやせた土でも育ちますが、樹木どうしの競争がない庭では有機質に富んだ土でもよく育ちます。
肥料
植え付け時に堆肥など与える場合がありますが、基本的には必要ありません。
元気がなくなった場合は肥料より根腐れや病害虫などの可能性を探ってみるのが良いでしょう。
ただし、マツ葉ふるい病にかかった場合は液肥などで樹勢回復を図る必要があります。
剪定
アカマツの剪定は少し特殊で、春に枝先から出てくる新芽を摘む「みどり摘み」で形をつくり、秋から冬に古い枝葉を手で落とす「もみあげ」を行い、あとは伸びすぎた枝を少し剪定することで形を整えます。
アカマツの剪定は他の樹木にくらべてやや難しいです。

普通樹木は枝を切られすぎると幹の中に眠らせていた芽を起こして「ひこばえ」や「胴吹き」という新しい枝を出すのですが、アカマツおよびほとんどのマツ類はそれらを出すことができません。
ヘタに切りすぎると、回復に何年もかかったりひどいときはそのまま枯れたりしてしまいます。

枝葉が無くなりすぎると枯れる危険があることや、新芽が出るのは春先の年1回だけということをよく覚えておくことが大事です。
心配な場合は最初からある程度形が整っている大きめの木を買うか、剪定はプロにお願いするのが良いでしょう(業者によってはマツ類の剪定は別料金の場合もあります)。
病害虫
病害虫は比較的多いです。
最も有名なものは、ほとんど全国に広がったマツ材線虫病(マツ枯れ)があります。
マツノマダラカミキリがマツノザイセンチュウという線虫を運ぶことで感染し、線虫がマツ体内で増殖することによりマツが枯れてしまう病気です。
葉っぱが急速に変色することや、樹皮をはがしても松ヤニが出なくなるという症状があり、多くがその年のうちに枯れてしまいます。

対策は非常に困難ですが、初夏のカミキリ発生前までに枝葉に殺虫剤を散布することや、樹冠注入剤や土壌灌注により殺線虫剤をマツ樹体内に取り込むことで予防ができます。
病気にかかったあとの治療は難しく、枯れてしまった木からまたカミキリが飛んでいくので、被害が広がらないように枝を含む焼却処分または薬剤による燻蒸が必要です。


その他の病害としては枝や幹にこぶができるこぶ病や、葉っぱが変色し一気に落葉する葉ふるい病などがあります。
他にも幹や根に出る病気としてそうほう病やならたけ病、葉に出る病気として葉枯病や葉さび病など様々なので、葉っぱや幹に異常が無いかは常にチェックしておきましょう。
こぶ病はコナラなどのナラ類が中間宿主となるのでそれらの除去を、葉ふるい病は病気の出た葉っぱや落葉の処分と薬剤散布により蔓延防止、加えて有機質液肥による樹勢回復を試みることで対処します。

害虫はマツカレハ、マツノクロホシハバチ、マツモグリカイガラムシなど様々です。
いずれも発生時期に薬剤を散布することで対処できます。
マツカレハなどが大発生して葉を食べられすぎるとそのまま枯れてしまうこともあるので注意しましょう。
また、マツカレハの毛には毒があるので作業するときには触らないよう注意が必要です。
日当たり
乾燥には強いので、水やりはあまり気にしなくても大丈夫です。
水やり
乾燥には強いので、水やりはあまり気にしなくても大丈夫です。

出典(引用元)

日本樹木医会
「樹木医必携」
村越匡芳監修
「庭に植えたい樹木図鑑」
佐藤勇武監修
「庭木・花木の手入れとせん定」
山と渓谷社
「山渓ハンディ図鑑 木に咲く花 合弁花・単子葉・裸子植物」
矢口行雄監修
「樹木医が教える緑化樹木辞典」

造園業界No.1店舗数!

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年間実績
3万件

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0円

氏永 勝之
監修者 smileグループCEO
株式会社ガーデンメーカー 代表取締役
愛知農園植木苗木株式会社 専務取締役
一般社団法人ガーデンビジネス協会 代表理事
氏永 勝之

愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。

執筆者 瀬尾一樹

樹木医です。木も草も大好きで、将来は自分だけの森を持ちたいと思っています。木の美しさや育てる楽しさだけでなく、生きものとしての生態的な面白さも伝えていきたいです!好きな木はケヤキです。

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