植木・庭木を育てる過程で、「肥料はどうやってあげたらいいの?」と悩む人も多いでしょう。
そこで今回は植木・庭木の肥料について、種類、時期、量など詳しく解説します。
おすすめの肥料も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
庭木と植木の違いとは
肥料について詳しく解説する前に、まずは庭木と植木の違いから知っていきましょう。
一般的に、庭木とは庭に植えられている木を指し、植木は庭や鉢などに植えられている木や街路樹、公共の場などに植える木を言います。
どちらも庭に植える木が意味に含まれていることから、同じように捉えられがちです。
しかし、街路樹や公共の場などに植える木は、樹高が高く葉や枝も多く茂るため、庭向きとは言えませんよね。
よって、庭木とは庭で育てやすい木であり、植木は街路樹や公共の場のほか、庭でも植えられる木であるという違いを押さえておきましょう。
肥料の種類と効果に関して
庭木・植木が成長するには、肥料が必要不可欠です。
中でも、窒素、リン、カリウムは、「肥料の三大要素」と呼ばれ、植物の成長に多くの量を必要とします。
窒素は葉の成長を助けることから「葉肥」。
リンは花や実の結実を促進することから「花肥」「実肥」と呼ばれ、花が咲く木などには必須です。
カリウムは「根肥」と言われ、根の成長を助けつつ環境への抵抗力などもつける役割があります。
他にも、カルシウムやマグネシウム、微量要素などが必要になり、これらをバランスよく与えることで、庭木・植木の成長を適切にサポートできるようになるのです。
肥料には有機質肥料、無機質肥料の2種類がありますが、効果や与え方、種類などにはどのような違いがあるのでしょうか?
有機質肥料
有機質肥料とは、植物や動物由来の肥料であり、通常の肥料効果に加えて土壌改良の役割も果たす肥料のことを指します。
有機質肥料を土に与えると、土の中にいる微生物が有機物を食べて少しずつ分解していき、庭木・植木の根から養分が吸収されていきます。
そのため、肥料効果はゆっくりと長続きするのが特徴です。
また、庭の土は自然界の土とは異なり、落ち葉や動物の糞などはほとんどありません。
植物が育ちやすい土壌環境にするためにも、有機質肥料は必要性の高い肥料であると言えるでしょう。
有機質肥料の効果
有機質肥料は、窒素、リン、カリウム、微量要素などを土壌へ補給する効果があります。
また、土の中にいる微生物が増える効果もあるため、土壌の団粒化を促し、通気性や排水性、保水性、保肥力などがアップするなど、土壌改良効果も得られます。
ただし、有機質肥料は特有のにおいが発生するほか、発酵する過程でガスや熱が出て根を傷めるケースも少なくありません。
これらを防ぐには、完熟タイプの有機質肥料を選ぶのがおすすめ。
根を傷めたり虫やにおいが発生しにくくなったりする効果が期待できます。
代表的な有機質肥料
代表的な有機質肥料は、油粕、魚粕、骨粉、鶏糞、草木灰などがあります。
それぞれ含有する成分が異なるので、庭木・植木の成長具合を考慮し、目的に合う肥料を選ぶのがポイントです。
栄養素のバランスを考え、いくつかの有機質肥料を組み合わせて与えるのもいいでしょう。
無機質肥料
無機質肥料は、石油、チリ硝石、リン鉱石など、さまざまなを鉱物を原料に使用しており、化学的に合成されて作られたため、化学肥料とも言われている肥料です。
数多くのメーカーから用途に合わせた無機質肥料が作られているため、初心者でも肥料を与えやすく、安価な価格で購入できるのがメリット。
また、においが発生しないので、観葉植物に与える肥料にも最適でしょう。
肥料の効き目は、速効性のタイプと緩効性タイプから選べるので、肥料を与える時期や生育具合に合わせて調整することも可能です。
無機質肥料の効果
無機質肥料は、さまざまな要素を土の中へ補給し、植物へ届ける効果があります。
有機質肥料は分解されるまでに時間がかかるのが特徴ですが、無機質肥料は水に溶けやすいため、植物へすぐに養分を届けたい時などに効果的です。
その分、肥料効果は長続きしません。
また、有機質肥料とは異なり、土壌改良効果が得られないことや、効果が強いことから規定の量以上を与えてしまうと土の中の微生物が死滅したり、根を傷めたりするデメリットが生じることもあるので注意が必要です。
代表的な無機質肥料
代表的な無機質肥料には、単肥、複合肥料の2つが挙げられます。
単肥は前述した肥料の三大要素のうち、1種類の成分を持つ肥料のこと。
複合肥料は2種類以上の成分を持つ肥料であり、さらに製造方法の違いによって化成肥料と配合肥料へと分けられます。
庭木・植木の足りない要素を補えるように必要な無機質肥料を選ぶといいでしょう。
肥料を与える時期は
庭木・植木へ肥料を与える時期は、お礼肥と寒肥が基本です。
お礼肥とは、花が咲き終わったあとや果実を収穫した時などに与える肥料であり、疲れきった状態を回復させる役割があります。
寒肥は12月〜2月くらいの休眠期に与える肥料で、春の成長をサポートしたり、株を充実させたりと、1年間の成長を左右する大切な肥料です。
肥料の効き方は種類によって異なるので、与える時期に合う肥料を選ぶのがポイント。
お礼肥には速効性のある化成肥料で、リンが多めのものを選ぶのがおすすめです。
寒肥には緩効性肥料がベストで、春先に向けてゆっくりと肥料が分解され、効果が長続きしつつ、土壌改良効果も得られます。
肥料を与える際の注意点
庭木・植木を育てるのに欠かせない肥料ですが、与えれば与えるほどいいというものではなく、注意しなければならない点もあります。
もっとも大事なのは、肥料を与える量です。
肥料を与えすぎてしまうと「肥料焼け」と呼ばれる症状を引き起こし、植物の根が萎れてしまいます。
最悪の場合、そのまま枯死してしまうケースも。
庭木・植木の元気がないからと言って多量の肥料を与えると、かえって追い込んでしまうので、肥料を与える量には十分に気をつける必要があるのです。
肥料を与える時は、庭木・植木の根の先端部分にまくようにし、必要以上の肥料を与えないように量をチェックしてから与えましょう。
植木・庭木に適したおすすめの肥料とは
ここまでは有機質肥料や無機質肥料、肥料を与える時期などを解説してきました。
「結局、どの肥料を与えればいいの?」と悩んでいる人のために、おすすめの肥料を紹介していきます。
・万能に使える!発酵油かす+骨粉
油かすと骨粉の組み合わせは、元肥や追肥、寒肥やお礼肥など、あらゆる用途で使える肥料です。
油かすには葉や枝の成長を助ける窒素が多く含まれており、骨粉には花や実の付きをよくするリンが豊富です。
土壌改良効果も期待できるので、微生物が活性化し、フカフカの土が作れます。
油かすは発酵済みのものを選ぶとにおいが気になりません。
・ハイポネックス マグァンプK
化成肥料の中でもロングセラーを誇るハイポネックスのマグァンプK。
肥料の三大要素やマグネシウムがバランスよく配合されており、長い期間肥料効果が持続するのが特徴です。
庭木・植木はもちろん、花や野菜など、いろいろな植物の肥料にもおすすめ。
大粒は約2年間もの間、肥料効果があるとされているので、高さのある庭木や果樹の肥料にも最適でしょう。
愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。