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キョウチクトウ
2022.04.27

キョウチクトウの育て方や特徴

キョウチクトウ(夾竹桃)は、インド原産の常緑樹。原爆投下後にいち早く開花したことから、復興のシンボルとして広島市の花に制定された。
夏に咲く桃色や赤色の花は美しく、病害虫にも強いが、全体に毒がある。子どもやペットの誤食や、剪定には注意が必要。

基本データ

  • 分類庭木-常緑
  • 学名Nerium oleander
  • 科・属名キョウチクトウ科キョウチクトウ属

大気汚染に強く、都市の環境に適応する花木

キョウチクトウとは

 
キョウチクトウは、インド原産のキョウチクトウ科キョウチクトウ属の常緑低木(小高木)で、樹高3m程度になります。
大気汚染に強く、都市部の街路樹や公園樹のほか、工場地帯でもよく植えられる植物です。
排気ガスにも強いため、国道や高速道路が近くにある庭にも向いています。

 
広島市では、原爆投下後にいち早く花を咲かせたことから市の花に制定され、復興の象徴として親しまれてきました。

 
キョウチクトウの名は、中国名である「夾竹桃」を音読みしたもの。
中国名は、葉が竹のように細長く、花が桃色であることに由来しています。

 
姿形が似ているセイヨウキョウチクトウの別種として認識されていたこともありますが、近年では同種として扱われることが多いです。
キョウチクトウとセイヨウキョウチクトウは、花の中央にある付属体の形状がやや異なります。

 

初夏から夏にかけて南国風の色鮮やかな花を咲かせる

 
キョウチクトウ
キョウチクトウは、5月~10月ごろにかけて花を咲かせます。
花の色は桃色や赤色、白色などさまざまで、ボリューミーな八重咲きの品種もあります。

 
暑さに強く、夏の盛りでも咲き続けるのが特徴。
サルスベリなどと共に、花が少なくなる真夏の庭を彩ってくれる花木です。

 
花弁は5つに裂けていて、扇風機や換気扇の羽根を思わせる姿をしています。
同じキョウチクトウ科の草花である、ニチニチソウの花ともよく似ています。

 

株全体に強い毒性がある

 
キョウチクトウ
葉、枝、花など、ほとんど全ての部分に強い毒を持っています。
主な毒性分は、口にすると中毒症状を引き起こす強心配糖体のオレアンドリンなど。
茎葉を傷付けると出てくる白い乳液(ラテックス)や種子に特に多く含まれています。

 
キョウチクトウの葉や枝を食べると、口内の痛みやしびれ、吐き気、めまい、下痢、嘔吐など、ジギタリス中毒と似た症状をきたします。
人間の死亡事例もあるほど強い毒で、葉5枚~15枚が致死量とされています。
子どもやペットが誤って口にしないように注意が必要です。

 
茎や葉をただ触っただけで中毒を起こすことはありませんが、枝を切ったり傷つけたりしたときに出る乳液が皮膚に付着すると、湿疹などの炎症が起きることも。
キョウチクトウの剪定は、必ず手袋を着用し、長袖・長ズボンで実施してください。
茎や葉を燃やして出る煙にも有毒な成分が含まれるため、剪定した枝を安易に燃やすこともやめましょう。

 
花にも毒があることから、花言葉には「油断大敵」「注意」「危険」など、物騒な言葉があてられています。

 
世界には2000種ほどのキョウチクトウ科の植物が存在していますが、多くの品種が有毒です。

夏に長く花を楽しめる

東北南部以南の温暖な地域で栽培しやすい

 
インド原産のキョウチクトウは、熱帯性の植物です。
東北南部より下の温暖な地域での栽培が適しています。
 
花期は夏で、環境が合えば6月ごろから秋口まで長く花を楽しめます。
適切な気温が維持できればほぼ1年中花を楽しむことも可能なようです。

 
常緑なので、窓付近に植栽して目隠しとしたり、生垣的な役割をもたせたりすることもできます。
 
ただし、日当たりがいまいちな場所に植えると、葉が落ちてスカスカになってしまうことがあるため、目隠しとして植えるなら明るい場所を選んでください。

 

斑入り品種もある

 
キョウチクトウ
葉に黄色や白色の斑が入る品種「フイリキョウチクトウ」もあり、バリエーションを楽しめます。
 
葉を縁どるように斑が入るものや、葉全体に大きく黄色や白色が入る品種など、斑の入り方は株によってさまざまです。

 
斑入り品種は、軽やかな雰囲気を出したいときや、洋風のガーデンにおすすめです。

 

ひとつの節に3枚以上の葉を付ける「輪生葉序」

 
キョウチクトウ
キョウチクトウは、葉の付き方が特徴的な樹木です。
ひとつの節から3枚以上の葉を出すものを「輪生葉序(りんせいようじょ)」と言いますが、キョウチクトウもこれに該当し、一節に3枚の葉を付ける3輪生です。

 
輪生葉序は、ひとつの節に2枚の葉が向き合って付く「対生葉序」の変形と考えられています。
キョウチクトウを栽培しながら、葉の付き方を観察するのも楽しいですよ。
細長い葉は肉厚でツヤがあります。

育て方・管理方法

≪ 詳細情報 ≫

 
草丈・樹高
 
1m~3m

 
栽培可能地域
 
東北南部以南

 
花色
 
ピンク・赤・白

 
開花期
 
6月~10月

 
耐暑性/耐寒性
 
インド原産であることからもわかるように、暑さに強い植物です。
一方、寒さにはやや弱め。
 
寒い地域で育てる場合は、気温の低い時期に剪定や植え付け・植え替えは行わないようにしましょう。

 

≪ 育て方 ≫

 
植え付け・植え替え
 
植え付けや植え替えは、春から秋に実施しましょう。
4月~9月ごろの気温の高い時期に行うと失敗が少なくなります。
 
水はけがよく、腐葉土などの有機質が豊富な土壌が向いています。

 
肥料
 
肥料の成分を吸う力が強く、相当なやせ地でなければ肥料なしでも順調に育ちます。
肥料を与える場合は、1月か2月ごろに寒肥として、有機質肥料を株元にまいてください。

 
剪定
 
キョウチクトウの枝は、上に向かって広がりながら伸び、ある程度放っておいても丸い形にまとまります。
 
ただし、枝が横に広がる性質があるため、スペースが限られている場合は、春か秋に枝を切り戻しましょう。
芽吹く力が強いので、根元まで切り詰めてOKです。

 
病害虫
 
病害虫には強い植物ですが、まれにキョウチクトウの毒に耐性を持つ昆虫が付くことがあります。
 
スズメガの一種であるキョウチクトウスズメの幼虫は、キョウチクトウの葉を好んで食べます。
主にキョウチクトウの葉をエサとしますが、同じキョウチクトウ科のニチニチソウを食害することも。
葉を食われた跡やフンを見つけたら、キョウチクトウスズメの発生を疑い、すみやかに駆除してください。
 
5月~11月ごろまで、新芽や若葉にキョウチクトウアブラムシと呼ばれる黄色いアブラムシが発生することがあります。
大発生すると樹勢が弱ることもあるため、見つけ次第薬剤を散布するなどして対策しましょう。
 
病気は、うどんこ病や炭疽病などカビが原因となる病気に注意してください。
風通しや日当たりを改善することで予防できます。

 
日当たり
 
日当たりのよい場所を好みます。
日光が不足すると葉が落ちたり、花が咲きにくくなったりする場合があります。
 
また、斑入りの植物は、一般的には直射日光に弱いとされますが、フイリキョウチクトウは日差しに強い性質を持ちます。
フイリキョウチクトウも日当たりのよい場所に植栽してください。

 
水やり
 
地植えで一度根付いた株には、特に水やりは必要ありません。
鉢で育てている場合は、土の表面が乾いたらたっぷりと水をやってください。

出典(引用元)

平野隆久『よくわかる樹木大図鑑』永岡書店
椎葉林弘『よくわかる庭木大図鑑』永岡書店
小幡和夫ほか『樹木博士入門』全国農村教育協会
草間祐輔『症状と原因が写真でわかる 庭木・花木・果樹の病害虫ハンドブック』家の光協会
草間祐輔『最新版植物の病気と害虫防ぎ方・なおし方』主婦の友社
土橋豊『人もペットも気をつけたい園芸有毒植物図鑑』淡交社キョウチクトウ中毒の1症例
キョウチクトウ中毒 | 家畜疾病図鑑Web

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