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カリン(花梨)の木と青空の写真
2022.03.07

カリン(花梨)の育て方や特徴

カリン(花梨)は、果実をジャムや薬用酒として楽しめる落葉樹。
果実はすばらしい香りを放ち、花も美しいことから、庭木や盆栽としても人気がある。
フルーツの一種ではあるが、実は生では食べられない。咳止めや疲労回復の薬用植物としても用いられてきた。
 
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基本データ

  • 分類庭木-落葉
  • 学名 Pseudocydonia sinensis
  • 科・属名バラ科カリン属
  • 別名カラナシ、キボケ、テンジクナシ

香りの良い黄色の果実をたわわに実らせる

カリンとは

 
カリンは、バラ科カリン属の落葉中高木で、楕円形の黄色い果実を実らせます。
中国原産で、日本でも東北や甲信越地方を中心とし、各地で栽培されてきました。
環境に適応すれば樹高5m以上と大きく育ちますが、適切な剪定を行えば、鉢植えや盆栽としてコンパクトに楽しめます。カリンの枝は上に向かって伸びる性質があり、横方向には広がりにくいです。
 

10月~11月になると果実が黄色く熟します。
収穫された実は、ジャムや砂糖漬け、焼酎漬けにして食べられます。生食には向いていません。
カリンの樹皮は、ところどころ鱗片状に剥がれ落ちる性質があり、迷彩のようなまだら模様になります。
 

「カリン」の名は、カリン材の木目が、東南アジア原産のマメ科の広葉樹「花櫚」(カリン)に似ていることから付けられました。花櫚は、インドシタンやインドカリンとも呼ばれ、高級木材として家具などに使われている樹木です。
 
 

花はピンク色

 
ピンク色の花を咲かせるカリンの木
4月から5月ごろに開花するカリンの花は、淡いピンク色で、同じバラ科のサクラやウメの花と少し似ています。
花弁は5枚で、くるんと内側に丸まる愛らしい咲き方が特徴です。
カリンの花言葉は「豊麗」や「唯一の恋」です。
 
 

生で食べられない果実はジャムや砂糖漬けに

 
黄色のかりんの実
カリンの果実は、完全に熟したものでも生では食べられません。
毒性などがあるわけではありませんが、生の果実は非常に硬いうえ、渋味が強いからです。
 

生では食べられないものの、かぐわしい香りが楽しめるカリンの果実は、ジャムにしたり、砂糖やシロップに漬けたり、焼酎に漬けて果実酒にしたりと、多様な使い道があります。
 
 

咳止めや去痰、疲労回復などの効能も

 
落ち葉とカリンの実
カリンといえば、のど飴やせき止めシロップのイメージが強いとうい方も多いのではないでしょうか。
カリンの果実にはタンニンや酒石酸などの有機酸が豊富で、古くから薬用植物として利用されてきました。
 
生薬名は「榠櫨」(めいさ)や「光皮木瓜」(こうひもっか)です。
果実を煎じたものや薬用酒は、咳止めや去痰、疲労回復に用いられています。
整腸作用があり、下痢や吐き気にも効果的とされます。
 
 

カリンとマルメロの違い

 

マルメロの果実の写真

[マルメロの果実]


 
花や実の姿がカリンとよく似た「マルメロ」という果樹があります。
マルメロは、カリンと同じバラ科の落葉樹ですが、イランやトルキスタン地方原産で、欧米で栽培されてきたことから、「西洋カリン」と呼ばれています。
 

カリンとマルメロを見分けるポイントは、果実の形と毛の有無です。
カリンの実が楕円形や円形であるのに対し、マルメロの実は下部がふくらんだ洋ナシ型をしています。
また、マルメロの実の表面にはうっすらとうぶ毛が生えていますが、カリンの実は無毛です。
葉の形でも区別できます。
カリンの葉はフチが鋸の歯のようにギザギザしていますが、マルメロの葉にはギザギザがありません。
 

マルメロの果実もカリンと同様に生では食べられず、もっぱらジャムなどに加工され流通しています。
長野県などマルメロをカリンと呼ぶ地方があり、「カリンジャム」と称しているものでも、マルメロを原材料としている場合もあります。

家庭果樹として人気が高い

和から洋までさまざまな庭に溶け込む

 
中国原産で古くから日本で栽培されてきたことから、どちらかというと和のイメージのあるカリンですが、軽やかな樹形は洋風のガーデンにもよく馴染みます。
 
実の収穫を目的とした栽培はもちろん、鑑賞用としても人気。
冬には葉を落とす落葉樹なので生垣や目隠しには向きませんが、シンボルツリーやサブツリー、鉢植えなど、さまざまな利用方法があります。
 
 

主要害虫のモンクロシャチホコに注意する

 

モンクロシャチホコの毛虫の写真

[モンクロシャチホコの毛虫]


カリンやマルメロには、8月~9月に蛾の一種であるモンクロシャチホコの幼虫が発生することがあります。
 

孵化したばかりの幼虫が葉を食害します。
幼虫は食欲旺盛で、大発生すると葉がほとんど食われ、樹が丸裸になってしまうことも。
虫食いのある葉を見つけたら、すみやかに駆除してください。まとめて付着している葉があれば枝ごと取ってしまいましょう。モンクロシャチホコの幼虫に毒はなく、直接手で触っても問題ありません。

育て方・管理方法

≪ 詳細情報 ≫

 
草丈・樹高
5m~10m

 
栽培可能地域
全国

 
花色
ピンク

 
開花期
5月

 
結実期
10月~11月

 
耐暑性/耐寒性
耐暑性も耐寒性もあります。特に寒さに強く、冷涼な気候を好む樹木です。
日本全国で栽培できるものの、東北~甲信越などの寒冷地が最も適しています。

 

≪ 育て方 ≫

 
植え付け・植え替え
苗木の植え付けや植え替えは、落葉中の11月~12月、2月~3月に行います。
土質はあまり選びませんが、やや湿り気のある肥沃な土壌を好みます。
植え穴には腐葉土や堆肥などをすきこんでください。
鉢植えの場合は、2年~3年に1度は一回り大きな鉢に植え替えて根詰まりを予防します。

 
肥料
2月〜3月と、10月の年2回、油かすや骨粉などの有機質肥料や化成肥料を与えます。
肥料は、株元から少し離れた場所にまいてください。

 
剪定
12月~2月の落葉期がカリンの剪定時期です。
カリンの枝は、上に向かって直立する性質があります。長く伸びた枝の先には花芽が付きにくいため、1/3ほどまで切り詰めましょう。切り詰めることで樹高も抑えられ、全体の見た目のバランスも良くなります。
鉢植えや狭い庭での栽培など大きくしたくないときは、主幹を切って芯止めしましょう。

 
病害虫
8月ごろに発生するモンクロシャチホコの毛虫に気を付けます。
新芽にアブラムシがつくこともあります。
果実はシンクイムシに食害されることがあるので、袋かけや薬剤を散布して予防しましょう。
 
病気は、赤星病やごま色斑点病に注意。
いずれの場合も、発生初期のうちに薬剤を散布したり、手で虫を取り除いたりして対策してください。
異変に気付けるよう、普段から観察を怠らないことが大切です。

 
日当たり
日なたを好みます。南に面した庭や玄関先に植え付けてください。
建物の陰になるような日当たりの悪い場所だと、実付きが悪くなったり、樹形が乱れたりしやすいです。

 
水やり
地植えの場合、一度根付いてしまえば水をやる必要はありません。
鉢植えのカリンには、土の表面が乾いたら鉢穴から水が流れ出るくらいたっぷりと水を与えましょう。
 

出典(引用元)

平野隆久『よくわかる樹木大図鑑』永岡書店
椎葉林弘『よくわかる庭木大図鑑』永岡書店
草間祐輔『症状と原因が写真でわかる 庭木・花木・果樹の病害虫ハンドブック』家の光協会

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