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イヌマキ
2022.01.17

イヌマキの育て方や特徴

イヌマキ(犬槇)は、刈り込んで丸く仕立てたり、生垣にしたりと、和風の庭で重宝する常緑の庭木。
芽吹く力が強く、新芽が柔らかいので、好みの形に整えやすい。
寒さに弱く、東北南部より南の地域で栽培されることがほとんど。
果実を食べられる。

基本データ

  • 分類庭木-常緑
  • 学名Podocarpus macrophyllus
  • 科・属名マキ科マキ属
  • 別名マキ、クサマキ

マキ類の中でも代表的な樹木

イヌマキとは

 
イヌマキは、マキ科マキ属の常緑高木です。
原産地は日本で、関東以西の海岸に近い丘陵地や低山地に自生しています。
千葉県の県の木でもあります。
 

庭木や生垣として人気のある樹木で、特に丸い形に刈り込んだ仕立てものは、和風庭園に用いられる植栽の定番です。
海風を防ぐ防風垣としても使われます。
 

ラカンマキ、コウヤマキなどいくつかの種類があるマキ類の中でもポピュラーな品種で、単に「マキ」とだけ言うときはイヌマキを指すことがほとんどです。
 

日光を好みますが、耐陰性があり、北向きの庭でも育てられます。
 

イヌマキの名の由来には諸説あり

 
イヌマキのマキは、漢字では槇や真木と書きます。
真木は、文字通り「木の中の木」で、木材として優れたスギ、ヒノキ、コウヤマキなどを指す呼び名です。
 

イヌマキは、これらの樹木と比べると木材の品質が劣るため、イヌマキ(犬マキ)と呼ばれるようになったとする説があります。
 

また、上品で高級なイメージのある近縁種のコウヤマキが本槇(ホンマキ)とも呼ばれるのに対し、庶民的な雰囲気があることからイヌマキと呼ばれるようになったとも言われています。
 

葉は細長く、らせん状に生える

 
イヌマキの葉
 
イヌマキの特徴ともいえる細長い葉は、互い違いに出る「互生」で、らせん状に並びます。
 

葉の形や生え方は、イヌマキの変種であるラカンマキと酷似しています。
見分けるポイントとしては、イヌマキのほうが葉が太く、全体的に大ぶりな印象です。
 

実の一部が食べられる

 
イヌマキの実
イヌマキの実は、種子と花托(かたく)の2段に分かれていて、根本の花托部分は食べられます。
10月~12月ごろに赤黒く色付いたら食べごろで、ほんのりとした甘みが楽しめます。
 

ただし、先端の種子の部分には、イヌマキラクトンという毒が含まれており、食べられません。
 

イヌマキの実は、血の巡りを改善する駆瘀血作用(くおけつさよう)のある漢方薬としても用いられます。
生薬名は「羅漢松実(らかんしょうじつ)」です。
 

雌雄異株であり、実を付けるためには雄株と雌株が必要になります。
 

雄花と雌花は形が異なる

 

イヌマキの雄花
マキの雄花

 
花は、5月頃、新芽の展開と共に咲きます。
雄花は、上を向いた穂のような見た目で、束になって咲きます。
 

一方、雌花は、葉の付け根に一つずつ付きます。
小さく、あまり目立たない花です。
観賞価値は高いとは言えないでしょう。
 

イヌマキの花言葉は「慈愛」「色あせぬ恋」です。
 

丸く刈り込む仕立物や生垣が定番の使い方

生垣としての利用価値が高い

 
常緑のイヌマキは、隣家や道路との境や、目隠しとしての生垣に使いやすい樹木です。
びっしりと葉が密集したイヌマキの生垣は、見た目の美しさはもちろん、防風や目隠しの役割をしっかり果たしてくれます。
 

どこを剪定しても良く芽吹くため、好みの形に整えやすいのも特徴でしょう。
 

イヌマキよりも小型で葉の密度が高いラカンマキも生垣に仕立てやすい樹木です。
 

仕立物・トピアリーとして活躍

 
芽吹く力が強いイヌマキは、仕立物やトピアリーにも適しています。
 

葉を玉状に整える「玉散らし」は日本庭園の定番で、門の上に枝を長く伸ばした「門かぶり」に仕立てることもできます。
 

棒状に整えたロウソク仕立ても人気。
ロウソク仕立ては、コニファー類のように洋風の庭にもぴったりです。
 

育て方・管理方法

詳細情報

 
草丈・樹高
10m以上

 
栽培可能地域
東北南部以南

 
花色

 
開花期
5月

 
結実期
10月

 
耐暑性/耐寒性
耐暑性はありますが、寒さに弱い品種です。
東北地方より南の地域での栽培に適しています。

 

育て方

 
植え付け・植え替え
植え付けや植え替えの適期は、3月~6月か、9月~10月です。
腐葉土や堆肥など有機質が豊富な水はけのよい用土を好みます。
元肥として有機質肥料を施してください。

 
肥料
1月~2月に寒肥として有機質肥料を施します。

 
剪定
剪定時期は、5月~6月と9月~10月です。
生育スピードが早いイヌマキは、年に2回刈り込むのが望ましいとされます。
 
手入れを怠ると、樹形が乱れるだけでなく、枝葉がボウボウに茂って風通しが悪くなり、カイガラムシなどの病害虫が発生しやすくなります。
枝が茂りすぎている場合、枝を抜く透かし剪定も必要です。
透かし剪定することで、風通しが良くなり、株全体に満遍なく日が当たるようになります。
 
いずれにせよ、イヌマキの剪定には技術やセンスが必要なので、美しく仕立てるにはプロに頼るのも手です。

 
病害虫
カイガラムシやアブラムシ、ハマキムシが発生することがあります。
イヌマキに特有の「マキシンハアブラムシ」は、春ごろ新芽付近に発生します。
カイガラムシの排泄物が誘発するすす病や、カビ菌によるペスタロチア病にも注意してください。
 
いずれの病害虫も、大発生すると樹が枯れる原因にもなり得ます。
樹木の状態をこまめに観察し、早期発見につとめるようにしましょう。

 
日当たり
日なたのほうが良く育ちますが、半日陰や日陰でも栽培できます。
北向きの庭でも役立つ樹木です。

 
水やり
一度根付いてしまえば、定期的な水やりは必要ありません。
植え付けや移植直後の株には、たっぷり水をやってください。

出典(引用元)

平野隆久『よくわかる樹木大図鑑』永岡書店
椎葉林弘『よくわかる庭木大図鑑』永岡書店
小幡和夫ほか『樹木博士入門』全国農村教育協会

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