秋になると、ほのかに甘い香りを漂わせるギンモクセイ。
白い小花が枝先にふわっと咲きそろい、季節の訪れを感じさせてくれる人気の庭木です。

しかし、毎年咲いていたのに突然花が咲かなくなった、植えて数年経っても花が見られないなど、お悩みの声も多く聞かれます。

今回は、ギンモクセイの花が咲かない原因とその対処法、花をたくさん咲かせるための育て方や剪定のコツについて紹介します。


自己流の剪定木が枯れるかも

目次

ギンモクセイの花が咲く条件と時期

ギンモクセイ

そもそもギンモクセイは、いくつかの条件がそろって初めて開花します。
まずは、ギンモクセイの花が咲く条件と時期についても知っておきましょう。

開花時期と気候条件

ギンモクセイの花は、秋のはじまり、9月下旬から10月中旬ごろに見ごろを迎えます。
朝晩の気温差が大きくなり、日中は20℃前後の穏やかな気候が続くことで、花芽が刺激されて開花が進みます。
夏の間にしっかり陽を浴びて、健康な枝葉が育っていれば甘い香りの白い花を咲かせてくれます。
日照不足や気温の乱れがあると咲かないこともあるので、植える場所や季節の変化を意識した管理がポイントです。

花芽がつくタイミングとその仕組み

ギンモクセイの花芽は、夏の終わりから初秋にかけて気温が少しずつ下がり始めるころに形成されます。
日照時間がしっかり確保され、気温が安定してくると、枝の先端付近に小さな花芽がつくられます。
この時期に剪定や移植などで刺激を与えると、花芽の生長が止まってしまうこともあるので注意が必要です。
新芽の伸びが落ち着いたタイミングを見計らいながら、やさしく見守ることが花を咲かせるコツです。

若木はいつから花が咲くのか

ギンモクセイは、植え付けから数年が経ち、幹や枝がしっかり太くなってくると、徐々に花を咲かせるようになります。
一般的には、3年目以降に花芽がつき始めることが多く、それまでは葉や枝の生長が優先されます。
若木のうちは樹形を整える程度の軽い剪定にとどめ、栄養をしっかり行き渡らせることが大切です。
あせらずじっくり育てることで、年々花つきも良くなり、香りを楽しめるようにもなりますよ。

咲くまでにかかる年数と生長スピード

生育環境が整っていれば、苗木を植えてから3〜5年ほどで花を咲かせるようになるギンモクセイ。
生長スピードはややゆっくりめですが、毎年少しずつ幹が太くなり、枝葉が充実していくことで開花につながります。
早く咲かせたい場合は、日当たりと風通しを意識して育て、剪定は控えめにすると効果的です。

ギンモクセイの花が咲かない原因と対処法

ギンモクセイ

1. 剪定の時期が遅かった

ギンモクセイの花が咲かない原因のひとつに、剪定のタイミングを逃してしまったことが考えられます。
特に夏以降の剪定は、すでにでき始めている花芽を一緒に切り落としてしまうことが多く、翌年の開花に影響を与える場合も。

ギンモクセイは、春から初夏にかけて新しい枝葉を伸ばし、その先端に花芽をつける性質があります。
せっかく育った花芽を切ってしまうと、秋になっても花が見られないことがあります。

対処法:花芽ができる前の春〜初夏に剪定を終える

ギンモクセイの剪定は、花芽がつく前の春から初夏までに行いましょう。
基本的には、3〜6月ごろの間に枝葉の整理をしておくのがベスト。
この時期であれば、花芽の形成に影響を与えずに樹形を整えることができます。

剪定するときは、伸びすぎた枝や混み合った部分を中心に切り戻し、風通しの良い状態を保ちましょう。

2. 刈り込みなどの強い剪定をしてしまった

枝先に花芽をつける性質があるギンモクセイは、全体を丸く刈り込むような強い剪定をすると、花芽ごと切り落としてしまうことがあります。

特に新芽が出たあとに勢いよく枝を切り揃えると、その年の花が咲かなくなる原因になりやすいです。

また、何度も繰り返し強く剪定していると、枝が伸びづらくなり、花つきも悪くなってしまいます。
美しい樹形を保ちたい気持ちからの剪定が、開花を遠ざけてしまうこともあるので注意が必要です。

対処法:軽い剪定を意識し、枝先を残すように整える

ギンモクセイを剪定するときは全体を刈り込むのではなく、枝先を軽く整える程度にとどめるのがポイント。
花芽は枝の先に付きやすいため、外側に向かって伸びる枝を残しながら、内側に向かって混み合っている枝や不要な枝を間引くように切ると安心です。

自然な形を保ちつつ、風通しを良くすることで、木全体に光が行き渡り、花芽が育ちやすくなります。
やりすぎず、やさしく整える剪定を心がけましょう。

3. 肥料が不足している

比較的ギンモクセイは丈夫な木ですが、栄養が足りていないと花つきが悪くなることがあります。
特に植え付けから年数が経ち、土の中の肥料分が減っていると、新芽や枝は伸びても、花芽の形成がうまく進まなくなります。

葉の色が薄かったり、枝の勢いが弱く感じられたりする場合は、土の栄養状態を見直すサインかもしれません。
木が元気でも花を咲かせるためには、それなりのエネルギーが必要です。

対処法:リン酸を含む肥料を中心に、年2回の施肥を行う

ギンモクセイには、花芽のつきやすい環境を整えるために、春と秋の年2回、リン酸を多く含む肥料を与えるのがおすすめです。

花を咲かせるには、窒素やカリウムだけでなく、リン酸がしっかり含まれていることが大切です。
3月・9月ごろに、根元から少し離れた場所に緩効性の肥料をまくと、ゆっくりと吸収されて花芽の形成を助けてくれます。

4. 日照不足の場所に植えている

ギンモクセイはある程度の日陰にも耐えられる木ですが、花を咲かせるためには十分な日照が必要です。
家の北側や建物の影になるような場所に植えていると、日中に光があまり当たらず、花芽の形成が進みにくくなります。

特に春から夏にかけての生長期に光が不足すると、枝葉ばかりが伸びてしまい、開花の準備が整いません。
木が元気に育っていても、日照不足が続くと花が咲かないまま終わってしまうこともあります。

対処法:日当たりの良い場所に移植、または周囲の遮光を改善する

ギンモクセイをしっかり咲かせたいなら、日差しがよく当たる場所への植え替えがおすすめです。
移植が難しい場合は、周囲の樹木を透かし剪定したり、塀や建物の影になる時間帯を見直すなど、少しでも光を確保できる工夫をしてみましょう。

午前中に日が当たる環境が良く、日照時間が確保されることで枝の充実とともに花芽の形成も促されます。

5. 若木でまだ成熟していない

ギンモクセイは生長とともに花を咲かせる木なので、苗木を植えて間もない時期は、まだ花が見られないことがあります。

枝ぶりが細く、幹も十分に太っていない若木は、体力が樹形づくりや葉の展開に使われてしまい、花芽の形成が後回しになりがちです。
見た目には元気に育っていても、木が成熟するまでは開花まで時間がかかる場合があります。

花が咲かないからといって心配せず、じっくりと生長を見守ることが大切です。

対処法:数年かけてじっくり育て、根と枝葉を充実させる

若木のギンモクセイは、まず根をしっかり張り、枝葉が安定してから花をつけ始めます。
焦らずに数年かけて育てることで木全体のバランスが整い、自然と花芽がつきやすくなります。

定期的な水やりや軽い剪定で、枝の伸びすぎを防ぎながら、葉の量を保つことがポイントです。
無理に花を咲かせようとせず、木の状態にあわせて環境を整えることで、やがて季節になるとやさしい香りの花を咲かせてくれるようになりますよ。

6. 開花期に乾燥が続いた

ギンモクセイは、花芽が付き始める開花直前の時期に、土の中が極端に乾燥していると、うまく花を咲かせられないことがあります。
特に秋晴れが続いて雨が降らず、気温だけが高いような天候になると、根が水分を吸い上げにくくなり、花芽がしおれて落ちてしまうケースも。

枝葉が元気に見えても、地中の乾き具合によっては、開花に必要な水分が届かず、花が咲かない原因になっていることもあります。

対処法:夏から秋にかけての乾燥時期にしっかりと水を与える

ギンモクセイの花をしっかり咲かせるには、夏の終わりから秋にかけての乾燥しやすい時期に、こまめな水やりを心がけることが大切です。

開花直前の9月中旬〜10月初旬は、地表が乾いていたら朝か夕方にたっぷり水を与えましょう。
鉢植えだけでなく地植えでも、土の表面だけでなく根の深さまで水が届くよう、じっくり時間をかけて水を注ぐのがポイントです。

ギンモクセイの花をたくさん咲かせる育て方のコツ

ギンモクセイ

ここでは、ギンモクセイの花を咲かせるための育て方のコツを紹介します。

四季の変化を感じられる場所で育てる

ギンモクセイは、春の芽吹きや秋の気温の変化など、季節の移り変わりを感じられる場所で育てると、花芽が付きやすくなります。

室内や壁際など気温差の少ない環境では、自然なリズムが乱れやすく、開花が遅れることもあります。
風通しが良く、日なたと日陰の差があるような庭先や塀の近くなど、外気にしっかり触れられる場所がおすすめです。

四季を感じながら育てることで、毎年安定して花を楽しめるようになります。

通気性を確保し蒸れを防ぐ環境づくり

枝葉が密集して蒸れやすくなると、ギンモクセイの花芽の形成がうまく進まなかったり、病害虫が発生しやすくなったりします。

夏場は湿気がこもりやすいため、定期的な剪定で内側の枝を間引き、空気が流れるスペースを作っておくのがポイントです。
通気性を意識した管理が、健康な生長と安定した開花につながります。

鉢植えは根詰まりを防ぎ環境に応じて調整

鉢植えでギンモクセイを育てる場合は、根詰まりに注意しながら環境に合わせた管理が必要です。
数年育てていると根が鉢の中でいっぱいになり、水や養分をうまく吸えなくなることがあります。

葉の元気がなくなったり、水やりしてもすぐ乾くときは、植え替えのサインです。
ひと回り大きな鉢に変えたり、根を軽くほぐして新しい土に植え直したりするのが効果的です。
風通しや日当たりも調整できる鉢植えは、環境に応じた育て方ができるのも魅力です。

開花期の前後は植え替えなどの刺激を避ける

ギンモクセイが花を咲かせる時期の前後は、植え替えや剪定などの大きな刺激を避けることが大切です。
根を動かしたり枝を切ったりすると、花芽の発達が止まってしまうことがあります。

特に9月から10月にかけては、つぼみができて開花に向かう大事な時期なので、作業は控えめにして静かに見守るのがポイントです。
どうしても手を入れる必要がある場合は、花が終わったあとの落ち着いた時期を選ぶと安心です。

ギンモクセイの花を咲かせる剪定のコツ

ギンモクセイ

剪定をするタイミングや方法を間違ってしまうと花が咲かなくなることもあるギンモクセイ。
適切な方法で剪定を行なうことでギンモクセイは、より開花しやすくなります。

ここではギンモクセイの花を咲かせるための剪定のコツを紹介します。

Point1. 剪定の適期は「花後すぐの10〜11月」までに済ませること

ギンモクセイの剪定は、花が咲き終わった直後の10〜11月の間に済ませるのがベスト。
この時期は、花芽の形成がまだ始まっていなく、翌年の開花に影響を与えにくいタイミングです。

遅くなると花芽を切ってしまうリスクが高まるので、剪定はできるだけ早めに行うといいです。
枝の混み合った部分を整える程度にとどめ、自然な形を活かした軽い剪定を心がけましょう。

Point2. 徒長枝(勢いよく上に伸びた枝)は根元から切り取る

まっすぐ勢いよく伸びた徒長枝を見つけたら、根元から切り取るのがポイントです。
太い枝から枝から徒長枝は樹形を乱すだけでなく、風通しや日当たりを悪くしてしまう原因にも。

木の中心から上へ伸びる枝は、花芽がつきにくいため、思い切って取り除いてしまって大丈夫です。
樹形全体を整えながら、花を咲かせやすい枝を残していくことで、バランスのとれた美しい姿に仕上がります。

Point3. 混み合った内側の枝(交差枝や逆さ枝)を間引いて風通しを良くする

ギンモクセイの枝が混み合っていると光や風が入りにくくなり、花芽の付きが悪くなってしまいます。
枝同士がぶつかる交差枝や、下向きに伸びた逆さ枝は、思い切って間引きましょう。

内側に空間を作るように枝を整理すると、風通しが良くなり病害虫の予防にもつながります。
全体のバランスを見ながら、自然な形を保つように整えるのがポイントですよ!

Point4. 弱っている細い枝・枯れ枝はこまめに取り除く

ギンモクセイの枝の中には、日当たりや風通しの影響で細く弱ってしまう枝や、自然に枯れてしまう枝があります。
こうした枝をそのままにしておくと、木全体の通気性が悪くなり、花芽がつきにくくなってしまいます。

弱々しい枝や枯れ枝は見つけ次第、こまめに取り除きましょう。
剪定ばさみで軽く整えるだけでも、木がすっきりとして健康的に育ちやすくなります。

Point5. 全体の樹形は丸く整えつつ、枝先を軽く残すように剪定する

ギンモクセイの剪定では、全体のシルエットを丸く整えながらも、枝先を少し残す意識が大切です。
枝の先端に花芽がつくため、切りすぎてしまうと翌年の開花が少なくなることも。

こんもりとした自然な樹形を保ちつつ、飛び出した枝だけを軽く整える程度にとどめましょう。
丸く刈り込むよりも、やわらかく広がるような形に仕上げることで、風通しも良くなり、健康的な花つきにつながります。

ギンモクセイの花が咲かないことに関するよくある質問

ギンモクセイ

最後に、ギンモクセイの花が咲かないことに関するよくある質問をまとめました。

毎年咲いていたのに今年だけ花が咲きません。なぜですか?

毎年咲いていたギンモクセイが、今年だけ花をつけなかった場合は、剪定や天候の影響が関係していることが多いです。
特に花芽ができ始める夏以降に強い剪定を行ったり、極端な乾燥や長雨が続いたりすると、花が咲かなくなることがあります。

また、前年に枝が混みすぎていた場合も、光や風が届きにくくなり、花芽の生長が妨げられることも。
木が弱っていないようであれば、翌年に向けて環境を整えることで再び開花が期待できます。

ギンモクセイは植えてから何年で花が咲きますか?

ギンモクセイは、苗木を植えてからおよそ3年〜5年ほどで花を咲かせるようになります。

枝や幹がしっかりと太くなり、根が安定してくると、花芽がつきやすくなります。
植えたばかりのころは葉や枝の生長が優先されるため、すぐに花が咲かなくても心配はあまりありません。

日当たりや風通しのよい場所でじっくりと育てて様子をみましょう。
毎年の管理を丁寧に続けていけば、季節になると自然と花を楽しめるようになりますよ。

キンモクセイと間違えてギンモクセイを買ったかもしれません。見分け方はありますか?

ギンモクセイとキンモクセイはよく似ていますが、いくつかの違いを知っておくと見分けやすくなります。

花の色はギンモクセイが白、キンモクセイは濃いオレンジ色をしています。
また、ギンモクセイの葉はやや細長く、縁に鋸歯(ギザギザ)が目立ちやすいのも特徴です。

開花時期はどちらも秋ですが、香りの印象もわずかに異なります。
花が咲いたときに確認すると判断しやすいですが、葉の形や色でも見分けることができます。

ギンモクセイの花を咲かせる剪定はsmileガーデンへ

ギンモクセイ

ギンモクセイの花を毎年きれいに咲かせるには、花芽を残しながら丁寧に剪定することが大切です。
自己流で切ってしまうと、花が咲かなくなることもあります。

そんなときは、庭木1本からでも頼める「smileガーデン」におまかせください。
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剪定が上手な業者に任せて、花いっぱいのギンモクセイを楽しみましょう。


自己流の剪定木が枯れるかも

氏永 勝之
監修者 smileグループCEO
株式会社ガーデンメーカー 代表取締役
愛知農園植木苗木株式会社 専務取締役
一般社団法人ガーデンビジネス協会 代表理事
氏永 勝之

愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。

執筆者 柴﨑光一

リゾートガーデンスタイル専属の庭師×Webコンテンツクリエイター。 カナダのトロントで造園士を、その後日本で花屋のバイヤー・鉢物の管理・アドバイザーを経験した後、ヤシの木を主体とするリゾート・ドライガーデンの造園士に。 現在は、リゾートガーデンスタイルの社会福祉施設・DOG CAFEの専属庭師に加え、畑の開拓・管理、SNSも兼務。 植物を専門とするWebコンテンツクリエイター、ガーデニング商品の監修者としても活躍中。

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