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ウバメガシ(育て方・特徴)

ウバメガシの育て方と特徴

10月下旬~11月中旬になると細長いどんぐりを付けるウバメガシは、剪定や刈り込みに強く、比較的管理も楽なので庭木におすすめです。ウバメガシの特徴や育て方、適切な剪定時期や方法、さらにどんぐりの特徴や備長炭の利用方法など魅力をたっぷりと紹介!

基本5データ

分類
庭木-常緑
学名
Quercus phillyraeoides
科・属名
ブナ科・コナラ属
別名
イマメガシ、ウマメガシ、バベガシ、バベ、アクシバ
草丈・樹高
5〜25m
栽培可能地域
東北南部以南
花色
緑褐色
開花期
4〜5月
結実期
10月下旬~11月中旬
耐暑性 / 耐寒性
強い / やや弱い

ウバメガシのどんぐりの特徴

雄花と雌花がそれぞれ同じ株に付く、雌雄同株(しゆうどうしゅ)のウバメガシ。
4〜5月に新しい枝の付け根に緑褐色のふさ状の雄花が、先端の葉の付け根にだ円形の雌花が咲きます。

受粉を終えた雌花は、時期を迎えると緑色のどんぐりを付け始めます。

成熟と収穫時期

1年目に付け始めたウバメガシのどんぐりは、2年目の秋に成熟します。具体的には10月下旬~11月中旬 にかけて収穫期を迎え、成熟したどんぐりは地面に落ち、周囲に広がります。この時期に多くの動物がどんぐりを食べにやってきます。

形状とサイズ

ウバメガシのどんぐりは、一般的に長さ1.5~2.5cm、直径1~1.5cmほどの卵形または円筒形をしています。
ほかのカシ類と比べてやや小型ですが、堅い殻に包まれています。

見た目

外観は滑らかで光沢があり、緑色の時期には光沢が特に目立ちます。どんぐりの先端には短い突起が見られることもあります。

カップ(殻斗)

どんぐりは「殻斗(かくと)」と呼ばれる帽子のような部分に一部が覆われています。ウバメガシの殻斗は小型で、どんぐり全体の約1/4~1/3を覆います。殻斗の表面はうろこ状の突起があり、これが密集してどんぐりをしっかりと保持します。

生態的役割

ウバメガシのどんぐりは、多くの動物にとって重要な食料源となります。リスや鳥類などがどんぐりを食べ、また、地面に埋めることで新しい木が芽生えるのを助けます。どんぐりが地中に埋められると、発芽して新しいウバメガシの木が育ちます。

栄養価

どんぐりは高エネルギーの食材であり、デンプンや脂質、タンパク質を豊富に含んでいるといわれています。
そのため、動物にとっては冬の間の貴重な栄養源です。

ウバメガシのどんぐりは、その小さなサイズにもかかわらず、森の生態系において重要な役割を果たしているでしょう。

備長炭として利用されるウバメガシ

日本で高品質な備長炭を作るための重要な材料として知られているウバメガシ。
ウバメガシから作られる備長炭は、その品質の高さから多岐にわたる用途で利用されています。
木材の特性と製造過程の厳密な管理によるものであり、日本の伝統的な炭焼き文化の一端を担っています。

このあと、ウバメガシを用いた備長炭について詳しく説明します。

ウバメガシの特徴

日本固有の常緑広葉樹で、主に温暖な地域に自生しているウバメガシ。木材は非常に硬く密度が高いため、炭化させると優れた備長炭が得られます。生長スピードが遅いため、木材がきめ細かくで硬質な性質を持つのが特徴です。

ウバメガシ備長炭の特徴

  • 硬度と密度
    ウバメガシから作られる備長炭はとても硬く、重さもあります。叩くと金属のような高音が鳴り、炭の密度が高いことがわかります。
  • 燃焼時間
    ウバメガシ備長炭は燃焼時間が長く、均一に熱を保つため、料理や暖房に適した材です。
  • 少煙・無臭
    燃焼時に煙が少なく無臭であるため、特に料理に使用すると食材の風味を損ないません。
  • 浄化効果
    ウバメガシ備長炭は多孔質構造を持ち、空気や水の浄化にも利用されます。これは炭の内部に多くの細かい孔があるため、吸着作用に優れているからです。

利用例

  • 料理
    高級焼肉店や寿司店では、ウバメガシ備長炭を用いて炭火焼きを行います。その均一な熱と少煙の特性により、食材の旨味を引き出すことが可能です。
  • 暖房
    冬季には暖炉や囲炉裏で使用され、長い燃焼時間と高い熱量が室内を暖めます。
  • 浄化
    空気清浄機や水の浄化フィルターとしても利用され、その高い吸着能力が有害物質を除去します。

備長炭の製造過程

  1. 伐採と乾燥
    備長炭の製造には、まず適切な時期にウバメガシを伐採し、十分に乾燥させることが重要です。
    乾燥が不十分だと、炭化の過程で木材が割れやすくなります。
  2. 炭化
    乾燥させた木材を炭窯に入れ、約1000℃の高温で長時間かけて焼き上げます。この過程では酸素を制限し、木材が完全に燃焼しないようにします。炭化の時間は数日から数週間に及びます。
  3. 冷却
    炭化が完了したら、炭窯から取り出し、急激な温度変化を避けるためにゆっくりと冷却します。急冷すると炭が割れてしまうため、冷却には細心の注意が必要です。

ウバメガシの育て方と特徴の育て方・管理方法

植え付け・植え替え

ウバメガシは水はけの良い土で育てる


「木の雑草」ともいわれる生命力の強いウバメガシはあまり土質を選ばず、肥料成分が少ない場所でも大きく生長します。
ただし、粘土質な水はけの悪い土では根腐れが起こりやすく、枯れてしまう場合も。

ウバメガシを植え付ける前には、腐葉土や赤玉土を掘り起こした土とよく混ぜて、排水性・通気性・保水性を良くしましょう。

ウバメガシの適切な植え付け・植え替え時期


やや寒さに弱いウバメガシは、3〜8月ごろに植え付けや植え替えをします。
寒さや霜で、株にストレスを与えずに済みます。

ウバメガシは直径4〜6mほどのスペースを確保してから


また生長するにつれ、細くてやわらかい根が硬くて太くなり、地中に伸びていくため、家の壁やガス管・水道管などに当たることも。
ウバメガシの苗木を植え付ける場合は、できるだけ広々とした場所を選び、直径4〜6mほどのスペースを確保しましょう。

高木になるウバメガシは、単幹と株立ちで樹形や生長の仕方の違いがありますが、植え付けるときは、直径3〜5m程度のスペースを確保しましょう。
苗木が小さくても、周りになにもなくて広々とした場所を選ぶことがポイントです!

ウバメガシの苗木の植え方


ウバメガシは移植が難しい樹木なので、苗木はしっかりと場所を決めて植え付けます。

まずは、植え付ける場所の雑草やゴミをきれいに取り除き、植え穴を掘ります。
植え穴の深さはウバメガシの根鉢の高さよりも2〜3倍ほど深く掘り、根鉢の周りに両足が入るぐらいの広さをつくりましょう。
根鉢の表面が地面から3cm程度出るように植え付けて、足で踏み固めながら用土を入れます。

ウバメガシの鉢植えの植替え


鉢植えでウバメガシを育てている場合は、2年に1回のペースで植え替えをしましょう。生長スピードがほかのカシの木よりも遅いですが、根がたくさん出やすいので長く放置している
土の栄養バランスが崩れたり、根詰まりを起こしたりして枯れてしまうことも。与えた水が土の中へ浸透しにくくなったときや、鉢底穴から根が出ているときにも植え替えをしてくださいね。

肥料

生育が旺盛で肥料成分があまりない場所でよく育つウバメガシは、定期的に肥料を与えなくても大丈夫です。
反対に肥料をたくさん与えてしまうと、ウバメガシの生長に勢いが付き過ぎて管理が大変になったり、巨木になる危険性が出たりすることもあります。

剪定

単幹でも株立ち樹形でも、基本的にウバメガシの剪定方法は同じです。
地植えで育つウバメガシは鉢植えのものよりも生長スピードが早いので、剪定は最低でも1年に1回のペースで行いましょう。
長く放置してしまうと見た目が悪くなるだけでなく、大きくなり過ぎて管理が大変になってしまう場合もあります。
また、病気や害虫の被害に遭いやすくなるので、たくさん切り落とし過ぎず、内側の枯れた枝葉、不要な枝葉を切り落とす程度で、できるだけ自然樹形になるように切ることがポイント!

ウバメガシの最適な剪定時期|6月下旬〜7月


ウバメガシの剪定は、6月下旬〜7月が適期です。
季節を間違えてしまうと、ウバメガシの木に大きなストレスを与えるので、時期には注意しましょう。

もし適期を逃しても、暑過ぎず寒過ぎない時期であれば、ウバメガシの枝葉を透かす程度の剪定なら問題ありません。
ただし、8月を過ぎてしまうと、暑さによって切り口から水分が抜けてしまい、ウバメガシの枝が枯れてしまう場合もあるので、できるだけ猛暑日は避けましょう。

ウバメガシの剪定の手順


枝葉が伸びると鬱蒼とした見た目になりやすいウバメガシは、ためらわずにバッサリと切ることがポイントです!
株の向こう側が見えるぐらいの量を切ることで、美しいシンボルツリーや庭木に仕上げられます。

Step1. ウバメガシの木の高さや幅のラインを決める。


はじめに木を切る前には、ウバメガシの木の理想の高さや幅のラインを決めてから切るのがポイント。
なんとなくの感覚で、伸び過ぎたウバメガシの枝葉を切ってしまうと、花芽や実が出る枝を切ってしまったり、不自然な樹形になってしまったりすることもあります。

Step2. ウバメガシの不要な枝や枯れ枝を剪定する


Step1で決めたラインから飛び出ている不要な枝葉、ウバメガシの樹形を乱すような枝、枯れ枝は全て付け根から切り落とします。
基本的には混み合った不要な枝を中心に剪定するとすっきりと見え、スタイリッシュな樹形に仕上げられます。

また、ウバメガシの太い枝から強く伸びる枝葉は花芽が付きにくいので、枝分かれした箇所まで切り詰めましょう。

場合によっては株の中心となる幹(主幹)から下記の不要な枝を剪定するのもいいでしょう。

  • 徒長枝:株から強く飛び出すように、太く長く伸びる枝

  • 立ち枝:横に伸びている太い枝に対して、直立したように上に強く伸びる枝

  • 内向枝:株の内側に向かって伸びる枝

  • 交差枝:枝同士が十字に交差する枝

  • 絡み枝:太い枝に絡みつくように伸びる枝

  • 平行枝:近い位置で平行に同じ方向へ伸びる枝

  • 逆さ枝:地面に向かって伸びる枝


切るときは枝葉の外側に出た外芽を残しながら、内側に伸びる内芽を残すように剪定するのがポイントです!

Step3. ウバメガシの木のバランスを確認して調節する


最後に、全体的なウバメガシの木のバランスを見て形を調節をします。
株の内側がすっきりとしているか、ウバメガシの枝が株の外側へ長く伸び過ぎていないか、樹形を乱している不要な枝葉はないかなど、細かくチェックしましょう!

病害虫

生命力の強いウバメガシは、比較的庭木の中でも病害虫の被害にあいにくいです。
ただし、枝葉が混み合って日当たりと風通しが悪くなると、湿気がたまりやすくなって菌やウイルスが繁殖したり、ハダニ・カイガラムシ・マイマイガの幼虫といった害虫の被害にあう場合も。

ウバメガシの病害虫対策は、剪定でバッサリと枝葉を切り落として通気性を良くすることがポイントです。
梅雨の時期から夏にかけては、薬剤や消毒の散布<も行いましょう。
2月ごろに切開硫硫黄合剤10倍液を散布して、株を消毒しておくのもおすすめです。

ウバメガシにみられる病気


・うどんこ病
4月上旬〜7月上旬と9月中旬〜10月上旬に、白い粉が吹いたような菌糸が若葉や花などやわらかい箇所に発生します。
症状が悪化すると、葉や花が奇形になる場合も。昼夜の温度差が大きい時期は、空気感染によって被害が拡大する場合もあります。
日頃から風通しを良くし、予防として薬剤を散布しておくといいです。

・てんぐ巣病
主に春から初夏にかけてウバメガシの葉に発生しやすく、特に湿度が高くなる時期に症状が顕著になります。
葉の表面に小さな灰色または白色の斑点が現れたり、斑点が大きくなって葉全体が灰色や白色に変色したりします。
感染が進行すると、葉が黄色や褐色に変色し、枯れる場合も。
まずは、病気に感染した葉を早めに取り除き、病原菌の拡散を防ぎます。
また植物の周りを清潔に保ち、剪定を行うことで通気性を確保でき湿気を減らすことが可能です。
さらに、過湿や乾燥を避け、適度な水やりを心がけましょう。

ウバメガシに現れる害虫


・ハダニ
1年を通して、ウバメガシの葉の表裏に発生しやすいです。
風通しがなく、乾燥した枝葉に現れ、放置をするとコロニーを形成し大量に繁殖する場合も。
葉の養分を吸汁するため、落葉の原因になります。
定期的な剪定をして予防をしますが、大量に発生した場合は薬剤で対処するといいです。

・カイガラムシ
1年を通して、ウバメガシの新芽・枝・幹に発生しやすく、養分を吸汁します。
成虫になると甲羅が硬質化し、薬が効きにくくなります。
できるだけ薬の効く幼虫のうちから、薬剤散布を行うといいです。
成虫は歯ブラシや軍手を使って擦るようにして補殺します。

・マイマイガ
主に夏から秋にかけてウバメガシ葉に発生します。特に6〜9月にかけて幼虫が活発になり、木々に被害を与えることが多いです。
幼虫が葉を食べることで大きな穴が開いたり、葉の端が食い荒らされたりし、進行すると葉全体がほとんど食べ尽くされることもあります。
また成虫になる前に、幼虫が木の幹や枝に繭(まゆ)を作るため、ウバメガシの見た目に不快感を与えやすいです。
発生時期ごろには目視で確認し、見つけた幼虫を取り除きましょう。
市販の殺虫剤を使用することで、幼虫や成虫を効果的に駆除できます。
ただし、使用する際は他の生物に影響を与えないように注意してくださいね。

日当たり

乾燥した土を好むウバメガシは、基本的に水やりをしなくても問題ありません。
逆に過湿になると、根腐れすることもあるので注意が必要です。

ただし、ウバメガシの苗木を植え付けてから一年間は、乾燥が続くようなら水を与えます。
乾燥に強い木なのであまり神経質にならなくても大丈夫です。

水やり

乾燥した土を好むウバメガシは、基本的に水やりをしなくても問題ありません。
逆に過湿になると、根腐れすることもあるので注意が必要です。

ただし、ウバメガシの苗木を植え付けてから一年間は、乾燥が続くようなら水を与えます。
乾燥に強い木なのであまり神経質にならなくても大丈夫です。

氏永 勝之
監修者 smileグループCEO
株式会社ガーデンメーカー 代表取締役
愛知農園植木苗木株式会社 専務取締役
一般社団法人ガーデンビジネス協会 代表理事
氏永 勝之

愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。

執筆者 柴﨑光一

リゾートガーデンスタイル専属の庭師×Webコンテンツクリエイター。 カナダのトロントで造園士を、その後日本で花屋のバイヤー・鉢物の管理・アドバイザーを経験した後、ヤシの木を主体とするリゾート・ドライガーデンの造園士に。 現在は、リゾートガーデンスタイルの社会福祉施設・DOG CAFEの専属庭師に加え、畑の開拓・管理、SNSも兼務。 植物を専門とするWebコンテンツクリエイター、ガーデニング商品の監修者としても活躍中。

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